美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 62

どうやら確かに私の攻撃はアクゼンには届かないらしい。何をしてもパーフェクトタイム中では、こいつの裏をかくって事ができない。なにせこっちがアクションを取ったとしても、こいつはそれを待ってからでもどうやらどうにでもできる……ということらしい。

 これが時間を掌握する強みなんだろう。でも……こいつは言ってた。私の時間を掌握したと。そうそれは……

(私の――ね)

「魔王様!!」

 そう言って魔族の一人が突っ込んでくる。私のピンチに駆けつけてくれたんだろう。かなりボロボロだ。はっきり言って、戦局はこっち側が押されてると言って良い。やはりだが、アクゼンが生み出したコピー品達はその特性まで再現されてるせいで、強い。これがただのマナだけのコピー品なら魔族たちだって後れを取るようなことはない。

 だがそうじゃない。奴らはちゃんと特性までも再現されて、更に厄介なのは強力な種が各々ちゃんと連携を取ってる……ということだ。本来なら、強力な種は他種族と連携をとる……なんてことはありえない。

 なにせこの世界では自分たちの種以外は全員ライバルだ。それこそ上の方にいる種ならそれが顕著だろう。なぜなら頂点が見えてるんだから。それぞれに牽制し合って、手を取り合う……なんて事はない。

 でも今や奴らはただの意思がない人形だ。そこにプライドやらなんやら……種族の誇りなんてのはない。ただあるのは忠実に主人の言ったことを守る……とか言うことだろう。この場合は魔族達の排除……そのためにはちゃんと協力とかしてる。

 だからこそ、厄介な特性持ちたちが手を取り合うっていうことになってる。一つ一つの種族を相手にするのなら、魔族たちだって引けを取らないだろう。なにせ魔族たちも世界樹によってブーストされてる。

「邪魔するな」

 魔族はアクゼンに届くことなく、空間から出現した触手に絡め取られる。そしてグチャバキバキと潰されたのか……食べられたのか……でもそこに悲しさなんてのはない。なぜなら――

「召喚できるのがアンタだけなんて思わないことね」

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

 さっき潰されたはずの魔族が私の中から生まれて、アクゼンの私に差し込んでる腕をぶった切った。こんなことだって私はできる。だって私は魔王。魔族を統べる……いや魔族の全ての生みの親は魔王だからだ。

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