命改変プログラム
灯籠の幻想
何も言う必要はないと思った。ただでさえ心配かけてるのに、更に余計な心労を増やすだけ。だから僕は、二人で居る間は、LROの話はしなかった。
日鞠も何も聞かなかったしね。ただ楽しく、ただいつもの様に、数時間と言う時を過ごしたよ。墓参りの後に、お祭りへ行って、お賽銭とお祈りを捧げた。それから二人で出店とか回りながら、最後には打ち上げられた花火にちょっと感動。
生きてる事の素晴らしさを実感したね。まあ、実際はもっと色々と衝撃的な事もあったんだけど……なんか出会す出店のオッチャン一人一人が、妙に日鞠に頭を下げたり、一体こいつは普段何やって交友関係を広めてるんだって思うじゃん。
まあそんな諸々があっても、基本はやっぱり楽しかったわけだ。良い息抜きには成った。これからまたハードになると思うから、タイミング的にはよかった。
家路についた僕達は、外でそのまま別れて現在に至る。「おやすみ」を言い合って、そして駆けていく日鞠の着物姿の背中を見てると、ちょっと惜しいって思ったな。なんだか有る意味、こっちの方が夢っぽかった印象だ。
まだ頭の奥で鳴ってる祭り囃子がなんだかそんな気を起こさせるよ。僕は自室でリーフィアを手に取る。ヘルメットの様なそのアイテムが、僕をLROへと誘ってくれる冒険の扉。トイレも歯磨きも済ませたし、早速入ろうか。時間は二十一時五十五分。丁度良い頃合いだ。
その時ふと、そういえば秋徒の奴は……とか思ったけど、まあ無粋だから考えるのをやめた。LROでもリアルでも、大人な彼女が出来たからきっと夢中だろう。
日鞠の奴はとっとと寝たかな。あいつ、案外夜に弱いから……ってまあ僕の為に朝食を作る為でも普段は有るんだけど……
「あんまり夜更かしはダメだからね」
とか言われたけど、まあこればっかりはしょうがない。命かかってるから日鞠だって許してくれるだろう。てな訳で、リーフィアを頭に被せてベットへと寝転がる。そして天井を見つめて、ゆっくりと目を閉じた。
さあ、再び冒険の地へ。
「ダイブイン」
その言葉と共に、僕の意識はLROと言う、夢の世界へ引っ張られる。
光と共に再臨した場所は、ミセス・アンダーソン邸リビングだ。まあ落ちた場所と変わる筈ないから当たり前だけど。
窓から見える空が、今は黒く成ってる。こっちもばっちり夜だな。僕は体の調子を確認する様に、足を床にダンダンと叩き、拳を握ったり放したりを繰り返す。
入った直後はちょっと体がジーンって痺れたりするからね。でも次第に、体の先にまで血が巡る様な感覚と共に、それは無くなる。
「よし。ここからだな」
僕はそう呟いて、周りを確認。だけどなんか誰もまだいない? もう三分切ってるんだけど。みんな案外時間にルーズだな~とか思ってると、リビングの扉が開いて誰かが登場。
その背の低さから、どうやらテッケンさんだな――とか思ったけどそれは……
「クリエ?」
テッケンさんよりも一回り小さいそのサイズは、モブリの子供のそれだ。それにあの顔も姿も、見忘れるのには早すぎる。引きずる程の白い宗道服……それをマジで引きずってクリエは、リビングに入ってくる。
「おい、クリエ! お前、一体どうやってここまで? また逃げてきたのか?」
僕はクリエに駆け寄り、矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。そしてそれに対して、クリエが口を開いた。だけど――あれ?
「…………」
口は確かに動いてるのに、それが言葉と成って耳に入ってこない。もしかしてからかってる? とか思ったけど、いつもと違ってクリエの顔はマジっぽい。
とてもからかってる様には見えない。いつもコロコロと表情が変わるのに、今は一つの顔しかしてないんだ。でもそれは真剣と言うよりも、ちょっと虚ろな感じの様な。僕を見て話してると言うよりも、口がただ何かを紡ごうとしてるような?
なんだか夢遊病っぽいぞ。それによく見たら、なんかクリエの体の周囲が青っぽく光ってる? 見間違いかな?
「おいクリエ! 一体どうしたんだよ」
僕はそう言って、クリエに手を伸ばす。肩を掴んで目が覚める様に、揺すってやろうと思った。だけどその手が届く前に、開いたドアの向こうから人影が見えた。
「ええー!? あの有名なファザニーってシルク様のお友達なんですか?」
「うん、そうだよ。最初は二人で始めた筈だったのに……なんだか随分差を付けられちゃった感じかな。今じゃあ、ブランドみたく成ってるもんね」
「そうですね。一着作って貰うのに、何十万必要って言いますもんね。私も依頼して新しいメイド服を作って欲しいんですけど……」
それはシルクちゃんと、セラの声。てかファザニーって何? そう思って一瞬気を取られた。視線をクリエから二人が来るであろう方向へと向けてしまった。
そしてそんな一瞬の内にクリエは消えていた。
「あれ? クリエ?」
周りを見回してもどこにもクリエの姿はない。
僕がキョロキョロとしてると、シルクちゃんとセラがリビングの前まで来ていた。
「あ、スオウ君。こんばんは」
「あ……あんた……」
普通に挨拶してくれるシルクちゃんとは違って、なんだかセラは眉をピクピク動かしてる。器用な奴だ。
「ちょっと、居るなら居るって言いなさいよ」
「何でだよ」
訳が分からん。僕が軽くあしらうと、今度はちょっと恥ずかしがるように「聞いた?」と言った。聞いたってさっきの会話の事か?
下手に誤魔化すのも機嫌損ねそうだし、ここは素直に言うか。
「まあ、冒頭位は聞こえたな。二人が帰って来た直後な。それ以降は知らん。てか、フェザニーって何?」
「それは……」
「フェザニーって言うのは有名なデザイナーなんですよ。服とかアクセとかLROは独自に作れるので、裁縫のスキルとかを上げて行けば、誰もがデザイナーになれます。
フェザニーって人は、その中でも大人気のカリスマなんですよ。洋服を見に行ってたから、そんな話題に成ったんです」
「し、シルク様……」
なるほどね。流石シルクちゃん、分かりやすい。てか、何でここまでセラが恥ずかしがってるのかがわからない。女の子なんだから、服くらい見に言っても不思議じゃないけど。
てか、別にセラの趣味趣向に興味はないから、これ以上深く聞く気もない――って、それよりも重要な事があったんだ。
僕は二人に、再重要人物の事を聞く。
「二人とも、クリエ見なかった?」
「はあ?」
「クリエちゃん?」
二人とも同じように疑問符を頭に浮かべてる様だった。いや、まあ確かにそうなるか。説明が足りなかった。
「そんな、何言ってるのこのバカ? みたいな目でこっち見るなセラ。別に頭がおかしく成った訳じゃないっての。ついさっきだよ、ここにクリエが居たんだ!」
「頭のねじが飛んじゃった? が抜けてる」
知るか! 別にそこは重要じゃない。セラの考えた事を当てたい訳じゃないからな。てか、やっぱり酷いなこいつ。まあ今は冗談として流してやるけど……たく、重要な部分に反応して欲しい。
そこはあくまでおまけだ。するとやっぱり期待に応えてくれるのはシルクちゃん。
「クリエちゃんがここにですか? でもそれって……」
「確かに僕もそんなわけないって思いました。でもあれは、確かにクリエだったんです!」
僕は必死に伝える。あれは見間違いなんかじゃない……筈だ。すると上から階段を下りてくる様な音が聞こえてきた。
これはまさか! と思い、僕達は階段の元へ駆けた。だけど……
「あれ? セラ様達何をそんなに慌ててるっすか?」
「お前かよ!!」
僕は思わず突っ込んでしまった。クリエかと思ったら、目が点なエルフな物だからガックリ度がハンパなくてつい。
いきなり突っ込まれて肩まで落とされたノウイは、訳も分からず憤慨してる。
「ちょっと何なんっすか全く! 自分は必死に、情報集めてたんすよ」
へぇ~、やることやってくれてたんだ。僕なんか、幼なじみと一緒に地元のお祭りに行ってきた――なんて言えないな。
なんかちょっとノウイに悪い気がする。まあそれに、聞きたい事はそれじゃないし。
「いや、それは悪かったよノウイ。だけどさ、そっちでクリエ見なかったか? 探してるんだ」
「その子なら、箱庭じゃないんすか?」
そう言って僕をじっと見つめるノウイ。その目がなんだかさっきのセラの瞳と似てるような……試しにあのフレーズを付け足して言ってみるか。
「何いってるんすかこのバカ? ついに頭のネジまでとんじゃったんすか――とか思ってんなよノウイ」
「なぜそれを!? エスパーっすか?」
はは、マジで当たるとは。こっちがその思考回路にびっくりだよ。上司共々、失礼極まりない奴らだな。しょうがないから、ノウイにもさっきの事を……って思ったら、今度は再び玄関の扉が開く。まさか、今度こそ!!
「やはり良質な武器を作るには良質な材料が必要なのは自明の理でな――」
「いやいやそれはどうだろうか鍛冶屋君。弘法筆を選ばずとも有るように、達人なら材料に関係なく石ころからだって名刀を生み出すべきとは思わないかい?
まあ無謀すぎるけど、そこまで行くことが究極じゃないか」
「……確かに」
なんの議論を交わしてるんだあの人達は。てか、やっぱりクリエじゃないんだな。いや、どうせそう来るだろうとは思ってたよ。
二人はまだ見てなかったし、そろそろ登場かな~なんて心の隅で思ってた。だけど敢えてその予兆を無視してたんだ。だってクリエの方が重要じゃん。
たく、空気読めよな……とは流石にテッケンさんには言えない。鍛冶屋には言えるけど。すると二人は、廊下に集まってる僕らに気づいた。
「どうしたんだいみんな揃って。スオウ君も居るし、これで全員だね」
「ふん、随分長々とやってた様だが、彼女でも来てたのか?」
「ぶっ!? いきなり何言い出すんだお前は! そんなの関係ないだろ今は!」
マジで唐突に余計な事を放り込む奴だな。ほら……なんか真横から、突き刺さる様な視線が投げられてるじゃねーか。どうせセラの事だから「私達が必死に情報収集とかしてる間に彼女なんかと……」とかよからぬ想像を膨らませてるんだ。
そんなんじゃないのに。
「アンタ彼女と宜しくやってた訳?」
「違うっての。日鞠は彼女とかじゃないし……幼なじみなんだよ。それに今日って言う日は毎年、墓参りに行くのが恒例なんだ」
まあ忘れてたけど。一回落ちれて助かったよ。てかなんでセラに変な追求を受けなきゃいけないんだ。
「へえ~幼なじみ……」
とかなんかブツブツ呟いてるし。
「そんな事よりも、テッケンさん達はクリエちゃん見てないですか? スオウ君がクリエちゃんをここで見たって事なんですけど」
僕達が本題を見失いかけてると、シルクちゃんが後ろからそう言ってくれる。そうそう、さっさとそれを聞かなきゃいけなかったのに、鍛冶屋が余計なことを言うから、忘れてたじゃないか。
まあだけど、案の定シルクちゃんの言葉を聞いた二人は、なんだか疑問符を浮かべてる。シルクちゃん達と同じ反応だな。
「ここにクリエ様が? それは本当かい?」
「どうせただの見間違いだろ。もしもあのガキがまた逃げたのなら、町中だってもっ騒々しい筈だ。そんな様子は無かったぞ」
「それは……」
まあ確かに、クリエが逃げたりしたら、僕達が真っ先に疑われそうな物だよな。ここに僧兵どもが乗り込んで来てもおかしくはない。
でもそんな様子はないし、街も至って平穏か……二人はやっぱり見てない様だし……こうなると僕の目が自分でも疑わしく成ってくるな。
けど……あれを見間違いだったとは思えないんだけど。僕は強く拳を握りしめる。あれは絶対にクリエだ。そう信じたい。
「あれは見間違いとかそんなんじゃなく、確かにクリエだった。それは絶対で、間違いない!」
僕は強くそう言い放つ。だって間違える筈なんてないんだ。
「だけど誰も見てないっすよ」
「隠れてるのかも知れない、そう言う奴だ」
ノウイの虚偽的な言葉なんて却下だ。するとテッケンさんが僕に味方してくれる。
「スオウ君が見たというなら、探して見るのも良いかも知れないね。どんな可能性だって今は見逃せないよ。僕達が見てないんだから、居るならまだ室内だろう。
それならみんなでこの家を探してみよう」
「そうですね。クリエちゃんが居てくれるのなら、それはそれは良いことですからね」
にこにこで賛同してくれるシルクちゃん。やっぱり僕の味方はこの二人だけだな。
「そうでしょうかシルク様。あの子が居たら居たらで大変な様な気がしますけど……」
「どういう事だよセラ」
僕が鋭い視線を向けても怯まずにセラはさらに続ける。
「ここらへんでお聞きしておきたいんですけど、スオウ以外のみなさんは、あの子を助ける事が正しいとお思いですか? まあ助けるなんてのも、こちら側の主観だから適切ではないですけど。
ようは誘拐してまで再びあの子を取り戻す必要があるのかって事です。私たちは一応目的を達成してる訳ですよ」
「お前、まだそんな事を言うのか」
それは今更だろう。どう考えても、クリエがこのままでいいだなんて思える筈なんてない……それなのに、ここに来て渋るか。
「大切な事よ。だって私達の役目はもう終わってるわ。これ以上は、国を敵に回す行動よ。そこまでしてもやらなきゃいけなのかって事。
それにこれはアンタの為でもあるのよ」
「はあ? なんで僕の為なんだよ?」
するとセラは偉そうだけど、ちょっと視線を左右にさまよわせながら口を尖らせて呟く。
「アンタ……期限はもうすぐで後四日に成るのよ。実際、あの子に構ってるこの状況が正しいのかって言ってるの」
要するにセラは他の可能性を提示してる訳だな。確かにこの道で有ってる保証なんてどこにもない。けど……ここまでは確かに導かれて来たはずだ。
それを頼りにここまで来たんだろ。僕はみんなの顔を見回す。誰もが確かに不安そうだ。これでいいのかなんてわからないし、間違ってるかもしれない。
それで僕が助からなかったら、きっと後悔するのは協力してくれてるみんななんだろうな。だけど……だよ。
「正しいなんてわからない。だけど今は、何が間違ってるかも分からないだろ。なら、僕は自分の心に従うよ。それを正しい道だと信じて突き進む。
立ち止まってるよりも、余程そっちの方が有意義だろ。正しいか間違いかなんかじゃない。僕はただ、アイツをこのままにしておけないってだけだ!
お前は……このままでいいのかよセラ!」
「私はあの子の事なんてあんまり知らないわ。それに別に何かをされるわけでも無いでしょう」
随分冷めきってるじゃねーかセラの奴。でも、確かに赤の他人の為に時間を使うような奴ではないな。ここら辺は日鞠とは違う。
アイツはなんだって出来るって思ってる奴だからな。救えない物なんて無いって本気で思ってる。そんな奴がずっと隣にいたせいで、こっちにもそれが移ってるのかも。
例えここがゲームの世界でも……余計なことだとしても、それはおかしいんだと思うじゃん。アイツはここではただの子供で、それが自由で居られないってだけで十分だ。
「何かをされる訳じゃないから、孤独でも良い分けない。アイツには帰りたい場所があって、それを本気で望んでる。なら、閉じこめてて良い分けもない。
それはアイツ等の……大人の勝手な都合だろ。保護? 創世歴の覆り? そんなのは全てクリエには関係ない。訳の分からない物で、勝手にがんじがらめに縛られてるクリエを、このままにしておけないのは、僕の勝手な善意なのかも知れない。
だけど僕は、それでもやる。この道が正しいかでも、この行いが正しいかでも無い。僕がそうしたいからだ!! まあだけど、それは僕が一番アイツと付き合ったからってのが確かに大きいな。
別の道を探してくれるのならありがたいし、止めはしないよ」
僕の渾身の言葉に何故か頭を抱えるセラ。
「……アンタって、有る意味私よりも強引だと思うわ」
深いため息と共にそう言うセラ。そして周りもなんかクスクス笑ってる。特にテッケンさんにシルクちゃんに鍛冶屋だな。前々からの付き合いの奴が多い。
「あはは、まあしょうがないよね。スオウ君はこうなったら聞かないからね。あれだよね。誰にも自分の行動の責任を取らせたく無いから、そう言うんだよね?」
シルクちゃんのそんな言葉に、僕はちょっと照れながら言葉を返す。
「別に……そう言う訳じゃないですよ。僕はそんな大層な考えで突っ走ってる訳じゃないです。自分の勝手な行動だって思う方が楽なだけ」
「それで私達を国家レベルの犯罪者にすると……」
犯罪者って……確かにそうなりそうではあるけど……
「だから僕だけでもやるって言ってるじゃん」
「アンタだけに行かせれる分けないでしょう! アンタは気付いてないかもだけど、私はこれでもアンタのこと心配――っつ!!」
急に口を押さえたセラ。まあだけど遅いな。こっちはちゃんと聞いたぞ。心配してくれてたんだ。それはそれは……うれしい事だ。
すると場がまとまったらしいことを察したテッケンさんが手を鳴らしてこう言った。
「よし、じゃあまずはこの家からクリエちゃんを捜索してみよう」
その言葉に、全員頷いて手分けしての捜索開始。その間にちょっと僕はテッケンさんに聞いてみた。
「あの、テッケンさん達はいいんですか? 間違ってるとか思いません?」
するとテッケンさんは簡単にこういってくれたよ。
「僕やシルクちゃんは多分こう思ってる。君の元へ真実は寄ってくるってね。だからそんな心配はしてないかな。君は心のままに動けば良いんだと思うよ。
それを僕たちは全力でサポートするよ。それを約束してる」
本当に……本当にこの人は……
「ありがとうございます」
僕はそう言うしかなかった。てか、そう言いたかった。何回言っても足りなさそうだけど、言わなきゃ伝わらない。この感謝の気持ち。
本当に僕は、仲間って奴に恵まれてると思う。普通ここまでは出来ないよ。
そして結局は、この家からクリエは見つからなかった。
「やっぱり見間違い……いや、そんな訳は……」
「もしかして生き霊とか? まあゲームだしあり得ないけど、丁度今はそんな祭りをしてるからあながちでも……」
僕の言葉にテッケンさんがそう続けた。祭り? そう言えばLROはリアルと連動して色々と行事が有るからな。この時期の風習で似たような事をやってるのかも。
「確か『魂送り(こんおくり)』でしたよね? 亡くなった人達を、あの世へ一斉に送る日。そのためのお祭り」
なるほど、それはこの時期らしいお祭りだ。だけどクリエは死んではない……よな? なんか急に不安に成ってきた。
「急ぎましょう! なんだかイヤな予感がします!」
「そうですね。私も胸がざわめいてる」
僕達はアンダーソン邸から飛び出した。目指すは箱庭への転送場所(仮)の小屋だ。サン・ジェルクの街は確かにお祭りムードと成ってた。
無数の提灯が妖しく道を照らしだし、周りの水の上には何か蝋燭を灯した灯籠が浮いてる。それが様々な色を放って、とても幻想的に見える。
祭りばやしの笛の音。活気溢れる人混みを、それでも止まらずに僕達は駆ける。そしてたどり着いた目的の場所。
だけど何故か、そこには昼間続いてた道がない。灯籠に囲まれて例の小屋だけが、浮かび上がってた。
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