美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 32

「はぁ……面倒な」

 私は世界樹の中でそんなことを言ってた。確かに……確かにこれは私にしかできないよ。それにアクトパラスとゼンマイの力の解明になるのなら確かに必要だろう。それはわかる。

 でも……ね。私は戦闘には参加しません宣言をしたんだよ。なら徹底的に楽をさせてほしいところだ。こうやって雑用的に使われるのってなんか……ね。だってこれってチヤホヤされないじゃん。

 こんな雑用をやるくらいなら、私は戦場に出て敵を撃破して称賛を浴びたい。私は承認欲求も強いのだ。誰にも悟られない活躍って格好いいとは思う。格好いいとは思うけど、私の好みかというと、そうじゃないのだ。私は内心にチヤホヤされたいという欲求があるからね。

 これをやったとしても、得するのはミリアだけなんだよね。いや、巡り巡って私が得することではある。なにせミリアが負けると、計画は修正するしかない。そして魔王であるミリアを打ち負かすほどにアクトパラスとゼンマイが強いとなれば、やっぱりだけど厄介だ。

「けどアクトパラスがタコなのはわかってたけど、ゼンマイが時間を操るとはね」

 確かにそれは強者の能力だ。ゼンマイの種がなんで覇権をとってないのか不思議でならない。だって時間だよ? 時間を支配できるのなら、誰も勝てないでしょ。実際時間の概念ってよくわかんないけどね。私はそんなに頭良くないし。

 けど時間を操れるのなら、強いって認識はある。私だって時間を操るなんてできないよ。魔法的には時間を操れそうではあるけどね。でもそれも別にこの星の時間をどうにかできるってことじゃない。一応世界樹の中でなら、時間を遅くするとかできるけどね。それはこの世界樹であるクリスタルウッドが世界と繋がってるからだ。だからこの中から案外色々とできる。

 でも……外でそれを可能にするとなると一体どれほどの力が必要なのか……考えるだけでも途方もないと思う。

「やっぱりゼンマイの特性が何か関係あるのかな?」

 種には特別な特性ってやつがついてる。特に上の種になるとそれはまさに天から与えられたチートかのようになってるからからね。何もないのなんて、人種くらいである。もうね、本当にこの世界、人種にとっては生きづらいったらない。でもそれでも生き残って今や覇権を取ろうとしてる。私のおかげだが。

「とりあえずクリスタルウッドの中から、書き換えられた魔族たちの元の記憶を引っ張り出す。……これは貸しだからねミリア」

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