命改変プログラム
進んだ関係? と動き出す闇
「おいセラ……」
階段の下の方から、僕はセラへ向かって言葉を発する。すると肩を小さくビクつかせる様にして、セラが視線をさまよわせてこう言った。
「な……何よ」
ふむ、何よとは失礼しちゃうな。やさぐれてるのにも関わらず、僕から話しかけてやったと言うのに……もうちょっと優しくなって欲しい物だ。
まあ、今更でもあるし、この程度で言い合いを始める気は無いけど。
「ちょっと聞きたい事があるんだが……正直に答えてくれるか?」
「な、何よ改まって。一体、なんだって言うの? いいいい言ってみれば良いじゃない」
なんか様子おかしくないかセラの奴。さっきからやたらキョロキョロしてるし、ソワソワしてるし、なんかドンドン顔赤く成ってるし……てか、こっちは真剣なんだから、もっとちゃんと聞いて欲しいよな。たく……
「あ――」
「ちょっと待って!!」
いきなりの制止の合図に、気持ちが削がれる僕。マジで何なんだセラの奴? やっぱりおかしい? それとも遊ばれてる?
「おい、待ってどうするんだよ」
「そそそれは、心の準備とかよ。アンタが変な顔して見つめるから……私は……」
誰が変な顔だ。僕はこれ以上無いって位に真剣な眼差しをセラに送ってる筈だ。なのにそれでもふざけれると……空気が読めない女だな。
しかも心の準備って、言われる事がわかってるのか? 今までの自分を反省してるって感じじゃないけど……それよりもなんだか、今から告白でも受けそうな感じの様な。……気楽な奴。
「いいから、ちゃんと聞けよ。大事な事だからな」
「大事なこと……」
「ああ、僕達のこれからにとってとても大事な事だ」
「こここ……これから!」
なんかいちいちセラの奴は反応が大袈裟じゃないか? 本当に真面目に聞く気あるのかこいつ? 本当に重要なんだよ。これからも付き合っていけるかどうかの、結構な瀬戸際だぜ今は。
だから一緒に冒険していく為には、わだかまりは消しとかなくちゃいけないんだ。――って、なんでマジで頭から湯気が出てるんだよこいつ。
いや、セラがどんな状態だからって関係ない。これは今、確かめておくと決めた事だ。
「セラ……お前は……」
「ゴク」
妙な緊張感がこの場に走る。飛空挺の動力路の音だけがゴウンゴウンと響いてる。
「なんで僕の事苛めるんだ? 理由を言え! そうでないとどうしようもないんだよ!」
「……え? 何それ?」
なんだかキョトンとしてるセラ。まさか聞いてなかったのか? いいや、そんなのあり得ない。結構大きな声で僕は言ったもん。こいつ、曖昧にしようとしてるのか。
「何じゃない! そこら辺をはっきりさせないと、一緒に冒険していけないだろ。僕はこれ以上、理不尽な暴力を受け続けるのはゴメンだ。
だからこうやってその理由を確かめてやろうって思ったんだ。聞かせろよセラ! 腹を割って話せば、もっと仲良くなれるかもしれないだろ」
てか、なんで僕がここまで妥協しなきゃいけないんだ? って思わなくもない。けど、こいつは仲間なんだ。どうせ嫌がったって、僕の言葉なんて聞きはしないだろうし、こうなれば関係良好を目指すしかないじゃん。
僕の命の為にも。
「仲良くね……アンタは確かにそれで良いわよね」
「ん? 聞こえないぞ」
ブツブツとなんか言ってるけど、もうちょっとはっきり喋って欲しいね。すると僕の言葉を受けてか、鋭い眼光が返ってきた。
え? なんだかさっきと雰囲気がガラリと違うんですけど。
「我慢我慢……アンタの言いたかった事ってそれだけ?」
「それだけって……僕にとっては重大事項だからな」
セラの奴、必死に拳を握り締めて、何かを押さえてるように見える。なんか背中がゾッとするな。でもここで引いたら今までと同じだ。
「僕は扱いの改善をお前に要求してるんだ!」
「だから私がアンタに何故に冷たいのか知りたいと……」
「まあ、そういうこった」
ようやく話が繋がったな。で、何でこいつはこんなに殺気を放ってんだ? 話し合おうって気があるのか? 小動物ならこの気に当てられて死にそうだぞ。
まあ僕は既に耐性が出来てるけども。
「アンタは……どう思ってるわけ?」
「は?」
「だから……なんで私がアンタに冷たいのかの理由……アンタは何だと思ってるの?」
なんだこのプレッシャーは。目に見えない何かが僕にのし掛かってる気がする。しかも下手な事を言うと、あの震えてる拳が僕に突き刺さると思う。
けどなんと言えば? 僕にはこれしか思いつかないんだけど――
「嫌いだからだろ?」
その瞬間、ダン!! と床を踏みつける音と共に、一気にセラが迫る。風圧が僕の前髪をかきあげる……けど、当たりはしなかった。
寸止めって奴だ。顔面に直撃する寸前で、セラの拳は止まってた。
「嫌いよ……アンタなんか大ッキライ!!」
「わ……悪かったなそりゃ……」
「でも……」
ん? ここで「でも」が来るか? 震える拳の先……俯いたセラの顔からは何かがコボレてる様に見える。
「――でも!! そんなに嫌いじゃないから!!」
「は?」
キョトンとする僕に、セラは涙を貯めた怒ったような目で、僕を睨んでさらに続ける。
「勘違いしないでよね!!」
そう言うと、僕の横を通り抜けて二階部分へと走り去った。そしてどこかの扉の部屋が閉まる様な音がしたから、きっとどっかに閉じこもったんだろう。
「………………え~と、どういう事?」
残された僕は頭に一杯疑問符が浮かんでた。いやだって、「大嫌い」と言われたよな。その後に「でも、そんなに嫌いじゃない」とも言ってた。
ふむ……訳が分からない。大嫌いとそんなに嫌いじゃないってどういう事? 二つを計算式に当てはめればどうだろうか。
大嫌い+そんなに嫌いじゃない=そこそこ嫌い? ってな結論はなんだか少し違う気がする。嫌いじゃないって解釈でいいのか?
でも大とそんなにじゃ、大が勝ってるし……ああ、もう結局どうなんだよ。僕のこれまでの印象からして、嫌われて無いはずがないと思うんだけど……でもやっぱり大嫌いってまでは無いとも思うんだよね。
だってそしたら、わざわざ嫌いな奴と冒険しないだろうし……かといって好きでも無いだろうけど。まあ取り合えず、暴力をふるわれなかっただけちょっとは進歩出来たのかな?
追いかける……なんてのもちょっと無粋かも知れないし、僕は頭を掻きつつ取り合えず階段を上がることにした。そして甲板に続く扉を開ける。
「あわっきゃ!」
すると変な奇声と共に、可愛らしい女の子が転がってきた。綺麗な銀髪を揺らして、ゆったりとした服に身を包むその女の子は癒しの象徴ともいえる存在だ。
「シルクちゃん、何やってるの?」
「ええ~と、べ別に盗み聞きとかそんなんじゃないんです。ただ気になって……ええ~とだから……」
アタフタと床に女の子座りして弁明するシルクちゃん。うん慌てた姿もなんとも可愛らしい子だ。てか、盗み聞きって……シルクちゃんも女の子だな。
「盗み聞いてたんだ」
「あう~~」
僕の指摘に可愛らしい声を上げるシルクちゃん。この子はなんか反則だな。モブリとは違う可愛らしさが爆発してるよ。
あう~なんて言う奴がリアルに居るならぶっ飛ばしてやりたい所だけど、シルクちゃんは裏がないからいいよね。
「でもでも、心配だったんです」
「うん、まあそれはありがたいよ。てか上に居たって事は、セラと何か話してたんですか?」
「はい、まあそれは……ちょっとだけ」
指でちょっとを表現しながら曖昧に笑うシルクちゃん。なんだか話を流したがってる様に見えるな。シルクちゃんの笑顔にはそれを出来る魅力があるけどさ、そうは問屋が卸さないぜ。
色々とわからない事が一杯なんだ。セラはシルクちゃんを何故か尊敬してるから、一番深い事が聞けそうだ。だから僕はズイッとシルクちゃんに迫った。
「シルクちゃん」
「はい……何でしょう?」
「聞いてたのなら分かるよね? 大嫌いって言われて、その後にそんなに嫌いじゃないってどういう意味? 女同士だし、シルクちゃんなら分かるよね?」
「ええ~とそれは……」
言葉に詰まるシルクちゃん。でも「わかりません」て言わない所を見ると、やっぱり分かってるはいるようだ。流石女の子同士。
だけど彼女は答えを言わずに、こう言った。
「そそれは、私が教えて言い事じゃないの。それにちゃんと自分で考えて上げて。セラちゃんもその方が絶対に嬉しいから」
「嬉しいって……」
なんで僕があいつの為に頭を悩ませなきゃいけないんだ。ただでさえ問題は山積みだというのにだ。実際、そんな面倒な事遠慮したい。
そう思ってると、何故か今度はシルクちゃんがジーと僕を見つめて来る。うう……なんて可愛いんだ。
「今、スオウ君面倒とか思ったでしょ?」
「な……なんの事?」
う、やっぱり女の子だね。妙に勘が鋭い。そのスキルは女に生まれた瞬間に備わってんのか? デフォルトか?
「女心が分からないスオウ君なんて、豆腐の角に頭をぶつけて死んじゃえばいいんだよ」
「ええ!?」
まさかシルクちゃんの可愛い口からそんな暴言が飛び出すなんて……誰に言われるよりショックなんだけど。なんでちょっと怒ってるの?
面倒とか思ったのが悪いのか?
「面倒なんて思ったら可愛そうだよ。スオウ君が大変なのも分かるけど、お願い、分かろうとする事を諦めないでいて上げて。私にはそれしか言えないよ」
「分かろうとする事……か」
確かにそれを諦めたら人間関係なんて成り立たないんだろうな。全人類なんて無理だろうけど、目の前の知り合い位はそうでありたいよな。
そう、分かろうとする事を諦めたくないから、僕はあいつを追いかけてるんだ。拒絶されても、あいつ自身が諦めてるとしても、僕は諦めないと決めたから。
「はぁ」
しょうがないか、セラの事だってそりゃあ分かりたいと思ってるよ。ただアイツはさ、僕に対してだけわかりにくくしてるような気がするんだよね。
でもそれでも、シルクちゃんは諦めないでって言ってる。
「一つだけ良いですか? アイツは……セラは、どのくらい僕の事嫌いなんですか?」
「今のままだと大嫌いかな?」
「やっぱりですか」
まあ初めから大嫌いなら下には行きように無いと思えば良いんじゃね? するとシルクちゃんは立ち上がり階段を二・三歩下りこう言った。
「けどね、私達とは比べものに出来ない位の大嫌いだからね」
「そんなに?」
僕がそれなりにショックを受けてると、シルクちゃんは更に下へくだっていった。そして二階へ降り立った所でこちらに振り返る。
「そんなにです。そんなスオウ君はどうするのかな?」
「……それでも、どうにか出来るのなら、諦めずに友達に成ってみせてやるよ」
「はい!」
シルクちゃんの華やぐ笑顔が心を暖かくしてくれる。なんだかシルクちゃんの視線はそういう期待が込められてた。
でも、まあやってみせるけどね。自分を嫌いな奴と友達にもなれなくて、自分に絶望した奴を救い出せる訳がないだろう。
あのバカには一人じゃないって、傍には誰かがちゃんと居るって気づかせないといけないんだからさ。僕は開いたままのドアから甲板へ。すると僕と入れ替わりにピクが中へ入っていった。
シルクちゃんを追っていったんだろう。冷たい風が頬に当たる。僕はこの夜空の下のどこかに居るはずのあいつの顔を思い出す。
あの半月をセツリも見てるのだろうか。
「月が近い……」
私はベットの上から、全面に見える夜空を眺めてそう言います。これでもここは室内なんだからびっくりです。夜空の中に居るような、そんな錯覚をしそうな程にこの部屋は空に近い。
というか、この場所事態が空に近い訳ですけど。大きく広い部屋、静かな空間……こんな所に佇んでると、思い出しちゃう事が色々とあります。
そしてやっぱり、どこまでも行っても私は一人なんじゃないかって……そんな考えがまとわり付いて来てしまう。
私はベットから足を伸ばして立ち上がります。長いネグリジェを床で引きずりながら、外への扉を開きます。すると開いた瞬間に、ブワアアと強烈な風が私を部屋へ戻そうとしました。
「むむむむ……」
けれど私はなんとかベランダへ。風が心地よい……とは言えないけど、生きてるって感じはします。すると後ろの方からコンコンと音がして、私は振り返ります。
そこには巫女服を脱ぎ去った、黒髪乙女のサクヤがいました。彼女も今はネグリジェです。でも私なんかのよりもかなり刺激的な格好。
なんか透けてるし……ベビードールって奴らしいけど、私の体は暗にお子様だと告げられてる様な気がして成らないよ。
「どう……なされましたかセツリ様」
「ん!」
サクヤも扉を開いてこちら側へ。けどその言葉……口調にはなんだか未だに慣れません。その違和感が、ジワッと心に罪悪感ってのを広げます。
けど……これをしたのは私です。私はサクヤの心を奪った。彼女には傍に居て欲しかったから、否定なんてして欲しく無かったから……ワガママなんて分かってる。それでも私は……
「ううん、なんでも無い。今日は月が綺麗に見えてるなぁって思っただけ。起こしちゃったねサクヤ。一緒に寝よ」
私はサクヤを後ろに向かせて、そそくさと中へ入れようとします。すると背中越しにサクヤが意外な事を言いました。
「誰を、待ってるんですかセツリ様?」
「――――待ってる? な、何の事かなそれは」
サクヤはもう何も覚えてない筈。だからそんな言葉が出てくるなんてあり得ない。けど、私が一番傍に居て欲しい彼女は、覚えてない筈なのに、こう紡ぎます。
「わかりません。けど……セツリ様はずっと、誰かを……待ってる様な気がします。そして私はそれをどこかで願ってる。そんな気がするのです。
何故でしょう? 自分でも分かりません。気分を損ねたのならすみません」
サクヤはそう言うと、自分から歩きだしてくれます。だけど私は……何故か進めません。サクヤが分からないのは全部私のせい……けど、もう後戻りなんか出来ない。
これは私自身が決めた事だもの。私は半分に欠けた月を再び振り返ります。あれはもしかしたら、今の自分をよく表してるのかも知れない。
だからこそ、満月よりもなんだか私を引きつける。けど……後悔なんてしてない。私は自分自身でその半分を捨てたんだもん。
だからもう一度、あの半分の部分を携えて彼が来ても、私は今度こそ彼を殺すだろう。だって彼は絶対に立ちふさがるだろうから。
彼はもう、何よりも大きな障害……敵以外の何者でもない。だから待ってるとしたら、望みを叶える為。全てを断ち切る為。それ以外にあり得ない。
サクヤは鳥かごに入ってるクーへ新しく水を変えてあげてるよう。だけど私は近づかない方がいい。だから再びベットの上へ。
クーに私は、嫌われちゃってる様だから。でもそれも、仕方ない事だよ。
「もう少し……もう少しで辛い事なんか無い世界にいける」
私はそう呟いて布団を被り、目を閉じます。夢の中ではそんな世界に、一足先に行けるから。
「行くぞ! みんなああ!!」
「「「うおおおおおお!!!」」」
それはいつもの経験値積みの為の戦闘だった。気が合ういつもの連中と、いつもの狩り場での小馴れた戦闘。釣り役の奴が、俺達本隊の居る所までモンスターを引っ張って来ての戦闘の繰り返し。
ノーヴィス領のとあるダンジョン。大きな木の根によって作られた様な、その空間は不思議な光を放つ泡みたいな物で、視界を確保してる、そんな場所だった。
「グモオオオオオオオオオオ……」
ズズーーンと断末魔の叫びと共に、今夜数体目の戦闘を終える。それなりに消耗したけど、不足の事態でも起きなければ全滅なんてあり得ない程度の戦闘。
だけどそれでもLROの戦闘は一戦一戦がヒリヒリするような感覚があってやめられない。しかも今日は他のパーティーもいないようだし、効率が普段よりもいい。
みんな気が知れてるから雰囲気も良いし、わいわいやってられる。
「さて、じゃあ次の獲物を釣って来るよ」
そう言って釣り役のエルフの人が走り去る。自分達はそんな背中に「よろしく」やら「がんばって」やらをかける。これもいつもの光景だ。そして次の戦闘に備えて、残った自分達は談笑しながら回復にせいを出す。
そう、そんないつもと変わらない狩りの筈だった。
「う……うああああああああああああああ!!」
そんな悲鳴が聞こえるまでは。このダンジョンに響きわたったと思える程の叫び。自分達は思わず立ち上がり顔を見合わせた。
「今の声って……」
「で、でもまさか、何かの冗談とかじゃないのかな? それに他の人かも知れないし」
「それはどうだろう? 僕たち以外のプレイヤーはまだ見てないよ。それに聞こえた方向は……」
そう言うモブリのヒーラーの彼に促されて自分達は声のした方向を一同に見る。すると誰一人として狂わずに、釣り役のエルフが去った方を見据えるじゃないか。
「「「…………」」」
黙り込む一同。するとエルフが去った方から、ザッザと言う音が聞こえてきた。自分達はホッと胸をなで下ろす。無事だったんだ……そう思ったからだ。
けど、闇の中から出て来たそのエルフは、ついさっき見た状態とは随分変わってた。何というか……黒い何かに覆われてるような……しかも随分フラフラしてる。
「あ……がっ……」
「おい、どうした? 何があったんだよ?」
そう言って自分達は彼の元へ行こうとする。するとその瞬間に、彼は突然こう言った。
「ダメだ! 来る……な! 逃げ……て!」
その言葉の終わりと共に、エルフの彼は再び闇に引っ張られるかの様に、消えていった。そして再び悲鳴がこの場に響きわたった。
「ねえ、どう言うこと? これって何かのイベントでも起きてるの?」
ソーサラーの彼女は明らかに怯えてる。でも……この状況で怯えない奴なんていないだろう。何が起きてるのか全然分からない。でも……
「それは分からない……けど、助けなくちゃだろ」
「だけど、逃げろって!」
「ゲームでも、仲間は見捨てない。そうでありたいじゃん」
自分の恥ずかしい言葉に、だけどみんなは頷いてくれた。それにやっぱりこれはただのゲームだ。みんなそう思ってた。だからこそ、行ってしまったんだ。
LROがおかしく成りつつあるとかは聞いてたけど、それが自分達の周りで起こるとか、考えもしてなかった。それはきっと遠い所で起こってる物だと思ってたんだ。
僕たちは彼が消えた方へと走った。そして角を曲がると、そこは完全な闇だった。明らかにおかしい、何で光源である泡がこっちには一個も漂ってないんだ?
そして誰かが気付いた。暗闇の中に落ちている、見覚えのある装備と武器に……
「これって……まさか……」
「そそんな訳無い! なんで装備だけが……中身はどこに行ったのよ!!」
おかしな事が起こってる。誰もがきっとそう感じてた。そして一人が「出よう」と言う。誰もが迷い無く頷いたけど、後ろを見た瞬間、自分達は唖然とした。
そこは何も見えない。ただの闇と化してた。そして気付くと一寸先までも真っ暗で、聞こえるのは仲間達の悲鳴だ。
そして何かが、自分達を食い漁りながらこう言った。
「コードを食って存在の確定を……今度こそあの赤髪をぶち殺す!! くははは……はーっははははははは!!」
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