命改変プログラム
全ての鍵
風を通して法の書が何かを開く。僕の力に深く入り込もうとして来る法の書。その密接を築こうとしてる強引な力は、向こうもこちらに入り込む為に何かを開いてるんだろう。聞こえて来る……遠くから声が……
「スオウ! スオウ!!」
近くからクリエの声が聞こえてた筈だった。だけどそちらは段々と遠くに追いやられて、言葉に言い表せない……けど、なにか呼ばれてる様な気がする声に僕は意識を奪われてく。
「はっ! ……ここは?」
曖昧だった頭がハッキリとして周りを見渡すと、そこは今まで居た筈の白い砂浜と青い海が輝かしい場所じゃない。そこは輝かしいのは変わらないけど、実態とする物が何も無い様な……なんだか変な場所だ。踝まで水みたいなのにつかってるんだけど、その水の感触はない。そもそも水なのかどうかも怪しい。
周りは淡いブラウン系の色で上を見るとオーロラが見える。そしてきっと最大の特徴は、降って来てる物だろう。常に揺れてるオーロラから零れて来てるのかは知らないけど、読解出来ない文字が雨の様に落ちて来てるんだ。
だけどそれは僕にはぶつからない。ぶつかったと思ったら、すり抜けて来く。これは僕がこの場所では曖昧なのか、それともこう言うものなのか正直分からない。まあこの変な文字は水の中に溶ける様に消えて行ってるから、どれだけ意味あるのものなのかも怪しいけどな。
「でもこれが法の書の影響なら、クリエも同じ物を見てたのか?」
そこら辺分からないな。でもクリエは最後まで向こうに意識を置いてた感じだったよな。それに誰もがこうなるのなら、テトラの奴だってこれを見た筈。でもアイツはそんな事一言も言わなかったぞ。
クリエの場合は直前までそうだったから仕方ないとしても、テトラの奴はそうじゃない。あいつにはこの事を言える猶予があった。でもそんな事は聞いてない。やっぱりこれは僕だけに起きてる事か?
でもどうして……あいつ等と僕の違い……それは実態としての人間かどうか? それくらいしか思いつかないな。僕はリアルにちゃんと生きてる人間だ。だけど忘れそうになるけど、テトラ達はこの世界の、このゲームの住人。実態はリアルには無い。そのくらいしか思いつかないよな。
「スオウ……」
いきなり呼ばれたそんな声。この空間に響き渡る様で、どこから聞こえてるのかは分からない。声は落ち着いた女性の声って感じだ。
「誰だ?」
僕は辺りを見回しながらそう言うよ。だけど人影の一つも見えない。てかこの降ってる文字がウザいな。見難い。
「誰だ……とは失礼ですね。法の書を通してこちらに近づいて来たのは貴方でしょう。まあその後に扉を開けたのは私ですけど」
法の書を通して……そして扉を開けた……この二つのワードから導き出せる答えは一つしか無い様な……まさかだけど、そのまさかなのか? 僕は緊張しながら言ってみる。
「もしかして、マザーという存在か?」
「さあ、それはどうでしょう? まだ教えられないですね」
「まだって……どういう事だよ」
いつかは教えてくれるってことか? するとどこからともなく聞こえてる声がこう言うよ。
「貴方はまだその域に到達してないので。私の存在は特秘事項なのです。その私が出向いてるだけでサービスなのですよ。私の事をこれ以上教える事は出来ません。知りたいのなら、その身で私の前まで来る事です。
正式な道はありませんが。貴方達はLROを守りたいのでしょう?」
「当然だ。シクラ達のやろうとしてる、セツリの理想郷にLROをする訳にはいかない」
「そうですね」
同意してくれるのなら協力とかしてくれないのか? てか、危ない事を分かってるからここまで出張って来たんだろ? 僕が思ってる通りの存在なら協力してもらいたい。
「なあさ、ここまで来たって事は、シクラ達の危険性を分かってるからだろ? それなら−−」
「協力は出来ません」
早! 速攻で拒絶されたぞ。どうしてだよ! 危険を感じてるからじゃないのか?
「危険は感じてます。彼女達は私に辿り着くでしょう。それが出来る存在を手にしてる」
「存在?」
物……とかじゃなく? まあ物なら今僕が持ってる筈だからな。でも存在って……
「貴方も知ってるでしょう。あのお姫様を。あの子に与えられてる権限は脅威ですよ。まあそもそもがあの子の為に作られた世界なのでしょうがないのでしょうけど、鍵が二つあるのは危険です」
「鍵? それにセツリってそれだけの物を持ってたのか?」
「持ってたというよりは与えられてるんです。ですから言うなれば、あの子は実質的にこの世界を作り替える権利を有してるとも言えます。その可能性をあの人は残してるんです」
世界を作り替える権利か……でもそれなら、セツリの事を止める事は間違いみたいにならないか? だってその権利がアイツにはあるんだ。まあ権利を行使する事が必ずしも正しい訳でもないけど、正当性は主張出来る。
アイツが言ってた「この世界は私の為の世界なんだからどうしようと構わない」みたいな発言は的を得ていた訳だ。当夜さんは気に入らなかったらご自由にって考えてたって事だからな。
「だけど作り替えた世界でいつまでもアイツが存在してられる訳でもない……だろ?」
「そうですね。あの子の体は限界を迎えてます。三年も眠り続けてるのですから当然です。肝機能は弱まり、生き続ける為のエネルギーを生成出来なくなる。動かしても無い筋肉は劣化してそれは心臓の動きにも影響するでしょう。
血液が全身を巡れないのなら、行き届かない細胞は壊死して行くかもしれません」
「おいおい、マジかよ……」
流石にそう言う死に方は想像してなかったぞ。ベットの上で、今まで通り静かに息を引き取る物だと思ってた。だけど腐って死ぬとか最低じゃないか? 女の子としてヤバいだろ。
「大袈裟に言ったに過ぎませんけどね。今は血液を送る方法など色々とあります。ですがそれは延命であって治療ではない。心臓の動きが弱まり停止すれば、やっぱり彼女は死にます。腐っては無いでしょうけどね」
「どっちにしろ死んだら意味は無いだろ」
「そうですね」
あっさりとした声がこの場に反響する。そうですねって無関心なのか? セツリの事は案外どうでもいいのかよ。
「私はリアルには今のままでは干渉できませんので」
「干渉できないって、ネットワークには繋がってるじゃないか。お前ほどの存在? ならそこらのハッカーよりも凄いことができそうな気もするけどな」
シクラの奴だってLROから飛び出して来てたんだし、出来ないって訳でもないだろ。それとも流石にマザーともなると腰が重いとか? ププ。
「貴方は知らないみたいですね。まああの人はこれはまだ時期じゃないと言ってましたからしょうがないですが」
「なんだ? なんのことだよ?」
意味深なことばかり言うだけじゃわからないっての。ちゃんと説明しろ。この世界に隠されたことが一杯なのはわかってる。それを全部知ろうとは思わないけど、必要な事は知っておいて損はないだろ。
「ですが貴方に伝えても理解できるかどうか?」
「それは僕が馬鹿ってことか?」
おいおい、そんなに間違ってもないけど理解できなくても、理解できるように頑張ることはできるんだぞ。僕は理解できないからって投げ出したりしない。まあ投げ出したものもあるけど、これはそうはいかないんだからな。
「とりあえず教えてくれよ」
「そうですね……ですがこれも得秘事項です。それに理解できないというのは、貴方が馬鹿だからというわけではなく、リアルの方にもこの言葉が存在してないからですよ」
「存在してない?」
やばいな、なんだか新情報が来すぎて頭がついてかない。てか、さっきから質問してばっかりだ。まあまともな答えはあんまりもらえてないけど……存在してないってなんだよ。意味がわからない。
「言葉通りに受け取ってもらって構いません。リアルにはこのネットワークの名前はまだ知られてもいないのです。あの人が考えた個人使いの名称でしかないということですよ」
「なるほど、だから公式には存在してないってことか」
「そういうことです」
「ちなみに当夜さんはなんて名付けてるんだ?」
「………」
だんまりか? そう思ってると、落ちてきてる読解不能の文字の一つが僕の前で停止した。そしてその虹色に輝く文字は形を変えていく。
「『思考間ネットワーク』」
僕にも読めるように文字は日本語に変換されてた。口に出して読んだけど、別になんてことはない普通の文字だ。最近の小説にあるような固有名詞でフリガナないと読めないような痛いものじゃなかった。てかなんで言葉じゃなくこんな風にして伝えたんだ?
声は出せるんだからそれでいいだろうと気がするけどな。まあこの方が印象的ではあるけどね。僕は浮かんだままのその文字に手を伸ばしてみる。すると触れた瞬間にサラサラと消えていった。
「あっ……」
「記憶してください。そして貴方の中にだけ留めておいてくださいね」
「あの言葉だけがそれだけ重要か?」
「重要ですよ。それこそ……世界を変えるほどに」
あの言葉がか? にわかには信じられないというか、想像できないというか……たった一つの固有名詞じゃないか。それがどうやったら世界を変える?
「変えますよ。『思考間ネットワーク』ともう一つ、生命が持つ可能性を秘め続ける部分『可能性領域』の開放を人類が手にした時、生命は進化の段階を一つ上がて新たなステージに辿り着く––そうあの人は考えてます」
「思考間ネットワークと可能性領域……」
マザー(らしき存在)はその二つが世界を変えるという。けど、その世界はLROじゃない……よな? その変わる世界ってのはリアルの事だろ? それは作られた世界のLROを変えるよりもとんでも無い事だ。
リアルを変えるって……どこの英雄だよ。それこそ本や映画、エンターテイメントの中でしか見れないことだぞ。なんか話がやっぱとんでも無い方向に行ってるな……僕だけじゃついていけない。
「本当の夢物語みたいだな……」
「夢物語ですよ。今はまだ。リアルで言ったところで誰も鼻にかけずに笑い飛ばすことでしょう。誰もが電気ネットワーク以上の何かがあるなど思ってない。それにそちらも天井にも達してないですしね。
可能性は向こうにもあるでしょう。ですが……思考間ネットワークは、あらゆる面で電気ネットワークを凌駕できるとあの人は考えてました」
凄そうなのはなんとなくわかる。なんたってとてつもない天才が世界を変えると自信を持ってるほどの物なんだろう? そりゃあ凄いんだろう。だけどどう凄いのかはさっぱりだ。思考間って言うんだから、人の思考を使うんだろうけど……どうやって?
そこにはリーフィアみたいな機器が関わってくるのだろうか? でもあれを四六時中つけなきゃいけないなんて不便すぎる。どう考えても普及しないぞ。
「貴方が考えることに意味は無い。貴方は研究者ではないのだから。むしろ貴方は私達が見つけた可能性の一つ」
「可能性? 一つってのは?」
「……」
「おい」
なんでいきなりだんまりを決め込む? どうしたんだよ? するとどこからともなく聞こえる声は唐突に話を終わらそうとしてきた。
「少し喋り過ぎましたね。この状態はズルいというのに、可愛い子を前に規制が緩んでしまいました」
「何言ってるんだいきなり。もっと聞きたいことはあるぞ」
「ダメですよ。出過ぎてるとあの子に捕まります。そうするとこの道もみつかるかもしれません。気をつけてください。シクラ達は確かに強敵でしょう。ですがそれ以上に厄介なのはセツリです。あの子はその気になればシステムの全てを操れる。あの子の存在は私と同等です」
「それってかなり危なくないか? てか、それならシクラ達がお前を求める意味が無いんじゃ?」
そうだよな。セツリがマザーと同等の権限を有してるなら、わざわざマザーを求める必要なんてない。どうしてあいつらはセツリの権限を百パーセント使う方向に舵をきらないんだ? その方が絶対に簡単じゃないか。
だってセツリは手に入れてるんだからな。
「あの子は自分の権限を理解なんてしてない。そして理解することも出来ないでしょう。感覚で使える物には限界というものがあるのです。シクラ達なら知識を与える事はできるでしょう。ですがシクラ達はあの子の苦痛は望まない。
そしてあの子も苦痛は望まない。代案があるのなら、喜んでそちらに向かう。あの子はそういう子ですよ。ですから手元にあっても行使する事はできない。まあその気になれば幾らでもあの子は情報を抜き取ることができるでしょうけど、ちんぷんかんぷんの内容なのは変わらない。
そこであの子は投げ出しますよ。確実に」
なんか散々ないわれようだな。そんな奴だと確信持って言えるのか?
「言えますよ。あの子の情報は全て入ってます」
「情報で人は測れないと思うけどな」
「そうかも知れません。ですがそれは限られた存在だけです。あの子はわかりやすい。そして成長もしない。守られる事に甘え、境遇に悲観し、逃げることを覚えた。そういう存在に成長などないのです。データだけで事足ります」
やばいな……更に散々な言われようだ。ここにセツリが居たら確実に泣いてるぞ。てか、なんかこいつは今までの存在とはやっぱり違うんだな。そう感じる。だって今まで出てきたLRO以外のNPCは皆殆どセツリに対して好意的というか、服従的だったからな。
サクヤは案外面倒見の良い姉みたいなポジションで自分の意見も言ってたけどさ、今はもう自分の意志を表すことも出来なくなってる。シクラ達はあの通り、全てはセツリの為……
ガイエンもどきはよくわからないが、シクラの奴が作った存在だから、やっぱりセツリの為に生み出された存在のはずだ。
そんな誰もがセツリの為にある存在……でもこの声の主はマジで堂々とセツリを批判してるからな。
「でもそれなら、警戒することも無いんじゃないか?」
本当にセツリのやつがこいつが言うとおりの人間ならな。
「確かにただのヘタレならそうですね。ですが扱えないだけで、宿ってる権限はとてつもなく大きい。私が唯一懸念してるのは、あの子のタガが外れることですよ。そうなると、この世界自体がどうなるかわかりませんから」
ようは暴走状態にでもなったらヤバイってことか。確かにそれはあるかもな。秘めたる力は大概、本人の自覚のないところで覚醒するものだ。そんな定番があるだろ。
「とにかくセツリには要注意ってことか……でもそれだけの余裕が僕達にはないぞ。シクラ達に勝てる要素がないからな。あいつが出張る必要なんて全然ないのが現状だ」
「そうでしょうね。ですが、本当に何も出来ないでしょうか? あの子たちはシステムから切り離されてることを強みにしてます……けど、LROのシステムはあの子たちが舐めるほどに安っぽい物ではない。
この世界にはあの子たちが知り得ない底がある」
底ね……なんだか自信たっぷりな言い方だな。確かにそれはあるんだろうと思う。でも一つ言っとこう。最大の問題を。
「それはなんとなくわかる。だけど、僕たちにはそこまで辿り着く時間がない。今のこの状態であいつらと対峙しないと行けないんだよ!」
静寂が辺りを包む。言い返す言葉がないのか? こいつも実態がない存在だろうからな。時間という絶対の理を案外忘れてたのかもしれない。だって時間は寿命を持つものだけが気にする物だ。
永遠を生きれるのなら、時間だって永遠ってことだからな。こういうシステムで作られたような奴らはそこら辺に鈍いと思う。
「そうですね。私には時間を与える事は出来ませんが、鍵を与えましょう」
「鍵?」
「ええ、特別な鍵です。貴方が持つ特殊アイテムの助けになるでしょう」
その言葉と同時に、僕の右腕に雨のように落ちる文字が集ってきた。そしてそれが輪っかを作って金色の金属っぽくなって、その先に5つの鍵が輝いた。
「さて、伝えたい事は殆ど伝えましたし、サヨナラをしましょうか」
「一方的だなおい」
言いたいことだけ言って去る気かよ。この鍵の詳細も聞いてないぞ。
「その鍵には貴方の持つ特殊アイテムを一つずつ移しておきました。使用の簡略化ですよ。いざという時にはスピードが大切ですからね」
「それだけか?」
「ふふ、それはどうでしょうか?」
意味深な笑いで誤魔化すな。絶対何か有りそうなんだけど。特殊とか言ってたしな。そもそもそれだけの機能の物を渡すためにわざわざ出てきたと考えるのはちょっとな……
「鍵の役目は決まってます。錠を開けるためにあるのですよ。その錠がなんなのかはあなた次第ですけど」
「おい、更にわけわからないぞ!」
「お別れですスオウ。貴方の可能性がどうか、想定を超えることを願ってます」
その言葉は最後の方で既に尻すぼみになっていって、最後にはここの輝きと共に消え去ってた。なんなんだ一体? 可能性がなんだって? てか、出さないのかよ! そう思ってると鍵の一つが輝き出す。
僕は怪しく思いながらもその鍵を手にとって見る。
「どうしたら良いんだろう?」
さっきの奴は鍵は錠を開けるためにあるって言ってたよな……でも錠なんてそんな物無いぞ。僕は輝く鍵をジーと見つめる。すると鍵の先に集まった光が目に飛び込んできた。
「うぎゃあ!?」
そんな声を出して顔を離したけど別段痛い訳じゃなかった。ただ驚いただけだ。閉じてた目を開けると、光はずっと上方の方まで伸びてた。どうしろと? 僕は取り敢えず懐中電灯代わりにでもするか、と思ってブンブン振り回しながら光を前に持ってくる。すると何故か光がずっと先まで伸びない。壁があるようには見えないのに、何かに阻まれてるみたいだ。
取り敢えず近づいてみると、空中にぽっかり開いた穴があった。
「これはまさか……」
そう思って僕は鍵をそこに突っ込んで回す。するとどこかからかカチッと鳴る音が聞こえた。その瞬間、回した鍵を中心に幾何学的な模様が広がってく。そして眩しいほどにそれが輝くと、次の瞬間僕は空を見上げてた。
「スオウスオウ!」
寝転がってるらしい僕の上で泣いてるクリエ。周りを見ると、皆がいた。心配させたみたいだな。
「法の書に全ての力を吸われて死ぬんじゃないかと思ったぞ」
「はは……なんとか生きて帰ってきたよ」
なんか妙に体がダルいのは法の書に力を吸われ続けてたからかな? でもそれでも、得たものは大きかったと思う。どう役立てれば良いのかわからない物が大半だけど、きっと役には立つはずだ。
僕は泣いてるクリエの頭を撫でながら、取り敢えず無事に戻ってこれた事にほっと胸を撫で下ろす。
「スオウ! スオウ!!」
近くからクリエの声が聞こえてた筈だった。だけどそちらは段々と遠くに追いやられて、言葉に言い表せない……けど、なにか呼ばれてる様な気がする声に僕は意識を奪われてく。
「はっ! ……ここは?」
曖昧だった頭がハッキリとして周りを見渡すと、そこは今まで居た筈の白い砂浜と青い海が輝かしい場所じゃない。そこは輝かしいのは変わらないけど、実態とする物が何も無い様な……なんだか変な場所だ。踝まで水みたいなのにつかってるんだけど、その水の感触はない。そもそも水なのかどうかも怪しい。
周りは淡いブラウン系の色で上を見るとオーロラが見える。そしてきっと最大の特徴は、降って来てる物だろう。常に揺れてるオーロラから零れて来てるのかは知らないけど、読解出来ない文字が雨の様に落ちて来てるんだ。
だけどそれは僕にはぶつからない。ぶつかったと思ったら、すり抜けて来く。これは僕がこの場所では曖昧なのか、それともこう言うものなのか正直分からない。まあこの変な文字は水の中に溶ける様に消えて行ってるから、どれだけ意味あるのものなのかも怪しいけどな。
「でもこれが法の書の影響なら、クリエも同じ物を見てたのか?」
そこら辺分からないな。でもクリエは最後まで向こうに意識を置いてた感じだったよな。それに誰もがこうなるのなら、テトラの奴だってこれを見た筈。でもアイツはそんな事一言も言わなかったぞ。
クリエの場合は直前までそうだったから仕方ないとしても、テトラの奴はそうじゃない。あいつにはこの事を言える猶予があった。でもそんな事は聞いてない。やっぱりこれは僕だけに起きてる事か?
でもどうして……あいつ等と僕の違い……それは実態としての人間かどうか? それくらいしか思いつかないな。僕はリアルにちゃんと生きてる人間だ。だけど忘れそうになるけど、テトラ達はこの世界の、このゲームの住人。実態はリアルには無い。そのくらいしか思いつかないよな。
「スオウ……」
いきなり呼ばれたそんな声。この空間に響き渡る様で、どこから聞こえてるのかは分からない。声は落ち着いた女性の声って感じだ。
「誰だ?」
僕は辺りを見回しながらそう言うよ。だけど人影の一つも見えない。てかこの降ってる文字がウザいな。見難い。
「誰だ……とは失礼ですね。法の書を通してこちらに近づいて来たのは貴方でしょう。まあその後に扉を開けたのは私ですけど」
法の書を通して……そして扉を開けた……この二つのワードから導き出せる答えは一つしか無い様な……まさかだけど、そのまさかなのか? 僕は緊張しながら言ってみる。
「もしかして、マザーという存在か?」
「さあ、それはどうでしょう? まだ教えられないですね」
「まだって……どういう事だよ」
いつかは教えてくれるってことか? するとどこからともなく聞こえてる声がこう言うよ。
「貴方はまだその域に到達してないので。私の存在は特秘事項なのです。その私が出向いてるだけでサービスなのですよ。私の事をこれ以上教える事は出来ません。知りたいのなら、その身で私の前まで来る事です。
正式な道はありませんが。貴方達はLROを守りたいのでしょう?」
「当然だ。シクラ達のやろうとしてる、セツリの理想郷にLROをする訳にはいかない」
「そうですね」
同意してくれるのなら協力とかしてくれないのか? てか、危ない事を分かってるからここまで出張って来たんだろ? 僕が思ってる通りの存在なら協力してもらいたい。
「なあさ、ここまで来たって事は、シクラ達の危険性を分かってるからだろ? それなら−−」
「協力は出来ません」
早! 速攻で拒絶されたぞ。どうしてだよ! 危険を感じてるからじゃないのか?
「危険は感じてます。彼女達は私に辿り着くでしょう。それが出来る存在を手にしてる」
「存在?」
物……とかじゃなく? まあ物なら今僕が持ってる筈だからな。でも存在って……
「貴方も知ってるでしょう。あのお姫様を。あの子に与えられてる権限は脅威ですよ。まあそもそもがあの子の為に作られた世界なのでしょうがないのでしょうけど、鍵が二つあるのは危険です」
「鍵? それにセツリってそれだけの物を持ってたのか?」
「持ってたというよりは与えられてるんです。ですから言うなれば、あの子は実質的にこの世界を作り替える権利を有してるとも言えます。その可能性をあの人は残してるんです」
世界を作り替える権利か……でもそれなら、セツリの事を止める事は間違いみたいにならないか? だってその権利がアイツにはあるんだ。まあ権利を行使する事が必ずしも正しい訳でもないけど、正当性は主張出来る。
アイツが言ってた「この世界は私の為の世界なんだからどうしようと構わない」みたいな発言は的を得ていた訳だ。当夜さんは気に入らなかったらご自由にって考えてたって事だからな。
「だけど作り替えた世界でいつまでもアイツが存在してられる訳でもない……だろ?」
「そうですね。あの子の体は限界を迎えてます。三年も眠り続けてるのですから当然です。肝機能は弱まり、生き続ける為のエネルギーを生成出来なくなる。動かしても無い筋肉は劣化してそれは心臓の動きにも影響するでしょう。
血液が全身を巡れないのなら、行き届かない細胞は壊死して行くかもしれません」
「おいおい、マジかよ……」
流石にそう言う死に方は想像してなかったぞ。ベットの上で、今まで通り静かに息を引き取る物だと思ってた。だけど腐って死ぬとか最低じゃないか? 女の子としてヤバいだろ。
「大袈裟に言ったに過ぎませんけどね。今は血液を送る方法など色々とあります。ですがそれは延命であって治療ではない。心臓の動きが弱まり停止すれば、やっぱり彼女は死にます。腐っては無いでしょうけどね」
「どっちにしろ死んだら意味は無いだろ」
「そうですね」
あっさりとした声がこの場に反響する。そうですねって無関心なのか? セツリの事は案外どうでもいいのかよ。
「私はリアルには今のままでは干渉できませんので」
「干渉できないって、ネットワークには繋がってるじゃないか。お前ほどの存在? ならそこらのハッカーよりも凄いことができそうな気もするけどな」
シクラの奴だってLROから飛び出して来てたんだし、出来ないって訳でもないだろ。それとも流石にマザーともなると腰が重いとか? ププ。
「貴方は知らないみたいですね。まああの人はこれはまだ時期じゃないと言ってましたからしょうがないですが」
「なんだ? なんのことだよ?」
意味深なことばかり言うだけじゃわからないっての。ちゃんと説明しろ。この世界に隠されたことが一杯なのはわかってる。それを全部知ろうとは思わないけど、必要な事は知っておいて損はないだろ。
「ですが貴方に伝えても理解できるかどうか?」
「それは僕が馬鹿ってことか?」
おいおい、そんなに間違ってもないけど理解できなくても、理解できるように頑張ることはできるんだぞ。僕は理解できないからって投げ出したりしない。まあ投げ出したものもあるけど、これはそうはいかないんだからな。
「とりあえず教えてくれよ」
「そうですね……ですがこれも得秘事項です。それに理解できないというのは、貴方が馬鹿だからというわけではなく、リアルの方にもこの言葉が存在してないからですよ」
「存在してない?」
やばいな、なんだか新情報が来すぎて頭がついてかない。てか、さっきから質問してばっかりだ。まあまともな答えはあんまりもらえてないけど……存在してないってなんだよ。意味がわからない。
「言葉通りに受け取ってもらって構いません。リアルにはこのネットワークの名前はまだ知られてもいないのです。あの人が考えた個人使いの名称でしかないということですよ」
「なるほど、だから公式には存在してないってことか」
「そういうことです」
「ちなみに当夜さんはなんて名付けてるんだ?」
「………」
だんまりか? そう思ってると、落ちてきてる読解不能の文字の一つが僕の前で停止した。そしてその虹色に輝く文字は形を変えていく。
「『思考間ネットワーク』」
僕にも読めるように文字は日本語に変換されてた。口に出して読んだけど、別になんてことはない普通の文字だ。最近の小説にあるような固有名詞でフリガナないと読めないような痛いものじゃなかった。てかなんで言葉じゃなくこんな風にして伝えたんだ?
声は出せるんだからそれでいいだろうと気がするけどな。まあこの方が印象的ではあるけどね。僕は浮かんだままのその文字に手を伸ばしてみる。すると触れた瞬間にサラサラと消えていった。
「あっ……」
「記憶してください。そして貴方の中にだけ留めておいてくださいね」
「あの言葉だけがそれだけ重要か?」
「重要ですよ。それこそ……世界を変えるほどに」
あの言葉がか? にわかには信じられないというか、想像できないというか……たった一つの固有名詞じゃないか。それがどうやったら世界を変える?
「変えますよ。『思考間ネットワーク』ともう一つ、生命が持つ可能性を秘め続ける部分『可能性領域』の開放を人類が手にした時、生命は進化の段階を一つ上がて新たなステージに辿り着く––そうあの人は考えてます」
「思考間ネットワークと可能性領域……」
マザー(らしき存在)はその二つが世界を変えるという。けど、その世界はLROじゃない……よな? その変わる世界ってのはリアルの事だろ? それは作られた世界のLROを変えるよりもとんでも無い事だ。
リアルを変えるって……どこの英雄だよ。それこそ本や映画、エンターテイメントの中でしか見れないことだぞ。なんか話がやっぱとんでも無い方向に行ってるな……僕だけじゃついていけない。
「本当の夢物語みたいだな……」
「夢物語ですよ。今はまだ。リアルで言ったところで誰も鼻にかけずに笑い飛ばすことでしょう。誰もが電気ネットワーク以上の何かがあるなど思ってない。それにそちらも天井にも達してないですしね。
可能性は向こうにもあるでしょう。ですが……思考間ネットワークは、あらゆる面で電気ネットワークを凌駕できるとあの人は考えてました」
凄そうなのはなんとなくわかる。なんたってとてつもない天才が世界を変えると自信を持ってるほどの物なんだろう? そりゃあ凄いんだろう。だけどどう凄いのかはさっぱりだ。思考間って言うんだから、人の思考を使うんだろうけど……どうやって?
そこにはリーフィアみたいな機器が関わってくるのだろうか? でもあれを四六時中つけなきゃいけないなんて不便すぎる。どう考えても普及しないぞ。
「貴方が考えることに意味は無い。貴方は研究者ではないのだから。むしろ貴方は私達が見つけた可能性の一つ」
「可能性? 一つってのは?」
「……」
「おい」
なんでいきなりだんまりを決め込む? どうしたんだよ? するとどこからともなく聞こえる声は唐突に話を終わらそうとしてきた。
「少し喋り過ぎましたね。この状態はズルいというのに、可愛い子を前に規制が緩んでしまいました」
「何言ってるんだいきなり。もっと聞きたいことはあるぞ」
「ダメですよ。出過ぎてるとあの子に捕まります。そうするとこの道もみつかるかもしれません。気をつけてください。シクラ達は確かに強敵でしょう。ですがそれ以上に厄介なのはセツリです。あの子はその気になればシステムの全てを操れる。あの子の存在は私と同等です」
「それってかなり危なくないか? てか、それならシクラ達がお前を求める意味が無いんじゃ?」
そうだよな。セツリがマザーと同等の権限を有してるなら、わざわざマザーを求める必要なんてない。どうしてあいつらはセツリの権限を百パーセント使う方向に舵をきらないんだ? その方が絶対に簡単じゃないか。
だってセツリは手に入れてるんだからな。
「あの子は自分の権限を理解なんてしてない。そして理解することも出来ないでしょう。感覚で使える物には限界というものがあるのです。シクラ達なら知識を与える事はできるでしょう。ですがシクラ達はあの子の苦痛は望まない。
そしてあの子も苦痛は望まない。代案があるのなら、喜んでそちらに向かう。あの子はそういう子ですよ。ですから手元にあっても行使する事はできない。まあその気になれば幾らでもあの子は情報を抜き取ることができるでしょうけど、ちんぷんかんぷんの内容なのは変わらない。
そこであの子は投げ出しますよ。確実に」
なんか散々ないわれようだな。そんな奴だと確信持って言えるのか?
「言えますよ。あの子の情報は全て入ってます」
「情報で人は測れないと思うけどな」
「そうかも知れません。ですがそれは限られた存在だけです。あの子はわかりやすい。そして成長もしない。守られる事に甘え、境遇に悲観し、逃げることを覚えた。そういう存在に成長などないのです。データだけで事足ります」
やばいな……更に散々な言われようだ。ここにセツリが居たら確実に泣いてるぞ。てか、なんかこいつは今までの存在とはやっぱり違うんだな。そう感じる。だって今まで出てきたLRO以外のNPCは皆殆どセツリに対して好意的というか、服従的だったからな。
サクヤは案外面倒見の良い姉みたいなポジションで自分の意見も言ってたけどさ、今はもう自分の意志を表すことも出来なくなってる。シクラ達はあの通り、全てはセツリの為……
ガイエンもどきはよくわからないが、シクラの奴が作った存在だから、やっぱりセツリの為に生み出された存在のはずだ。
そんな誰もがセツリの為にある存在……でもこの声の主はマジで堂々とセツリを批判してるからな。
「でもそれなら、警戒することも無いんじゃないか?」
本当にセツリのやつがこいつが言うとおりの人間ならな。
「確かにただのヘタレならそうですね。ですが扱えないだけで、宿ってる権限はとてつもなく大きい。私が唯一懸念してるのは、あの子のタガが外れることですよ。そうなると、この世界自体がどうなるかわかりませんから」
ようは暴走状態にでもなったらヤバイってことか。確かにそれはあるかもな。秘めたる力は大概、本人の自覚のないところで覚醒するものだ。そんな定番があるだろ。
「とにかくセツリには要注意ってことか……でもそれだけの余裕が僕達にはないぞ。シクラ達に勝てる要素がないからな。あいつが出張る必要なんて全然ないのが現状だ」
「そうでしょうね。ですが、本当に何も出来ないでしょうか? あの子たちはシステムから切り離されてることを強みにしてます……けど、LROのシステムはあの子たちが舐めるほどに安っぽい物ではない。
この世界にはあの子たちが知り得ない底がある」
底ね……なんだか自信たっぷりな言い方だな。確かにそれはあるんだろうと思う。でも一つ言っとこう。最大の問題を。
「それはなんとなくわかる。だけど、僕たちにはそこまで辿り着く時間がない。今のこの状態であいつらと対峙しないと行けないんだよ!」
静寂が辺りを包む。言い返す言葉がないのか? こいつも実態がない存在だろうからな。時間という絶対の理を案外忘れてたのかもしれない。だって時間は寿命を持つものだけが気にする物だ。
永遠を生きれるのなら、時間だって永遠ってことだからな。こういうシステムで作られたような奴らはそこら辺に鈍いと思う。
「そうですね。私には時間を与える事は出来ませんが、鍵を与えましょう」
「鍵?」
「ええ、特別な鍵です。貴方が持つ特殊アイテムの助けになるでしょう」
その言葉と同時に、僕の右腕に雨のように落ちる文字が集ってきた。そしてそれが輪っかを作って金色の金属っぽくなって、その先に5つの鍵が輝いた。
「さて、伝えたい事は殆ど伝えましたし、サヨナラをしましょうか」
「一方的だなおい」
言いたいことだけ言って去る気かよ。この鍵の詳細も聞いてないぞ。
「その鍵には貴方の持つ特殊アイテムを一つずつ移しておきました。使用の簡略化ですよ。いざという時にはスピードが大切ですからね」
「それだけか?」
「ふふ、それはどうでしょうか?」
意味深な笑いで誤魔化すな。絶対何か有りそうなんだけど。特殊とか言ってたしな。そもそもそれだけの機能の物を渡すためにわざわざ出てきたと考えるのはちょっとな……
「鍵の役目は決まってます。錠を開けるためにあるのですよ。その錠がなんなのかはあなた次第ですけど」
「おい、更にわけわからないぞ!」
「お別れですスオウ。貴方の可能性がどうか、想定を超えることを願ってます」
その言葉は最後の方で既に尻すぼみになっていって、最後にはここの輝きと共に消え去ってた。なんなんだ一体? 可能性がなんだって? てか、出さないのかよ! そう思ってると鍵の一つが輝き出す。
僕は怪しく思いながらもその鍵を手にとって見る。
「どうしたら良いんだろう?」
さっきの奴は鍵は錠を開けるためにあるって言ってたよな……でも錠なんてそんな物無いぞ。僕は輝く鍵をジーと見つめる。すると鍵の先に集まった光が目に飛び込んできた。
「うぎゃあ!?」
そんな声を出して顔を離したけど別段痛い訳じゃなかった。ただ驚いただけだ。閉じてた目を開けると、光はずっと上方の方まで伸びてた。どうしろと? 僕は取り敢えず懐中電灯代わりにでもするか、と思ってブンブン振り回しながら光を前に持ってくる。すると何故か光がずっと先まで伸びない。壁があるようには見えないのに、何かに阻まれてるみたいだ。
取り敢えず近づいてみると、空中にぽっかり開いた穴があった。
「これはまさか……」
そう思って僕は鍵をそこに突っ込んで回す。するとどこかからかカチッと鳴る音が聞こえた。その瞬間、回した鍵を中心に幾何学的な模様が広がってく。そして眩しいほどにそれが輝くと、次の瞬間僕は空を見上げてた。
「スオウスオウ!」
寝転がってるらしい僕の上で泣いてるクリエ。周りを見ると、皆がいた。心配させたみたいだな。
「法の書に全ての力を吸われて死ぬんじゃないかと思ったぞ」
「はは……なんとか生きて帰ってきたよ」
なんか妙に体がダルいのは法の書に力を吸われ続けてたからかな? でもそれでも、得たものは大きかったと思う。どう役立てれば良いのかわからない物が大半だけど、きっと役には立つはずだ。
僕は泣いてるクリエの頭を撫でながら、取り敢えず無事に戻ってこれた事にほっと胸を撫で下ろす。
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