命改変プログラム

ファーストなサイコロ

戦いの前の試練



 土砂降りの外から再び本殿の中へ。行ったりきたり、何という時間の無駄。それもこれもリルフィンが急に協力的じゃ無くなったのが原因だな。
 何を意固地に成ってるのか知らないけど、リア・レーゼの事を考えろよな。本殿の廊下を進みながら、僕は横目で後ろに居るリルフィンをみる。
 再びいつものローブに身を包んだリルフィンは何を考えてるのか既にわかんない。表情見えないし……僕は小さく溜息を付くよ。


「はぁ~」
「スオウ君」
「何ですかテッケンさん?」


 そっと足下に寄ってきたテッケンさん。何か秘密の話事でもあるのか、声もひっそりしてるよ。だけどこの身長差は聞きづらい。でもいくら可愛くても男を抱き抱える趣味は僕にはないからな。
 だからと言って肩に乗せるのは僕にはなかなかきついんだよね。そんなスペースないし。ああ言うのはデカいエルフとかがやるものだ。まあ、クリエくらいだったら良いんだけど、テッケンさんはきついよね。てな訳で、このまま喋ることに。


「いや……リルフィン君の様子、おかしいと思わないかい?」
「おかしいですね。一体全体どうしたのやら。こんな分からず屋とは思いませんでしたよ」


 僕はテッケンさんの言葉に全面的に同意だよ。だって絶対になんかおかしいし。リルフィンだって自分の行動がどこかおかしいことに気づいてる。だけどそれを変えられない不思議。


「まるで何か別の意志が働いてるかの様な感じ……がしないかい? リルフィン君はそれに動かされてる」
「別の意志? なんですかそれ? なんか物騒ですよ」


 それはとっても心配なんですけど。大丈夫なのかアイツは? いきなり襲ってきたりしないよな。僕は再び後ろのリルフィンをチラリとみるよ。別に発狂しそうって訳じゃないな。多分。
 確かに別の何かもっと大きな意思が邪魔してる……とも思えなくないけど……それならそれがなんだって話になるよね。やっぱ神とかかな? だけどテトラの奴がそれをやってるとはちょっと考えにくい。


「物騒とは違うと思うよ。それに神と言っても、この世界に依存してる神は僕たちからみたら本物じゃないよ。僕達プレイヤーにとっての神はもっとこの世界の根幹を支配する者だ」


 根幹を支配する? 確かにテトラとかはこの世界では神だけど、プレイヤーの僕達からしたら神と言う設定――でしかない訳だよね。
 そういう存在として作られた者。このLROがゲームなんだから、実際僕達が神と呼ぶ者が居るとするならそれは――


「システム? マザーって呼ばれてる奴ですか?」


 確か最近そんな言葉を聞くようになったぞ。テトラからも聞いたし、それになによりシクラの奴が随分とこだわってた。LROを支配するにはそのマザーを乗っ取るのが必要だとかなんとか。
 まあ人に絞るのなら当夜さんとかになりそうだけど、あの人生きてるのかさえ怪しいしな。僕は何度か夢の中の夢であってる訳だけど、どうなんだろうか?
 リアルのあの人はまだ生きてるし、それなら精神もこの世界のどこかにある……筈なのかな? そう願っときたい。


「そうだね。システムにNPCは逆らえない。マザーがどういう存在なのかはまだまだ謎だけど、このLROのシステムの根幹を支えてるのは明白だ。
 僕が思うにリルフィン君が行動と考えが一致しないのはシステムに関係あるんじゃないかと思うんだ」
「システムに関係あるって……どういう事ですか?」


 なんだか良くわかんなくなってきたよ。ようはリルフィンが思ってることはシステムによって行動に移せなくなってたと? 無意識下で? 


「ほら、良く普通のゲームではあるじゃないか。行動が決まってたりする事が。今のリルフィン君の行動もそれに該当するものじゃないかと思うんだ。
 今それをしてしまうと、進行上良くないとか……その為の処置」


 なるほどね。確かにそれを先にやられると困る事ってのはありそうだね。でもここはLROだよ。普通のゲームと比べられる次元にないような。


「それはスオウ君がまともなクエストやミッションをやったことがないからそう思うんだよ。意外と普通の作りをそこら辺はしてるよ。
 ちゃんとした手順と言う物がLROにだって存在する」
「へぇ~そんなんですか。案外普通なんですね。でもそれじゃあ、今それがリルフィンに適用されてるって事は、僕達がしようとしてる事がクエストやミッションの類って事ですか?」


 そんな報告ウインドウには現れてないけど……だけどテッケンさんはある程度確信があるのか、力強く頷くよ。


「そうだね。その可能性は非常に高いよ。だってこれはリア・レーゼにとって大問題だ。国を上げてのミッションになってたとしてもおかしくない」
「確かに大問題ですけど、その出現条件があの場所に行って、あるかどうかもわからなかった結界を壊す――なんて厳し過ぎじゃないですか?
 下手したら絶対に誰にも気付かれずに終わりますよ」


 だって完全にたまたまで偶然だよ。それに結界言うくらいだし、実際中途半端な攻撃じゃ壊れなかったと思うんだ。それこそイクシード+浄神水のおかげ……おかげって言うのも今の状況じゃおかしいけどさ……取り合えずこんなの見つけさせる気ないだろって事だ。


「ははは、LROにそういうのが沢山あるよ。特にレア中のレアなアイテムが手には入る物とか、そもそもミッションやクエストに成らずに進行してたりするしね。
 バランス崩しなんかはプレイヤーが見つけると言うよりも、選ばれる感じだしね。スオウ君のセラ・シルフィングだってそうじゃないか。
 見つけさせるシステムがLROはとってもずさんだよ。そこら辺をリアルに忠実なのかいい加減なのか、どっちと取るかはプレイヤー次第だけど、貴重なクエストやミッション、アイテムにはそれなりの難易度が必要と僕は思う。
 でないと貴重性とかが薄らいでしまうよ。持ってるだけで、体験しただけで自慢できる様な物が必要なんだ。それこそ行き当たりバッタリの冒険感があっていいじゃないか」


 テッケンさんは寛大だね。まっ、でも貴重性は大事だね。運の要素がLROはとっても強いって事ね。元々僕が始めたその日にセツリを見つけたのも運だしね。
 あの日に僕がこの世界に来てなかったら、今の状況はなかったのだろうか? ずっとセツリは眠ったまま? そう思ったけど、だけどそれは自分を特別に感じたい自己中心的な考え方だな。
 きっと僕が見つけなくても他の誰かが見つけてたんだと思う。時間の問題でたまたま僕とアギトが見つけた……それがきっと真実だよね。


「僕的には行き当たりバッタリ過ぎですけどね。たまには決められたルートを通ってみたい気もしますよ。攻略サイトでもみながら……それもゲームの醍醐味じゃないですか。
 何が楽しくて命を晒したまま危険に行き当たらないといけないんだって感じです」


 実際気が休まらないっての。僕がそういうと、テッケンさんはなんか口を押さえてブルブル震えてるよ。えっ何? もしかして僕笑われてる? テッケンさんはそんな人じゃない思ってた!


「ち……違うよ。笑ってなんかないさ」
「嘘です! だって涙目に成ってるじゃないですか!」


 僕がテッケンさんに抗議の声を上げてると、既に本殿の奥の方の神壇の所まで来てた。思わず大きな声を上げてた僕を中に居る本殿勤務のモブリの人達に睨まれたよ。
 まるで「静かに」って言われてるみたいでした。僕は思わず口を紡ぐよ。てかまだ参拝客を戻してないんだ。ここら辺細かいね。
 普通のゲームなら、部屋から出て戻ればいつも通りになってそうだけど、LROではそんな事ないんだね。散らばってる座布団とかリルフィンが空けた穴を一生懸命直してる。


「さて、この奥に行けば何か起こる――筈だね」
 そういってテッケンさんは前にリルフィンが出てきた方をみる。何か……ってそれがミッションかクエストなんだろう。NPCでも居るのかな? でもそれが起きなかったらどうすれば? って感じでもある。
 まあその時は、祠があるとか言ってたし、今度はそこに行くしかないよな。必要な物ないけどさ。
 僕達はモブリの人達を脇目に神壇の裏側へ回るよ。すると神壇の裏に地下へ続いてそうな階段があった。いかにも怪しいな。
 僕達は木の音を響かせながら下へと降りる。すると更に奥に扉が見える。なんだかお札が張られて厳重に封印されてそうな扉。
 その前に一人のモブリの姿もあるな。さっきのグラ爺様よりも歳食ってそうなモブリだ。髪も眉毛も髭も真っ白で、髭と眉毛の毛は繋がりそうだぞ。絶対に視界悪いよあれ。
 そもそもこんな薄暗い所であの人は何してるだろうか? 門番? にしては頼りなさげなんだけど……知らない間にポックリと逝っちゃっててもおかしくない。


「あの……」


 僕は恐る恐る声を掛けてみる。だけど何も反応が返ってこない。僕はもう一度今度は「すみません!」とちょっと大きな声で言ってみた。
 だけど扉の前にいるこの仙人みたいなモブリは微動打にしないよ。耳が遠いせいで聞こえないのか? それとも単に僕じゃダメなのか? だけどもう一度挑戦する価値はあるはずだ。大きく空気を吸って、お腹から声を出すことを意識して――


「あのおおおお! すみませんんん!! 聞こえてますかああああああ!?」
「…………んにゃ? 婆さん、儂ももうすぐそちらに行くよ。はっは、手招きせんでももうすぐじゃ」
「うあああああ! 逝っちゃだめだ! もう少し生きなきゃ僕らが困る!」


 僕は幻覚を見てそうなモブリの仙人をガクガク揺さぶるよ。危ない、この人マジでお迎えが近いぞ。せめて今の問題を解決するまでは持ってもらわないと……そう思って正気に戻す為にブンブンとやってたけど途中で待ったが掛かった。


「止めなさい。それ以上やると正気に戻る前に、魂がポックリ抜けちゃうわよ」
「うお!? 危うく殺人犯に成るところだった」


 危ない危ない。ここでまで指名手配されちゃかなわないよ。僕はフラフラになってる仙人モブリを解放した。


「ぬぬ……スマン婆さん。儂はまた逝き逃したようじゃ」


 そう言って弱そうな肩を落とす仙人モブリ。あれ~なんかガックリされちゃったぞ。マジで死に場所を求めてるなこのモブリ。


「あの~ちょっといいですか?」


 今度は僕に変わってセラが声を掛ける。するとなんか露骨に態度が豹変するよ。


「ぬおっほ! おお、若い娘さんやないけ。この爺を慰めにきてくれたんけ? ならな、ならな爺……」


 おい、今までの無視は何だったんだと言いたい。急にモジモジして、キモいぞこの仙人モブリ。だけど反応が返ってきた事で、何故か僕に対してしたり顔なセラ。
 ちょっと悔しいけど、その気持ちは次の仙人モブリの言葉で消し飛んだ。そしてしたり顔だったセラの表情も一瞬で変わったよ。


「……おっぱい触りたいんじゃ! ――ぐぶっぼお!?」


 頭から扉にめり込む爺。もう完全にギャグだな。お疲れさまっしたーーー。ちっ、どんな重要キャラかと思ったらただのスケベ爺かよ。
 女に声を掛けられるのを待ってたと言うわけか。


「はぁはぁ……なんなのこの爺!?」


 荒い息を吐いて扉にめり込んだ爺を指さすセラ。なんなのと言われても……僕達には応える事なんて出来ないよ。いや、そう言えば一人居たな。随分大人しくなってるから忘れてたけど、リルフィンはしっかりとここに居る。
 でもアイツ、まだなんか悩んでる。自分のおかしな言動で周りが見えなくなってるのが続いてるよ。


「きゃははは! 凄い凄いおもしろ~い!」


 そんな事を言ってゲラゲラ笑ってるのはクリエだ。子供はホント脳天気だな。ここで鍵とやらを手に入れないといけないんだぞ。
 まあ聖獣戦はクリエの事には全然関係ないのかも知れないけど、リア・レーゼが大変な事に成るんだからな。僕がため息一つ付いてると、テッケンさんが扉にめり込んでる仙人の元へ。
 さっきからピクリとも動いてないけど……もしかして死んでるんじゃないかアレ? 


「死んでる……」


 やっぱり……………………ってええええええええ!? 僕達は一斉にセラの周りから後ずさるよ。凄い勢いで。


「ちょっちょっと待ってよ! 冗談……冗談ですよねテッケンさん?」


 ハブられたセラが間違いを要求してるぞ。だけどテッケンさんの答えは変わらない。


「残念だけど……」
「そんな……私のせい?」


 僕達はみんなして頷いた。決定的だろ。きっと外傷も残ってるぞ。言い逃れは出来ないな。


「ごめんなさいセラちゃん。みんななら戦闘不能から回復させて上げられるけど、NPCは無理なの。ごめんね……罪を消して上げられなくて」
「しょうがないさ、誰にでも間違いはある。だが……まあ今回は少々言い逃れは出来ないな。普段から良く手が出る奴だったから、勢いで殴ったんだろうが、勢いだけで人を殺すのはやりすぎだ」
「セラ様! 自分は……自分はいつまでもセラ様の味方っす!! 逃げましょう! 二人で遠い所に! ずっと一緒にいますから!!」


 おい、どさくさに紛れて愛の告白をしてる奴が居るぞ。てかシルクちゃんも鍛冶屋も諦めムードだね。だけどセラは認めたくないのか、必死に否定してる。


「いや違う! これは事故ですよ事故。それかただ単に寿命が来ただけです。ほら、いつでもお迎えが来そうだったし、扉にめり込んだ時に丁度…………」


 自分で言ってて流石に無理か~と思えて来たのか、段々と声が小さく成っていくセラ。するとそこにトコトコとクリエが歩いて行き、目の前で止まると、グッと親指を立ててこう言った。


「クリエはね、セラちゃんならいつかやると思ってた!」


 もの凄いお茶目な決め顔してそう言ったクリエの頭を思わずパカーーンと殴るセラ。やれやれ、鍛冶屋も言ってたけど、その手の早さが原因なんだから少しは自重しろよな。全く学んでない。


「うわああああん! セラちゃんが殴った!」


 涙を流しながら僕の足にしがみついてくるクリエ。お前も殴られる様な事を言ってたけどな。だけどそれでも感情に任せてこんな小さな子を殴るのはいただけないな。
 僕は足下のクリエを抱き抱えてこう言った。


「セラ、いくら何でも殴らなくて良いだろ。子供の調子に乗った発言にいちいち感情をぶつけてるなよ。もっと大人になれ。だからこんな事に」
「あんたに言われたくない。ふん、何よみんなして私を悪者みたいに……」


 あれ? なんだかかなり凹んでる? 少し涙目で僅かに体も震えてる様な。みんなしてセラ一人を責めすぎたか。ちょっと言い過ぎたかな~と反省。


「セラ……」
「いいわよもう!」
「え?」


 反省ついでに謝ろうと思ったんだけど、それよりも早く立ち直るセラは、どうやら解決策を自分で提示するようだ。
 それはまず、スカートを上げて太股にある鏃を四本取り出します。それは聖典の待機状態の姿だから勿論ここから聖典を解放させる――


「――って、ちょっと待てええええ!! お前、聖典を取り出して何する気だよ!?」
「収束砲で証拠隠滅と問題解決をちょこっとね」
「ちょこっとね――じゃねぇよ!! それは大問題だろ!」


 何軽いノリで自分の罪を流そうとしてるんだこいつ。やっぱ恐ろしいわ。セラ怖い。


「スオウ……あんたはわかってない。考えてもみなさいよ。あの人はきっと幸せに逝けたわ。私はその望みを叶えたの。
 それにここで私が犯罪者になって誰が得するのよ。それにこの砲撃で扉も壊して鍵とやらを手に入れれば一石二鳥でしょ」
「おい、罪状増えてるぞ」


 僕は冷静にそう突っ込んでやった。だけどそこら辺はスルーらしい。そしてセラは遠くを見てこういって締めた。


「そもそも、大儀の為には多少の犠牲は付き物よ。私達が聖獣を倒して街を守ればきっとそのモブリも満足よ」
「もの凄い自己完結だな。てか、大儀の為に犠牲を出す事を仕方ないとか言う奴は、どんなゲームでもマンガでも小説でも、打ち倒される悪役だぞ」


 ようは今まさにセラはダークサイドに落ちたと……そう言う事ね。まあセラには似合ってるかもね。そういう一面持ってたし。落ちるべくして落ちたって感じ。


「セラちゃん、戻ってきて! いけないことしたら怒られるのは当然だよ。確かに怒られるのはイヤだけど、そうしないとオアイコにならないんだよ。
 だからね……強く生きていこう!!」
「クリエ……」


 おお、なんだか初めてクリエの言葉がセラに効いてる感じだ。まあこいつにしてはマトモな事を言ってたもんな。だけど実際、クリエの言い方じゃ、人殺しにつりあわないけどね。子供のイタズラ事じゃないんだぞ。
 謝ったって怒られたってオアイコには決してならない罪って物がある。クリエの言葉で少しだけ迷いを見せるセラ。するとその時どこからともなくセラの胸に飛び込む小さな姿が!!


「むほっほ~~~い!! 出来る女系のナイスなお胸じゃああああああ!」
「んぎっ!?」
「「「――って、ええええ!?」」」


 唐突な出来事に声を上げる事が出来ないセラ。だけど僕達は思わず声を出したよ。だって……だって、そんなおかしな台詞と共にセラの胸に飛び込んだのはどうみても今し方死んだはずの仙人モブリだ。驚くなって方が無理だろ。


「むひょほほほほほほおおおおお!!」
「ちょ……止め……んっ」


 もの凄い高速で腕を動かしてセラの胸を揉みしだく仙人モブリ。そのテク……まさに仙人クラス。なんか羨ましいぞ。


「やめ……やめ…………止めろ変態!!!」


 その瞬間展開された聖典の光線が仙人様に炸裂した。真っ黒焦げになって床に落ちる仙人モブリ。息をしてない、どうやらただの屍の様だ。


「何なの一体?」


 皺が出来た服を整えてるセラが、息を荒くしてそう言う。でも確かに何なんだろう? テッケンさんが嘘を付くはずも無いし……


「むひょほおおおおおおおおお! こっちの子もめんこいのおおおおおお!!」
「へっ? ――きゃああああああああああ!!」


 振り返るとそこにはシルクちゃんの胸に顔を埋めてる仙人……いや、犯罪者がいる!! ぶっ殺す!! 僕は迷わず武器を抜いて、犯罪者を成敗した。


「お……おおおお……我が生涯に一変の悔い……やっぱ有りかも……最後は巨乳を希望しとくのじゃ……」
「ふん、そんな希望が叶うか。変態が」


 僕は鞘に納めながらそう呟く。すると後ろからポンっと肩に手をおかれた。振り返るとそこにはニヤニヤしてるセラの顔がある。


「ふふ、これで同罪ね」
「…………しまったあああああああああ!!」


 僕は頭を抱えて嘆くよ。ついなんだ……シルクちゃんが変態に襲われてたから……別にセラなら良かったんだけど、シルクちゃんはダメじゃん。許せないじゃん。


「おいこら、それはどういう意味だオイコラ」


 ふん、ポキポキ骨を鳴らしたって無視してやるもん。だけど僕はここで気づいたよ。そもそもこいつ既に三回も復活してる……それなら……


「むっひょほおおおおお!! 今度は儂のナニで二人を気持ちよくさせてやるじょおおおおおお!!」


 やっぱり! またしても復活しやがった――って、なんか奴の一部分が体に不釣り合いな位に膨らんでる様な……


「スオウ! あの人バナナを隠し持ってるよ! それも超大きい奴!!」
「ああ……そうみたいだな」


 真実は告げまい。てかもしかしたらその可能性だって……無いか。でもクリエには後十年位は早いから、その解釈で良いよ。変態の局部の膨らみを見た女子二人は絶叫と共に逃げ出してる。
 シルクちゃんはわかるけど、セラも案外純情だな。まあ取り合えず……もう一回殺すか。

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