命改変プログラム
お食事後は本音の時間?
はてさて、楽しい食事の時間も終わると、酒を煽ってたバカは眠りに入りやがったよ。おいおいまだまだ寝るには早い。
てか、これからが本番だっての。ようやくクリエも復活したんだし、ここからどうするかがきっと大事だろ。それなのに鍛冶屋とノウイと来たら……
「別にいいでしょ、その二人はいなくても」
「おいおい、さらっとそういう事言うなよな。仲間だろ。仲間外れなんて可愛そうじゃないか」
幾ら鍛冶屋とか時々忘れられる存在だからって、意図的にやったら虐めだぞ。セラは全くひどい奴だな。
「だけど起こしたって面倒なだけじゃない。酔っぱらいって私嫌いなのよね」
「まぁそれはわかるけどな。水でもぶっかけて起こせば酔いも冷めるんじゃね?」
「アンタね……どっちがヒドいか分かったもんじゃないわね今のは」
なんか僕が非難の目をセラから浴びてるぞ。どう言うことだよ。僕はただ酔っぱらいの目の覚まし方をだな……
「ほらほら、ちゃんと口元拭かないとダメだよクリエちゃん」
「んーんー!」
なんだか僕たちの微妙に険悪な雰囲気とは違う癒しのオーラが見える。優しく口元を拭って上げてるセラはとっても出来たお姉さんみたいだね。
クリエもお姉ちゃんの前ではなかなか大人しくしてるし、もう任せきりでもいいよねって感じ。
「美味しかった!」
「うん、そうだね。それじゃあちゃんとお礼しないとね」
「うん!!」
そんな会話の後、クリエは食器を下げてる仲居さん達に向かって「ありがとう」と言ったよ。なんかクリエが普通の良い子に見える。やっぱりシルクちゃんの影響か?
「なんだかアンタと一緒に居るときのクソガキ具合が減ってるわね。やっぱり構う相手で違う影響が出るのかしら?」
「なにが言いたいんだよお前は」
まあ僕も思ってたけど。このままシルクちゃんに任せればバカでも無くなるんじゃないかと……あの微笑ましい二人の姿を見てると、そうできたら良いよなって思う。
いっとくけど、自分が面倒だから……とかじゃないよ。純粋にクリエが普通の子供として生きれるのなら、それがいいんじゃないかなって思っただけ。
まあLROの住人にそんな事を思うのもおかしいのかもしれないけどさ。
「自分達はこの世界の為に何が出来てるのか……時々僕も考えるよスオウ君」
「テッケンさん?」
なんだか優しくクリエとシルクちゃんを見てたテッケンさんまでもこちらに来て語り出す。
「この世界で僕たちプレイヤーがやってることは本当に良いことばかりなのだろう? ってね。モンスターを倒し、競うように国を成長させ、NPCという存在に多大に関わる。
クエストやミッションとして結末が決められてるのかも知れないけど……それで何かを無くしたりするし、取り戻せなかったりししたNPCの姿は胸に来る物があるよ。
画面の前に座ってやってればこれはゲームで、作られた物語と割り切れる物が、ここではそうそう容易じゃない。
ミッションやクエストで関わるNPCは生きてるように振る舞うし、一緒に居る間は情だって移るから……だから決められた結末がちょっと悲しいと納得できなかったりする。
僕たちが関わらなければ……そう思うときとがある」
テッケンさんは一体何を見てそういってるのだろうか。クリエに視線が行ってるけど、その実クリエを見てないような気がする。もっと他の誰か……それとも今まで見てきたそんなNPCを思い出してるのかも知れないな。だけどそこに水を差すようにセラがこう言うよ。
「それはどうでしょう? その考え方は私は共感出来ないかも知れません。NPCはいわば時間が止まった存在ですよ。いうなればこの世界という時間そのものが、普通は動いてないと思ってます。
私たちプレイヤーが観測して、関わって、そしてこのLROって言う世界は動いてるんですよ。私たちが彼らの時を進めて上げる。それは言い換えれば前に進めて上げるって事じゃないですか。
それにここに一回こっきりのクエストなんて早々ないし、誰かが美味くやるその時があるはずですよ。それで良いと思いますけどね。テッケンさんは何も手を抜いてきたわけじゃないですよね」
そんなセラの言葉に、テッケンさんは「ああ、勿論だ」と力強く答えるよ。流石テッケンさん、ここで変に詰まらないのはそれだけ自分の行動に誇り持ってやってきたって事だよね。
てか、セラが案外まともな事を言ったのにもある意味びっくりだけどね。僕達が関わるまで止まった世界ね。斬新な考え方だけど、分からなくもない。NPCは待ってるんだよ……僕達プレイヤーが望む、望まないじゃなく、結果って奴をもたらす事を……だ。そういう事だろ? セラの言ってることは。
「確かにセラくんの言うとおりなのかもしれない。関わった事を後悔してもしょうがないしね。自分が動かした分の時間が無駄じゃ無かったと思えるようにしないといけない。
だけど……」
そこでテッケンさんは唐突に僕を見上げるよ。しかもかなり真剣な表情。しかもそこには目を反らせない力強さって物がある。なんだか珍しいテッケンさんの表情だ。
「君は違うよスオウ君。君が進めるNPCの時間は、このLROにとって……そして君自身にとってとても重大な事だ。
やり直しなんて出来なくて、そして誰も代わってやることも出来ないことだよ。君は勿論分かってるだろうけど、ちょっとそれを確認しときたかっただけだ。ごめんよ、僕なんかが偉そうに言える事じゃないね。
その立場になってみないと誰も分からない事なんだし、スオウ君はとても良くやってるよ。逃げず、迷わず、そして僕達を気遣って不安な顔なんて見せない。その命の期限は刻一刻と削られてるのに、きっと僕には真似できないだろうな」
そう言って最後には笑顔を見せてくれたテッケンさん。だけどなんか僕の頭には疑問符が浮いてるぞ。なんだろうもしかして今のは、数少ないテッケンさんの嫌み? 最後の部分だけだけどさ、そう聞こえなくも無かったよ。
でもテッケンさんがそんなこと……あり得ないな。そんな事を思ってると、僕を小馬鹿にしてばっかりの奴から横やりが入る。
「テッケンさんは過大評価し過ぎですよこのアホを。どうせ何も考えてないんです。行き当たりバッタリで、何とか出来ると私達に頼ってるだけです。
仲間だから頼る、頼られるって普通だってみんなは言うでしょうけど、私的にはウザいですけどね。自分だけじゃどうしようもない時、力を合わせて乗り越えるってのは良いです。認めましょう。私も先のアルテミナス大戦では、頼りましたしね。
けど……いつだってそれを前提にってのは違うでしょ? 頼られるのは良いです。だけど当てにされることは違います。そこら辺、このアホは分かってないですよ。テッケンさんももう少し厳しく接しないと、スオウに仲間と言うか、便利な人として認識されますよ」
「おいおい、失礼だなお前。僕がいつ、そんな風にテッケンさんをみたよ。頼りにしてるけど、そんな便利な奴って感じで見たことはない!」
心外だぞそれは。セラの奴、実は他の部分の関係を壊して、自分側を築きやすくしてるとか……そんな感じか? まあ流石にそこまでして、僕と良好な関係を築きたがってるとも思えないんだけど。
「はは、便利な奴か……でも僕は、アテにされるだけでも良いんだよ。それでも必要とされるならね」
「それは、パシリでも奴隷でもって事ですか? テッケンさんがそんな人だとは正直思ってなかったです。真実を告げると、それは必要とされてるんじゃありませんよ。遊ばれてるんです」
セラの奴は相変わらずオブラートに包むって事を知らないな。そこまではっきり言うか? まあ完全に同意だけど。テッケンさんは今までで良い人で頼りになる人だ。
彼は僕が知ってるプレイヤーの中では一番尊敬出来る人物だと思ってる。それは今も当然そうだけど、彼のその並外れた親切心は今の言葉でちょっと間違ってないか? と思えてきたな。
大切な美徳だけど……パシリのアテにされてまでその親切心を発揮することはないと思います。まあ僕が言うまでもなく、セラがズッパシと言ったからここはテッケンさんの反応待ち。
床で大の字で寝てる二人のイビキがなんか耳障りだな。そんな雑音を無視して僕はテッケンさんを見るよ。
「ははは、相変わらずセラ君は厳しいな。だけど断る事なんかできないよ」
「なんでそこまで……私には理解できませんね。人間誰しも、自分が一番ですよ結局。誰かに親切にしたら親切が帰ってくるなんて詭弁です」
うおい!! それはダメだろ。昔の人の良い言葉を全否定したよこいつ。なんとも恐ろしいやつ……先祖の墓にも余裕で唾を吐きそうだな。まあそこまでじゃないだろうけど……恐ろしい奴に変わりはないな。
だけどそんなセラの辛辣な言葉にも耐えてテッケンさんはこう言うよ。
「親切は見返りを期待するものじゃないよセラ君。自分がしてあげたいからやるものだ。それで誰かが喜んでくれるのならそれで良いんだよ。
心の問題なんだ」
「私には……理解できませんね。確かに見返りまでは計算しませんけど、損得は考えます。私にとって、その相手がどういう人物なのかは重要ですからね。
テッケンさんは卑しいと思うかも知れませんけど、それが普通です。勝手な印象ですけど、テッケンさんがそこまで『他人の為』とか『自分を犠牲にした親切』とかやってると知ると、ちょっと異常と思えます。
なんだかまるで贖罪でもしてるかのようですよ。それかただ単に親切マニアなのか……ですね」
なんだよ親切マニアって。そんなマニアが居るなら、確実にテッケンさんは第一号になれそうだけどもさ! まあ贖罪とかよりも、まだ平和そうで良いとは思えるか。ある意味親切マニアってテッケンさんに似合ってると思うよ。
でもやっぱり誰にでもってのはどうかと思うけどね。それを聞いてるからセラだって、なんか重い感じの『贖罪』なる言葉を使ったんだろうしな。
「贖罪か……そんなんじゃないんだけどね。どちらかと言うと親切マニアかな?」
モブリの愛らしい笑顔を向けてそう言うテッケンさん。なんか重い理由でもあるのかと想像してた僕は、ちょっと肩の力を抜けたよ。良かった良かった、まあでも考えてみれば現代日本で贖罪の為に親切を繰り返すなんて苦行を行う事は早々ないよね。
だけどそんな僕の安堵とは逆にセラはしかめっ面を崩さずに息を吐きこう呟いた。
「そうですか……なら、なおのこと質が悪いですね」
「? どういう事だよセラ? 寧ろ逆じゃないか?」
なんかセラの言葉に納得できないぞ。だって大きな物を背負ってなかっただけ良かったと思うべきだろ。まあテッケンさんが完全に本音を言ってるとは限らないけどさ。
幾ら親切の極みみたいな人でもさ、隠しておきたい事の一つくらいはあるものだろう。それは別に良い人悪い人問わずに、人間ならと言う意味で。
「それは――」
セラは僕の投げかけた言葉に答えようとしてくれてた。だけどそこで思わぬ横やりが入ったよ。
「スオウーーー!! クリエ、下に降りたいな!!」
そう言って足下にしがみついてきたのはクリエだ。あれだけ食って腹は満足出来たから、今度は遊びたいと言うことか。普通はクリエ位の年なら食ったら次は寝る――だと思うけど、よくよく考えたらずっと寝てたから眠たくはないんだな。
「お前な、こっちは色々と重要なそうな話をだな……」
「クリエを仲間外れにするのはイヤ!! そんなブッツンだよ! ブッツン!」
なんだその新しい表現は。会話を途切れさせといて悪びれない上に、認めませんってか? 凄い図々しさだな。流石はガキだ。そこら辺に気を使うって事がまだ出来ないお年頃って事だろう。
「ちっ」
あからさまに不機嫌そうなそんな音が僕の耳に入った。視線を上げると、セラが冷たい瞳でクリエを見下してるよ。
「おい、お前それは子供に向ける顔じゃないぞ」
僕は小声でそんな忠告をセラにしてやる。なるほどね、クリエがなんか苦手にしてる理由はこれだな。まあセラが子供を好きとは思えないから、自然と顔に出てくるんだろうな。
それでももうちょっと隠そうとしたほうがいいと思うけどね。
「私の笑顔は高いわよ」
「何要求してるんだよお前は! 笑顔はプライスレスだろ!」
ニッコリ笑顔を作るだけの事に何金を要求してるんだよ。てか、子供に払わせる気か?
「アンタは愛想を振りまくるのも労働だって意識がないの? 疲れるのよ。無駄な笑顔は愛想力を一ずつ減らして行くの」
「なんだその愛想力って……」
そんな要素LROには無かった筈だけど。聞いたことないわ。
「そりゃあ、男のアンタには縁がないかも知れないけど、女は常に愛想って奴を振りまいてるのよ。特に周りに媚びようとする女はね。
愛想力ってのは自分を可愛く見せる為の行動や仕草に気を使う力の事なの。そうすれば、周りが都合よく動く事もあるし、自分を可愛く見せて得しない事はないから」
「じゃあ、得してろよ。愛想力を使って」
「子供に使ったって効果薄じゃない。私の利益になりそうもないし……それに懐かれても面倒」
やっぱハッキリ言う奴だな~とちょっと感心してしまったよ。たく、どこまでも自分を貫ける奴だなコイツは……でもこのままじゃクリエがセラとは一緒に居たくないとか言い出すかもじゃないか。
元からあんまり懐かれてないし、そこは望み通りなんだろうけど、これからの行動に支障が出るんじゃ困る。興味がないだけならまだしも、嫌いになられると同じグループに居るだけで辛いじゃん。それはお互いに困るだろ。
「少しだけで良いから、普通に接しろよ。お前の方が大人なんだからさ、そこら辺上手く出来るだろ。四六時中構う訳でもないんだし……僕やシルクちゃんでそこら辺は面倒みるし」
「――ふふ、じゃあアンタは四六時中その子の面倒を見るって事ね。まあ良いんじゃない。私は当然お断りだし、好きなだけ幼女の世話でもしてなさいよ」
あれ? なんかさっきよりも不機嫌になったような? でも理解はしてくれたのか、見下す瞳をやめて笑顔を作るセラ。作り笑いなんだろうけど、まあ十分です。
「ああそうだ! ねぇねぇセラちゃん!」
「あん? ――じゃ無くて、なぁに?」
おい、笑顔だったけど最初の一言にお前の本音がつまってただろ。なんだよ「あん?」って、どこの不良だ。まあその後は挽回するように笑顔を作り、視線まで合わせる為に膝を折ったよ。やる気はあるみたいだな。
てか、クリエからセラに話し掛けるなんてそもそも珍しい、一体何を言う気だ? そんな事を思ってると、クリエは思ってもない爆弾を直球で言ったよ。
「セラちゃんはツンツンデレデレなの? だからクリエにツンツンしてるのはデレデレの裏返しなの?」
ブッ!! ――おもっくそ拭いたよ。ちょっちょちょちょ、いきなり何言っちゃってんだコイツは。
「は? 何よ――何かなそれは?」
よく分かってなさそうなセラだけど、一応まだ愛想力を使ってくれてるな。だけど今のツンツンデレデレが何か分かったら、それも期待薄になりそうだ。てか言うなと言ったはずだろ。
「だからね、簡単に言うとセラちゃんはクリエの事を嫌いなのかなって?」
なるほど、そっちを簡単に言うか――と僕は思いました。てか、それを直球でよく言えるなコイツ。この二人ってある意味似てるかも知れない。てか、そんな事を言われたら、セラが困るよな。基本嫌いだろうけど、今は愛想力を使ってるし……さてどう言うんだろう。
まあそもそもセラはクリエの言葉の真意に気づいてないからな~そこが問題だよね。
「嫌いって……そうね……そこまで嫌いじゃ――いいえ、まあどちらかと言えば好きよ」
なんとかもの凄く妥協してくれたくれたセラです。まあ言葉とは違って、顔は怖いくらいに笑顔を張り付けてる様は流石だよ。
「そうなんだ……クリエはどちらかと言えば嫌いだよ。残念だね」
「はっ……」
あからさまにセラの眉がピクッと上がったのが僕には見えました。ヤバい、やっぱり言っちゃったよ。僕は頭を抱えるしかないな。
「だからねクリエはセラちゃん嫌いだな。だからセラちゃんは嫌ってないから残念」
「へぇ~そうなんだ……私を嫌ってる奴に愛想を撒くのもバカらしいわよね? いいわ……私の本音言ってあげる」
雰囲気をガラリと変えて立ち上がったセラは指をクリエに向かって突き刺す。そして見下すようにしてこう言った。
「私もアンタなんて大っ嫌いよ!! 私の視界の周りでチョロチョロピーピーとうるさいのよ!! わかった? これが私の本音」
「うん!! そんな風に思ってくれてたなんてクリエ嬉しいよ!! 同じだね私達!」
「……はい?」
セラの迫力満点の言葉にクリエはニコニコしながら返したよ。だからなんだかセラは拍子抜け……というか、クリエの反応のおかしさが分からない様子。
「アンタ自分が何を言われたか理解できてる? 嫌いって言ったのよ。大嫌い」
「うん! 私も嫌いだよ!」
そう良いながらセラのスカートごと足にしがみつくクリエ。これには流石のセラも困惑せざる得ない。嫌いだと言って、嫌いだと言われたのに、何故か逆に懐かれる……まあ当人からしたら訳が分からないよね。当然です。
セラが僕に困った顔を向けてるよ。とっても珍しい事なので、写真を撮っておきたい位。その狼狽えようがある意味可愛らしいじゃないか。
「えへへ~~」
「もう……なんなのアンタは……」
スリスリと頬をすり寄らせされて、どうすることも出来ない様子のセラ。どう言うことなのか言ってあげたいけど、それを言うと「ツンツンデレデレ」の正体を告げなくちゃいけないからな……やっぱダメだな。
それになんか新鮮だしなあんなセラ。まあここらで説明しておくと、クリエはセラのツンツンした態度は大好きの裏返しだと思ってる。だからセラの嫌いって言葉を大好きだと受け取りたかったんだ。で、セラはツンツンデレデレが標準で自分の言ってる嫌いを好きとちゃんと理解してくれてると信じて、クリエは言ってた訳です。
だから最初セラに好きって言われたときは嫌いと受け取って、次の嫌いで好きと受け取って自分と一緒――エヘヘ~だったって訳。
まあ完全に自己完結だよね。でも下手に気まずくなるよりは良かったんじゃないかな?
「良かった。セラちゃんとも仲良くなったんだね」
「うん!! 大嫌いって言ってもらえた!」
「え?」
微笑ましく声をかけてくれたシルクちゃんまで困惑させるクリエ。なんだかややこしいな。そんな事を思ってると、部屋に変な音楽が流れ出した。
アップテンポのふざけた曲だな。
「何々?」
クリエがそう言って周りをキョロキョロ。僕達も何が始まるのかとあたりを見るよ。宴会の後には、出し物とか? あの仲居モブリの人達が芸でも披露しに来たのかと、割とマジで思ったよ。だけどどうやらそうではなくて、再び部屋の奥の方に映像がパパッと現れた。
『さぁさぁ、リア・レーゼの愚民共、今日もありがたい私のお告げを耳の穴をかっぽじって良く聞きなさい』
画面の向こうのローレはどうやら僕達に向けては喋ってない様子。何これ? リア・レーゼ限定の放送か?
「おい……どうにかしてチャンネル変えたいんだけど良いか?」
僕は思わずリルフィンにそう聴くよ。だってどう考えてもふざけてるだろ。でもそれは拒否られました。どうやらこのお告げはここの住民にとっては大切らしいです。ホント変にローレって持ち上げられてるよな。理解できない。
そんな風に思ってる中、部屋にはローレのお告げ――もとい天気予報と占いが始まった。
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