命改変プログラム

ファーストなサイコロ

教皇道中



 『夢現』そう告げられた魔法の名前。それに歴代の教皇の持ち物とか……なんか箔がある設定が……ソレなのに誰でも使えるって、いいのかよ。


「ですから封印処理が施されてるんですよ。ですが教皇の権限ならそれを解除出来ます。と、いうかそれを出来るのは教皇の地位を継いでる者だけです。
 こればっかりは元老院も手を出せない代物ですね」
「へぇ~何もナイナイ言ってた割には、ちゃんと継いでる物があるんじゃないか」


 僕は隣を歩くノエインにそう言うよ。元々教皇なんて位置に居るのに、何もないとか庶民からしたら贅沢な悩みだよね。豪華な家に住んでる金持ちが何も無いって言ってる様な物だよ。
 それはなんだ! って言いたくなる。


「継いでる物は確かに幾つかあるよ。その杖もそうだし、この教皇の証のペンダントと印とかね」


 そう言ってノエインは裾を調整したほうが良いような服を引きずりながら、短い腕をゴソゴソと動かして黄色い宝石の中に、赤い魔法陣の別の宝石が入ってる様なペンダントをみせてくれた。
 ええ? どうなってんのコレ?


「これは初代教皇が自身の魔力で生成したと言われる代物でね。コレを持つにはこの中と同じ陣を体に表さないといけないんだよ」
「表すって一体どうするんだ?」


 僕は普通に疑問に思った事を口にする。そう言えば神官さんが印とかって言ってたのはそれの事かな?


「教皇になるにも試練があると言うことだよ。この印を受け継ぐ為にね」
「へぇ~でも民意で教皇になるんじゃ無かったっけ?」


 確か選挙じゃなかったっけ?


「そうだね。元老院が選んだ数人で選挙をするよ。つまりは最初からある程度は元老院の息が掛かってる訳だね。そして適正も勿論ここで吟味して、問題ないなら選挙が行われる」


 元老院が選ばないと教皇を決める選挙にも出れないって……やっぱり奴らの顔色を伺ってるのは重要な事ってなるよな。
 それにやっぱりノエインも言ってたように、都合の良い奴を元老院は選んで出馬させるだろうしな……立候補くらい自由にさせれば良いのに……その中から民衆が選んだのなら仕方ないけど、最初から元老院の息が掛かってたんじゃ意味ないじゃないか。
 なんだかリアルでも同じ様な感じだったな。総理大臣を民意で選べないのと同じ。納得できないな。


「つまりはノエインも元老院にヘコヘコして教皇になった訳か。見損なったよお前の事……」


 残念だ。まあ昔の事と切り捨てれば良いだけか。すると勝手にガッカリされてる教皇じゃなくて、神官さんが上司をフォローするよ。


「ふふふ、確かに教皇選挙への立候補は基本、元老院が全て決めますが、ノエイン様は特別枠ですよ。ノエイン様は幼少の頃より神童と呼ばれた逸材ですし実績も十分。
 前教皇にも可愛がられてましたし、露出する機会も多く、市民に指示されてました。ですから前教皇が亡くなっての教皇選で出さない訳には行かなかったんです。
 年齢はネックでしたが、市民の熱い支持で元老院側も折れたんでしょうね」
「な……なんだかムズガユいな」


 照れ笑いを浮かべるノエイン。全然否定しないなコイツ。教皇ならちょっと位謙遜しろよ。


「私は事実を述べてるだけですよ。過去の事実をですけど」
「…………また君はそんな事を」


 最後の一言で顔をしかませるノエイン。まあでも事実なんじゃないのかな? 最近は盆栽しかいじってないんだ。言い返せないよ。


「そ、そうですよ。教皇様はずっと頑張ってたと思います。自分が貴方に意見を言うなんて恐れ多いですけど……」


 僧兵はちょくちょくノエインを貶す神官さんに勇気を持ってそういった。実際この神官さんはかなり出来た人だから、そこまでかしこまらなくても……と思ったけど、だからこそ……なのか。


「別に良いですよ。それもまた一つの感じ方。よかったですね教皇様。そう思ってくれる方が居て」
「全くだね。これからはちゃんと頑張るよ」


 それは自分でこれまではやっぱりあんまり頑張ってなかったと言ってる様な物では無いだろうか?


「違うよ。更に頑張るって事です。今までも別に教皇の仕事をさぼった事など無いです」
「確かに、そこは私が保証しましょう」


 なるほど、神官さんが言うなら本当なんだろう。でないと今でもちゃんと支持されてる訳無いよね。


「んっ、少々お待ちください」


 そう言って神官さんは近くの部屋に消えていく。どうしたんだろうか?


「色々と準備するために必要な物を用意しに行ったんだろう」


 そう言ってくれたのはノエイン。なるほど、確かに準備は必要かも知れない。てか、部下を用意するとか言ってたしね。
 でもこんな普通に廊下に立ってるのも危ない様な……何も言われないけど、さっきからチラチラと見られてるからね。
 ただ、教皇とかが居るから下手に声を掛けられないって感じ。


「そう言えばさっき教皇に見せて貰った宝石の他に印があるって言ってたよな。それって……」
「ああ、それはさっき見せた宝石の内部と同じ紋章が体に刻まれるんだ。それが教皇と認められた証と言うのかな……それを持って正式に教皇になれる」


 なるほど。でもそれって選挙やる意味なくないか? だってその印を受け継げないと正式に教皇になれないって……その継承も元老院でないと出来ないのか?
 でもそれなら民衆の支持が高かったノエインが教皇になることなんか出来ない筈。そもそも最初に適正を計って元老院も都合の良い奴を選挙にあてがってるとか言ってたな。
 つまりはその印とやらの継承は元老院の手でも出来ないから、その適正がある奴を元老院は選んでるのか? で、その後に選挙をするんだよな……じゃあその印の継承って……


「印の継承は選挙で当選した教皇候補が受ける事になる。当選したからと言って直ぐには教皇になれる訳ではないのだよ。それに一番きついのが印の継承の儀だ。
 内容は言えないが、それを行っても印が継承されない時がある。そうなると再選挙となる訳だよ」
「へぇ~やっぱり教皇になるって大変なんだな」


 偉くなるって一朝一夕じゃないね。まあ元老院とかはお家柄で受け継いでるみたいな事を聞いたから、楽勝っぽいけど……でもだからこそ屑ってるんだろうな。
 あの長とか言うのがまだマシなのは、自分一人で長く生きてるからか。


「お待たせしました。色々と手筈は整いましたので、急ぎましょう」


 話してる内に部屋から出てきた神官さん。手筈か……一体何をしたのかな? よく分からないけど、ここからはペースアップらしい。出てきた神官さんは早歩きで歩き出す。


「手筈って、君が言う手筈はなんだか怖いんだけど……」
「既に後戻りも出来ない状況です。怖い物などもう無いでしょう? これから元老院を叩き潰すのですから」
「おい、何を物騒な事を……だから私は元老院を潰す気はないっうひゃあ!!」


 長い裾で転び掛けるノエイン。だけどそんなノエインを神官さんが見事に支えるよ。うん、なんだかんだ言って良いコンビだね。てか、かつては神童……そうは見えない。


「な……なんだね? 今のはちょっとしたミスだよ。たまたまだ」


 僕の残念な視線を感じたのか、ノエインがそんな言い訳をする。やっぱりどうして……スゴい奴には見えないな。前はもうちょっとスゴそうな気がしなくも無かったけど、どうやらそれは教皇という名のおかげだったらしい。
 教皇と言う皮の中身を少しは知ると、途端にノエインが残念な奴に見えてくるよ。




 僕たちは早歩きで魔法陣が描かれた場所に来る。


「この社は全ての階への移動手段が転送魔法になってます。まずはこの陣で上の階へ上がり、そこから別の陣で下へ行き、蔵を目指します」
「面倒じゃないか?」


 僕は素直にそう言うよ。だって誰でもそう思うだろ。指定出来ないの?


「色々な対策でこういう仕様になってるんです。コレばかりは不便ですが仕方ないのです」


 そうなのか……仕様じゃしょうがないか。まさにゲーム的ではあるような気もするけど……実際になってたらマジ不便だな。
 だけど不満を漏らしても、状況が進む訳じゃないし、僕たちは取りあえずこの魔法陣で上の階へ。すると上の階へ着いた瞬間声を掛けられたよ。


「おや、教皇様が何をなさってるのですか?」


 僕たち全員でビクッてなった。まさかこんな気軽に教皇に話しかけて来る奴がいようとは。


「ああっと、えっとそのだね……」


 スッゲー教皇テンパってる。怪しすぎる位にテンパってる。アンタ教皇だろ。もっと自然に出来ないのか!? いかにも怪しい動きをするものだから、話しかけて来てるモブリはちょっと怪しんでる様子。僕に向けて来る目が疑いの目だと分かるよ。


「私たちは今、社内に進入してた怪しい奴を捕らえた所でね。ついでに牢まで運ぼうかと」


 テンパってる教皇の代わりに、神官さんがそう言ってくれる。するとまあ、そのモブリは当然と言えば当然でこう言ったよ。


「なんと! それならお申し付けくだされば良いのに。教皇様方のお手を煩わせずとも私たちがやりましょう」


 うむ……そうなるよね。


「だ、大丈夫です。皆さん忙しそうですし、この程度は自分たちでやりますよ。それにこの者の進入経路は少し特殊で、秘密りに処理したいのですよ」
「なるほど。それならば私如きが口を出すことでは無かった様ですね。元老院の方々への報告はお済みですか? その程度なら私目もお手伝い出来ると思いますが」
「それは結構だ!」


 元老院、その言葉が出た瞬間にノエインは勢い込んでそう言った。流石にちょっとビックリしてるモブリ。おいおい、怪しいじゃないか。元老院って言葉が出たから不味いって思ったんだろうけど、かえって怪しい。


「そ、そうですか?」
「ああ、元老院の方々も今は色々と大変だろうからね。この程度の事で手を煩わせる訳には行かない。自分たちの問題は自分たちでやらねばね」
「はあ、自分たちの?」


 不味い。その言葉にモブリは引っかかってるぞ。自分たちの問題って言ってどうするんだよ。ノエイン自身の決意とかが入り交じってるぞ。
 無難に「自分たちで出来る事……」位にしとけば良いのに。だけどノエインはもうそれで押し通す気らしい。


「そう! 今はとても大変な時だからね。一人一人出来ることを模索してやらねばならない。みんなも頑張ってるんだ。私だけゆっくりはしてられないよ」
「なるほど! 流石教皇様! 素晴らしい考えですね。では私も持ち場に急ぐとしましょう、下からも魔法を張って、バトルシップを追いつめる様ですから」
(なっ!?)


 僕は心の中でそう叫ぶ。やばいな、上下から攻められたら幾らバトルシップの機動性でも危ないかも知れない。空に浮かんだ魔法陣の映像は、バトルシップ内で発動してる魔法を投影してる感じで表してるから、幾ら空の魔法陣が攻撃受けようと関係無かったけど、バトルシップが捕まったら映像も直に消えてしまうだろう。
 そうなったら、ノエインの言葉の効果も薄くなる。あの映像と共に、訴え掛けるから効果も高くなると考えてたんだ。このままじゃ不味いぞ。
 走り去っていくモブリの後ろ姿を見送りながら、僕たちは反対側へ早歩きしだす。


「バトルシップが捕まるのは不味いのですよね?」
「そうですね。不味いです」
「不味いだけじゃない……元老院に俺たちは逆らったんだ……どうされるか……異端審問に掛けられたら極刑だ」


 僕の腕を縛る魔法の輪を引っ張る僧兵は、不安気にそう言うよ。極刑は不味いな。異端審問って神の代行も安く出来るもので……


「そんな間違いをまかり通させちゃいけない。彼らは慈愛の精神の元に行動したのなら、寛大に受け入れるべき。極刑なんて、許されるべきじゃない。
 仲間を街を国を、大切に思う心がある者を、安易に切り捨てたり私はしない!」
「教皇様……」


 早歩きから次第に僕たちの歩幅は大きくなる。気づいたら走ってました。そして一気に次の魔法陣に飛び込んで、下の階に。そして更に僧兵で溢れてる場所を走り抜く。流石に教皇と神官さんがいると、周りの僧兵達は驚いて道を開けてくれる。
 でも完全に「何事だ!?」とは思われてるだろうな。でもバトルシップが捕まる前になんとしてでも教皇を表舞台に立たせないといけない。周りの目は勢いで無視していく方向だ。そして僕たちはクネクネとこの階を走り回り、大きな扉を開く。するとそこは渡り廊下になってて、その先の建物に
番人みたいな僧兵の姿が二つ。あそこが蔵か。僕たちは吹きさらしで灯籠が等感覚で道を照らすその廊下を渡る。
 するとその時、上を通り抜けるバトルシップ。その後に追いすがるように爆発が響く。


「うわ!?」
「っつ……」


 僕達はそれぞれの反応をして自分の身を守るよ。身を屈めたり頭を守ったり。


「頑張ってくれてるな……」


 僕はバトルシップの去った方を見ながらそう呟く。本当によく逃げ回ってると思う。だけどもうすぐ、地上からの魔法まで加わる。
 そうなると逃げきれるかわからないからな……そう思ってると小さくだけど空に浮かぶ映像がここからも見えた。そこには必死で結界を維持してるリア・レーゼの僧兵さん達の姿がある。数十人ずつ班になって合唱魔法を唱え続けてるみたいだな。
 それだけやらないと維持しきれないって事だろう。周りのリア・レーゼの住民達は恐怖に震える中、必死に祈ってる。神へか? それとも御子に? まあ両方だろうな。
 そんな中ローレは一体どうしてるんだろう? 何もやってない訳無いと思うけど。そう思ってると「イダダ」と聞こえた。そちらの方に向くと門番僧兵と目があうよ。
 するとあからさまに怪訝な顔をした。


「なんだか怪しい奴がいるぞ」
「ああ、怪しい奴がいるな」


 そんな会話が聞こえてくる。このままじゃやばいな。だけど一体ここまで来てどんな言い訳をするんだ? 既に牢に向かってるとか通じないぞ。こんな関係ない場所に来たんだからな。
 そう思ってると光の腕輪が外される。


「いいのか?」
「そう言う指示だ」


 僕が僧兵に聞くとそう答えられた。僕はノエインと神官さんへ視線を向ける。


「ここまで来たら言い訳は通じないだろう。少し強引な手を使おう」
「強引な手……ですか?」


 まさかそんな言葉が神官さんの口から出るとは以外だな。


「強引と言っても暴力は使わないですよ。我らの立場をちょっと強引に使うだけです」


 そう言って二人は歩き出す。僕達もそれに続く事に。


「「きょ! 教皇様!」」


 門番僧兵二人はノエインの姿を見るなり慌てて姿勢を正し、裏返った声でそう言った。流石、立場だけは立派だな。


「いつもご苦労様。ちょっと中に入って良いかな?」
「ええっと……教皇様にこんな事を聞くのは恐れ多いんですが、元老院の方の許可はおありでしょうか? いいえ、勿論そんな物当然だと思ってますとも! ですがしかし、コレも仕事なのです」


 なんか見てて面白い奴らだな。でもやっぱりここら辺まで元老院の許可が居るのか……どうする気だろう。そんなもん当然無いぞ。
 するとノエインは今度は毅然とこう言った。


「許可はない」
「ええ!? それはちょっと……ええ!?」


 おいおい二回も驚いたぞ。教皇が規則を破ろうとしてるのがそんなに驚きなのかな?


「どういう事でしょうか?」
「元老院には秘密りにと言うことだよ。別に大した用ではない。ほら、ご覧の通り友人が遠出して来てくれたから我らが自慢の一品でも見せようと思ってね。
 だけどこんな事じゃ元老院は許可は出さないだろう? そこで――ね☆」


 なるほどそう来たか。今度は友人か。でもこの大変な時に友人に自慢したがるって……ちょっと人格疑うよね。まあそこら辺も重々承知なんだろうけど。
 二人の門番僧兵もちょっと戸惑い気味。


「で……ですが……」
「二人とも、とても真面目だね。結構結構。君たちみたいな信者が居るならシスカ教は安泰だ」
「そ……そんな! もったいないお言葉です!!」


 二人は思わず膝を着いて頭を下げる。おお~、こういう光景を見るとノエインが教皇なんだと自覚するよ。


「こんな立派な君たちに無理を言ってるのは重々承知なんだ。でも……彼は病床の中、もう一度私に会いたいと遠路遙々……」
(ん?)


 おい、何か話が変な方向に向きだしたぞ。いつの時代の騙し文句だそれ。


「そ……そうなんですか?」
(ええ!? 通じるの?)


 僕は内心ビックリしてます。いや、流石慈愛の精神が普及してるだけあると思うべきか……そう思ってると神官さんからちょんちょんと叩かれた。僕が視線を向けると、手を口の所へ持っていく動作をする。


(えっと……ああ、なるほど)


 理解したぞ。


「げほっ、こほっ……すみませんノエイン。無理なら良いんです」
「そんな事を言うものじゃない! 大丈夫、今は慌ただしいけど、直ぐに事態は収まるから……だからそんな事を言わないでおくれ」


 くっ……安い三文芝居してると顔が赤くなるのが自分でもわかる。とにかく顔を下に向けて苦しげな感じを演出だ。バレたらおしまいだしな。


「その優しさだけで十分ですよ。教皇になった貴方が見れただけで……ぐほっごほっ!」
「スオウ君!! くっ……ごめんよ。教皇になっても私には何の力も無い! 病に苦しむ友の願いを叶える事も出来ないのか!」


 なんだかノエインはノリノリだな。しかも演技してる時の方が生き生きしてる用に見えなくもない。すると僕達の三文芝居を見てた門番僧兵の二人が、思わぬ行動に。


「教皇様! 何も出来ないなんて言わないでください!! 貴方は何も出来なくなんかない……どうぞ、お通りください」


 おお、何故かこの三文芝居が幸をそうしたようだぞ。さっさと中へ入ろう。そう思ってる僕だけど、自分からは動きづらいからノエインの行動を待つよ。
 するとノエインは演技に酔ってるのか予想外な言葉を言いやがった。


「イヤ駄目だ! 規則は守らねばならない。教皇である私がそれの違反を促すなんてそんな……」


 おいおい何言ってるんだコイツ。さっさと入ろうよ。


「大丈夫です。教皇様も前に言っておられました。規則や決まり事よりも時には大事な事がある……と。それは今なんだと思います。大丈夫です、私達は何も見てませんので、思う存分ご友人にお見せなさってくだい」


 そう言って二人はそれぞれ反対側を向くよ。全く、慈愛の精神のせいか、モブリって情に弱いな。警備とかこれで大丈夫なのかって心配になるけど、今はありがたい。


「……済まない。僕はとても幸せな教皇だよ」


 そう呟いてノエインは蔵の扉の前に立つ。そして手をかざすとそこに魔法陣が現れる。手の部分に出た小さな魔法陣にリンクするように大きな扉事態にも魔法陣が現れて、動き出す。
 するとガコンと言う音を立てて重厚な音と共に蔵の扉が開く。


「では、行こう」


 僕達は蔵の内部へと入る。するとセンサーでもあるのか、真っ暗だった内部に明かりが灯される。ボッボッボッボと提灯に火がついた。そして直ぐに浮遊台は見つかったよ。直ぐ奥に六つくらいの浮遊台が横たわってる。
 下が尖ってるから、斜めになってる状態だね。まあこれは以外と大きいし、簡単なのはわかってた問題は……


「もっと奥へ行くよ。宝具はそこだ」


 そんな言葉と共に奥へ。内部にはいっぱいまだまだあるけど、僕達は目的の物しかみてない。そして何やらお札がペタペタ貼ってある杖が一本あった。
 なんかまがまがしいな……これが歴代教皇の一人が愛用した杖か。

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