命改変プログラム

ファーストなサイコロ

託された明日

 どこまでもどこまでも、この夜空に伸びてる螺旋の道。鳥居と階段で出来たその道の側をバトルシップは飛んでいく。真っ直ぐに直上を駆け上がり、雲を突っ切って見えたその姿。通り過ぎた時に確認したけど、かなり不味い展開だった。


「確認した。旋回して最接近してくれ!」
『了解!』


 操縦室の僧兵達も気付いてくれてたんだろう。別に位置を伝える事も無く、分かりきってる--みたいな感じだった。まあ向こうは僕みたいな肉眼で確認してる訳じゃないだろうからね。見落とす事なんかないか。
 飛空挺は指示通り大きく旋回を始めた。甲板に居る僕達は姿勢を低くして踏ん張るよ。今のバトルシップの甲板は解放状態だ。風の影響を諸に受けてる。みんなそれぞれが真剣な表情。再びの接触……その時は近いからね。緊張も止む無しだ。
 するとシルクちゃんが慌てた様にこう言いだす。


「待って、このまま突っ込んだからダメです! 何か張られてます!!」
「何か? 結界の様な物ですかシルク様?」
「多分そうだと思う」


 なるほど入り口からの侵入しか認めないってことか。だけどそんな悠長な時間はない。ちゃんとした入り口からここまで来るのには相当な時間が必要だ。それは考慮し得ない選択肢だよ。


『結界ってど、どうする?』


 僧兵の奴の困った声が流れて来る。どうする……か一番手っ取り早いのはぶっ壊して突っ切る事だけど……


「シルクちゃん、その結界は壊せそうな代物?」
「どうでしょう。見ただけではなんとも……それにこれだけ重要な物を守ってると考えると、壊すのは相当難しいと--」
「でも完全に不可能って訳じゃないんだね」
「--って、それを言ったら不可能なんてそもそも無いですよ。というか、最初から答えは決まってたんじゃないですか? その言い方だと、そう思えちゃいますよ」


 ジトーと頬を膨らませて不満を漏らして来るシルクちゃん。いやー、まあそうなんだけどちょっと見た事無い顔を見たくなってね。そして案の定最高のジト目が見れたから満足だよ。本人にはこんな本心言えないけどね。


「それはどうか分かんないけど、このまま引く気は僕どころか、誰にだって無い筈だよ。勿論、シルクちゃんだって」


 そう言うと、彼女はジト目から丸く目をしてそして元気に「はい、勿論です!」と言った。うん、やっぱり可愛い。彼女はずっと安心して愛でてられるよね。これがセラならどっかで絶対にパンチの一発や二発は飛んで来た筈だ。


「んじゃ、さっさとやるわよ。猶予はない。一発で突き破る」


 そのセラは既にやる気満々だな。既に黄金の弓を手にして、周りには残った聖典を展開してる。そして他の皆も準備は万端って感じだ。僕はみんなの気持ちを受け取って頷くよ。


「このまま突っ込んでくれ」
『やれるのか?』


 操縦室の僧兵が不安げにそう聞いて来る。やれるかは正直わかんないけど、誰もがやる気満々だよ。だって僕達は、まだ生かされてるんだからな。僕は表示されてる小窓に向かってこう言う。


「僕達が飛び出したら、後方からありったけの砲撃を撃ち込んでくれ。バトルシップの砲撃なら、かなりダメージあるだろうしね。加算しない手は無い」
『……分かった。今度はやられるなよ』
「努力するさ」


 僧兵が信じきれない部分も分かる。だって僕達はさっき負けたしな。本当は僕達はもう終わってた筈だった。でも生かされたからここに居る事が出来る。もう一度チャレンジする事が出来る。だから一度死んだ気になってまた挑むんだ。
 僕達に逃げる事なんて求められてないしね。助けてくれた人達が僕達に託したのは、そんな情けない事じゃないんだ。僕達が託されたのは明日だ。LROと言う世界の明日を託してくれた。その姿を僕達にゆだねてくれたんだ。


「スオウ」
「スオウ君」


 甲板の前の部分に行ってるリルフィンと、「早く行こう」と誘ってくれてるみたいなシルクちゃん。僕達は二人で皆が待ってる前方部分に行くよ。より大きく見える螺旋状の道。結界って言うのは多分。その道を覆ってる光の事だろう。
 ただの光かと思ってたけど、違うんだね。ズルしないようにか? まあなんでもいいさ。僕達はあの光の壁を突き破るんだからな。


「さて、みんな準備は良い--って野暮な事聞く必要ないか」


 ホントついさっきの悔しさをバネに、みんなやる気満々だ。準備が出来てない人なんか居ない。みんな僕に突っ込んでもくれないしね。だけどこうやってみるとなんて言うか……ちょっと感慨深いかも。


「なんか結局いつものメンバーだな。まあリルフィンはいつもって程でもないけど」
「それを言うなら、あの変なきざったらしい奴だってそうでしょ。いつも通りなのは、私とアンタとシルク様に鍛冶屋くらいじゃない」
「まあ確かに」


 セラの奴は知らないもんね。あのキザッタらしいのはテッケンさんなんだよ。今の呼び方は五右衛門だって。なんだって良いけど、とてつもないやっつけ感があるね。テッケンさんも呼ばれ方なんかどうでも良かったんだろう。
 ただこっちが呼ぶ時に不便だからね。名前無いと。だから急遽五右衛門なんてビジュアルに似合ってない名前を付けたんだろう。彼のセンスが心配だよ。まあだからセラにとってはいつものメンバーが二人も欠けてるみたいな感じだろうけど、僕に取ってはノウイだけだから、ほぼいつものメンバーだよ。アルテミス以降のね。


「結局アギト君はアイリ様の代わりに兵士をまとめる為に残りましたしね。そして私達の代表も倒れたからクロードさんが人の兵を率いて、暗黒大陸のモンスターを押さえ込む役割に回ってくれましたから、結局は自由に動けるのは私達だけってなっちゃったんですよね」


 クロード? シルクちゃんの言葉から察するにあのイケメンさんの事かな。初めて名前知ったよ。けどまあ、シルクちゃんの言う通り、それぞれの国の代表は天罰で意識不明に陥ってる様だから、その直ぐ下の人達が代わりをする羽目に。当然と言えば当然だね。
 だからアルテミナスはそれがアギトで、人の国はイケメ--じゃなくてクロードって人。ノーヴィスはきっとノエインの変わりに、ミセス・アンダーソンがやってるんだろう。ウンディーネはそもそも倒れてない。でもそう言えば鍛冶屋の奴は良かったのか?


「なあそう言えば、スレイプルは今誰が統率してるんだ? お前が色々とやってたんじゃないのか?」


 確か今回の事は殆どはそうだろ? それなのにこっちに居たら、スレイプルはバラバラじゃん。だけど鍛冶屋の奴はつまらなそうにこう言うよ。


「俺は別に地位が高い訳でも有名な訳でもない。俺が居なけりゃ、別のもっと相応しい奴がやるさ。それだけだ。そもそも俺達はNPCの爺に仕えてたとかじゃないしな。奴が倒れた事で寧ろ自由が利く様になったんだ。心配なんて必要ない」
「そう言う物か?」
「それがスレイプルだ」


 なんだか素っ気ない感じに思えるけど、実際これはそれなりに自分の種族を信じてるって事じゃないかな? 鍛冶屋は一匹狼を気取ってるから格好つけて「俺は同族を信じてる」キリッ--とか言わないけど、静かな信頼が伝わる様な気がしたぞ。
 まあ鍛冶屋が大丈夫っていうんなら、きっとスレイプルも大丈夫だろう。実際いっぱい助けられたし、もしかしたら一番頭使ってた種族かもしれないしね。上やお偉いさん的な奴がいなくたって自然とどうにか成るのかもね。
 仲間意識は実際、同じ種族なら自然と芽生えてるだろうしね。こっちはこっちでやる事だけを見てようかな。


「それじゃあまあ、いつものみんなでもう一度、神の前に立ちふさがろう」
「だからいつもの皆じゃ……」
「今度こそアイツを阻もう!」


 納得してない一人を置いて、僕達は甲板を飛び出して船体を駈ける。バトルシップは普通の飛空挺とは作りが違う。普通のが船をそのまま飛ばしてる様な感じなのに対して、こっちはまさに飛ぶ為に作れた様な形をしてる。流れる様なフォルムに左右の翼。甲板は船体の中央部分に小さなスペースであるだけで、飛空挺の船の甲板とは違う。
 だから飛び出したら直ぐに下に落ちる……事は無くまだ船体。一番前まで走らないと行けないよ。そこから飛んでようやく地上を目指して落ちる事になる。まあ今回目指す落下地点は地上じゃないけどね。


「ちょっと! なんで私を置いてくのよ!」


 後ろから聖典に乗って追いかけて来たセラ。全くこっちが体使って走ってるってのに楽してるなこいつ。こっちは飛空挺の船体を吹く風にガンガン晒されて大変--ってか実際そんなのに晒されてたら走る所じゃない訳なんだけど、僕達が走れてるのは一重にシルクちゃんの魔法のおかげ。
 風の影響を彼女の魔法で軽減して貰って、更にスピードアップの魔法やら、色々と重ね掛けして貰って、動いてる飛空挺の船体でもなんとか走る事が出来てるんだ。それなのにセラの奴は聖典の推進力を傘に楽しちゃって……


「お前が空気を読まない事を言うからだ。仲間だろ彼だって。それで良いじゃないか」
「それはそうだけど……別にそんな怒らなくたって--」


 あれ? なんだかセラが落ち込んでる? 普通に食って掛かって来ると思ってたんだけど、予想外の反応だ。てか聖典の推進力が弱まってるのかどんどん後ろに下がってってる? なんでこんな時に殊勝になるんだよ! 訳が分からん。
 でもこのままセラが居ないなんてあり得ない。僕はしょうがないから無理矢理にでもセラを引っ張る事にするよ。今ここには大量の風が流れてる。実際体を吹き飛ばす程に威力を持った凶暴な風は掴みにくいんだけど……このままセラを置いてく訳にはいかないからな。
 自分の風で辺りの風を掴む。勿論流れて行く先がセラの方の風を選んで掴む。風は触れると教えてくれるからな。


「ふぎ!?」


 だけど掴んだ瞬間、こっちまでその風に引っ張られる感覚が。なるほど、この風の流れ自体は自由な風の意思じゃない。風も流されてるんだから、繋がったって自分の思い通りに成ってくれる訳じゃなく、そして成り様も無いと……そう言う事か。だから体が掴んだ風の方向に引っ張られそうになってるんだ。
 折角シルクちゃんの魔法で風の影響を防いでたのに、これは自分から風の影響を諸に受けに行った様なものだな。馬鹿だ自分。


(だけど……このままセラを放って行くなんて……)


 僕はなんとか踏ん張って掴んだ風を操ろうとするよ。勝手に伸びて行ってはくれるんだ。なんとかセラの所まで耐えて、一気に引っ張ればどうにか……


「んぎぎぎぎぎぎぎぎ--ここで!」


 風をセラに絡ませる。だけど……高速で飛んでるバトルシップの速さで生まれてる風は荒々し過ぎて引っ張りきれない。これ以上下がらない下がらせないので精一杯。するとその時足下に魔方陣が現れた。
 そして体中の筋肉が活性化する様に脈動する。




「スオウ君!」
「シルクちゃん……助かる!!」


 僕は力強く踏ん張って脈動する腕や腰に力を込める。そして抜いてる剣と共に体を半回転させて、セラを一気に引っ張った。僅かに聞こえた小さな悲鳴。だけど次の瞬間には僕はセラを受け止めてるよ。


「ちょっ--何やってるのよ?」
「うるさい、お前が居なかったら困るだろうが」


 戦力的に。相手は邪神だぞ。神なんだぞ。戦力削ってどうにか出来る相手じゃない事はセラだって十分に分かってるだろ。そもそも皆が万全な状態でもどれだけ相手に成るか定かじゃない相手だ。ハッキリ言えば、これだけの人数で挑む相手じゃきっとない。
 だけどそんなのは既に散々考えた事だから、今更考えるだけ野暮だ。僕達はある意味感謝しないといけないんだ。もう一度、このメンバーで邪神に挑める--それはホント奇跡みたいな事なんだからさ。


「私が居なくて困るって……それってつまり、私が必要って事?」


 はぁ? セラの奴は今更何を言ってるんだ? さっきの戦闘で頭でも打ち付けたんじゃなかろうか。そんなの今聞く事か? だけどなんだかセラの瞳はジッと僕を見つめてる。まるで何かを期待でもしてるかの様だ。
 よくわかんないけど、さっきみたいに妙に落ち込まれても困るからな。今再び僕達は邪神に挑むんだ。心を汲み取るLROではモチベーションは大切。


「そんなの当たり前だろ。お前は絶対に必要だ!」
「----っつ!!!!」


 一瞬その眼球が大きくなってそして縮んだ様に見えた。顔も一気に火照った様な……だけど次々にバトルシップから飛び出すみんなに続かない訳には行かない。僕はセラの様子よりも前に進む事を優先するよ。
 バトルシップの先端部分から勢い良く飛び出す。船体部分を目一杯蹴って、雲よりも高い夜空に飛び出すんだ。その瞬間下からも吹き上げて来る風が僕の体に激しくぶつかる。そんな風が抱えてたセラを腕から掠め取る様に上へ流した。


「セラ!」
「スオウ!」


 体は離れようとしたけど、僕達はその手で繋がってた。暗い夜空だけど、背中には光の階段を背にし、なんだか手を繋ぎ合ったまま夜空を落ちる僕達はちょっと幻想的だったかも知れない。真っ直ぐに伸びた腕の先に、メイド服を棚引かせるセラの姿。
 少し言葉も無く見つめ合ってると、バトルシップが動いた余波で大きな衝撃が僕達を襲う。そしてそれによってセラの髪を後ろで纏めてた白い布みたいなのが飛んでった。すると一気にその白い布の中に団子状態で押し込まれてた分の髪が広がったんだ。
 個性なんてない黒い髪。だけどセミロングのその髪が広がるとなんだか一気に印象が変わるな。いつもツンケンしてたセラが、一気に女の子に成ったというか……プライベートの合間を見た様な……う~んもっと分かりやすく言うと、普段制服しか見てなかったクラスメイトの女子の私服を見たときの印象の変わり様……かな。
 その位の衝撃光景が今目の前に広がってる。するといきなりセラがそんな変わった容姿に追加して更なる印象操作をしてきやがる。弓を持ってる方の手を口元に近づけて「ふふふ」と含み笑いをするんだ。
 しかもいつもの蔑んだ時の含み笑いじゃない、ただなんとなく自然と漏れて来たみたいな顔の笑い。それがいつもの印象とは違う見た目と相まってか、なんだろう……言いたく無いけどスッゲー可愛く見える。誰だこれ? 目の前の貴方は誰ですか? --と言っちゃ不味いよね。


「ホント、全くもう、アンタは私がいないとダメね」
「は?」


 どちらさんですか? って言ってやろうか。何をこいつはいきなり言い出すんだよ。だけどセラの奴は上機嫌になってる様で、僕の微妙な視線に気付いてない。すると上空から勢い良く聖典が駆け下りて来て、セラが同時にこう叫ぶ。


「掴んで!」
「ちょ! おま!!」


 いきなり何を言うんだ! 文句を言おうとしたけど時既に遅し……セラは僕の手から離れて聖典の一機を掴む。それと同時にほぼ僕の側を聖典が通り過ぎようとしてたから、慌ててその背を掴んだよ。そして一気に聖典に導かれる様に階段へ近づく。
 するとバラバラになってた皆も聖典に回収された様で近づいて来てた。あれだね、映画とかでよく見る一斉に飛行機から飛び降りて同じ範囲の場所に降りるとか、アレ嘘だな。実際は空中では何も出来ないよ。
 まあもっと慣れれば、もしかしたら意図した方向に落ちる……位は出来るのかも知れないけど、僕達は見事に気流に流されてバラバラになってたよ。でも聖典のおかげで集まれる事が出来てよかった良かった。
 実際バラバラのタイミングで技を放ったって、意味ないからね。それじゃあきっと破れない。同時にってのが大切だ。そしてその火ぶたを切る役目の奴が、二度目の旋回を終えて向かって来てた。近づきすぎてたから一旦距離を取ったんだろうね。


 バトルシップの砲門が全て開け放たれる。そして一斉に無数のミサイルが青い粒子を飛び散らせながら放たれた。大きく迂回して次々と階段を守る光の柱にぶつかるそれは淀みなく立て続けに爆発を起こし続ける。そして更にバトルシップの翼の下方部分に設置してある二つの主砲に光が収束してる。
 ありったけのミサイルをつぎ込んだ後……その主砲は解放された。輝く金色の大きな光が、僕達の直ぐ下を通って道を守る階段に直撃する。大きくブレた様に見えた結界。僕達は主砲の残滓の煙の中に突っ込む。そして各々の武器には既にそれぞれのスキルの光が輝いてる。
 バトルシップがその火力で削れるだけ削ってくれた。後は僕達が一点を叩き割るだけだ!!


 聖典が渦巻き状に回転しながら僕達をそれぞれ一点に導いてくれる。全ての視線を共有してるからこそ、この煙の中でもセラは僕達をぶつからせる事無く、聖典を動かす事が出来るんだろう。やっぱり凄いよアイツは。
 居ない事なんて、ホント考えられない。そして煙の中でも大きく輝く光が迫って来ると、僕達を運んでる聖典が一斉に攻撃を開始した。聖典一機一機の攻撃は大した物じゃない。だけどそれをそれぞれからセラが撃ってるってことは--これはきっとバラバラの僕達に狙う場所を示してくれてるんだろう。
 たった一つの一点を、その光で導いてくれてるんだ。僕達は互いに見合わせて同時に武器に纏わせたスキルを放つ。大きく叫んで、力の限りの攻撃だ。


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」


 リルフィンの奴はその刺々しい白い武器を躊躇いも無くもの凄い勢いで投げ放った。五右衛門ことテッケンさんはなんだか異様に乞った装飾された吹き矢みたいなのを吹いてた。実際あれで大丈夫なのか? と思うけど、テッケンさんが選んだ武器だ。信じるしか無い。
 鍛冶屋の奴は取り出した赤く脈動する鉱石を鉱石操作で鉄球みたいな球体にして、それを鎚でぶっ叩いて放ってた。シルクちゃんはピクと連携しての混合魔法。二人の力を合わせた魔法を解き放つシルクちゃんらしい攻撃。
 そしてセラは最初から分かってたけど、その黄金の弓で一つの矢を飛ばす。僕はと言うと、聖典から手を放し両手を解放しての風の刃の連続砲撃。これしかない。皆が一発放つ間に数発撃てるのが僕の強みだ! 


 そして次の瞬間全ての攻撃が目指した一点で大きく弾ける。薄くなってたバトルシップの砲撃の煙に自分達の起こした煙が混じる。僕達はそこに突っ込んでくしか出来ない。そこに道が出来てることを信じて。


「くっ」


 黒い煙を恐怖と共に進む。流石に攻撃の直後だから周囲に拡散する前で濃い。辺りは煙以外何も見えない感じだ。もしも結界を貫けてなかったら、僕達はこの勢いのまま結界と衝突。きっとただではすまないだろう。
 どこで打ち当たるか、それともこの煙を無事に抜けられるか。それは誰にも分からない。何も見えない恐怖がそこにはある。だけど次の瞬間、僕の目に飛び込んで来たのは眼下に見える螺旋の道と、眼上に聳える鳥居の続き。間違いない、僕達は抜けたんだ!!

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