命改変プログラム
演説
ノエインは杖に向かってペンダントをかざす。すると杖を囲む様に現れる魔法陣。そしてノエインはこう叫ぶ。
「シスカ教の正当教皇後継者として命じる。封を解き、その力を解き放て!」
その瞬間、蔵内が激しく揺れ出す。ガタガタと周りの物がガタツきだして、一種のポルターガイスト現象の様だ。
「うわ……うわわ!」
「な……何事ですか~教皇様~~」
外から聞こえるそんな声。門番僧兵達もこの揺れに気づいたらしいな。まあ、気づかない訳ないよね。だけど僕達は返事しない。下手な事いえないしね。すると杖の周りの魔法陣から一筋の光が現れる。そしてそれはペンダントへと注がれて、さらにそこからノエインの胸の中心へと光が延びる。
そして最後に、ノエインの胸からもう一筋の光が杖へと戻り、線が紡がれる。そしてカチっと音がしたと思ったら、杖の周りの魔法陣が砕け散った。
光が霧散して行き、次第に揺れも小さくなる。
「収まって行く?」
「封印を解除しましたから」
そう言ってノエインは光が収まっていく杖を手に取る。そしてこちらに向けるよ。
「さあ、これを。長様はこの社の最上階だ。急ぐと良い」
「ノエイン……」
僕は差し出された杖を手に取る。なんだか見た目はそこまで豪華でもない普通の杖なのに、ズシッ重い気がする。
これがサン・ジェルクを導いてた一人の教皇の重さかな。何を思ってこんな杖に力だけを残して逝ったのかは知らないけど、ありがたく使わせて貰おうじゃないか。
「そっちは大丈夫か?」
「ああ、教皇として自分に何が出来るのか……それを確かめる為に、この身を捧げよう。大丈夫さ。この地の人達は皆、シスカ教の本質を知ってるよ」
そう思ってると近づいて来る足音二つ。
「「教皇様~~~!!」」
心配して門番僧兵二人がこっちに近づいて来てる。しまったな。なかなかに行動的な二人の存在は誤算でした。こうなったら気絶でもさせて……そう思ってると、彼らの足下に魔法陣が現れる。
「「え?」」
次の瞬間、足下の魔法陣から現れた紐が二人の門番僧兵を締めあげる。全身が包まれた二人はミイラみたいになって、その場に倒れ込む。
「「ふがー、ふがー」
そんな風に声を上げる門番僧兵。一体何が? そう思ってると門番の後ろに見える影。僕はそれに警戒するけど、神官さんが前に出る。
「全く、みんな強引な事をしますね」
「仕方がないでしょう。これはサン・ジェルクの未来を掛けた戦いだと言うじゃないか。それならば、多少強引でもやって貰わないと。
折角我らが教皇がやる気を出したのですから」
そう言われてちょっと照れくさそうにするノエイン。ようはこの人達は神官さんの仲間か。てかみんな同じ格好してるし、きっと神官なんだよな。
神官は元老院じゃなく、教皇よりなのか? こんなに協力者が居るなんて、予想外だよ。援軍に来てくれた彼らは早速、浮遊台の準備とノエインの身なりを整えだした。
やっぱり信者の前に立つのに泥だらけの格好じゃいけないって事か。神官さん達の仕事は速かった。あっと言う間に浮遊台の準備とノエインの着替えが終了。元々ゆったりとした服を着てたノエインだけど、着替え終わったノエインは更にゴチャッとした感じになってた。
長い帽子もかぶって位も高そうになってるし、元の服の上から更に二・三枚長いの羽織って色々と装飾をつけてる。
「ここまでやる必要あるのかな? めかし込む事なんかそこまで重要じゃない気がするけど」
そんな不満を漏らすノエイン。だけど神官さんの一人が指を一つ立ててこう言うよ。
「駄目ですよ教皇様。威厳という物は着てる物によっても左右されます。教皇なら最低限、皆が羨む格好をしとかないと駄目なんです。
これから付いていこうとしてる人が、ボロボロの服を着てたら躊躇うでしょう?」
「……それは……確かにそうかも知れないけど……」
「そうなんです! ですから服装というのは大事なのですよ」
そんな風に言われて諦めた様にため息を付くノエイン。すると形見の狭い思いをしてたのか、僧兵が僕の方へ来た。
「なんだかもう俺の役目は終わったみたいだ。ここで出来ることも無いし、お前に付いて行こうかな?」
「別に付いてきても良いけど……ここからは僧兵相手に戦うかも知れないぞ。それがお前に出来るのか?」
僕がそう言うと、僧兵は少し迷ってこう言った。
「舐めるなよ。俺だって覚悟を決めてここまで付いてきてるんだ! 手を出したって殺すわけじゃない……そうだろう。もしもここに居る仲間を一人でも殺したら、その時は俺がお前の背中を刺す! そのために付いていくんだ!」
「随分、物騒なお供だな」
拒否したいんですけど。そんな奴に背中預けれないっての。そう思ってると、僕達とずっと一緒に居た神官さんが、お札を渡してくれる。
「これは?」
「ここから長様の所までの最短ルートを表示できる地図ですよ。君は地の利がないですから。こういう物も必要でしょう」
なるほど、これはありがたい。でもどうやって使うの。イチイチ解放とか叫びたく無いけど。
「文字を上から下へなぞってください。それで起動しますので」
言われた通りにやってみる。するとお札から社の外観の立体映像が出てきた。なんだこれスゲーな!
「青く光ってる点を押してみてください」
「これですか?」
ポチっとな。すると今度は中央からパカッと映像が割れて、内部が見える様になった。しかも僕達の位置もちゃんと表示されてるな。ハイテクすぎる。
「これって一番上の部屋の赤い印の所が目的地って事ですよね? で、青いのが僕達。通路に矢印があるのは、次の転移装置までの道案内で、転移装置に印があるのは乗る順番ですか?」
「そうです。その通り。理解が早くて助かります。補足しておくと、縦割りで見にくい場合は階層毎に表示出来るので少し離れた所にある緑のマークを押してみてください」
「どれどれ――うお!」
すると今度は今居るフロアを上から見た構図に切り替わったじゃないか。凄い分かりやすい。立体的だしね。最初に持ってる地図の精度と比べ物にならないじゃないか。
「私が出来るのはここまでです。我ら神官は教皇のサポートに付くので、ここからは何もしてあげれません。ですのでせめて道に迷わず目的地まで導ける様にとの事です」
「ありがとうございます! とっても助かります!」
いや、本当に。僕が喜んでる横でちょっと肩を落としつつ僧兵は神官さんにこんな事を聞く。
「あの……自分はもう、教皇様のお役には立てないのでしょうか?」
僕に付いてくるとか言ってた癖にやっぱり教皇が良いんじゃないか。まあ「教皇様は俺が守る!」とかいきがってたしな。気持ちは分かるけど、神官さんが同僚を呼んでくれたおかげで、僧兵のやることはほぼ無くなった訳だ。
なんてたって神官言う位だから皆さんとても優秀です。その他大勢の僧兵とは持ってる技量が違うみたい。だけどそれでも、別に鼻にかけたりしてないその人は優しくこう言うよ。
「そんな事はないですよ。貴方のそんな気持ちがあの方の力になります。そういう人ですから。だけどまだ祈るだけでは納得出来ないのなら、自分の思う事を。
どんな事だって巡り巡れば誰かの為になることですよ」
う~ん優しいね。優しく遠回りに何も出来ることはないって言ってるよね。だけどそんな言葉を受けて、僧兵は決意を持ってこう言った。
「そ……それじゃあ自分はこいつのサポートします! その位はきっと出来る! そしてコイツが長様を説得出来れば、それはきっと教皇様の為になる!」
「それは大変素晴らしいですね」
「はい!!」
おいおい、勝手に僕に付いてくる事が決定してるぞ。するとそこに準備を終えたノエインが来た。
「ちょっと待ちたまえ。勝手にそんな話を進めて、分かってるのかい? 上層階は元老院の園だ。彼等が囲ってる選りすぐりの信者たちが居る。地図で見るだけでは簡単にはいかない。
危険はかなりある。それでも君も行くのですか?」
なんだかノエインの奴、格好もそれっぽくなると、今までよりも教皇っぽさが増してる……気がする。形から入ると、気持ちも入るタイプなのかな? さっきの演技も無理矢理形を作った感じだったし……ノエインにとっては教皇を演じてる感覚なのかも知れない。
本人が気づいてるかは別にして。でもそうか、地図で見る分がすべてじゃないってのは正しいな。上層階は元老員の園ね。あいつ等普通に教皇よりも高い位置に部屋あるのかよ。ふざけてるね。
「そ……それでも、何も出来ないなんて耐えられません! 沢山の仲間が今日と言う日に消えたんです。彼らの為にも自分は、自分の意志を貫いて、信じた道を進みたい!
行かせてください! お願いします!!」
そう言って頭を下げる僧兵。生き残った自分が何かをやり遂げなくちゃいけない……そんな思いに駆られてるのか? 今は良いけど、それがいつか重くならなければ良いけどね。
別に、あんな悲劇が起きたのはコイツのせいじゃない。寧ろ言うなら僕のせいってのが大きいんだけど……そこら辺を知らないだろうから、責められたりはしない。
なんだかちょっと心が痛む様な……そう思って見てると、ノエインが頭を下げてる僧兵の肩に手をおいてこう言うよ。
「背負い過ぎるのはよくないですよ。消えた僧兵達の思いは私が背負いましょう。それが上に立つ者の責任です。だけど自分で最後まで関わりたいと言うのなら止めませんよ。
その思いの強さ……ちゃんと感じましたから。どうかサン・ジェルクの為に、シスカ教の為に、尽力してください。まだまだ力不足な私ですが、ここからは一緒に頑張って行きましょう」
「教皇様……」
震える様な声を出して上げた顔は、今にも泣きそうな感じだ。必要ない言われなくて、感動したのかな?
「同行させて宜しいですか?」
二人の姿を見てると、そんな風に話を振られたよ。そっかやっぱりこっちに回すのか。いや、分かってたけど……
「そうだな。一人よりも二人の方がやりやすくはあるかも……だな」
後ろから刺されなければ……普通の僧兵さんに手を出す気とか無いし、なるべく武器は抜かずに行きたい思いは僕だって同じだけど……問題は上階だ。
元老院のお抱えが多いらしい上層階では、どうなるか分からないってのが正直な感想。幾ら元老院お抱えだって言っても、その人達もこの地に生きるモブリに変わりないだろうし……そもそも向こうは仕事をやろうとするだけ……そう思うと戦闘はやりづらい。
薄暗い蔵の中、埃っぽい空気を吸い込みつつ、僕は手元の杖を見る。外ではまだ激しい爆発音が伝わって来てる。その度に、微妙な振動がこの蔵の内部にも伝わってるよ。
「教皇様、全ての準備は整いました。貴方の決意で、我らは動きます。どうかご命令を」
十人に満たない神官さん達がノエインの前にひざまづく。その後ろには数個の浮遊台が浮かんでるよ。ノエインは彼らに目をやり、そして僕達をもう一度見る。
「さあ、行ってくれたまえ。こちらは私達が必ずやり遂げよう。それを約束するよ。だから君も……君達も頑張ってくれ」
「了解……信じてるよノエインの事」
「必ずやりきって見せます!!」
僕達はお互いにそう言って分かれる。僕は杖をアイテム欄に納めて、僧兵と共に再び社内を目指し走り出し、ノエインは台に乗って渡り廊下から空へと向かう。お互いの健闘を祈って、勝利を掴むために、僕達はまたここでもそれぞれの戦いに向かう。
暗い空が青い飛空挺とバトルシップの光で灯されてる。今日は雲が厚く広がり、月の光も星の光も出てないから、線になるその光がとても美しく良く映える。
だけど……この地に住む人々はそれを綺麗とはきっと思ってないだろう。誰もが不安に心を向けて、空での戦闘と、映し出される映像に見入ってるに違いない。
何も分からず、何も知らず……ただどうなってしまうのか……その恐怖に怯えてる。だからこそ、そんな不安から救い出さないといけない。それが私の役目。そしてシスカの子等に聴こう。
全てを知って、皆は何を選ぶか。その声を聴くのもまた、教皇の役目。
「では、やろうか皆」
私はそう言って周りに視線を送る。周りには神官の皆が残りの浮遊台を使って展開してくれてる。地上に残った数人と共に来てくれてる彼らで、サン・ジェルクの全てへ届く術式を組んでくれる。
激しい風が吹いてる。私達のような小さな存在は吹き飛ばされそうなそんな風。社の側面。地上から十数メートル上空でサン・ジェルクの夜の街を見つめてる。
綺麗な街だ。湖に浮かぶ虹の都。街に光を灯してる灯籠の光は、水面にも輝いてキラキラしてる。
私はこの美しい街が大好きだ。この街と、この街に暮らす人々を守りたい。そんな思いで教皇になった。だけど教皇はここだけを支えるんじゃダメだった。
私はこの世界の全てのシスカ教信者の上に立つ立場になったんだ。その実感も、正直怖くて……重くて……苦しかったのかも知れない。
何も出来ない事を、元老院だけのせいにしてたけど、実際そうでも無かったのかも知れない。何もしようとしなかったのは自分でもあるんだから……だけどそれももうやめよう。
時間は掛かったけど、全世界のシスカ教信者の前に、今度こそ堂々と胸を張れる様に……指針を示し、支えに成れる存在に……それが私が夢見て憧れた、教皇の姿だから。
「行きましょうノエイン様。安心して言葉を紡いでください。我らがこの命に掛けて、守り抜いて見せます」
「ああ、信頼してる」
私はそう言って前を見据える。そして右腕を前へ突き出し進み出す。私を中央に、五つの神官がそれぞれ周りを囲み、詠唱に入る。浮かび上がる魔法陣。前の彼がコクリと頷く。
準備は出来た。さあ、教皇である意味を、今日この場で取り戻そう!
【不安が聞こえます。空の戦闘と、そして浮かび上がった目を覆いたくなるような映像に。それは教皇である私も同じです】
空から降ってくる様なそんな声。どうやらノエイン達が動き出したらしい。社の内部に居る僕達にも関係なく聞こえるって事は、ちゃんと全てのサン・ジェルク住人に届いてるのかな? そうだと良いと思う。
ノエインの演説が始まってくれたおかげで、周りの僧兵達の意識が、一気にそちらに向く。僕達はこの気に一気に僧兵の包囲網を突破するよ。
実を言うと、速攻で囲まれたんだよね。いや~みんな無視してくれると思ったんだけど、僕と同じ立場の僧兵とで居ると、直ぐに不審者扱いだよ。
やっぱりさっきまではノエインと神官さんが居たことが大きかったらしい。その二人が居たから、ちょっと怪しいな……とか思われても何も言われずに済んでたんだ。それを実感しました。
「危なかったな。でも、いきなりこうなるって事は、上の奴らはきっと容赦なんかしないな」
「戦闘は避けられないって言いたいのか?」
僕の言葉に怪訝な顔をしてそう返す僧兵。言いたくないけど……そうだよね。木の床を土足で駆ける僕達は、地図に従って道を曲がり、転送陣に飛び込む。そして更に下の階へ。
次に出たのは一階部分で、しかも完全にホールというか、エントランスというか、そう言う部分だ。おいおい、一杯の僧兵が集まって何かの陣を形成してるぞ。
もしかしてこれがさっき途中で聴いた、バトルシップを捕らえる為の地上からの魔法か? ここで潰しておいた方が良いのかも……だけど彼らに向かって剣を向けたら後ろから刺されるからな……だけどアレ? なんだか僧兵達はザワザワしてる?
上を向いたり話し合ったり……詠唱に集中してない。
【ですが幾ら不安で恐ろしく、怖くて泣きそうでも、目を背けてはならない事なんです。今、あそこに映る映像は我らと同じノーヴィスの国の街の一つ、ここサン・ジェルクと双璧を成すリア・レーゼです。
信じれないかもしれませんが、アレが今のリア・レーゼの姿です。これはただの映像ではないんです。勇敢な僧兵が届けてくれてる、リアルタイムの映像です】
そんなノエインの言葉にザワザワと魔法陣を形成する僧兵達はざわめき出す。そんな事上司からは聞いてないんだろう……言う必要もないしな。
元老院にとって、僧兵なんてただの駒だ。それに既にこちらに付いた奴らも居るし、これ以上の造反をさせないためにも、そう言う事は言ってないんだろう。
ここの僧兵もこれだけざわついてるなら、外もさぞざわついてるんだろうな。いきなり教皇が演説始めたのも衝撃だろうし、ここから目の前の橋が見える訳だけど、そこにまで沢山の人が溢れてる。
誰もが教皇の声を聞こうと外まで出てきてるみたいだ。それだけで愛されてる……そう思う。
「今の内にこっそり次の転送陣を目指すぞ」
「やらないんだな」
「お前がそれを言うか?」
やったら刺されるんじゃないか。それになんだか大丈夫っぽい。僧兵も他の人たちも、声を聞いてくれてるもん。きっと演説が終わるまでは大丈夫だろう。
僕達はこそこそと進み、左右にある魔法陣の左側に入った。そして今度は上の階に来た。だけどまだ上層じゃない。上層階に行くには途中の階から特別な陣に入らないといけないらしい。
だからその陣が有る階までは、こうやって地道に手順通りに行かないとだよ。
【リア・レーゼは今、未曾有の危機に瀕しています。皆も知っての通り、リア・レーゼの周りには強力なモンスターが多い。
そして今は聖獣と呼ばれるモンスターまでも復活して、奴らが狙うは世界の根幹、世界樹です。リア・レーゼの戦力だけでは、守りきるのは不可能でしょう。
ですが元老院は兵を送る事をしないと決めてます。それは今までのサン・ジェルクとリア・レーゼの因縁があるからです】
なるべく武器を使わずに、魔法の詠唱を妨害する形で対応する僕達。詠唱を中断させれば、とりあえず魔法に襲われる事はない。
だから素手で掴んで投げるって事をして、道を開けながら僕達は進む。そして更に転送陣に入って、別の階へ。
【ですがそれで良いのでしょうか? 確かにサン・ジェルクとリア・レーゼは今まで良い関係を築けてなかったかも知れない。
だけどそれでも同じ国で同じ種族の同胞なのです。彼らもシスカ教の変わらぬ信者……それならば私は救わねばならないと思います。
見捨てるなんて出来ない……あの街に一体何人の同胞が居るか……皆さんも知ってるはずです。知り合いが居る人もいるかも知れない。友が居る人だって、家族や親戚、恋人が居る人もいるでしょう。
そしてそうでない人も思いだして欲しいのです。シスカ教の理念を……私だけでは力が足りない。リア・レーゼを救うための力は、皆さんの心一つ一つに掛かってるのです!!】
周りの僧兵達がそんな言葉を聞いて、自分の胸に手を当ててる。だから僕も言うよ。
「僕達は……僕達だってリア・レーゼの為に動いてる。救いたい仲間が友があそこにいる! この気持ちが分かるのなら、どうか道を開けて欲しい。
僕達は戦いに来たんじゃないんだ」
僕の言葉に僧兵達が迷ってる。歯を喰い締め、どうすればいいのか悩んでる。すると一緒に来てた僧兵が周りの奴らに向かって叫ぶ。
「あの映像を撮ってるのは僕たちの仲間なんだぞ! その身を危険に晒しても先んじてリア・レーゼに行ってるんだ! 彼らは援軍を信じて向かってくれた……僕達はその思いに応えないで良いのかよ!?」
細かな振動が伝わる。時の針は今もリア・レーゼの滅亡を刻んでるんだ。
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