美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 43

人の体から、無数の細長い足が伸びて、長い首、その先には膨らんだ脳みそがある……そんな化け物が生まれた。はっきり言ってあんまり強そうではない。けどそれは見た目の話であって、この世界、見た目はどんな極小であっても、そのマナの内包量に寄っては強者足り得るのだ。

 そしてその変な化け物から感じるマナはとてつもなく大きい。それに他の……アクゼンが蘇らせた種達もそうだ。忠実に再現してるのか、かなり強い。かといっても、こっちも遅れは取らないけどね。

 なにせ魔族たちはクリスタルウッドへのつながりを強めてそのマナをブーストさせている。十分彼らも最強種達と戦えるだけの力がある。そもそもが魔族は世界樹の成長具合で種全体の強さが変わっていく。

 それこそ世界樹が育ってない世界では魔族は弱いから下から数えたほうが早いくらいになるが、この世界のようにちゃんと世界樹が育ってると、それこそ上から数えられる程になるだろう。

 だから戦力的にはこれで互角になった……と言っていいと思う。まあこれで全部……なら、ではある。なにせアクゼンはその特性が多分だけど無限である。そんな気がする。どうしてアクトパラスなんていうあんまりパッとしない種がここまで強者になれたのか。それは自分の特性を理解して、長い間きっと準備してたんだろう。 

 基本的にアクトパラスが猪突猛進でゼンマイが頭脳って感じだと思うし、実際その通りだとは思う。アクトパラスには脳筋の気がある。ゼンマイは実際謎だけど、奴が頭脳なのは間違いない。

 けど、戦闘に関してはアクトパラスは卓越したセンス的な物があるし、狡猾でもあるんだろう。だからこそ、強敵に打ち勝ってきたんだと思う。やつは無限に増えて、無限に増殖できるとしても、実際弱いやつが無限に増えたところでって感じだからね。

 きっと奴はそんな自分の弱点みたいな部分をわかって、克服するための手段を講じたんだと思う。それは上の方にいる種にしてはとてもめずらしいことだ。なにせそこそこ強かったら、あんまり変わろうとしてないと言うか……そもそも強くはあるから、伸ばす方向で行くとしても、改善ってあんまりない。

 それはエデンにある記録を見てもそうだ。エデンは誰も居ない間にも、ずっとこの世界を記録し続けていたから、世界の歴史を知ってる。

「次々に行くぞ」

 そう言ってアクゼンが動く。消えたように見えたと思ったら、気持ち悪い化け物が、コマ落ちのように消えたり現れたりする。いや、向こうの陣営全てがそうだ。でもあれは消えてるんじゃない。

 時間を操ってるんだろう。更には動いたところに既に攻撃が『置かれてる』ってことが起きてる。未来を見て、今を奴は過去に出来るようだ。それはまさに、一歩先を歩ける強み。更に私達の攻撃は奴らに取っては過去にあるから、置いていかれてるっていうね。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品