命改変プログラム
離れた人
僕の目の前――――いいや、全てが光で包まれた。三百六十度余す事無く、そこは光の世界。
(どうなったんだろうか……僕は)
振り抜いた筈のニーベルは手の中に無く、麒麟もここにはいない。だけど最後、腕に響いたあの感触はきっと本物の筈だ。そうであって欲しい。
無我夢中で振り抜いたニーベルはきっと届いた。。だけど本当に二つの攻撃は同時に交錯したから……もしかしたら僕は死んだのかも知れない。
僕のHPは本当に僅かだった。麒麟のあの攻撃を僕は避けなかった。ならば僕のHPは尽きたはずだ。でも……僕は自分がどうなったのか確かめる術がない。
まだ僕は死んでも大丈夫なのか……そうでないのかは、確かめようなんて無かったから……僕は今、どっち側に居るんだろうか?
僕は残った右腕を見つめて握った。そこには確かな感触がある。胸に手を当てれば感じる鼓動がある。動く足があり、考えることが出来る頭もここに・・・それで、それだけでいい。
僕はまだ生きている……そう感じる。だから前に足を踏み出した。床は優しく波紋を広げるように波打った。だけど水って訳じゃない。やっぱりそこにも光があるようだ。
少し性質の違う光。それを踏みしめて僕は進んだ。何もないその世界を。しばらく歩くと何かが聞こえてくる。カタカタカタカタ……規則的に聞こえるその音を僕は何度も耳にしている。
光の世界の中に一点の黒がある。光を飲み込む様にして存在してるそこは部屋の様に見えた。光と陰の明暗のせいか良く見えないけど、狭い部屋だ。そこには平積された紙の束に、更に次々と紙を吐き出すプリンター……耐えきれなくなった紙は床へと舞落ちる。
だけどその紙はキチンと平積の上へと乗っていくんだから不思議だ。パソコンの青白い光に照らされて浮かんでる背中を僕は知っている。
何度も何度も……こんな曖昧な世界で僕たちは逢ってるんだから。だけど声を掛けた事は有っただろうか? 掛けられた事は有った気もするけど……するような……だけど今は何気にそんな事が出来る気がした。
「いつまで……いつまで貴方はそうやってるんですか? もうLROは出来てるんじゃないんですか? どうして自分でセツリを助けに行かなかったんですか? 貴方は……当夜さんですよね?」
僕の言葉にタイピングの音が止んだ――と、思ったらすぐにまた響きだした。物言わぬその背中はいつも通りの光景だ。だけど今回は何かが違う……それは、僕の声が届いた事だろうか。
今までは、声を出すことも出来なかった。出来てもそれは何かの壁に遮られて届いて無いと思ってた。けれど、今の反応……確実に当夜さんには僕の声が届いたんだ。
なら、聞きたいことが山ほど有る。言いたいことも沢山有るぞ! 文句言いまくってやるぞコラァァ! そのすかした背中に言葉の槍を刺してやる!
(え~とまずは……)
「私は……最後の鍵を探してる。それを見つけるまで、この手を止めるわけには行かない」
僕が辛辣な言葉を脳内で検索してる時に、不意に聞こえたその言葉。あっぶな、余りにも当たり前の様に喋るから聞き流す所だったじゃないか! まさか返して来るとは思わなかった。
だけど……鍵ってなんだ? それは何に必要なんだろうか? やはり、セツリをリアルに戻す為の物? 考えても自分の頭の中に答えなんてない事は分かりきってる。なら、その答えを持ってる人に聞くのが一番だ。
それは目の前にいるしね。最近ようやくコミニュケーションを覚えてくれたらしい彼に聞こう。
「最後の鍵……それって何なんですか? やっぱり、セツリの為の物ですよね?」
「……勿論だ。あの子の事以外、私は興味なんかないよ。最後の鍵……それを知るには君はまだ早い。私はまだ……君を信用なんてしてないからね」
僕の眉根がピクっと動く。それはなかなかに失礼な言葉じゃなかろうか。誰がなんの為にここまでやってると思ってるんだ。
「どういう事ですかそれ? 僕はこれでも頑張ってるつもりですけど……」
僕は心で煮えたぎる物を奥に押し込めて声を絞り出す。ここは耐える場面だ。外面は爽やかに、気にしてない感じで。
「頑張る、頑張らないかじゃない。君は本当に……どうしてセツリにそこまで出来る? 君がそういう人間だから……それならそれで構わない。
だけどそれは……あの子にとって余りにも残酷だ」
当夜さんの声は低く小さくなり、なんだか後悔が伝わって来るようだ。それに僕は責められてる気がした。
「残酷なんてそんな……そんな言い方ないですよ!」
僕は吠えずにはいられかった。なんだよそれ……僕のしてきたことは全部余計なお世話だったのか!? 残酷って何がなんだよ。
「君は……あの子が本当に欲しがってる物を分かってない。君のその曖昧さがあの子を苦しめる。疑わせる。
今のままでは絶対にアンフィリティクエストは成し得ない。私の『命改変プログラム』それにはあの子の本心が必要だから」
「本心? セツリはリアルへ帰る事を願ってる!」
それはちゃんとこの国に入る前に確認したことだ。みんなで話して……セツリはそれを願ってくれた。だからクエストは成し得る!
「あの子の闇は、君が思ってるほど浅くはない。そしてここのシステムはあの子を手放そうとはしない」
空しく響くタイピングの音が煩わしい。どんどん、どんどん否定されていく今までの過程に腹が立つ。なんなんだよ。この人こそ、何を願ってるのか分からない。
セツリを助けたいんだろ! 救いたいんだろ! 意味が分からない事ばかり言わないで、励ます言葉でもくれれば僕も素直に頷けたのに……
「システムを作ったのはアンタだろ! セツリになにしたんだ!」
「あの子を守るための事だよ。……システムが、この世界があの子を守る……願いのために。自分達で動き出しても、それは変わらない」
周りはこんなに明るいのに、心には沢山の感情が押し寄せてその光を曇らせる。ああ、もうごちゃごちゃする。僕は一番、知りたいことを強引に言った。
「一つだけ聞かせろ。僕のやってきたことは無意味だったのか?」
タイピングの音が止む。今度は長い。それでも数秒が数十秒に延びただけだったけど、その時の僕にはとても長く感じれた。
そして再びタイピングの音が黒い空間から染み出してくるとき同時にその言葉も響いてくる。
「そんなことはない。君は良くやっているよ。想像道理で予想以上……君は間違いなくあの子の勇者だろう」
その言葉を受け取って……でも僕の心は安心も安らぎも得られなかった。こんな事聞くんじゃなかった。真っ先に心に沸いたのは空しさだ。
そんなことをこの人に言われても意味なんてなかったんだ。僕の行為を受け取ってるのはセツリなんだから……それは他人の意見も同じ事だった。
だからこの人に、「助けられない」と言われても僕は「助けてみせる」と言うだけの事なんだ。何も分からない僕だけど、それだけは確かな事。
「僕は助けますよセツリを。そう誓ってます」
「是非にお願いしたいね。私にはそれは出来ない事だから。だから色々言ってしまう……余計な事が口を付くのは私の悪い癖か。気にしないでくれ」
僕の宣言に当夜さんは軽く応えた。今更、散々言ったことを「気にしないでくれ」って言うのも無理な話だけどね。この奔放さはセツリと似てる気がする。姉弟なんだから似てる所の一つや二つは当然か。
その時、光の世界に一点だけの存在である目の前の空間がブレた。そしてボヤケていく。闇は光に溶かされていっている様な感じだ。
「この空間も長くは持たないな。君がもう少しシステムに浸透すれば……いいや、それは諸刃の剣だな。お別れの時だ。久々に誰かと話せて楽しかったよ」
そう言って当夜さんは椅子を押して立ち上がった。それは予想外の事。見慣れた筈の背中が大きく感じれた。
「貴方は……」
僕は言葉を詰まらせる。何を言えば良いのか分からない。この場面で……僕は何を知りたい? あるはずなんだ……有ったはずだ。セツリやアンフィリティクエストやLROじゃない、もっと別の事……
その時、更に当夜さんは驚く事をした。いや、それをやるだろうとは予想は付いた。だけどそれはここではタブーに感じれてたんだ。
だってずっと当夜さんは僕に背中しか向けてなかったから……ここではそう言う物だと勝手に思ってた。だけどそれら全てを覆して当夜さんはこちらを向いた。それは始めてみる彼の生きた顔。
「うん? それよりも、これは助言として聞いてくれ。あの子はいつでも元気に振る舞うけど、心はとっても繊細なんだ。いつも何かに怯えてる。
それを君には覚えておいて欲しい」
当夜さんは僕を真っ直ぐ見つめてそう言った。イメージでは人と顔を合わせたりするのも苦手って感じがしてたからそれは意外だった。目を合わせるなんて事は以ての外みたいな……若くしてフルダイブシステムを確立させた天才だから人と多少違うだろうと想像してもはばかられない事だよ。
だけど話してると常識人ぽかったし世間に外れない天才って事か? とことんスゴい人らしい。歴史上の天才は必ず何かが欠落してるものだ。
それが天才になり得る条件なら……それを満たさずに天才であれる者は天から二物を与えられたのだろうか。僕には知れない事だな。
どちらかと言うとバカと呼ばれる事の方が多い僕にはね。
当夜さんの瞳には凛とした強さが宿っているのが見えていた。余計な事でもない言葉。それは本当に純粋な助言だろう。その目を見返したとき、僕は聞かなきゃいけない事を思い出した。
揺らめく陰の様な空間が消えていく。その時、光の世界にも揺らぎが起こった。足下が柔らかくなり上下左右が反転したような感覚……三半規管がおかしくなった。
「それじゃあ、さよならだ」
「まっ――アンタは一体どこにいるんだ! LROにいるのか?」
僕は消え去る世界の中でそう叫んだ。そうだずっと疑問だった事……あの人がここに現れない理由。同じように意識不明なのにどうしてあの人はどこにも居なかったんだ?
LROは広いからただ逢えてないだけ……その線も無くはなかった。だけど、おかしい。この人はセツリを助る為にああした筈なのに、この場所にいないなんてあり得るだろうか?
あの人は天才だ。同じ場所に行ける確証が有ったはずだろ。なら居るはずだろ。だけどこの人は何もしなかった。LROが発売されて一年間経つまでどうしてたんだよ一体?
セツリをリアルに帰して……その時アンタがいなかったら悲しむだろう。怒るだろう。だから僕は思う。どうせなら二人一緒にリアルに帰る事が出来れば……それが一番理想なんだ。
だけど最後に当夜さんの口から出た言葉はやっぱり意味不明な物で、凡人である僕には分からない事だった。
「私はここには居ない……いや、もしかしたらもう、どこにも居ないのかも知れない。こうやって話してる私は既に……。
とにかく君に私を見つけるのは不可能だ。私が居る場所とLROでは空間の成り立つ場所が違うのだよ」
その言葉を残して黒の空間は消え去った。そして直後、僕が居た光の空間もその姿を保てずに消え去っていく。
意識が心と体を繋いだ瞬間、自身の胸には麒麟の放った電撃の砲が胸を貫いていた。だけど、僕のHPは生きている。砲は次第に細く小さくなって最後には消えてしまった。
僕の胸には貫かれた跡さえない。腕に感じた重みを追うとそこには銀色の剣があった。『双剣ニーベル』その片割れのもう一本。
だけど直後、そのもう一本も甲高い音を立てて砕け散った。ニーベルの破片が照らされた森の中で光を反射する。
それは綺麗な銀色の光だ。まるで一本目を追っていった様に感じれた。二つで一つの双剣だから、なんだかそんな気がしただけだろか?
でも、流石におかしいな、とも思う。ニーベルでの戦闘はまだ一回目だ。幾ら強敵だったとしても初戦で折れるなんて考えられない。
対象破壊でもあの角には付いているのか? それともウエポンアライアスの仕様かリスク……そこで思い出したように僕は麒麟を見た。正確には奴の額部分。
「無い……」
ポツリと出た呟きは見たままを表してる。麒麟の額に輝いていた白銀の角はそこには無くなっていた。根本の切断面が鏡の様に見えてるんだ。
そして何かが背後に落ちる音が聞こえた。それはきっと白銀の角だろう。
僕の頭は混乱してた。だってさっきまでの当夜さんとのやりとりは何だったのだろう……そして気付いたら胸を貫かれた瞬間で……でも大丈夫で……白銀の角は切れてて……なのに麒麟は変わらず目の前に立っている。
どう言うことだよ。誰か説明してくれ。するとキリンは背を向けて歩き出す。するとその後方から一人の人物が訪れた。泉の精だ。一人と一頭は交錯してキリンはその背後に回った。
「貴方が角を切ったのが数瞬早かったみたいですね。それでこの子の攻撃は攻撃判定されなかったみたいです。助かりましたね」
足下まで垂れる長い髪を揺らして泉の精はそう言った。なるほど、僕の方が一瞬早かったから助かったのか。その一瞬が向こうならどうなっていたのかなど想像もしたくない。
実際そうはならなかったんだからそんな事は無意味なんだけどね。はぁ良かった良かった。
「それで、僕達は勝ったんだよな?」
実は未だに疑ってたりする。あれだけどんでん返しされればこう疑り深くなるもんだ。だってまだ麒麟はそこにいるし。今は、最初見たときの姿に戻ってるけどどうしてもその口から聞きたいことだ。
すると泉の精はその口元を綺麗に曲げて笑顔を作りこう言った。
「ええ、貴方達はその力を見せてくれました。精霊化した麒麟を倒すその実力、見事でした。試練は終了です。安心して良いですよ」
「マジ?」
まだ疑う僕が居る。
「マジです」
「本当か!」
「勿論、違ったらデリート処理を要請して見せましょう」
ふむ、そこまで言われたら信じるかな。ここでデリートされても困るし。努力が水の泡になっちゃうよ。覆水盆に返らずだよ。だけどまだ間に合う。ここで僕が受け入れるんだ。それだけで万事解決。よし――
「実際は貴方が最初に麒麟を倒した時点で試練は終わりでしたけどね」
「ふざけんなぁぁ!」
――ダメだ。僕はもう何も信じられない! 最初に倒したときだと? どんでん返しなんか無かったのよ。なんであんな事したんだ?
「興味ですよ。私もこの子も貴方に興味が有りました。あの方が気にする貴方の力を見たかったんですよ」
「あの方?」
そのフレーズが引っかかる。どの方だよ。ふざけた事吹き込みやがって……おかげでもの凄く苦労した。だけど泉の精は僕の疑問には応えず、可愛い笑顔を引っ込めて周囲を見回した。
「それは、勝利の余韻に仲間と浸ってからでも良いでしょう」
そう告げた泉の精の左右からシルクちゃんとセラ、鍛冶屋の姿が飛び出した。そして上からはピクが飛来する。全員集合で全員無事だ。
「やったな!」
「終わったんですね。よかった~」
「まあ、今回はなんとか成ったけど、こんなバカな事続けてると死ぬわよアンタ。後それと、これは貸し一つだから」
それぞれがこの戦闘の終わりを噛みしめる。セラの毒舌も今はその裏の優しさが見えるから至って平気だ。
「何言ってんのよアンタ! 一生奴隷にするわよ!」
「貸し一つでそれはデカすぎだろ!」
たく、相変わらず無茶苦茶な奴だ。まあでも本当にみんなのおかげだった。一人じゃ何にも出来なかったよ。だからみんなの顔を見渡して頭を下げる。
「ありがとうみんな。本当にさ……僕のワガママに付き合ってくれてありがとう」
みんなの暖かな視線と僕は交錯した。こういう瞬間は良いものだ。みんなで何かを成す達成感。それは何にも代え難い物だ。
そこで「こほん」と咳払いが聞こえて僕らをそちらを向く。それは泉の精だ。
「そろそろ良いですか? このフィールドが無くなる前にこのウエポンアライアスを達成したほうが良いでしょう。それにさっきの事も今話します。
取り合えず、いつまで白銀の角を地面に放置しておくんですか? あれは最重要なアイテムですよ」
忘れてた。僕は慌てて、白銀の角を拾いに行く。取ってみると意外にずっしりと重い。アイテム名は『雷精の角』なんだか格好良いぞ。
「聞かせて貰おうか、あの方って誰だ?」
僕は雷精の角を手にみんなの所に戻りながら言葉を紡いだ。その言葉にみんなは困惑顔。さっきの会話は聞こえて無かったのか。一応黒幕とだけ伝えた。
「あの方の事は実は良く知りませんね。私達に自我を与えてくれる存在。既存のシステムからとき放ってくれるお方と言うことしか。
私なんてついこの間、自我を頂いたばかりだもの」
ついこの間? その言葉に僕は反応した。それはこの周りを囲むモンスター共が現れた時期って事か? それならモンスターを引き連れてた奴があの方?
確か、アルテミナスで聞いた話ではモンスターを操ってるのは女神の様な奴だとか。抽象的過ぎて良くわからんけど……それならタゼホに居るって事か?
「確かにあの方は女神の様な存在ですよ。私達にとっては。だけど今はタゼホには居ないでしょう。もっと面白い事をやると言ってましたから」
「どう言うことだ?」
僕達の間に不穏な空気が流れる。結構親切にしてくれたし良い奴かなとも思い初めてたけど、やっぱり違うのだろうか?
僕の言葉に泉の精は含みのある言葉を残して言い切る。
「あの方は今頃、アルテミナスでしょう。私達が守らなければいけない方が居る。その人をお迎えに行きました。
あの方は派手好きで遊び好きですからね。今頃、あの都市はどうなっているんでしょうね?」
「「「「――――っ!!」」」」
僕達は全員、体が強ばった。他のみんなはきっとアルテミナスがどうなってるかで体を強ばらせたんだろうけど、僕はそこにもう一つ重大な事に気が付いてた。
(今、こいつは守らなければいけない方って言った!)
それは……セツリじゃないのか? あの変な世界で当夜さんが言っていたんだ。「システムはあの子を手放さない」と……そしてこいつらはプレイヤーじゃない。LROと言うシステム……それらが自我を持った存在。
戻らなくちゃいけない。僕らの脳裏に共通の認識が巡った。でもそこで疑問も沸いた。なんでこいつはそんな事を喋るんだ? 武器まで直そうとする? おかしな事だ。
「そんなのは簡単です。それがあの方の意志だから。興味を持ってるんですよ貴方に。だからここでの戦いは試練。試したんです。
貴方がそれだけの人物か……」
敵意は感じられない。それどころか泉の精は晴れやかだ。この分ならシルフィングもちゃんと直してくれそうだ。だけどあそこまでやる必要あったかな? 試練厳しすぎだぞ。
「私は半端はしません。やるなら全力……正直あの方に興味を持って貰えてる貴方が疎ましかったのかもしれません。
だけどそれもあれだけの物を魅せられたら納得するしか無いじゃないですか。仕事はやります。私の役目ですから」
ちょっと悲しそうな泉の精。そして僕たちは泉の前に立つ。遂に『ウエポンアライアス』達成の時。深い森の中、その時は遂に来た。
(どうなったんだろうか……僕は)
振り抜いた筈のニーベルは手の中に無く、麒麟もここにはいない。だけど最後、腕に響いたあの感触はきっと本物の筈だ。そうであって欲しい。
無我夢中で振り抜いたニーベルはきっと届いた。。だけど本当に二つの攻撃は同時に交錯したから……もしかしたら僕は死んだのかも知れない。
僕のHPは本当に僅かだった。麒麟のあの攻撃を僕は避けなかった。ならば僕のHPは尽きたはずだ。でも……僕は自分がどうなったのか確かめる術がない。
まだ僕は死んでも大丈夫なのか……そうでないのかは、確かめようなんて無かったから……僕は今、どっち側に居るんだろうか?
僕は残った右腕を見つめて握った。そこには確かな感触がある。胸に手を当てれば感じる鼓動がある。動く足があり、考えることが出来る頭もここに・・・それで、それだけでいい。
僕はまだ生きている……そう感じる。だから前に足を踏み出した。床は優しく波紋を広げるように波打った。だけど水って訳じゃない。やっぱりそこにも光があるようだ。
少し性質の違う光。それを踏みしめて僕は進んだ。何もないその世界を。しばらく歩くと何かが聞こえてくる。カタカタカタカタ……規則的に聞こえるその音を僕は何度も耳にしている。
光の世界の中に一点の黒がある。光を飲み込む様にして存在してるそこは部屋の様に見えた。光と陰の明暗のせいか良く見えないけど、狭い部屋だ。そこには平積された紙の束に、更に次々と紙を吐き出すプリンター……耐えきれなくなった紙は床へと舞落ちる。
だけどその紙はキチンと平積の上へと乗っていくんだから不思議だ。パソコンの青白い光に照らされて浮かんでる背中を僕は知っている。
何度も何度も……こんな曖昧な世界で僕たちは逢ってるんだから。だけど声を掛けた事は有っただろうか? 掛けられた事は有った気もするけど……するような……だけど今は何気にそんな事が出来る気がした。
「いつまで……いつまで貴方はそうやってるんですか? もうLROは出来てるんじゃないんですか? どうして自分でセツリを助けに行かなかったんですか? 貴方は……当夜さんですよね?」
僕の言葉にタイピングの音が止んだ――と、思ったらすぐにまた響きだした。物言わぬその背中はいつも通りの光景だ。だけど今回は何かが違う……それは、僕の声が届いた事だろうか。
今までは、声を出すことも出来なかった。出来てもそれは何かの壁に遮られて届いて無いと思ってた。けれど、今の反応……確実に当夜さんには僕の声が届いたんだ。
なら、聞きたいことが山ほど有る。言いたいことも沢山有るぞ! 文句言いまくってやるぞコラァァ! そのすかした背中に言葉の槍を刺してやる!
(え~とまずは……)
「私は……最後の鍵を探してる。それを見つけるまで、この手を止めるわけには行かない」
僕が辛辣な言葉を脳内で検索してる時に、不意に聞こえたその言葉。あっぶな、余りにも当たり前の様に喋るから聞き流す所だったじゃないか! まさか返して来るとは思わなかった。
だけど……鍵ってなんだ? それは何に必要なんだろうか? やはり、セツリをリアルに戻す為の物? 考えても自分の頭の中に答えなんてない事は分かりきってる。なら、その答えを持ってる人に聞くのが一番だ。
それは目の前にいるしね。最近ようやくコミニュケーションを覚えてくれたらしい彼に聞こう。
「最後の鍵……それって何なんですか? やっぱり、セツリの為の物ですよね?」
「……勿論だ。あの子の事以外、私は興味なんかないよ。最後の鍵……それを知るには君はまだ早い。私はまだ……君を信用なんてしてないからね」
僕の眉根がピクっと動く。それはなかなかに失礼な言葉じゃなかろうか。誰がなんの為にここまでやってると思ってるんだ。
「どういう事ですかそれ? 僕はこれでも頑張ってるつもりですけど……」
僕は心で煮えたぎる物を奥に押し込めて声を絞り出す。ここは耐える場面だ。外面は爽やかに、気にしてない感じで。
「頑張る、頑張らないかじゃない。君は本当に……どうしてセツリにそこまで出来る? 君がそういう人間だから……それならそれで構わない。
だけどそれは……あの子にとって余りにも残酷だ」
当夜さんの声は低く小さくなり、なんだか後悔が伝わって来るようだ。それに僕は責められてる気がした。
「残酷なんてそんな……そんな言い方ないですよ!」
僕は吠えずにはいられかった。なんだよそれ……僕のしてきたことは全部余計なお世話だったのか!? 残酷って何がなんだよ。
「君は……あの子が本当に欲しがってる物を分かってない。君のその曖昧さがあの子を苦しめる。疑わせる。
今のままでは絶対にアンフィリティクエストは成し得ない。私の『命改変プログラム』それにはあの子の本心が必要だから」
「本心? セツリはリアルへ帰る事を願ってる!」
それはちゃんとこの国に入る前に確認したことだ。みんなで話して……セツリはそれを願ってくれた。だからクエストは成し得る!
「あの子の闇は、君が思ってるほど浅くはない。そしてここのシステムはあの子を手放そうとはしない」
空しく響くタイピングの音が煩わしい。どんどん、どんどん否定されていく今までの過程に腹が立つ。なんなんだよ。この人こそ、何を願ってるのか分からない。
セツリを助けたいんだろ! 救いたいんだろ! 意味が分からない事ばかり言わないで、励ます言葉でもくれれば僕も素直に頷けたのに……
「システムを作ったのはアンタだろ! セツリになにしたんだ!」
「あの子を守るための事だよ。……システムが、この世界があの子を守る……願いのために。自分達で動き出しても、それは変わらない」
周りはこんなに明るいのに、心には沢山の感情が押し寄せてその光を曇らせる。ああ、もうごちゃごちゃする。僕は一番、知りたいことを強引に言った。
「一つだけ聞かせろ。僕のやってきたことは無意味だったのか?」
タイピングの音が止む。今度は長い。それでも数秒が数十秒に延びただけだったけど、その時の僕にはとても長く感じれた。
そして再びタイピングの音が黒い空間から染み出してくるとき同時にその言葉も響いてくる。
「そんなことはない。君は良くやっているよ。想像道理で予想以上……君は間違いなくあの子の勇者だろう」
その言葉を受け取って……でも僕の心は安心も安らぎも得られなかった。こんな事聞くんじゃなかった。真っ先に心に沸いたのは空しさだ。
そんなことをこの人に言われても意味なんてなかったんだ。僕の行為を受け取ってるのはセツリなんだから……それは他人の意見も同じ事だった。
だからこの人に、「助けられない」と言われても僕は「助けてみせる」と言うだけの事なんだ。何も分からない僕だけど、それだけは確かな事。
「僕は助けますよセツリを。そう誓ってます」
「是非にお願いしたいね。私にはそれは出来ない事だから。だから色々言ってしまう……余計な事が口を付くのは私の悪い癖か。気にしないでくれ」
僕の宣言に当夜さんは軽く応えた。今更、散々言ったことを「気にしないでくれ」って言うのも無理な話だけどね。この奔放さはセツリと似てる気がする。姉弟なんだから似てる所の一つや二つは当然か。
その時、光の世界に一点だけの存在である目の前の空間がブレた。そしてボヤケていく。闇は光に溶かされていっている様な感じだ。
「この空間も長くは持たないな。君がもう少しシステムに浸透すれば……いいや、それは諸刃の剣だな。お別れの時だ。久々に誰かと話せて楽しかったよ」
そう言って当夜さんは椅子を押して立ち上がった。それは予想外の事。見慣れた筈の背中が大きく感じれた。
「貴方は……」
僕は言葉を詰まらせる。何を言えば良いのか分からない。この場面で……僕は何を知りたい? あるはずなんだ……有ったはずだ。セツリやアンフィリティクエストやLROじゃない、もっと別の事……
その時、更に当夜さんは驚く事をした。いや、それをやるだろうとは予想は付いた。だけどそれはここではタブーに感じれてたんだ。
だってずっと当夜さんは僕に背中しか向けてなかったから……ここではそう言う物だと勝手に思ってた。だけどそれら全てを覆して当夜さんはこちらを向いた。それは始めてみる彼の生きた顔。
「うん? それよりも、これは助言として聞いてくれ。あの子はいつでも元気に振る舞うけど、心はとっても繊細なんだ。いつも何かに怯えてる。
それを君には覚えておいて欲しい」
当夜さんは僕を真っ直ぐ見つめてそう言った。イメージでは人と顔を合わせたりするのも苦手って感じがしてたからそれは意外だった。目を合わせるなんて事は以ての外みたいな……若くしてフルダイブシステムを確立させた天才だから人と多少違うだろうと想像してもはばかられない事だよ。
だけど話してると常識人ぽかったし世間に外れない天才って事か? とことんスゴい人らしい。歴史上の天才は必ず何かが欠落してるものだ。
それが天才になり得る条件なら……それを満たさずに天才であれる者は天から二物を与えられたのだろうか。僕には知れない事だな。
どちらかと言うとバカと呼ばれる事の方が多い僕にはね。
当夜さんの瞳には凛とした強さが宿っているのが見えていた。余計な事でもない言葉。それは本当に純粋な助言だろう。その目を見返したとき、僕は聞かなきゃいけない事を思い出した。
揺らめく陰の様な空間が消えていく。その時、光の世界にも揺らぎが起こった。足下が柔らかくなり上下左右が反転したような感覚……三半規管がおかしくなった。
「それじゃあ、さよならだ」
「まっ――アンタは一体どこにいるんだ! LROにいるのか?」
僕は消え去る世界の中でそう叫んだ。そうだずっと疑問だった事……あの人がここに現れない理由。同じように意識不明なのにどうしてあの人はどこにも居なかったんだ?
LROは広いからただ逢えてないだけ……その線も無くはなかった。だけど、おかしい。この人はセツリを助る為にああした筈なのに、この場所にいないなんてあり得るだろうか?
あの人は天才だ。同じ場所に行ける確証が有ったはずだろ。なら居るはずだろ。だけどこの人は何もしなかった。LROが発売されて一年間経つまでどうしてたんだよ一体?
セツリをリアルに帰して……その時アンタがいなかったら悲しむだろう。怒るだろう。だから僕は思う。どうせなら二人一緒にリアルに帰る事が出来れば……それが一番理想なんだ。
だけど最後に当夜さんの口から出た言葉はやっぱり意味不明な物で、凡人である僕には分からない事だった。
「私はここには居ない……いや、もしかしたらもう、どこにも居ないのかも知れない。こうやって話してる私は既に……。
とにかく君に私を見つけるのは不可能だ。私が居る場所とLROでは空間の成り立つ場所が違うのだよ」
その言葉を残して黒の空間は消え去った。そして直後、僕が居た光の空間もその姿を保てずに消え去っていく。
意識が心と体を繋いだ瞬間、自身の胸には麒麟の放った電撃の砲が胸を貫いていた。だけど、僕のHPは生きている。砲は次第に細く小さくなって最後には消えてしまった。
僕の胸には貫かれた跡さえない。腕に感じた重みを追うとそこには銀色の剣があった。『双剣ニーベル』その片割れのもう一本。
だけど直後、そのもう一本も甲高い音を立てて砕け散った。ニーベルの破片が照らされた森の中で光を反射する。
それは綺麗な銀色の光だ。まるで一本目を追っていった様に感じれた。二つで一つの双剣だから、なんだかそんな気がしただけだろか?
でも、流石におかしいな、とも思う。ニーベルでの戦闘はまだ一回目だ。幾ら強敵だったとしても初戦で折れるなんて考えられない。
対象破壊でもあの角には付いているのか? それともウエポンアライアスの仕様かリスク……そこで思い出したように僕は麒麟を見た。正確には奴の額部分。
「無い……」
ポツリと出た呟きは見たままを表してる。麒麟の額に輝いていた白銀の角はそこには無くなっていた。根本の切断面が鏡の様に見えてるんだ。
そして何かが背後に落ちる音が聞こえた。それはきっと白銀の角だろう。
僕の頭は混乱してた。だってさっきまでの当夜さんとのやりとりは何だったのだろう……そして気付いたら胸を貫かれた瞬間で……でも大丈夫で……白銀の角は切れてて……なのに麒麟は変わらず目の前に立っている。
どう言うことだよ。誰か説明してくれ。するとキリンは背を向けて歩き出す。するとその後方から一人の人物が訪れた。泉の精だ。一人と一頭は交錯してキリンはその背後に回った。
「貴方が角を切ったのが数瞬早かったみたいですね。それでこの子の攻撃は攻撃判定されなかったみたいです。助かりましたね」
足下まで垂れる長い髪を揺らして泉の精はそう言った。なるほど、僕の方が一瞬早かったから助かったのか。その一瞬が向こうならどうなっていたのかなど想像もしたくない。
実際そうはならなかったんだからそんな事は無意味なんだけどね。はぁ良かった良かった。
「それで、僕達は勝ったんだよな?」
実は未だに疑ってたりする。あれだけどんでん返しされればこう疑り深くなるもんだ。だってまだ麒麟はそこにいるし。今は、最初見たときの姿に戻ってるけどどうしてもその口から聞きたいことだ。
すると泉の精はその口元を綺麗に曲げて笑顔を作りこう言った。
「ええ、貴方達はその力を見せてくれました。精霊化した麒麟を倒すその実力、見事でした。試練は終了です。安心して良いですよ」
「マジ?」
まだ疑う僕が居る。
「マジです」
「本当か!」
「勿論、違ったらデリート処理を要請して見せましょう」
ふむ、そこまで言われたら信じるかな。ここでデリートされても困るし。努力が水の泡になっちゃうよ。覆水盆に返らずだよ。だけどまだ間に合う。ここで僕が受け入れるんだ。それだけで万事解決。よし――
「実際は貴方が最初に麒麟を倒した時点で試練は終わりでしたけどね」
「ふざけんなぁぁ!」
――ダメだ。僕はもう何も信じられない! 最初に倒したときだと? どんでん返しなんか無かったのよ。なんであんな事したんだ?
「興味ですよ。私もこの子も貴方に興味が有りました。あの方が気にする貴方の力を見たかったんですよ」
「あの方?」
そのフレーズが引っかかる。どの方だよ。ふざけた事吹き込みやがって……おかげでもの凄く苦労した。だけど泉の精は僕の疑問には応えず、可愛い笑顔を引っ込めて周囲を見回した。
「それは、勝利の余韻に仲間と浸ってからでも良いでしょう」
そう告げた泉の精の左右からシルクちゃんとセラ、鍛冶屋の姿が飛び出した。そして上からはピクが飛来する。全員集合で全員無事だ。
「やったな!」
「終わったんですね。よかった~」
「まあ、今回はなんとか成ったけど、こんなバカな事続けてると死ぬわよアンタ。後それと、これは貸し一つだから」
それぞれがこの戦闘の終わりを噛みしめる。セラの毒舌も今はその裏の優しさが見えるから至って平気だ。
「何言ってんのよアンタ! 一生奴隷にするわよ!」
「貸し一つでそれはデカすぎだろ!」
たく、相変わらず無茶苦茶な奴だ。まあでも本当にみんなのおかげだった。一人じゃ何にも出来なかったよ。だからみんなの顔を見渡して頭を下げる。
「ありがとうみんな。本当にさ……僕のワガママに付き合ってくれてありがとう」
みんなの暖かな視線と僕は交錯した。こういう瞬間は良いものだ。みんなで何かを成す達成感。それは何にも代え難い物だ。
そこで「こほん」と咳払いが聞こえて僕らをそちらを向く。それは泉の精だ。
「そろそろ良いですか? このフィールドが無くなる前にこのウエポンアライアスを達成したほうが良いでしょう。それにさっきの事も今話します。
取り合えず、いつまで白銀の角を地面に放置しておくんですか? あれは最重要なアイテムですよ」
忘れてた。僕は慌てて、白銀の角を拾いに行く。取ってみると意外にずっしりと重い。アイテム名は『雷精の角』なんだか格好良いぞ。
「聞かせて貰おうか、あの方って誰だ?」
僕は雷精の角を手にみんなの所に戻りながら言葉を紡いだ。その言葉にみんなは困惑顔。さっきの会話は聞こえて無かったのか。一応黒幕とだけ伝えた。
「あの方の事は実は良く知りませんね。私達に自我を与えてくれる存在。既存のシステムからとき放ってくれるお方と言うことしか。
私なんてついこの間、自我を頂いたばかりだもの」
ついこの間? その言葉に僕は反応した。それはこの周りを囲むモンスター共が現れた時期って事か? それならモンスターを引き連れてた奴があの方?
確か、アルテミナスで聞いた話ではモンスターを操ってるのは女神の様な奴だとか。抽象的過ぎて良くわからんけど……それならタゼホに居るって事か?
「確かにあの方は女神の様な存在ですよ。私達にとっては。だけど今はタゼホには居ないでしょう。もっと面白い事をやると言ってましたから」
「どう言うことだ?」
僕達の間に不穏な空気が流れる。結構親切にしてくれたし良い奴かなとも思い初めてたけど、やっぱり違うのだろうか?
僕の言葉に泉の精は含みのある言葉を残して言い切る。
「あの方は今頃、アルテミナスでしょう。私達が守らなければいけない方が居る。その人をお迎えに行きました。
あの方は派手好きで遊び好きですからね。今頃、あの都市はどうなっているんでしょうね?」
「「「「――――っ!!」」」」
僕達は全員、体が強ばった。他のみんなはきっとアルテミナスがどうなってるかで体を強ばらせたんだろうけど、僕はそこにもう一つ重大な事に気が付いてた。
(今、こいつは守らなければいけない方って言った!)
それは……セツリじゃないのか? あの変な世界で当夜さんが言っていたんだ。「システムはあの子を手放さない」と……そしてこいつらはプレイヤーじゃない。LROと言うシステム……それらが自我を持った存在。
戻らなくちゃいけない。僕らの脳裏に共通の認識が巡った。でもそこで疑問も沸いた。なんでこいつはそんな事を喋るんだ? 武器まで直そうとする? おかしな事だ。
「そんなのは簡単です。それがあの方の意志だから。興味を持ってるんですよ貴方に。だからここでの戦いは試練。試したんです。
貴方がそれだけの人物か……」
敵意は感じられない。それどころか泉の精は晴れやかだ。この分ならシルフィングもちゃんと直してくれそうだ。だけどあそこまでやる必要あったかな? 試練厳しすぎだぞ。
「私は半端はしません。やるなら全力……正直あの方に興味を持って貰えてる貴方が疎ましかったのかもしれません。
だけどそれもあれだけの物を魅せられたら納得するしか無いじゃないですか。仕事はやります。私の役目ですから」
ちょっと悲しそうな泉の精。そして僕たちは泉の前に立つ。遂に『ウエポンアライアス』達成の時。深い森の中、その時は遂に来た。
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