命改変プログラム
見果てぬ夢
何が起きたのか、ガイエンが何を言ったのか、俺には理解出来なかった。けど、胸を貫く鈍い痛みだけは体がいやと言うほど伝えてきてた。
「丁度良い頃合いだろアギト。ごっこ遊びもここら辺で終わらせて、お前は退場してろ。私がそれを許してやる」
そう言ってガイエンは俺に突き刺した剣を勢い良く引き抜いた。その瞬間、俺の体は支えを失ったように傾き掛ける。
そんな俺の瞳には前へ進み出るガイエンの背と、鈍く光る剣の刀身が見えていた。何で……いつのまにか遠くに感じるガイエンに、俺は弱々しく腕を伸ばす。
「てめえ……」
だけど見向きも、止まる事さえもしないガイエン。俺はそれでもその背を追おうとした。でも体が上手く動かない。腕を伸ばすだけで精一杯で、動こうとした反動で膝が砕けてその場に倒れ込む。
(くっそ……そうかコレって……)
この状態、明らかにただの一撃食らっただけのダメージじゃない。そう言えばガイエンの剣もまた特別な物なんだ。
アイツの性格にあった、嫌らしい性能付きの長剣。
『ポライゾン・レイソン』は切りつけた敵の自由を奪う、神経性の毒を常に精製してるんだ。つまりこれはその効果。
かなり厄介だな。ナイト・オブ・ウォーカーが俺が与えられてから、ガイエンが探し出したあの武器がこれ程だなんて。
なんだかこれってさ……イヤな思いが頭に浮かんでくる。けど多分間違いじゃない。さっきの言葉……直ぐには理解出来なかったが、今なら分かる。
自分から言ってんじゃねーかあの野郎。けど、何でって思う俺もいる。今回の侵略戦でようやく僅かばかり通じ逢えた筈じゃなかったのか。
「ガイエン様、ご苦労様です。ようやくこの時が来たようですね」
だ……誰? と思ったが、ここには俺とガイエンとグラウドとアイリしか居ないはず。上手く動かない顔を上げて見ると、やっぱりだがあれはグラウド。
信じられない事に、奴が頭を下げてる? それにあの口調。
「ようやく? 違うな。ここからだまだ先は長い。何せカーテナはもう主人を選んで居るのだからな」
「これだけは唯一の計算違い。何故にこんな女に我らがエルフが従わねば成らぬのか」
「そういうな。カーテナは存在自体が不確かだったのだ。それにアイリは私の伴侶として同じ場所に居て貰うのだからな。
私の目に間違いは無かったと確信してる。間違いがあったとすれば、それはやはり」
会話の中でようやくガイエンが再びこちらに視線を向けた。だけどそれは、今まで向けられた視線のどれよりも冷たくて暗い視線だ。
初めて会ったときよりも、互いに好きになれないと思ったときよりも、更にヒドい阻害感と嫌悪を感じる。今日会ったこと……向けられた言葉の全て……あれは幻か?
何だったんだ一体っていいたくなる。その中で奴らの言葉を聞いていて、何言ってるんだよとも思う。そして更に耳に届いてくる言葉と、武器を手に取って進み出るグラウドの姿が見えていた。
「アギトの存在。お前がいろんな事を狂わせた。特にその力の事は予想外だったよ。それ以外は全てガイエン様の予定通り立ったのに」
「予定……通りだと?」
それって一体どこからなんだ? グラウドの野郎、冗談でガイエンに遜ってるんじゃないのかよ。いくら積まれたんだ? 出なきゃそんなお前おかしい筈だ!
「予定通りは言い過ぎだなグラウド。私の計画は何度も修正してある。その都度その都度な。まあその修正が一番大きかったのが、お前のナイト・オブ・ウォーカーの存在だ」
「まさかこの女、何も言わずに唯一無二の力をアギト、お前に与えたんだからな。そのせいで簡単に居場所を無くす筈だったお前が、それだけで掛け替えの無い象徴の一つになった。
大きな誤算だ。初めての騎士は偉大なる王を守る盾と矛であるべきだからな。それが誰もの考え。だが、下地はもう済んである。
今更、強大な一人だけの力なんていらない。使いどころも終わったし、そろそろ消えて貰おうアギト! 貴様にはな!!」
目の前で火花を散らしながら回転するグラウドの武器が見える。奴の機会仕掛けの槍の威力は、この身をもって知っている。
それに……もう、いろんな事がグチャグチャに成りすぎて、結構キてるんだ。その瞬間、グラウドの奴の攻撃が炸裂した。部屋中を振動させる程の一撃。
立ちこめる煙の中、だけどそこに俺の姿は無い。
「ガイエン様!」
「慌てるな。アイリがここに居る以上、アイツは逃げんさ。きっとアイツの頭では混乱してるだろうから、ゆっくりと分かって貰おうじゃないか。
それからアイリを救い出すして遅くはないだろ? なあアギト」
そう言ってガイエンは鞘に戻してた長剣を居合いの如く振り抜いた。そして放たれた斬撃が向かってくるのは、アイリが眠ってる部屋の中央部分。
だけどその斬撃は現れた大きな盾によって阻まれた。
(アイツ、気付いて……)
その衝撃で拡散した煙の中から、俺は姿を現す。アイリを抱えようと思ってたが、その状態でこの二人を相手取るのは流石にキツいみたいだ。
しばらくは冷たい床の上で寝て貰う事に成りそう。けど、それにしてもどうやってアイリを? 何かのアイテムか魔法で眠らせてるんだろうけど、カーテナを持つアイリの防御は完璧だ。
それをどうやってグラウドは通したんだ? 本当に訳が分からない事が多すぎる。
「どうやって私の毒を打ち払った? やはりその力の賜物か? それとも気合いとか言う物じゃないよな? それは止めてくれよ。
私はそう言うのは嫌いなんだ。気持ちだけで全てを乗り越えられて、諦めなければ何だって手に出来る……そんなガキ臭いきれいごとなら許さんぞ」
ガイエンは抜き去った剣をこちらに向けて牽制してくる。とことん上から物を言う奴。出会ってからほんの少しずつだけど、確実に変わって来てる……そう二人で感じてたのも幻か。
それとも、今のこいつがその果てなら、こんなに虚しく悲しいことはない。どうしてこんな事をするのか、俺には理解なんて出来ないんだ。
「うるせえよ。ガキ臭くてきれいごとで何が悪い? 俺はまだまだガキで、綺麗事だって夢もって信じれる年頃なんだよ。
教えてやるよガイエン、それにグラウド。今、俺が動けてるのは、お前達の事が最高にムカつくからだ!!」
そう叫んだ俺は地面を思い切り蹴って動いた。そして一瞬で向けられてたガイエンの剣を上へ弾いて懐へ入る。一瞬にして形成逆転。
今度は俺が、奴の喉元に大剣を突きつける。
「はは、素晴らしい。それだけの力、何故にお前なのか理解出来ないな。責任も意志も不十分なお前には、重すぎるだろう。
まあ私とて、その力では満足はせんがな。ムカつくだけで動けるか。相変わらず、LROは無駄な意志を汲み取るな」
「うるせえ! うるせえ! うるせえ!! さっきから昔に戻った様な喋りを繰り返しやがって! その減らず口、今なら一瞬で潰せるんだ。
俺の質問にだけ答えてろガイエン!」
チャキ――と俺は更にガイエンの首に剣先を当てる。本当にこのまま突き刺してやろうか。するとその時、横からグラウドが自慢の突撃力で突っ込んで来た。
だけど、大きな爆発と共に後ろに下がったのはグラウドだった。
「なっ……それが手にした力の大きさか!」
「そう言う事だグラウド。ナイト・オブ・ウォーカーを甘く見るなよ! そこで大人しくしてろ。出ないと、いつから様様呼んでるか知らないこいつの首が飛ぶぞ」
俺は自分の力の大きさを見せつけた。グラウドの攻撃に対して、避ける事なんてせずにただ盾で防いだだけ。けど今の俺にはそれだけで十分だった。
それだけ俺の盾は堅牢だ。でもグラウドはそれでも諦めてはいないらしい。奴の槍はまだ元気に唸ってる。でも流石に二撃目をやるかには戸惑いがあるみたいだ。
「――っち」
「いいさグラウド。ここもまた時を待て。で、最初の騎士様は私に何が聞きたいんだ?」
喉元に剣を突きつけられてるってのに随分と余裕をかますガイエン。何だか俺の方が追いつめられてる感じだ。まあ精神的な事ならまさにそうなってる訳だが、今はそんな事悟られる訳にはいかない。
「全部だ! お前が何を目的にして、今まで何をやったのか! そしてこれからお前が何をやろうとしてるのか、全部喋って貰う!」
強気……それを全面に押し出して俺はそう言った。だけど気付かれてるのかも知れない。本当は腕が振るえてるって事に。
ようやく友達になれると思った。けど結局は前と何も変わらない。いいや、それどころかもっとヒドい。俺の中に渦巻く感情は怒りだけじゃ無いんだ。
後悔や失望や寂しさなんかも相まって、そして無駄に少しだけ通じたと思えた事が、俺の腕に震えをもたらしてる。
「全部か、また大雑把な。お前が知りたい事は本当にそれか? まあいい、そうだな。まずは私の目的を教えてやろう。
私はこの国を手に入れる。そして行く行くはLROの全てを、エルフの覇で覆って見せよう。そして私は神へと成るんだ!」
「神だと?」
一瞬こいつ何いってんだ? って思った。夢見てるのは完全にこいつだろ。それこそガキ臭い綺麗事じゃないのか。夢物語とも言えるだろ。
でも冗談言ってる様には見えない。
「お前……そんな事本気で言ってるのか? 幾らLROがゲームだからって限度って物がある。それに神ならもう居るだろ。
この世界を管理してる人達こそ神と呼べる存在だ!」
「そんな干渉してこない存在など、居ても居なくても私にとってはどうでも良いことだ。奴らは運営者。
私が統べる為のこの世界をただ管理してるだけの、いわば裏方よ。私が言う神はそんな見えない存在じゃない。畏怖と敬意を一心に集める存在の事だ」
「それこそ、どうかしてるとしか思えねえよ! よく考えろ! LROはゲームなんだ! その中で手に入れた地位や名誉にどれだけ執着したって意味なんて……」
「無いなどとはお前の口からはいわせんぞアギト!!」
その瞬間、俺の剣を素手で掴み取ったガイエン。その剣幕と行為に俺は一瞬たじろいだ。
「私たちがここに何を求めて来てると言う? それは夢だ。リアルで見れない夢がここにはある。それに意味なんて無いなどとはいわせんよ!
結果を求めるのは人の性。私はな、青臭く諦めないなどとは言わんよ。大人らしく、どんな手段を使ってでも目的という夢を叶えよう!
ここにはまだ、その権利がある! だから邪魔はするなよアギト!」
握った剣を自分の方へ引き寄せるガイエン。そして上に弾かれてた自身の長剣を振り卸してきた。毒をはらんだその刀身。もう一度受けて、もう一度立ち上がれるかの保証はない。
俺は盾を上へ。ガイエンの長剣と俺の盾がぶつかり合う。結構な衝撃だ。だけどこの位で俺の盾は砕けない。けど気付くと、盾の横から緑色の煙が落ちてきてないか?
これってまさか毒!?
「その気になれば、周囲に放つことも出来る。二度目はないぞアギト」
そんなガイエンの声が盾で見えない向こう側から聞こえてくる。そんな事自分でもわかってる。LROは気持ちを汲み取ってくれるが、それが何回も通用するわけない。
実際、最初に受けた毒が消えたわけじゃないんだ。俺は奴の毒を消すアイテムなんか持ち合わせちゃいないんだから、ただ体が鈍く成ってるだけだ。
だからもう一度食らうわけにはいかない。俺は腕に力を込める。
「俺は弱いけど、この力を舐めるなよガイエン!!」
突き刺せばきっと早かった。だが俺はそれをしなかった。今の俺の力なら、ガイエンが剣を押さえてたとしても、それ以上の力で喉元に刺せた筈だ。
だけど俺はそれをやらずに持ち上げた。力を込めた腕で、ガイエンごと剣を上げる。そしてそのままおもいっきり振りかぶる。
その瞬間、空気が弾ける様な音と共に、前方の壁が崩れさった。そこにはついさっきまで目の前に居たはずのガイエンが尻餅をついていた。
これで毒の心配はいらないだろう。
「ここは夢を見る場所だ。だからそれを否定なんかしない。でもなガイエン。どこにだって常識とか倫理とかあるだろ。勿論ここにも、暗黙のルールとかがある。
なあガイエン。お前の夢が今言った事なら、俺たちって何なんだ? 汚い手段に使われてた関係なのか?」
そんなの思いたくない。幾らこいつがムカつく奴で、気に食わないとしても、そんな関係だなんて最悪だ。俺はだから否定してほしかったんだ。
だけど、壁を背に立ち上がるガイエンは妖しく笑ってこう言った。
「くっくっく、その通りだアギト。最初にお前達と出会ったあの日、『使える』そう確信したよ。だからグラウドを差し向けて、強引にレイアードに入れた。
そしてそこで案の定お前達は風を吹き込む役目を担ってくれた。正直、マンネリ化した毎日に飽き飽きしてたからな。
カーテナの出現条件は分からないし、全ての事が滞ってた時だ。お前達が来たのは」
「おい、待てよ……レイアードに入れた? いや……じゃあ、まさか!」
ガイエンの言葉があの頃を回帰させる。でも奴が言ったことを加味して思い浮かべるあの頃は、何だかドス黒い物で覆われてそうだった。
「まさかも何も、私がエルフのレイアードを作ったんだ。あそこに居るのは私の大切な駒達。昔も、そして今もな」
「今もって事は、さっきの侵略戦でレイアードが紛れ込んでたのは……」
「ああ、私がそうしといてやったよ。お前を追いつめる為にな」
「――っつ!!」
当然とばかりにガイエンは見下すような目で俺を見てる。何で……なんて言葉はもう意味すら持たないんだろう。こいつの行動は全て、あのおかしな夢につながってるんだから。
そしてそのためなら、何だってするって言っている。けれどそれって……俺は一気に地面を蹴ってガイエンに迫る。
「ふざけるな!! 何で俺が……俺達が、お前の夢の犠牲に成らなくちゃいけないんだ!!」
俺は大きく剣を持ち上げる。今まで、どうにか我慢してきたけど、ああもハッキリ言われたら限界だ。自分が儚く望んでいた物は、ガイエンの一言一言に裏切られていく。
だからきっとこのまま振り卸せる。その筈だった。けどその時、ガイエンは僅かに頭を俯かせて、微かにこう言ったのが聞こえた。
「仲間……だろ」
その瞬間、今にも振り卸しそうに成ってた腕にたがが入った様に動かなくなった。言葉の流れで考えると、それも随分理不尽だったが、俺には仲間の部分が強調して聞こえてたんだ。
「お前……今、何――」
「うらああああああああああああああ!!」
突如割り込んだ声。そして直撃したのは、グラウドの槍だった。完全な不意打ち。防御なんて一ミリも間に合わなかった。
グラウドの槍の爆発的な突進力と掛け合わさった攻撃力が横腹付近に炸裂する。俺はどうなったかも分からずに吹き飛んだ。
「ぐあ!! だっ!? ずっ!? がっは!!」
止まったときには今度は俺が壁を背にしてた。体中が重く感じる。かなりのダメージを負ったみたいだ。すると少し離れた場所から音が聞こえる。
機械が回転するような音。そしてプシューと熱気を吐き出してる様な音。顔を向けると、グラウド武器から立ち上る白い煙を押し退けて、ガイエンが進み出て来る所だった。
「良いタイミングだ」
「はい、有り難き幸せでガイエン様」
本当にどうしたんだって言うくらいのグラウドの遜りようが、ある意味吐き気を催すな。あれが本来の関係なのか。見慣れないから違和感ありまくりだ。
「――っ……グラウド、お前変だぞ。あの異常な自信はどこに行ったんだ? 正直言ってかなり気持ち悪い」
「全てはこの方の采配に従ってたまでよ。それに勘違いするんじゃねーよアギト。俺が狂おしい程に力を求めてるのは何もかわらねーよ!
ガイエン様についていけば俺もどこまでだって強くなれる!」
グラウドの奴のガイエンへの執着はどう考えたっておかしい……というか異常だ。新興宗教の教祖と信者みたいだ。
グラウドは自分で変わってないって言ったけど、俺にはそうは見えない。てか力の概念がそれでいいのかよ。俺が知ってるグラウドは絶対に今の言葉じゃ満足しない筈だ。だって……
「どこまで行ったって、『二番目』の力をか? 随分と丸く成ったじゃねーか。俺的には、やっぱりお前誰だよって感じだよグラウド」
「何だと?」
俺の言葉に僅かにだけど反応するグラウド。だってそうだろ? ガイエンが神ならガイエンが常に一番の力を持つ事になる。
最強なんて手に入る訳がない。それでも満足なら本当に丸くなってる。だがそんな問答の間に再び奴が入ってくる。
「落ち着けグラウド。アギトは分かってない。だから理解も出来ない。奴は浅はかさの固まりだぞ。お前の求める強さ……最強と言う物もこの先にある。
私がいるから一番に成れない? アギト、神とは別次元の存在なのだよ。見えても決して届かない。そこにお前達が求める強さなど無意味な程にな。
神は神であるだけでいい。最強の神なんて言わんだろう? だから強さとは、人である内にだけ価値がある。迷うなグラウド。
覇業を成せば、お前が最強だ」
「お、おう!!」
何だかかなり自己中的な思想が入ってる言葉だったが、それでグラウドは良いらしい。単純なのは元からか。
小難しい事を言えば、変な説得力が言葉に宿るんだな。
「納得いかんと言う顔だなアギト」
ガイエンが俺の顔を見てそんな事を言った。だから俺は立ち上がりながら言ってやる。
「当たり前だろ。結局お前は全ての上にいる。見下す世界での事を言ってるだけだ。最強の神は居なくても絶対的な神がお前なら、見下した最強なんてハリボテも良いところだろ」
窓一つない儀式場で、床の一面に広がった魔法陣の光が俺達を照らしてる。そんな限定的で神聖な場所だからか、こんな神やらの話が出来るのはさ。
言ってておかしく成る。真剣に成れば成る程さ。だけどガイエンは妙に楽しそうでもある。ようやく動き出した夢の第一歩。それを語ってるのが嬉しいのかも知れない。
「それが神と言うもので、神の下で生きるのが人というものだろう。何もおかしな事などない。リアルは想像の神にひれ伏して、その下に自分達が生きてるのを当たり前としてるじゃないか。
それが神の力と言うものだ」
「そんな物に……本当に成れるとでも思ってるのか!? だとしたら相当イかれてるぞお前」
本当に、リアルだったら精神科の世話になるレベルだ。
「成れるさ。LROに出来ない事などない! やれない事など! 見れない夢などありはしない!! 奇しくもそれを確信させたのはお前達だぞガイエン」
「何?」
「カーテナの存在の証明! そこに至る過程。あの圧倒的な力!! あれほど心躍った時はない。だがこんな物じゃないとも思った。
私が夢描いた光景……その場所はな!! 不可能など可能に出来る! 現実と仮想の狭間の夢を私は大願しよう!!」
その時、俺の目にはガイエンが大きく映った。視覚がおかしく成った訳じゃない。奴の圧倒的な自信。それが俺の心を萎縮させて、そんなイメージを伝えてくる。
このゲーム、LROならまさかそんな事まで出来てしまうんじゃ無いかとさせ思えてくる。前しか見てないガイエン。
そんなこいつを、後ろばかり振り返ってる俺が果たして止められるか? けどそれでも、許せない怒りの分のケジメはつけよう。後はわからないけど。
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