命改変プログラム

ファーストなサイコロ

攻略方法を求めて



「――ってなんで私がそんな事」
「おいおい、いきなり愚痴るなよ。今のノリのままいけよ。なんの為にこんな所に飛び出てきてんだ。僕の役に立つためだろうが」


 折角の前回からのノリをあっさりと否定するなよな。言う成ればここは、情報を盗み取った後から始まっても良いくらいだぞ。お前の活躍、根こそぎカットで良い場面なんだよ。
 色々とお仕事やりました~で満足してろよ。


「別にスオウの為って訳じゃないよ~。私たち敵だし☆」
「む……一応敵としての自覚はあったのかよ……」


 すっげー今更だけどな。そっちからフレンドリーに来た癖に。


「ちょっと無限の蔵、良い方法って何よ。後を付けるだけなんてつまんないわよ」


 ほら、シクラの奴が愚痴ってるからメカブが痺れを切らしそうじゃないか。こいつがリアルで近づいたら危ないんだから、文句を言わずに行けよな。


「ちょっ、待ってろメカブ。今都合をつけてるとこなんだ。お前はそのまま監視に徹してろ」
「ホントでしょうね……」


 ヤバいなんか疑われてるぞ。僕はしょうがないから強行手段に移ることに。


「んはぁ!!」


 携帯から漏れる甘酸っぱい吐息。何度聞いてもなんか恥ずかしく成るようなそんな声を出したのは勿論シクラ。そしてそうさせたのは僕だ。
 僕は画面の中のシクラを指でタッチしてるんだ。こっちの感触はただの平面で柔らかさなんて微塵もないんだけど、シクラにとっては肉体を触られてるらしいから、これで言うこと聞くまで刺激してやる事にした。


「おらおら、文句言ってないで言うこと聞けよ。もっと激しく指を動かすぞ。嫌らしい声が外にまで漏れてるぞ」
「うきゅぅ……それで恥ずかしいのはスオウでしょ」


 頬を赤らめてそんな事を言うシクラ。確かに言われて見ればこんな所で携帯から喘ぎ声が出てる方がある意味では恥ずかしいかも……まだ誰も気づいてないけど、あんまり激しくすると、誰か気づくかも知れない。
 てか台詞がまんま悪役だったな。


「ふん……ならジックリねっとり攻め続けるだけだな」


 僕は諦めない意志をシクラに見せつける。ここで大事なのはシクラが嫌がる事が続くって事だよ。それを思わせて、どっちを選ぶかはこいつ次第。
 僕から引いたらどうせ調子乗るしな。思い通りに動かすにはこれしかない。こっちから出来る干渉なんてこれだけだし。


「スオウがオヤジ臭い……実はムッツリだったんだね☆」
「何とでも言え、今だけは僕に従って貰うぞ。そうじゃないと、お前は恥ずかしい声で鳴くことになる」


 僕は一端放した手を画面の前でちょっといやらしく動かした。すると画面の向こうのシクラは明らかに動揺してる。自分の体を抱きしめる様に腕を回しての警戒態勢。


「むむむ……敵としての憎さ倍増でこれからの糧に成りそうな状況。これからはスオウをいたぶる時絶対に『私を弄んだ癖に!!』って言ってやる☆」
「全てを正当化させる女の必殺技来たーー。マジで止めろよなそう言うの。ズルいと思わないのか?」


 ホントそんな事毎度言われたら僕だって傷つくぞ。しかも別に弄んでないし。どっちかって言うと、こっちがそうだろ。アルテミナスの時はかなり弄ばれたと思う。
 それなのに、男はそれを言っても「ハァ?」位にしか成らないんだ。女が言えば、好感度をマックスに下げる効果付きの癖して……


「私は元がずる賢い女だもん☆ 悪女? 小悪魔系って奴? それを目指してるもん。さあ、やるならやるが良いわよ。その欲望のままに。私はどんな辱めを受けても屈しない☆」
「……なんでお前がそんな正義の側みたいな台詞を吐いてんだよ」


 すっげー苛つくからマジで止めろよ。僕はついつい、指をシクラに触れさせた。


「うぅん!!」


 ビクンと強い反応を示すシクラ。そこには変な快感が……ってそうじゃないよな。これは仕方ない事だ。そう必要な事なんだからな――と自分に言い聞かせる。


「さっさと首を縦に振った方が良いぞシクラ。僕達は敵だからこそ、遠慮なんてないんだからな」
「う……ん――ヒャァ! 私は……自分が弄ばれるのは嫌いなの……趣味はスオウをおちょくる事って言いたい……」
「あ?」


 何言い出すんだコイツ? 自分の立場が分かってない様だな。僕は更に指を追加して画面のシクラをタップし続ける。
 そしてその度に、画面のシクラはピクピク反応を示し、甘い声を吐き、頬や唇を色っぽく染めていく。おいおい、これはなんてエロゲーだ?
 LRO幅広いな。


「そろそろ素直に成るべきだと思うけど? お前とのバカな戯れに時間を費やしてる場合じゃないんだよ」
「は……はは……女の子にこんな恥ずかしい思いをさせておいてその言いぐさ……スオウは私の中で鬼畜の部類にカテゴリーしておくよ☆」


 さっきから今一☆が似合わない様な所でそれが出てきてないか? そこまでして使いたい物なのかな。てか失礼な事をまだ言うかこの野郎。


「誰が鬼畜だ。僕は別にお前を女としてなんか見てねーし。そもそもデータだろうがお前の体は全て。肉体がリアルに存在してない時点で論外なんだよ」
「その割には、鼻息荒く成ってたみたいだけど? 鬼畜で変態の童貞君☆」


 素晴らしい笑顔でニッコリ微笑みやがった。悔しいけど、☆が見事にハマった笑顔。コイツは人をバカにしたり貶すときが一番良い顔しやがる。
 まあだからこそ、質悪いし性格も最悪なんだけど。


「誰が鬼畜で変態だ」
「童貞は否定しないんだ☆ いっとくけどせっちゃんはあげないわよ。勿論私も、狙わないでよね」
「誰がお前みたいな性悪! それに摂理はともかく、お前はだからデータだろ。どうやってその……ナニをするんだよ」


 なんか言ってて恥ずかしく成ったじゃないか。


「LROでだってナニは出来るよ☆ 裏技だけどね」
「なっ!? マジで――って、今はそんな事を話してる場合じゃないんだよ。本題から遠ざかって来てんじゃねーか!」
「スオウが、ナニに興味を示すからでしょ?」
「うぐ……別に興味を示した訳じゃない……年頃的にしょうがない事なんだ」


 だって男子高校生だぞ。そんなちょっとHな事にも興味がない訳ないじゃないか。クラスメイトには付き合ってる奴らとか普通に居るし、今では秋徒までそうだし。しょうがないんだ!
 僕は煩悩を振り払う様に頭を振って、シクラに向かってこう言った。


「良いから、もう一度さっきのされたくなかったらあのハゲから情報盗み取ってこい! 裏技の話は後で聞いてやる」
「変態だね~☆ まあ良いけど。お土産話になりそうだし」


 そう言ってシクラは画面から距離を取る。それはやってくれるって事なの? それとも変態に対する自己防衛? まあ僕は変態じゃないから、後者は有る筈も無いけどね。てか土産話って何だよ。
 お前はどっかの旅人か?


「変な事ばっか広めるなよな」
「大丈夫、ただせっちゃんに嫌われて貰うだけ。もうイヤって成る位にね☆」
「おい、それってどういう――」
「――じゃ、シクラちゃん行ってきま――す☆」


 言葉を途中で切って都合良く動き出すシクラ。結局アイツを都合良く動かす事は僕には荷が重いっぽい。結局なんだか最終的に振り回されてるし……てか最後に言った事が気になる。
 嫌われて貰うって何だよ。僕は既に嫌われたと思ってたけど……だってアルテミナスで最後に言われた言葉が「もう、死んでよ」じゃなかったっけ?
 十分既に嫌われてそうだけどね、それだけ聞くと。


「はあ……」


 なんだか思わずため息がこぼれる。今どこに居るんだろうな、セツリの奴は。


「何哀愁漂わせてんのよ無限の蔵? それよりアイツ等なんか大所帯になって来たわよ」
「うわ……ホントだ」


 嫌気がさすなもう。だってアイツ等見た感じ頭悪そう――じゃなくて、チンピラ風だもん。そんなのが四・五人位合流しやがった。
 なんでアイツ等ってあんなに見た目で分かりやすいんだろう(頭悪いのが)。


「ちょっと、ますます近寄りづらく成ったじゃない。ほら、アイツ等の周りだけ、ちょっとした空間が空いてるわ」


 まあきっとアキバに生息してるオタクの人たちにとっては、天敵とかそういう感じの生き物だろうからしょうがないよね。近寄れないよあんなの。場所が違うだろ。
 新宿か池袋、それか原宿にでも行ってろって感じだもん。僕たちは取りあえず再び物陰へ。まあ空間がぽっかり空いてるから、今度はメカブの奴も近づこうとはしなだろう。


「むむむ、こうなったらしょうがない、この羽衣の機能を使うときが来たわね」


 何故か隣の電波女は脱ぎかけ程度に着てた上着を頭から羽織ってる。もの凄くイヤな予感……いや、バカな予感しかしないぞ。


「おい、何する気だよ」
「ふっふ、実はこの服には未来の技術が隠されてるのよ。これを頭から被ると、透明になれる。つまりは光学迷彩ね。あんただってその位わかるでしょ?」


 なんでコイツはそんな無い機能をひけらかせるのか、僕には理解できない。光学迷彩事態はあるけど、そんなどこにでも売ってる様な服に付いてるかよ。
 そもそもメカブの言ってる様に、その服が光学迷彩なんだとしても、どう考えても全身隠しきれないし。どっち道欠陥品じゃねーか!


「やめとけやめとけ、その欠陥品じゃ直ぐにバレるっての」
「光学迷彩はあんなバカには見えないわよ」
「きっと足が見えるんだよ。バカにだって気づかれると思うぞ。」


 そもそも消えたり出来ないだろうし。何をマジで実行する気なんだよ? 全てにおいて成功する確率ないよ。アイツ等がバカなのは周知の事実だけど、電波な事を言い張って出ていったら、僕の中じゃどっこいどっこいになる所だ。メカブもアイツ等もね。


「じゃあどうしろって言うのよ。こんなに離れてたんじゃ何も聞こえないわ。そもそもアンタのやろうとしてた事って何よ?」
「それは……今にわかるって。大丈夫、ちゃんと情報は手に入れてみせる」
「随分な自信ね……」


 ちょっと頬を膨らませて不満気なメカブ。まあだけど信じて貰おうじゃないか。シクラの事はまあ言えないけど、でもアイツだからこそやってくれるだろ。


「でも別に失敗したっていいわよ。その時は助手251の出番だからね」
「また統一郎君かよ」
「だから助手251と呼びなさい!」


 もう良いよ統一郎君は。いやさ他人が自分たちの為に犯罪に手を染めるってのはやっぱりね……その……気が引ける。それこそしっかりとした目的と、それだけの思いがあるならまた話は別だけど、今のこれって実際ついでみたいなものだからさ。


「はいはい、助手251君の出番はもういいよ。自分達の問題でこれ以上犯罪に手を染められてたまるか」
「犯罪になるような事をするかはまだわかんないじゃない」
「いや、個人の情報を盗む時点で犯罪だろ。この国は個人情報うるさいぞ」


 プライベートって奴を大切にしてるからな。


「別に助手251なら、他人の携帯をハッキングする事なんか造作もないから、バレやしないのに。まあでも結局、それで見れるのはメールの内容位だけど。
 無限の蔵がやってる事は、それ以上の情報が取れるの? そうでなかったら、こんなに慎重にやってる意味ないわよ」
「意味ないって……」


 まあ少なくともメールだけの情報よりはより良い物を盗める筈だけど。だってシクラの場合は盗み取るだけじゃない。アイツは携帯通して、ブリームス側から奴らの会話だって聞ける筈だ。
 それは大きな情報だろう。メールだけじゃわからない事が有るかも。僕はアイツがちゃんと仕事をすると信じて、こうメカブに言い返す。


「いや、きっと大丈夫だろ。お前の期待に応えてみせるさ」
「別に私は期待なんかしてないけどね。ヒントになる情報の一つでも有れば良いんじゃない?」


 なんかすっごく信用されてないな僕。だけどそんな事が言えるのは今のうち。さぁ早く情報を! 一級品の情報を盗んでくるんだシクラ!
 するとその時だ。僕の携帯に振動が! このタイミングはきっとシクラの奴が、情報を盗んだ事に成功したとかで、勝手に携帯の機能を使ったんだろう。
 多分勝手にそう思う。


「そう言ってられるのも今の内だよメカブ」


 僕は不適に笑って、携帯に視線を落とす。そこにはメールが届いた事を知らせるマークが。僕は一気に不味い事を言ったかもって気持ちになった。


(メールって……メールって……もしかて秋徒とかそっちの方が可能性としては高くないか? 画面にシクラの奴のいないし。まだ戻って来てないじゃん。
 やば、ただの意味ないメールだったらどう言い訳しよう)


 僕は祈るような気持ちでメールを確認。するとその件名にはこう書いてあったからちょっとホッとした。『私っていう偉大な存在に感謝してよね☆』これは完全にシクラだろう。そう確信が持てる。
 てか、なんで戻らずにメールで報告してんだアイツ? てかなんで僕のメアドを……は、意味ない詮索か。まあ良いけど。僕は内容を確認する事に。


「おお、これは……」
「どうしたの?」


 画面に表示されたのは、きっとメールの内容だろう。奴らが行ってた情報交換メール。その全てって所かな。まあアイツならこの位は出来るよな。
 てか、メールの内容だから先に送ったって事だよね? これで終わりとかないよな。
 隣に並んで横から覗き込むようにするメカブ。そして案の上こう言われた。


「これってメールの内容でしょ? 見事に予想通りじゃない」
「違うっての。これは序の口。本命が到着するまで、考察してろって事だよ」


 僕は必死にこんなもんじゃないアピールをするよ。まあ僕も、そうであってほしい願いを込めてるしね。でも実際さ、これも凄いんだと思うよ。
 難なくよこして来たけど、シクラの奴は一体どうやってるんだろうな? アイツもデータみたいなもんだから、色々とやり方は有るんだろうけど……まあ僕たちにはわからない領域だな。
 向こうは電子の住人だ。僕たち人が画面の外からハッキングするとかとは、きっと違うんだろう。


「本命ね。その本命がどれくらいの物かは一応、期待しといてあげる。取りあえず、二人で一つの画面は見にくいから、こっちにもそのデータ送ってよ」
「なら、メアド教えろ。メールごと送ってやるから」


 まあ確かに、小さな画面を寄り合って見るのはちょっと……ね。僕たちもお年頃だし、ここは往来だしそれはレベルが高いかもしれない。すると何故か、データを寄越せと言ったメカブが、やけにニヤニヤしてる。
 なんか勘に触る笑い方だな。


「良かったわね。これで必要なフリして私のメアドゲット出来るんだから。わー策士。これじゃあ教えない訳にはいかないものね。流石無限の蔵よ」
「何の事だよ……別にそんなつもりで言ってない」


 どっちかって言うと、僕は自分のメアドをお前に教えたくない。だって電波を受信する頻度が上がりそうじゃん。実際今この瞬間だけで十分なんだよ。メカブとの接触はさ。
 メアドを教えるって事は、繋がりは残るからな。でもここはアイテムの為。背に腹は代えられない。僕とメカブは取りあえず赤外線でプロフィール交換を……


「何やってんだお前?」
「ちょっと待ってよ。今、この携帯端末内の情報を、無限の蔵に分かりやすい状態に更新してるから」


 なんだそれ? ようはプロフィールで知られたく無いところを隠してるとかかな? まあメカブは設定を守りたいんだろう。
 別に住所がどことか気にしないけどね。有る意味でどんな情報が送られて来るのかが楽しみでは有るな。


「よし、良いわよ」
「はいはい」


 僕たちは互いにプロフィールを交換した。勿論メインはメアドな訳だけど、送られてきたデータにはちょっと吹き出しかけたよ。
 だって名前『メーカーオブエデン』にやっぱりなってるし。あだ名がメカブで登録されてるし、年が一万位を言うに越えてるし、住所がまず地球じゃない。
 流石期待を裏切らない奴だな。


「何?」
「別に……やっぱりメカブは相当きてるな~って思っただけ。取りあえず突っ込むの面倒だし、データ送るぞ」


 僕はそういって、シクラから届いたメールを新たに手に入れたメカブのメアドへと転送した。さてこれでようやく心おきなくメールの内容を確認出来るな。


「え~と何々……」


 僕とメカブはハゲ共を気にしながら、メールの内容を確認していく。それによると大体こんな感じらしい事がわかった。
 まず①に、どうやらあの宙に浮いた宝箱は、別の場所の同じ条件の所全てに現れてたそうだ。そして結局、どうにかして触れても、やっぱり僕の時と同じく開きはしない。
 ②にハゲ達は、人数の多さを最大限に使って、NPCを総当たりしてるみたいだな。それとネットでの情報収集も同時に行ってるらしい。
 けどめぼしい情報はまだ上がってない。


「向こうも相当苦戦してるみたいね」
「確かに、まあ有力な情報が無かったのは良い事なのか悪い事なのか……僕達もこれじゃあどうしようもないよな」


 向こうから盗んだ情報で漁夫の利を狙ってたのに……役に立たん連中だ。


「やっぱりメール程度の情報じゃ限界ね。その本命とやらに期待しておくわ。結局これは過去の事だしね。今現在は何か有力な情報を手に入れてるのかも」
「そうかな~? 頭悪そうな奴らが無い頭を捻ってる様にしか見えないけど。どうせなら、NPCが喋った内容でも綴ってくれてたら、もっと良かったのに」


 どっかでヒントを出してたかもしれない。けど頭弱いアイツ等は気づかなかっただけかも。そう考えてると、携帯が突然暗転した。そして画面の向こうから、うるさい声が。


「パッパカ~ン! シクラちゃん、さーいりーん☆」


 ☆をキラキラ瞬かせて現れたシクラ。たく、他人の携帯のスペックを無理矢理な事に使うなよ。無理な使用をしてたら壊れるだろ。


「――で、派手に再臨したからには良い情報が有るんだろうな?」
「勿論、私は凄いからね☆ これを聞いたらきっとスオウは、私に土下座したくなるかも」
「考えてやるから早く言え」


 まあ土下座なんてあり得ないけどね。シクラへそんな事をするのは、いくら僕のプライドが小さくても出来ないよ。


「ふふふ、耳の穴をかっぽじってよく聞きなさい。さっき電話で有力な情報の一報が入ったわ。私はその電話回線にまで進入して、それを聞いたの。
 内容は確か『その人を食う道路に迷い込んだ人々は、数日後に違う場所から発見される。しかもその時、彼らはみんなこう言う。夢の世界に行っていた。そこは天を突くほどの高い建物が乱立してる場所だった――と』ねえこれって、そっち側の事じゃない?」
「……確かにそう思えるけど」


 でもだからってこれがヒントになるかな? 食われた人達はこちら側に来ていた……それがあの宝箱を手にする事とどう関連づけれるのかが全くわからん。
 まあ一応、メカブには報告だ。それと別に、土下座はしたくならなかったよ。


「う~んますますわからなくなった感じ。それって信用できる情報? てか、それを踏まえるべきかが問題かも」


 話を聞いて首を捻りながらそう言うメカブ。まあ確かにメカブの言うこともわかるんだよね。けど一応は信用出来る筈。シクラだってなんか楽しんでるっぽいし、こういう時のこいつは裏があったとしても、必要な情報は渡すだろう。


「取りあえずこの謎が解ければ、奴らを出し抜ける。今までの情報と見たこと聞いたことを、整理して考えよう。貴重なアイテム。人を食う通路。宙にある宝箱。食われた人が行き着く場所と、食われた場所と違う出口……きっと何かが有るはずだ」
 

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