命改変プログラム

ファーストなサイコロ

再開の風

  強烈な光、僕は目を細めて手でその光を僅かに遮りながら前方を見据える。なんだか何時の間にか空間が広く成ってる気がするんだけど、これは完全に風の棲家の内部に入り込めてる……その解釈で良いのかな?
  そんな事を思ってると、強烈な光が大きく羽ばたいてこちらに迫って来る? 僕は思わず声を上げてしゃがみ込んだ。


「うわっ−−ん?」


  光の元凶は通り過ぎもせずに僕の頭上でブワンブワンとその羽を唸らせてる。一体何なのか見定めたいんだけど……そろそろその光を抑えて欲しいな。全くもって直視出来ない。すると強烈な光からかわからないけど、頭に響く聞き覚えのある声が鳴った。


『こんな時期に誰かと思えば、貴方ですかスオウ』
「この声……まさかエアリーロか?」


  まさに僕の記憶が正しければこの声はローレの召喚獣の一体。風を司る召喚獣エアリーロの声だ。


『まさしく、私は貴方の知るエアリーロです。正し多少違いもありますがね。ここに居る私はローレ様の召喚獣としての私じゃありませんから』
「どう言う事だ?」


  言ってる意味がよく分からない。てか、まともに見れないから早くその光を抑えて欲しいよ。


『これは光ではなく風ですよ。我が輝きの風の真の輝きと言った所です。まともに私が見えないのは貴方にはまだ足りないからですね。まあ当然なのですけど、それを考えるとやはりローレ様は色々と凄い方でしたね』
「ローレもここに?」


  いや、まあ教えてくれたのはローレだし、来てないわけないよな。アホな質問だった。だけどエアリーロは懇切丁寧に教えてくれる。


『ええ、私は三体目でしたでしょうか。ここは私と契約を果たす場所ですからね。召喚士のあの方が見過ごす訳がありません。ふふ−−』
「どうした?」


  いきなり思い出した様に笑って。なんか面白い事でも思い出したか?


『そうですね。なかなかに愉快な事を思い出しましたよ。あの方は貴方と違って随分と強引な手でここまで来たので。寝起きを起こされた私は随分とへそを曲げたものです。それにほら……あの方は横柄ですからね。
  その態度が気に入らなかったのもあります』
「ヘェ〜」


  確かにローレは横柄だよね。あいつは誰に対しても偉そうじゃん。邪神であるテトラとだって同じ目線で接してたし……あいつには自分よりも上なんていないんだよ。いろんな立場的には上って奴を認めてるんだろうけど、本質的に自分が頂天だって疑ってないよね。


「じゃあ寝起きを起こされて更には偉そうにしてたローレをケチョンケチョンにしたのか?」
『まあそうですね。ケチョンケチョンにされる程、あの方は弱くもないですけど。ですが一人と言うのは無茶があった物です。召喚士は基本一人では動かない筈ですからね。従者くらいは必要でしょう?』
「ヒトシラッて奴か?」


  テトラに聞いた召喚士の従者ってそれだろ。


『ヒトシラは我等とシンクロ出来る真の従者を言います。召喚士であるローレ様ともそして我等とも深く繋がる……そんな間柄。初期ではほぼ揃える事など無理ですよ。私が言ってるのはただのパーティーくらいの感覚の物です。
  召喚士が我等を召喚獣にして使役するにはその力を示し屈服させないといけない。それは単純に戦闘に勝利しなさいと言う事です。三体目の私で、それをあの方が承知してない訳がない。ですがあの人は一人で私の前に立ちました。面白いでしょう?』
「いや、何となくあいつならやりそうな気はするぞ」


  ローレだからな、なにしたって既に驚かないよ。


「お前に勝てる算段があったんだろ? 実際お前はローレの召喚獣に成ってるじゃないか」
『ええ、そうですね。でも最初の戦闘はあっけない程簡単に終わりましたけど。でも後々考えるとそれもあの方の作戦みたいな物だったんでしょう。その後は普通に大量の味方を連れて来てましたし』


  連れて来てたんだ。なんか台無しじゃないか? 折角格好良く召喚獣を集めてるのかと期待したのに、結局は物量かよ。権力使いまくり? いや、その時から既に星の御子だったのかはしらないけどさ、なんか残念だ。
  まああいつが使える物を使わない訳が無いんだけど。


「で、エアリーロ。そのローレが僕にここの場所を教えた訳だけど、その狙いは何かわかるか? まさか僕にも召喚士になれとかそんな事なわけないよな?」


  倒すだけで召喚士になれるのなら、今頃結構溢れてると思うんだ。だって召喚って憧れる分野だし、その能力を手に入れられるのなら誰だって欲しいと思うだろう。いや、僕の偏見とかじゃなくてさ、憧れは誰の中にだってあると思う。
  だけどそんな憧れの力をもってるのは現時点でローレただ一人……これが何を意味するかって事だよ。するとやっぱりな答えをエアリーロはくれるよ。


『それは無理と言う物です。召喚と言うスキルは我等を倒せば手に入る−−という物ではありません。あの方の持つ武器にだけ、その力が宿ってるのですよ』
「ローレが持つ武器……あのバランス崩しの杖だよな?」


  幾つものクリスタルがぶら下がってる円形上の杖。あの杖が召喚の鍵なのはシルクちゃんかテッケンさんが言ってたよな?それともセラだったかな? まあそこら辺は誰でもいいけど、わかってた事ではある。言ってみただけ。だって自分も召喚士になれるのなら成ってみたい願望が僕にはあるんだもん。


『バランス崩しが何かは心得ませんが、そうですね。あの杖に選ばれた物にのみその力は与えられます。ですから私をここで倒しても貴方に私が召喚出来る様になるわけは無いですねね』
「……そっか、だよな。いや、わかってた事だよ」


  バランス崩しって名称はきっとプレイヤーの誰かが嫉妬や羨望とかと、実際のその力の強さで勝手に付けただけだろうからね。エアリーロが知らなくて当然だ。なんだか不自然な沈黙が流れる。話題が一段落してから、次に言葉が続かなかった微妙な間だ。
  しかも僕はエアリーロを直視できないからな……なんだか顔を意図的に逸らしてるみたいでケンカした時の微妙な感じに成ってない? いや、実際はただの沈黙なんだけど、ふと思い出してみると軽々しく会話出来る別れ方してなかったよな僕達さ。
  きっとそれをエアリーロも思い出してるんだと思う。僕はテトラが言うにはヒトシラ候補らしいけど、それを帳消しにするくらいに対立したじゃん。僕達は一緒に戦った仲だった。けど、あの世界樹の傘ではローレの奴の方針変更で言うなれば……殺されかけた。それを考えると、さっきまでの普通の会話ってある意味奇跡みたいなものだったな。お互いに意識してなかったからできた感じ。


『なんだか不思議な感じですね。もう会う事も無いと思ってましたから、ついついはしゃいでしまったようです。あんな事をして置いて……』
「あれは……あれだろ? ローレの命令で仕方なかった。そういう風に思ってるけど?」


  実際はその通りだろうしね。だけどエアリーロの声はさっきとは打って変わって重い。


『そうだったとしても、許される事ですか? 貴方は死んでいたかも知れないのですよ。いいえ、私達は明確に貴方を殺す手助けをしてました。敵なのですよ。もう』
「そうだな。でもそれもローレの心根一つだろ? あいつがここに僕をやったって言ったろ? 昔の事なんか流しいいと思うけど。こうやって僕は生きてるしね」


  状況は更に悪い方に転がってるけどさ、まだなんとか生きてる。もしもこれから先、どこかで僕が倒れたって、それはもうエアリーロには関係ない事だよ。いつまでも気にする事じゃない。


「それに今目の前に居るお前は、ローレの召喚獣としてのエアリーロじゃないってさっき言ってなかったっけ? それならやっぱり気にする事なんか無いとおもうけど」
『それはそうですけど、あれもやはり私ではあります。そういってくれるのはありがたいですが、私は自分のヒトシラなり得る者を殺そうとしたんですから、悲しいですよ。ヒトシラとして繋がれる人物が特別なのは、何も術者だけではありません。寧ろより強いつながりを求められるのはヒトシラと我等です。
 その力を利用するのが術者である召喚士ですからね』


  全く、ローレに相応しいポジションだな。あいつは僕達の絆とかを結構弄んでるよな。あれだけ協力させて置いて、最後には簡単に切り捨てるんだから、恐ろしい。かと思ったら、こうやって意味わからない事もするしな。あいつの思考は考えるだけ無駄だと悟ったよ。


『そうですね。あの方の考えは私達にさえ及ばない物があります。きっと貴方をここにやったのにも理由はあるんでしょう。何か心当たる事はないのですか?』
「心当たることって言っても……ドタバタした中でこの場所を言われただけで後はなんにも……」
『そうですか。しかし一体、どうやってここまで? いえ、もしかしてスオウ貴方は風を感じれるのでは無いですか?』
「そう……だな。そんな節はあるかも。集中すれば見えるし感じれる。最近は僅かだけど、風を操る事も出来る様に成って来た」
『なるほど、だからですか』


  なんだか暗かったエアリーロの声に再び色が戻ってきた感じだ。心踊る事でもあったか?


『そうですね。心踊りますよ。やはり私の目に狂いは無かったと確信しました。いえ、これはローレ様の心眼なのでしょうね。あの方が貴方に私をあてがったのですから。私にはやはり貴方が必要です。
 スオウ、ここまで来るのは大変でしたか?』
「そりゃあもう……」


  ほんと垣根無しに大変だったよ。自分でも良くここまでこれたと思ってるし、実際はマジでなんでこれたか良くわかんない。まあ執念の勝利だよね。今の僕に後戻りなんてないからね。どんなに不確かな道だって進むしかないんだ。そんな思いがきっと風に伝わったんだろう。


『大変でもここまでこれた事が大金星ですよ。普通はまず無理なんです。闇雲に進むだけじゃ、風達は決して道を開けません。ここまでこれるのは風を知れる者だけです。貴方で二人目ですよ。歴代の御子を除くと初めての一般人とも言えますね』
「へぇ〜、御子はどうやって来てるんだ? 風を操れる力でももってるのか?」
『御子には杖の導きがありますから。ここを通り抜ける裏技的な方法ですね。なので正攻法でここにたどり着いたのは貴方が初めてなのですよスオウ。まあローレ様は正攻法でも裏技でも無く、ただ強引な手で来ましたけどね』


  おいおい、一体何をやったんだよあいつは。導きがあるんならそれを使えよ。


『導きにも使う条件がありますから、面倒だったのでしょう。二体の召喚獣の力をつかって強引に道を作って来ましたよ。まあそれも召喚獣の力を操れるからこそ、出来た事と言えますけど』


  なんて奴、正攻法と言う言葉を知らないのかあいつは。


『ふふ、ですがそれがあの方です。道なき道にも道を作る。ですがそれで言うと貴方とあの方はよく似てますよ』
「似てる? 僕とローレが? 僕はあんな性格悪くないぞ。今は……」


  昔は結構捻くれてたけどさ、今は思いやりって感情をちゃんと持ってるって自負してるんだけど。あんな滅茶苦茶な奴と一緒にされると不本意って言うか。


『そうですか? ですが共通する部分はあると思うんです。二人とも、目的を成せる意思を持ち続ける物同士でしょう。荒唐無稽で誰もが無理と思う事を、それでもやろうとする二人。似てるではありませんか。
  意思を持ち続ける。それは基本ですけど、とても難しい事ですよ。誰もが現実に躓きぶつかり、悟った様に何時の間にか目を逸らす。そもそも夢や理想などを鼻で笑うようになるじゃないですか。けど貴方もローレ様も違うでしょう』


  そうかな? ローレの奴は他人の夢とか理想とか鼻で笑い飛ばしそうなイメージあるけど。それに根本が僕とローレは違うよ。あいつは自分の目的の為には残酷に成れる奴だ。だからこそ、あの場面で僕達を簡単に裏切った。聖獣共の側についた。
  でも僕はセツリを助ける為に、今まで協力してくれたみんなを切り捨てられるかって言われたら、そんなの無理だよ。一人だけじゃ進めなかった事は分かってるのに、恩を仇で返すようなそんな事が出来る筈もないじゃないか。まあそんな事を言ったら、ローレの奴には「甘い」とか言われるんだろう。それこそ「綺麗事」とかね。
  だからそんな奴と一緒はちょっと……だってあいつの目的って世界に普及してるシスカ教をローレ教に置き換えることだろ? 神として崇められたいとか、どう考えてもあいつゆがんでるよ。


『あの方にとってそれは目的と言うか目標みたいな感じですけどね。本当に興味がある事はもっと別の所にある……そんな気が私はしてます』
「確かにこのままなら、ローレは世界平和を成した英雄というか女神と呼ばれるくらいにはきっとなれるよな。五種族を結束させて、邪神と取引までして、それを世界に見せつけてる。このまま滞り無く行けば、ローレ教にしたって誰が文句言えるんだって感じの筈。
  でもあいつは僕を生かしてる。敵であって障害になる筈の僕にわざわざこんな場所まで教えた。それがあいつの目的が別にあるって思わせる要素だよな。失敗に終わっても良いと思ってるのか? それともこのままじゃ張り合いがないとかそんな感じなのか……」
『ローレ様はそんな三流の悪役みたいな事は考えてないでしょう。あの人は確かに自分が一番ですけど、周りの事を何も考えてないような人でもないです。あの方が崇められたいのはただ他人を見下す為じゃない。そう思わないですか?』


  ただ他人を見下す為じゃない……ね。そうか? 僕はローレの事をそれ程知ってるわけでも無いからな。なんとも言えない。どうしたって嫌なイメージがつきまとうしな。


「あいつの事は良く分からないが妥当な本音だ。以上」
『そうですね。あの人の事はよくわからない。それは私も同感です。でも完全に悪い人とも思えないのも事実でしょう?』
「それは……まあそうだけど……」


  そう言われるとね。でも完全に悪い奴なんて早々いないぞ。キチガイくらいだろ。まあローレはキチガイとは言えないからな。やる事も選択する事もエグいけど、その行動の先は真性のキチガイ連中と違って悪い事しか転がるってわけじゃ無いんだ。
  あいつの示す道の先は、実際は割りとマジで魅力的だったりする。LROは今よりもきっと平和にはなるだろうしな。プレイヤーからすればそれは良い事なのかどうか微妙だけどさ、ここに息づく人達にはそれは喜ぶべきことの筈で間違いないしな。
  ローレの奴が目指してる結果は魅力的だからこそ、人を惹きつける。そして惹きつけるからこそ、上に立つ者であれるみたいな感じかな? 沢山の人を惹きつけないと、信仰にはならないしね。じゃあやっぱりこれはローレ教を作る為の行動……か。


「なあエアリーロ」
『なんですか?』
「どうしてお前はあいつの召喚獣に収まったんだ? やっぱり負けたからか? 勝負したんだろ」


  僕のそんな質問に対して、エアリーロは僅かに沈黙する。聞こえるのは羽を羽ばたかせる音だけ。羽ばたかせる度に、その羽から吹く輝きの風が、この暗い空間に流れて行く。この風の住処の風はどうみてもエアリーロが出してるのとは別物なんだよな。荒々しく無闇に凶暴で、今のエアリーロが出してる輝かしい光なんて一ミリもないもん。
  でもそれならどうやって……ともおもうけど、この土地がそういう場所だと思えばいいのか。そもそもエアリーロは風の精霊みたいな物だろう。僕よりも風を操れそうだし、自分の特別な風を使う必要ないのかも。僕が一人でいろいろと考えてると、ようやくエアリーロの声が再び頭に響いてくる。


『そうですね。私は負けました。ですがどの召喚獣と契約するかは術者の自由ですよ。まあ勝たないとその契約の選択自体ができないですけど。それに私達には拒否する事は出来ませんしね』
「それはつまり勝ったらお前達が手に入るって事だろ」
『そうなります。ですが関係を良好に保つ事は実は大切な事なのですよ。ローレ様が沢山の召喚獣を扱えるのはそれだけ私達と通じ合えてるから。私達が与える力の大きさは、その惚れ込み度によりますからね』
「惚れ込んでんの?」


  あいつの? どこに?


『私達にも見ての通り感情はあります。ですから気に入らない主人ってのはどうしても出て来ますよ。力が偏ったりするのはその為です。その点で言えば、私はローレ様の事気に入ってます。あの方は良く私達に語り掛けて来ますからね。
  それに、言ったでしょう? 最初は一人で私の前に立ったと。あの時、彼女は色々と自分の事を話してくれました。私が負けたのも納得しての事でしたからね。ローレ様は今までの御子達とは違いました』
「それで良いと、思ったんだ?」
『そうですね。今までの御子はシスカ教に忠実で、誰かの、信者の為に……でしたけど、それだけでしたから。自分の意思や思いをあれだけ明確にぶつけられると、魅了される物がありますよ』


  なんだか懐かしくそう紡ぐエアリーロ。何を伝えたか知らないけど、召喚獣達は殆どが今のエアリーロと同じ感じなのかな? リルフィンは何か違うみたいだけど……


「あれ?」
『どうしました?』


  そう言えばリルフィンの奴はどうしてるんだ? まだノンセルスにいるのかな? 速攻で作戦がなくなったからよくわからないんだよね。連絡もできなかったしな。でもきっと上手くやってるだろあいつなら。助けに来てくれなかった……とか言う気はないよ。
  今度あった時は「無事で良かった」って言ってあげる気だ。


「いや、こっちの事だよ。それよりも取り敢えず、ここまで来たら僕もお前と戦った方が良いのか?」
『それはどうでしょうか? 私はきっと負けませんよ』
「ほほ〜」


 それはそれは随分な自信だな。いや、まあ一対一でこの化け物に勝てるかと言われたらそれは微妙だけどね。でもここで他に何をしろと?


『貴方は今、自分を強くしたいんですよね?』
「そうだな。僕はもっともっと強くなりたい。風をもっと完璧に操りたいんだ」
『そうですか……ならやっぱりやりましょうか? ここにローレ様が貴方よこしたのなら、きっとそういう事なのでしょう。私は貴方の物にはなれませんが、力にはなれそうですからね」
「教えてくれるのか? 風の操り方を」


  そう言うと、エアリーロは再び大きく羽を羽ばたかせて、高く上がる。


『それは貴方次第ですよスオウ。ですがキッカケは掴めてる様ですし、後は私との戦闘で学んでみてください。大丈夫、きっと貴方ならできるでしょう』
「良いのか? 僕はローレの邪魔をする気だぞ」
『それは私が気にする事ではないですね。そもそもそれも想定しての事でしょうし、私は自分で考えて出来る事をやるだけです。それはきっとローレ様の望みでしょう』
「そっか……」


  それもそうだな。風を操る術を学ぶのにこれ以上の逸材はいないし、それ目的でここにやったとしか思えないもんな。それならとことん、付き合ってもらおうじゃん。




『ここで何かを掴めれば、私の姿もはっきりと見える様になるかもしれませんね』
「それは楽しみだな。じゃあ野郎ぜエアリーロ!」


  その瞬間、輝く風を纏ったエアリーロが一気に急降下してくる。僕は刀身にウネリを集めて、エアリーロに向かって振りかぶる。風の棲家……ここで僕は絶対に一皮剥ける!! その気概を持ってぶつかりあう!

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