命改変プログラム

ファーストなサイコロ

僕達の道標



『え~と、今日の天気はとりあえず後半から天候悪いかな? 雨ドシャドシャかも。世界樹がちょっと興奮してるから、いつもよりも長引く雨になりそうよ。
 後、星占いで観た最高の運勢はカスタカスペリオン座です。意外な出会いは雨の中走ることで訪れちゃうぞ。逆に運勢が死んだ方が良いよって人は、アントロルース座のそこの貴方です。
 しかも男で鈍感で足の臭いが臭そうな人は死にましょう。それがイヤなら、貴方は雨の中で社に行脚信行をしてください』


 なんてヒドい放送。現れた画面から聞こえる声と言葉はとてつもなく不快だな。てか、これを放送してるのか? ちょっと信じれない事だぞ。誰がこんなふざけた放送をありがたがって聞くんだよ。どう考えても打ち切りだろ。てか、打ち切りにしろ。
 こんな適当な放送でローレの奴はもてはやされてるの? 納得いかねー。


「あはは、面白いねコレ!」


 そう言ってクリエは画面を指さしてケラケラ笑ってるよ。


「ねぇねぇ行脚なんとかってなに?」
「う~ん、お社に何回も往復してお参りする行為の事じゃないかな? 神様が願いを聞き入れてくれると信じて、何度も何度もお参りするんだよ」
「じゃあ、神様がお願い事をきいてくれなかったら、その人死んじゃうね!」
「えっと……」


 シルクちゃんが笑顔のまま固まったぞ。なんて事を無邪気に言うんだクリエの奴。まあ確かに今のローレの言葉だとそうなりそうだけど……そんなの結局占いだろ。


「あほ、そんな可能性が一パーセント位あるってだけだろ。マジで死ぬかよ。てか、シルクちゃんを困らせるな。占いなんてリアルもここも鵜呑みにする必要なんてないんだよ。
 どうせ誰も検証しないんだし。そんなの適当に言ってるだけなんだからな」


 ほんと、口八丁で金が貰えてるんだから、リアルの占い師は人間ちょれぇ! とか思ってそうだよね。それっぽいこと言ってれば、勝手に解釈してくれるし、当たらなくても「やっぱり占いか」で済ませてくれる。苦情なんて言わない。
 そしてもしもたまたま百万回に一回でも当たったら「占いの通り」って思うんだよね。アホだろ。しかもそんな百万回に一回の良い声だけが集まって、虚構の人気占い師が誕生するわけだ。
 当たらなかった事を誰も気にしないんだから、良い声しか集まる筈がないって言う、なんともぼろい商売だ。百万回に一回のイメージが、なぜだかいつの間にか「良く当たる」に変換されるんだよ。
 占いなんてそう言うもんだろ。


「そうなのかな~?」


 クリエはまだ占いを信じてたいお年頃らしい。だけど現実なんて、可愛そうだけどそんなもんだよ。だって良く朝のニュースで出てくるラッキーアイテムとかあれそこ意味が分からん。
 どうやって導き出してるんだよと言いたい。このローレの占いだって、アイツの性格上、コツコツ占うなんて思えないもん。絶対に星を仰ぎ観て「閃いた!」とかで一番と最下位を決めてそうだ。もの凄い偏見だけどね。


「スオウ君、そんな夢も希望もないこと言わないでください。女の子は毎日の占いに一喜一憂する物なんですよ」
「まあそれは知ってるけど……でも大体占いなんて良いことしか受け止めなくない?」


 毎朝の日鞠がそうだもん。アイツ自分に都合の良いことしか効かないし。まあアイツは大凶を強制的に大吉にしちゃうような奴だから、そもそも占いなんて話半分も信じちゃいないだろうけどさ、普通に女の子っぽいことはやっておきたいらしい。


「まあ、確かに悪い占いは観なかったことにはしますね。でもでも良い占いだったら朝からハッピーですよ」
「幸せなことですね」


 僕はなんかそういうしかないよ。まあ浅い占いなんて、実際その程度で良いと思うよ。今のローレの占いを聞いて実行する人なんて別にいない――それで良い。


「主の占いはこの地の住民にとってはとても重要な物だ。貴様が思ってる程、軽いものじゃない」


 僕が占いをバカにしたからか、リルフィンがそんな風に言ってきた。


「ええ~、あれが? そんな軽くなかったら、もっと重要そうに言えよ。ローレの言い方事態が軽かったぞ。てか、ふざけてた」


 あれはどう考えても絶対にな。それにそんなに重いのなら死ぬとかいうなよ。自分の言葉の影響力を正しく理解してるのなら、ダメだろあれは。


「だからちゃんと回避策も話してらっしゃっただろう。心が深い方なんだよ」
「………心が深い? お前マジで言ってるの?」
 雨の中を行脚しろってやつ? おふざけとしか……いや、嫌がらせとしか思えないんですけど。まさか本当にやっちゃう奴がリア・レーゼには居るのか?
 でもそもそもなんか運悪い奴だけ、具体的だった様な……星座だけじゃなかったし。てか、あの星座は何? なんか聞いたこともない名前してたんだけど。


「無知な奴だな、十二星座も知らないのか?」
「いや、僕が知ってる星座と違うから……」


 てかLROに星座とかあったんだ。そういえば一応誕生日を設定した時に、それらしいのがあったような……でも全然意味なかったし、完全に忘れてた。


「LROの星座は何故か分かりにくく改変してありますよね。何か意味があると考えてる人もいますけど、星に関する事って大抵この世界の深い部分と繋がるから、ミッションでもクエストでも早々出てきたりしないんですよね。だからこの世界の星座の事はまだまだ結構謎です。
 確か誰が付けたとかもわかってない感じだったと思います」


 シルクちゃんが優しくそんな説明をしてくれる。流石頼りになる子だね。


「星に関することはこの街が全てを握ってる。だからこそ、占いもこの街ではお告げと同じ。それだけの重要性がある。
 あの方は決して適当にやってる訳ではない。伝えやすい言葉でフランクに接してるだけだ」
「フランクって……フランク過ぎだろ」


 もっと威厳とかさ……そこら辺はいいのか? まあローレの場合、直ぐにボロが出そうだし、それを考えたら最初からあのキャラのままの方が良くはあるのか。


『ちょっと、私の中継に文句あるっていうの?』
「うお、なんだ? 外に向かって放送してるんじゃないのか?」


 いきなり画面内の声がこちらに向かってきたぞ。いいのかそれ?


『大丈夫よ。もう中継は終わってるから。ほんと、毎回待ちわびられてるから大変だわ。まあ頼られるのも私という存在の偉大さ故なんだけど』


 うわ、また自分で言ってるよコイツ。本当に転落しないかな……その位置からコロコロと。だってコイツを崇めてるリア・レーゼの人達がなんだか哀れと言うか……可哀想。


『何よその目は? 文句でもあるわけ?』
「別に……それよりも連絡してきたって事は、これからの事の為だろ? 本題にさっさといこうぜ」


 散々横道に逸れてきたからな。今回はパッパと行きたい所だ。


『まあ、それはいいけど……なんだかそっちは楽しかったみたいね。憎たらしい』


 なんで憎たらしい!? いちいち棘が大き過ぎないか。そこは羨ましいとかで言いじゃん。幸せそうに寝てる鍛冶屋や、ノウイを見て楽しそうと思ったんだろ? 憎たらしいは無いだろ。
 どんだけヒネクレてるんだよ。


「そんなに一人が寂しいんなら、こっちに来れば良かったんだ。そんなに恥ずかしい容姿してるのか? LROで珍しいな」
『バッ! 誰が恥ずかしいか!? 私は誰もが見とれる美しさよ!! 勘違いするな!』
「ええ~、そんな事言われても、この目で見るまではちょっと信じれないな。別に良いじゃんブスでも。LROでは逆に個性的だろ?」


 恥ずかしい事じゃないよね。個性的で売り出せば良いんだ。自信を持てよローレ。


『だからブスじゃないわよ! いつかアンタを戦々恐々とさせてやるから覚悟しときなさいよ!!』
「戦々恐々って……お前どんだけ酷いんだ……」


 今すでにガクブルしそうだよ。そこまでだったんだ。なんか……ゴメン。そんな悪い気がしてきた。女の子に容姿で突っ込むのは不謹慎だったな。ただでさえ美女や美少女が溢れてるのにね……それは隠れたくなるよな。


『だからそうじゃないわよ!! ああもういいわ、その時まで私に残念なイメージを持ってると良いわよ。惚れさせてあげるわ』


 そう言って鼻息荒くしながらなんとか余裕を見せようとするローレ。はは、ギャグにしてはなかなかだったよ。まあ惚れるなんてあり得ないだろうけどね。
 そもそもモブリの姿で恋愛とか望むなよ。そう言うのしたかったら、せめて投身がまともな種族にしろっての。マスコットにはなれるんだけどね。可愛いペットみたい~から抜け出せないよ。


「もう、スオウ君はローレ様を軽んじ過ぎですよ。名誉の為にフォローすると、ローレ様は可愛いです」
『アンタが言うとムカつくからそんなフォローいらないわ』
「……す、すみません」


 なんて酷い奴! シルクちゃんの善意の言葉を投げ捨てやがった。いや、押し返したな。目の前にいたらスパーーンと殴ってやるのに……口惜しい。
 てか、シルクちゃんも良くコイツをフォローするよね。ちゃんと嫌いとか言われたのにさ。まあそれでも誰かを嫌わないシルクちゃんが素敵なんだけど。ローレも街を代表するプレイヤーで、バランス崩しまで持つのなら、もうちょっと見習えよな。
 シルクちゃんの爪の垢でも煎じて飲ませてやりたい。


『あ~気分悪くなったからさっさと出て行きなさいよ。私のアトリエは基本他人の進入を許さないのよ。それにこの場所は私だけのお気に入りでないとダメ。
 庶民といつまでも共有なんてできないわ。滞在一時間毎に百万とるわよ』
「ぼったくってんなよ……」


 何が滞在一時間で百万だ。まあリアルの方で宇宙旅行をしようと思えば、まだまだそれ以上に高いから破格と言えば破格だろうけどね。
 あの光景は百万の価値はあるだろうとは思う。だけどそこを独り占めしようとする辺り、ローレの器の小ささが図れるよ。


「てか、これからの事を話し合うんじゃ無かったのかよ。どうするつもりだ? 既にリア・レーゼだって無関係じゃないぞ」


 僕がそう言うと、ローレは布の向こうで意地らしい笑いを浮かべながら、きっと扇子とおぼしき物を開いて左うちわしだす。
 どこの悪徳大名だよコイツは。


『そんなの百も承知。そもそもの原因のアンタが言わないで欲しいわね。私だって別にアンタ達を投げ捨てようなんて思ってないわよ。
 気分を害したのは本当だけど、下に行く意味だってあるわ』
「意味?」
「何ですかそれは?」


 僕とシルクちゃんが期待に応えてちゃんとローレの話に耳を傾けてやる。疑問と興味を投げかけてね。するとローレは面倒そうにこう言うよ。


『それはほら、下にも重要な場所はあるし、その子――クリエだっけの願いのヒントとかあるかも。アンタ達だって、色々と自分の足で調べたいでしょ?
 まあ何が分かるとかの保証はないけど、行動を起こすには下が良い。というか、ここは神聖な場所だから、いつまでもアンタ達を残留させて置くわけにもいかないのよ』


 お~い、最後の一文で、それまでの言葉が全て建前になったぞ。結局独り占めしたいだけじゃないか。それにここに来てまだ闇雲にやるってのも……もう三日もないんだっけ? 後二日位? それなのに、僕はまだまだ全然届いてない様な気がする。
 実際このままで大丈夫なのか不安だよ。このペースで僕もクリエも願いを遂げられるのかな?


「まあここが神聖な場所と言うのは理解できます。だけど私達が自由に街を歩いて大丈夫なんですか? えと、サン・ジェルクの方には捜索中って言ってるのに、堂々と散策してるの知られたら言い逃れ出来無くないですか?」
『そんなの自分達をアホで通せばどうにでもなるでしょ。向こうは常にこっちを下に見てるんだし、そう言う言い訳は簡単よ。気に入らないけど……だけど更に大きくサン・ジェルクを驚かす為なら、まあ我慢できるかな。
 今からニヤニヤが止まらないわね』


 そう言って自身の頬をプニプニとマッサージしだすローレ。どんな策を巡らせてるのか知らないけど、気が早すぎだろ。上手く行くなんて決まってないぞ。そもそも災厄だったんじゃ無かったっけ?
 それって不幸がこの街に訪れるって事だよね。どうしてニヤけれるのか疑問だよ。


「驚かすっていっとくけど遊びじゃないぞ。いや、まあLROはゲームだけどさ……普通のプレイヤーの意識まで決めつけれないけど、ええと、だから……」


 僕はなんと言おうか頭で色々考えるよ。このふざけたローレの意識をもうちょっとマシにするにはどうすればいいか。でもなかなか良い言葉は思いつかない。
 僕がしどろもどろしてると、ローレがなんか意外な事を口走る。


『別に私はお遊びでアンタ達を迎えた訳じゃないわよ。それに自分だけが特別だなんて思わない事ね。私だって特別なのよ。下々のプレイヤーよりも、LROに浸ってるつもり。それにどうせなら、自分が居る場所がこの世界で最高の方がいいじゃない。
 まあ実際は適度で良いんだけどね。私的には。だからこれをお遊びなんて思っちゃ無いわ。寧ろここに賭けてる位。私はね、まがいなりにもこの街の代表って自覚はあるのよスオウ』
「……そうなのか? それは良いこと……だな」


 僕は胸をモヤモヤさせながらもそう答えるよ。自覚あったんだな。まあ実際リア・レーゼの人達はコイツを悪く言わないし、やっぱりちゃんとやることはやってるって事なんだろうな。
 僕達に見せないだけで、表はちゃんとやってるって事ね。


『世界が終わる時には、私の力でこの街だけは守ってみせる――その位の気概は持ち合わせてるわ』


 なかなかにデッカいことを言うローレ。それだけの覚悟してやってるって事を伝えたいのかな。まあ、想像以上に責任感って奴を持ってるみたいです。
 態度や言動にそれが現れてないけどな。


「確かローレの力って……『召還』?」
『ふ~ん、無知そうな顔してる割には知ってるんだ。まあ幾らアンタが無知でも、私の力は有名だもんね。そう、私の力は召還よ。私が本気を出せば、一人で国の一つくらい潰せるわ』


 得意気に扇子をフリフリするローレ。まあ確かに召還って強そうだよね。アレだよね? 攻撃するときだけ出てくるとかの一瞬じゃなく、呼び出したら倒されるまで居てくれるんだよね? まあ普通に後者の方だと思うけど。
 LROのスペックなら、その位は出来るよね。後は一体こいつが何体位出せるのか――だな。制約とかはあるのだろうか。
 僕がローレの力を推察してると、なんだか食いかかる奴が一人いた。


「バランス崩しの力はどれもその程度はあるわよ。別に特別なんかじゃないわね」
『ああ、そう言えばエルフも持ってたんだっけ? えっと何? カーテナだったかな? あの玩具。バランス崩しにしては貧弱な力よね。
 条件がアルテミナスの地であることなんて、自国でしか使えない武器なんて欠陥品でしょ』


 ローレの小馬鹿にしたような言葉が炸裂する。すると明らかにセラの方からプッツンとか聞こえた様な……


「欠陥品? 言ってくれるわね。そっちなんて戦場で殆ど使われもしなかったくせに。カーテナの評価は実績あっての物ですけど、そっちはほぼ期待という意味での想像でしか無いじゃない。
 実際召還が言うほど凄いとは私には思えないわね」
『あっははは! やっぱり戦闘大好きの民族が言うことは野蛮ね。実績って、そんなのアンタ達はバランス崩しに頼らないとダメな所まで追いつめられてたからじゃない。
 不名誉な実績のご自慢ご苦労様。それにそもそも私がこの力を手にしたのはあの頃の終盤だし……もう少し早ければこの世界からアルテミナス消えてたわよ』


 何故か画面越しなのにバチバチと火花が散ってるのが見える。二人ともそれぞれの意地とプライドがぶつかり合ってるよ。無駄にデカイもんなどっちもさ。


「こらこら二人とも、今はどちらの力が優れてるとかじゃないよ。大切なのはそれぞれに必要としてくれる人達が居るって事なんじゃないのかな?
 アルテミナスのアイリ様も、リア・レーゼのローレ様も優劣では計り得ない魅力を持ってると僕は考えてます」


 二人の火花の間に入って気の利いた言葉を言ったのは当然テッケンさんだ。流石頼りになる存在第一号。ちなみに二号はシルクちゃんです。


『流石テツは良く分かってるわ。低い次元の争いなんて醜いだけよね』
「ほんと、テッケンさんは流石です。低い次元に居ることを気づいてない誰かさんとは違います」


 何とかこの場は収まったけど、二人の火はどうやら消えてないなありゃ。てかどうやっても話を進める前に一悶着やらないと気が済まないのなローレの奴は。


「なあローレ。結局僕達は下に行かないとダメなのか? なんか指針はないのかよ? ここの他の建物の方が重要そうじゃないか?」
『まあ確かにここは全てが重要な場所よ。だけどその子に関係があるかと言うと微妙よね。まあ何かあるのなら、一応行くだけ行ってみても行いわよ。期待はずれだとは思うけど』


 なんだか随分ハッキリとそう言うな。わかんないだろそんなの。期待って意味では大きいんだけどな。これだけ星に近い場所なんて早々無いだろうし、何かあったっておかしくないじゃん。
 神に関係した場所なんだろうし、クリエに反応する伝説の○○みたいな物が出てこないとも限らないだろ。


『そんなのが出てくるなら良いけど……でも既に私の武器がそんな感じだし……』


 ぬぬ……言われて見れば確かにそうなのか。二度も同じ感じのアイテムは出てこないか? だけどLROって何が起こるかわかんないからな。やっぱり重要そうな場所を無視する事は出来ない。


「そもそもお前のその言葉のソースはどこだよ。勘とか言うなよ」
『忘れたの? 私の力は予知でもあるのよ』
「予知は出来ないんじゃ無かったっけ?」


 確か今は見えないとかいってただろ。だから面白いとかなんとかふざけたこと抜かしてたじゃん。


『出来ないわよ。だけど私占いの的中率も凄いのよね。星詠みはいろんな応用が効くのよ。占いによると、天は黒で地は白。押し寄せる波は激しく大地を揺らして災厄はこの地に訪れる』
「ダメじゃねソレ?」


 どう読んでも悪い結果だよね? 災厄訪れるのかよ。


『まあアンタ達を受け入れるか受け入れないかの分岐だった訳だし、そこは問題ないわ。ただ気になるのは天の黒と地の白よ。で、私は考えたの。天は空だし、それならここかなって。黒って事はなんだか悪い事が起きるのかも。
 地は白……それならまだ下に行く方が良いじゃない。白は大抵良い事よ。まあ悪いことに比べての多少かもしれないけどね』
「だから下へいけって? お前のその占いってどんなの何だ?」


 予知もそうだけど、どんな風にやってんだろ? 気になる。


『予知は声が聞こえて見えるの……未来がね。占いは色々ね。道具を使ったり、星を見るだけだったり、気分の問題。だけど重要なのはそこじゃないから問題ないわ』
「いや、問題ないって言われても……全然わからん」


 結局どうやってるのか謎過ぎだ。意図的に伝わらないように言ってるのかこいつ?


『嫌々言わないで従いなさいよ。いっとくけど、私の占いにはちゃんとした実績もあるわよ。だからどうやってるかなんて問題じゃない。
 取り合えずアンダーソンはここで面倒見ててあげるから、アンタ達の道はあんた達でみつけなさいよ。そういう物でしょ』


 まあ確かに。異論はない。これは僕達の冒険だしな。僕と起きてるみんなは視線を交わして頷きあう。道を見つけないといけない。
 ハッピーエンドに繋がる道を。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品