美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 56

右半身が吹き飛んだが、それで気を遣って攻撃を止める……なんてことをアクゼンはしない。当然だ。何せ右半身が吹き飛んだくらいでは私たちの戦いでは致命傷にはならない。これが人種なら確実に死んでるだろう。

 内臓を撒き散らして醜悪な最後になってるはずだ。けど……魔王である私にはそこまでのダメージではないし、痛みもそうでもない。実際……

「ならこっちも返してあげる」

 私はそう言って力を溜めた一撃をお見舞いする。けど今回の私は攻撃を確定させてなかった。アクゼンに攻撃を当てるには、その攻撃を確定させることだが何よりも大事だ。だからこそ、私はアクゼンにカウンターをすることで自身の攻撃を当ててきたんだ。

 けど今回のはカウンターではなかった。こっちが先に動いた。けどそれでも良いって思ってる。私の拳は空を切る。私はとりあえずアクゼンをもちろん狙った。けど当たらないだろうって思ってた。

 なにせ攻撃が確定してないからだ。そして当然当たらなかった。けどそれでいい。私の攻撃が当たらなかったから、ここから更に追い詰めて行こう……とアクゼンがしてるのがその力の高まりからわかる。けど私の拳は空を切ったが、当たらなかったわけじゃない。

 私の攻撃は空間に突き刺さっていたのだ。

「空間ごと吹き飛べ!!」

 私はそう言って空間ごとアクゼンを巻き込む爆発を起こす。壊れた空間に飛び込んで、私はそこから別の場所を砕いて外に出る。それはさっきの爆発を見下ろす場所だ。

 私は時間を操るなんてことはできないが空間を砕くことくらいはできる。まあ別に砕く必要もなかったけど……ちょっとあることを試してみたかった。さっきまで私やアクゼンがいた場所は空間が壊れてしまってる。

 服をビリビリに破いたかのような……空間に紫というか暗い色彩の場所が破れた空間の場所だ。私はまだ元の場所にいるアクゼンに突っ込んでいく。思った通りやつは無傷だ。空間がぶっ壊れてるんだから、それを利用していくこともできる。けど、そんなことはしない。

 私が正面から突っ込むことが作戦なのだ。再び力を高めて、同じような状況を作ってやる。アクゼンはもう一度同じことをしようとしてる私をみて余裕を持ってるように見える。それでいい。奴は時間を操って、私に一発を当てるだろう。

 同じことをするなら今度は空間の破壊にだって対応できる……そのくらいの力はアクゼンにはあるだろう。だからきっと今度はもっと強烈なカウンターを奴は用意してるだろう。

 そしてそれは確実に当たる。

(確定してることを利用できるのがあんただけとは思わない事ね)

 そう思って私はアクゼンの反撃を受ける。

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