命改変プログラム

ファーストなサイコロ

繋ぎ紡いだ扉の開け方



 放たれる光。暗いところに馴れてた僕達にはそれはかなり強烈に目に入ってきた。目を細めつつ、ノウイは僕に言われた通り、球体を全て出した。
 するとやっぱりだ。この行き止まりの壁に浮かび上がる模様と、球体それぞれに浮かび上がる模様は一緒。もしかしてこの模様は、後から追加された物か?
 それかわざわざ、クリエが僕達の為にリンクさせたとか。


「っつ……」


 クリエを貫いた敵の攻撃がこちらに届く。でも相手してる場合じゃない。僕達はノウイの腕から、一人ずつ球体を受け取る。
 よく考えたら、丁度良いことに人数分だ。そしてどうするか……そんなの分からない。けどそれぞれが手に持つと、その模様が球体から体へと移ってきた。
 データとして何かが入ってくる様な変な感じ……するとただ光ってた様に見えた模様と壁に、それらが合わさった様な渦があるじゃないか。


「これって……この模様の影響か?」
「考えるのは後にしましょう。早くスオウ君!!」


 そう言ってシルクちゃんが僕の腕を掴んで光に飛び込んだ。その瞬間、腕が痛いと思った。シルクちゃんがそんなに強く引いた訳でも無いのにだ。
 腕を見ると、球体からの模様だけじゃなく、テトラからかけられた呪いも浮かんでた。もしかして、この二つは相入れないのかも……気にしだすとズキズキしてくる。


「あれ? ここって……」


 そんなシルクちゃんの困惑する声に顔を上げる。そこは別に今までと変わらないダンジョンにしか見えない。


「箱庭じゃない? どう言うことだ?」
「また別の行き止まりの場所みたい――って、何二人はお手て繋いでんの?」


 なんか一瞬もの凄い殺気が放たれた気がして、僕達は互いに手を離す。セラが異様に僕を睨んでるし……てか、何でこっちを睨む。


「そんな事より、どうして箱庭じゃないかって事が問題だろ。これでいけると思ったんだけど……そう簡単じゃないって事か」


 僕は話題を本題へと戻す。これ以上横道に逸れる訳には行かないからね。さっきの場所に敵は集ってるからか、こっち側にはまだ敵の姿はないけど……いつまでもここに居たら、また追いつめられそうだからな。


「そう簡単ではない……けど、今の俺達は今までの俺達とは違うみたいぞ」
「何、訳の分からない事言ってんだよ鍛冶屋?」


 鍛冶屋のそんな言葉に混乱するのは、僕だけじゃない。テッケンさん達も「どういう事だい?」とか言ってる。すると鍛冶屋は、何かをなぞるように視線を動かして通路の先を見つめてる。


「お前達には見えないのか? どうやら、それぞれ取り込んだ模様以外は見えないって事か……」
「模様? 何が見えてるんだお前?」


 いまいち分からないんだけど。もっとわかり安く説明しろよな。鍛冶屋の奴は口数が足りないんだよ。自分の中だけで完結しないで欲しい。


「俺には通路の先へ続くこの模様が見えてるんだよ。多分この先にはまだ道が続いてる筈だろ。それを辿れって事だ」


 そう言って鍛冶屋は自分に浮かび上がる模様を見せてくる。なるほどね、それが通路に見えてるわけか……鍛冶屋にだけ。


「つまり、進めば僕達にも取り込んだ模様が見えるかもって事だね。それがまずは鍛冶屋君だと言う事だろう」
「なるほど……じゃあこの模様をそれぞれで辿っていけば、箱庭にたどり着けるって事ですね」
「おそらくは」


 テッケンさんはちょっと自信無さ気に言ったけど、多分間違いないだろう。てか、そうじゃなくちゃ困るんだ。


「鍛冶屋、頼む!」
「仕方ないな、ついてこい!!」


 そう言って走り出す鍛冶屋。アイツにしか今の模様は見えないから、僕達はその背に続いて行くしかない。しばらく進むと、やっぱりだけどアンデットと出会した。
 実はさっきまでとは違うダンジョンにでも入ってるのかと少し思ってたんだけど、どうやらそうでも無いらしい。
 だけど出会したアンデットはたったの五体。やっぱりさっきの場所に集まってるらしいから、こっち側は空いてる感じだ。
 僕達はアンデットをケチらし、止まらずに進む。するとまた行き止まりにぶつかった。まあ分岐が多い分だけ、行き止まりも所々にはある。
 でもここは適当に進んだ末にぶつかった様な行き止まりじゃないんだよな。ここにもきっと、さっきの仕掛けみたいなのがあるんだろう。
 ――って、それじゃあもしかして……


「歌った方がいいのかな?」


 僕はポツリとそう言った。結構あれ恥ずかしいんだよな。出来れば勘弁して欲しいんだけど……背に腹は変えられないか。
 実は覚悟を決めてた僕。だけどそこで鍛冶屋から待ったが掛かった。


「ちょっと待て、壁に模様が集中してる所がある」


 鍛冶屋はそう言ってその場所であろう所に手をおく。するとさっきと同じように、そこには光が現れた。ここを進めって事らしい。
 僕達は二度目の光を潜る。すると今度も、別の行き止まりに出ただけ。だけど今度は――


「次は私が取り込んだ模様みたいね」


 ――セラの番って事らしい。これを後、四回も続けたら、箱庭だ。きっと。僕達は早速ダンジョンを進む。でもちょっと気になるよな……何でこんな事に成ってるか。クリエがしたのかな?


「これって、クリエが通った道を僕達は辿ってるんですよね?」
「そうだと思いますよ。きっとこれはルート何じゃないかな?」
「ルート?」


 シルクちゃんに話しかけた僕は、疑問符を頭に浮かべて答えを待つ。


「クリエちゃんの辿った道を正しく辿る。それがこのルートを開くルールで、出口への答えでもあるんですよ。まあそれには、彼女の事を知ってたスオウ君の存在も不可欠だったわけですけどね。
 そう言えば、あの歌は何だったんですか?」


 可愛く首を傾げるシルクちゃん。そんな風にされたら話さない訳には行かない。まあ別に、隠す気も無いけどね。


「あれはクリエが好きだって言ってた歌です。あの村の湖で歌ったんですよ。それをちょっと思い出してっ――て、そう言えばさっき、追いつめられた時クリエを見てないですか?」
 そうだそうだ。重要な事を聞くのを忘れてた。僕は確かにクリエを見たんだけど……みんなはその存在に気付いて無いようだったんだ。
 それが気になる。本当に気付いてなかったのか、確認しておきたい。


「クリエちゃんですか?」


 そう呟いてあの時の事を色々と回想してるようなシルクちゃん。そしてフルフルと首を振った。


「いいえ、私は見てませんけど……またスオウ君には見えたんですか?」


 僕はシルクちゃんのその言葉に、無言で頷く。するとシルクちゃんがみんなにも確認を取り出した。


「あの! みんなはこのダンジョンでクリエちゃんを見てないですか?」
「う~ん、僕は見てないな」
「私も、シルク様には悪いですけど見てないです」
「俺も知らないな」
「自分も見てないっす」


 みんなから返ってくる言葉は一様に見てないって事。するとシルクちゃんが不安そうに僕を見てる。いや、これは心配? かな。
 誰にも見えない物が見える……そんな事を言ったら心配させて当然だろう。シルクちゃんは優しいしね。けど……やっぱりか、と思った。
 やっぱりみんなには見えて無かったんだ……僕だけがそれなのに見えてた……どういう事なんだろう? アレは一体なんだ? 本当にクリエなのだろうか……実体じゃなかったし、本当に僕の頭がおかしくなった……訳じゃないとは思うんだけど。


「アレじゃないですか?」
「うん?」


 不意にシルクちゃんがそう言った。アレって一体?


「それはきっと、サインなんですよ。クリエちゃんがスオウ君を求めてるから、そんな思いがスオウ君には伝わってるんです」
「そんな事……」


 思いが一人歩きしてるって事だろうか? 幾らなんでも強引な考えだよそれは。でもシルクちゃんはニコニコ笑ってこう続ける。


「そんな事じゃ無いです! だってここはLROですよ。今までだって信じられない事起きたじゃないですか。私はそれをスオウ君の側で何回も見てきました。
 だから貴方の側では、何が起こってもおかしくないと思います。それに……クリエちゃんが頼れるのはスオウ君しか居ないんですよ」
「僕しか……か」


 確かにそれはそうなのかも。ミセス・アンダーソンは案外ちゃんとクリエの事を考えてたっぽいけど、それはクリエに伝わって無かったし……外で頼れるのは、たまたま出会った僕だけ……それを頼ってあんな姿で現れてるって事か。
 考えられないけどさ……案外無くはないかなとも思う。


「そうですね。僕があいつを助けます。そしてあいつの望みを一緒に叶えてやります。そうすれば、きっと満足出来る筈です」
「うんうん、そうしましょう!」


 そうこうしてる内に、再び行き止まりにぶち当たる。そしてここも同じようにして通り、次はテッケンさん。その次はノウイで更に次はシルクちゃんだった。
 て、事は僕で最後……なんか段々奥の方へ向かってるようで、相対的にアンデットと出会す率がどうしても高く成っていく。


「私たちはきっとシルクちゃんの辿った道を逆走してる筈ですから、奥に行くのは仕方ないですよ。出口も入り口もズレてるだろうけど、奥って事に変わりはないんですよ」


 降り注ぐアンドって共の攻撃の中、愚痴をこぼす僕に、シルクちゃんがそう言った。まあ確かにその通りだな。僕達は結局、あの階段の下位まで戻って来てるもん。そして僕の今の目にはあの模様が見える。
 それはこの階段の上方へと続いてるんだダンジョンに満遍なく広がったおかげで、最初よりは少なく成ったけど……やっぱりここにはまだ敵が多い。それにきっとこの上には今までの比じゃない敵が残ってるだろう。
 なんてたって広いから。でもそこまでたどり着くのも問題だ。この階段は四段階位に分かれてるんだけど、そこ毎にアンデット共が六体位いる。
 そこからの攻撃が……さっきから非常に厄介だ。元々上から攻める方が圧倒的に有利なんだよ。しかも奴らの攻撃は、そっち方面に向いてる。


 僕達が階段を上がろうとすると、上方から狙い撃ちされる羽目になるんだ。でも手を拱いてる訳にも行かない。もう随分とこのダンジョンに時間を取られてるし、早く行かなきゃって気持ちが先行するんだ。
 後少し、最初この階段を上ったときは、直ぐに逃げる羽目になったけど今度は違う。僕達は今度こそ、この上の更に外へ続ける筈なんだ。
 だから僕は多少の無茶ぐらい幾らだってやってやる。


「ノウイ、ちょっと耳貸せ。それとシルクちゃん……ごめんだけどストック魔法多少消費してもいいですか?」


 僕は正面の階段を見据えながらそう紡ぐ。


「ちょっと何でシルク様には了承を取って、自分は強制なんすか?」
「あはは、え~とここで出し惜しみするわけにも行かないから。別に私は良いですよ」


 なんだか扱いの違いに憤慨してるノウイだけど……それってある意味当然じゃないか? ノウイってそう言う役回りだから、僕的には何を今更……なんだけど。
 まあ取り合えず、シルクちゃんからは許可を得たからいい。


「そりゃあ、あれだよあれ……まあつまりはノウイだから?」
「それは世界で一番納得出来ない理由っす!!」


 僕の正直な言葉まで受け入れられない様子のノウイ。たく、こんな正直者の言葉を叩き落とすなんて、とんだ極悪人だなノウイの奴は。
 何となくわかるけど。


「はははは」


 僕は笑って誤魔化した。でもこれはノウイの力が必要なんだ。これだけ開いた距離を一瞬で詰めるには、ノウイのミラージュコロイドしか出来ない。
 だからここはしょうがないから機嫌を取っとこう。


「悪い悪い。ノウイにしか出来ないことだからさ。他に変われる奴がいないから、お前は決定なんだ。だから頼む」
「まあそれなら……てか、最初からそう言ってくれればいいんすよ。自分は常日頃から、役に立つことには積極的な方っすからね」


 そう言ってノウイはちょっと誇らしげになった。まあ機嫌を直してくれたみたいで良かったよ。


「で、何すれば良いっすか?」
「簡単だよ。いつもの様にミラージュコロイドで運んでくれれば良い。僕がノウイと先行して、ミラージュコロイドで先手を取るよ。まあ最初はみんな一緒で、真っ先にシルクちゃんの魔法で最初のポイントはケチらして貰うけど、それ移行は僕達が先行する」
「それなら、常にみんな一緒に飛べば良くないっすか?」


 僕の言葉に、そう返してくるノウイ。わかってないな全く。


「最初はしょうがないけど、常に全員一緒にいたら、狙われるだろう。分散してたら、先行してる方を奴らは狙う筈だ。
 それにこれなら、常にストック魔法じゃ無くてもいいし、いざと言うときの為の保険もかけれる。僕達はポイント毎のアンデットを一時的に動けない程度までバラしたら、更に先行する。
 そしたら常に攻撃に晒されるの僕らだけでいいんだよ」
「ちょっと待ちたまえ! スオウ君、その作戦に異論はないが、別に先行を勤めるのが君一人じゃ無くても良いと思うよ。
 ノウイ君は残念ながら戦力にはならないんだし、一人で戦うリスクは大きい。何故僕達を入れない?」


 テッケンさんが心優しくそう言ってくれる。まあ確かに僕一人じゃ不安なのかな? けど、こっちは結構強くなってきた気はするんだけど。
 僕はテッケンさんの真剣な顔に向かって、余裕の笑みを見せてこう言うよ。


「大丈夫ですよ。僕は奴らの攻撃をかわしきる自信が有ります。一人なのは、十分な場所を確保するため。この階段はそれなりに大きいけど、降り注ぐ光をかわしきるには、スペースが必要じゃないですか。
 ノウイを入れて既に二人分のスペースが必要だから、一人がベストなんですよ」


 僕の理路整然とした説明……するとテッケンさんはこう返した。


「成る程……だがそれなら、スオウ君で無くても良い。僕でも出来ると自負できるよ」


 なんとなくだけど、そう来ると思ったよ。確かに出来ない事はないと思うけどね。でもここは、自分がやりたいって言うか……僕の出番の所だよ。
 だから僕は彼に向き合ってこう紡ぐ。


「テッケンさん、ここは僕がやります。僕の事を思ってそう言ってくれてるんだろうけど、今回は僕にやらせてください。勿論ありがたいと思ってるし、感謝もしてます。
 貴方は本当に人の為に尽くす事が出来る素晴らしい人だから、すっごく頼りに成ります。だけど……それに甘えてばかりいちゃいけないと思うんです。
 僕はアイツの前に胸を張って立ちたい。守られるだけでたどり着いたって、それが出来ないじゃないですか。これはちょっとした意地です。
 それにあんな雑魚に僕が負けるとでも?」


 最後に僕は自信たっぷりにそう言った。するとテッケンさんは「やれやれ」と言ってニカッと笑い返してくれる。


「やられるなんて思ってないさ。君は強い。そうだね、僕はちょっと過保護に成りすぎてたのかもしれないな。いいよ。ここは君に譲ろう。奴等の手の内はわかってるし、君なら大丈夫だろう。
 だが一つ訂正だよ。僕はそんなに聖人君子みたいな奴じゃない。僕が良い奴に見えるのはそう有ろうとしてるだけだよ。つまりは仮面さ」
「それでも、そう出来る事は立派だと思いますよ」


 普通は仮面被ってたって、ここまで出来ないよ。途中でボロが出てきたりするものだ。けど、テッケンさんにそんな事は今まで一度も無かった。
 だからこそ、みんな信頼を彼に預けるんだ。それはもう立派な事だ。すると不意に、隣の方から「ふふふ」と笑う声。
 僕とテッケンさんがそっちを向くと、シルクちゃんが嬉しそうに笑ってた。


「なんだか男の子って感じですね」
「そう……かな?」


 なんだかちょっと気恥ずかしいな。さてさて、意見もまとまった様だし、早速作戦実行だ。


「ノウイ!」
「もう準備は万端っす。いつでもいけるっすよ」


 なかなか手際が良いノウイ。じゃあちょっと、攻略と行きますか。ここからはノンストップで!


「よし、行こう!!」
「「「おおーー!!」」」


 僕達はそんな声と共に、まずは全員で四段階ある階段の一段目へと飛ぶ。そして敵の目の前に現れるなり、シルクちゃんがピクの羽を一枚握り、ストック魔法を解放する。放たれたのは範囲系の回復魔法。現れた魔法陣の中にいる対象を回復させるって奴だ。
 決まった範囲に密集してるこの場所では確かに効果覿面な魔法だった。回復の為の鮮やかな光が、アンデット共を駆逐していく。だけどここで止まってる訳には行かない。
 僕とノウイは、更に二段階部分へと、間髪入れずに飛ぶ。下の方へ向く前に、僕達をターゲットさせるんだ。セラ・シルフィングを操り、密集してるアンデット共の体を次々とバラしていく。
 二刀流はこういう一体多数で力を発揮する。回転を加えて行けば、三百六十度どこの敵でも打ち倒せる。だけど、この時には既に、アンデット共の攻撃はこちら側に集中してきてた。


 予想通りだけど、想像以上に厄介だった。だけど奴らの攻撃は味方にも通る。それが幸いしたりもしてる。僕が切り刻んだ敵が、味方の攻撃で再生出来ないご様子。
 その間にもシルクちゃん達はこちらに駆けあがって来てるし、行ける!
 そして魔法が届く所でシルクちゃんが再び魔法を放つ。足下に倒れてた奴らはこれで消滅。次は三段階目へと僕とノウイは飛んだ。ここを抜けれれば、最上段。一気に決める!!
 紫の光が飛来する中、青い雷撃の光が炸裂する。ボロボロと焼きただれて崩れ落ちるアンデット共。でもそれでも死んだ訳じゃないんだから、マジでホラーだよ。
 ここまで来ると上から降り注ぐ攻撃の尋常の無さったらない。こんなにまだいやがったのかって位に、絶え間無く光が降ってくる。
 しかも数十体が集まっての合体魔法なんかもしやがるご様子。例のデカいバージョンだ。それらが三個位降り注ぐと、流石に避ける場所がない。


「ヤバいっすよスオウ君!」
「避けれないなら、斬り裂くまでだろ!!」


 セラ・シルフィングの刀身がバチバチとスパークし出す。そして雷撃を帯びた剣で、僕はその攻撃を斬り裂いた。するとそのタイミングで、シルクちゃん達が到着。アンデット共を消滅させて、残りは最上段だ。


「ノウイ! 一気に中央付近まで頼む! 出る場所は高い所で! 今度は全員でだ!!」


 僕達は降り注ぐ攻撃の中、それぞれ手を伸ばす。そしてそれを掴みあって、一斉に飛んだ。そして現れたのは、最上階のだたっ広い、空間の中央付近の空中。
 真下にはまだボスクラスモンスターが倒れてる。


「やっぱりだ……僕が見える模様は、あの倒れてる奴の真下へ続いてるぞ!」
「ようは奴が邪魔だと言うことか」


 鍛冶屋が素早くそう続ける。僕は武器を握りしめてこう続ける。


「そう言う事だ!!」


 するとみんながそれぞれの武器を構えだした。考える事は一致してるみたいだな。上から見たらわかる。この場所からの出口。
 それはこの空間その物だ。この最上階の地面にはどうやら魔法陣が刻まれてるっぽい。地面に居たときは気付かなかったけど、こうやって少し地面から離れると見える物がある。
 そしてその中央に倒れてるボス。さらにはそこへと伸びてるこの模様。クリエが入ってきた場所は同じだったって事か。入り口は同じでも入り方が違うみたいな……まあ、良いかもう。
 こいつを退かせば会えるんだ……なら今はただこの一撃に全てを込めて。


「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」


 全員での一斉攻撃。僕達は倒れてたボスを吹き飛ばす。そしてそこに有る模様へと僕が触れると、溢れ出す光に視界が包まれた。

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