美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 24

私はなんとか止まろうとするんだけど、なんか空間全てが滑っとしてて止まれない。空間が滑っとしてるってなんだよって感じだが、事実そうなのだから仕方ない。多分だけどこの周囲の空間、全てをアクトパラスのやつが牛耳ってるからだろう。

「なら……」

 私は周囲にマナを溢れだす。それによって違和感を突き止める。どれだけの空間を支配下に置いてるのかは知らないが、私の周囲の空間を自身のマナで満たせば、それだけその範囲だけは私の支配権になる。滑っとした感触は消えた。私は足に力を集めて止まる。けど次は何やらカチカチという音が聞こえる。機械音のようなそれは、私の体から聞こえる。見てみると、何やら時計がくっついてた。

「いつの間に?」

 そしてそれの針が同じところに重なった瞬間に、爆発した。小賢しい。こんな爆発では私は傷つけられないが……小賢しい。これはとても機械っぽいから多分だけどゼンマイの力なんだろう。でもどういうことだ? 一体どうやってこれを成してる? わからない。

 なにせ今や私の体の周囲は私の領域になってる。なのに……この時計……どこからともなく私の体にくっついてくる。まるで最初からそこにあったかのように……だ。空間を操ってる? いやありえない。だから今は私の周囲は私の空間になってる。この状態で空間を使って私の体にこの爆弾を付けてるとしたら説明できない。

 だってそうなら私に着く前に現れないと無理だ。私に直接空間を通してつけるのは不可能。それに空間から何かが出てきたりしたらその揺らぎで気づく。でもそんなのは全くない。

 まるで……そうまるで……

「なんか初めからここにあったような……」

 そんな感じだ。私が元々これを付けてたかのような気さえする。いや気じゃないのかもしれない。ゼンマイの力ってほとんど謎だったが……もしかしたら……

「時間を操ってる?」

 その可能性がある。つまりはゼンマイのこの爆弾は過去の私に付けてるのかもしれない。そしてそれを今、認識させて爆発させてる。それならこの状態で私に攻撃を届けるなんてこともできる。でもそれなら……

「過去で私を殺した方が早いんじゃ?」

 とか思う。でもどうやらそれはできないってことか? それか過去の私がそれを防いでるか……そもそもが私が人間だった時まで遡れば簡単に殺せそうではあるけど。時間を操るのも限界があるのかもしれない。

 いや実際あるだろう。なんのリスクもなしに時間というものを操れるはずはない。でも厄介なのは確かだね。無限に増えるアクトパラスに時間を操れるゼンマイ……こいつらってもしかして持久戦か何かで勝ってきたんでは? って思った。

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