美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 22

化石化した触手へと私の攻撃が突き刺さりそれを打ち砕く。けどこれで終わるようなやつじゃないのはわかってる。

『愚かな者達よ。哀れな者達よ……』

 そんな声が聞こえてくる。なにやら言いたいことがあるらしい。聞こえる声は二重でやっぱりアクトパラスとゼンマイは二人が一人になってるらしい。

『貴様ら魔族は騙されている。あれが擁立した現在の世界樹……あれは偽物だぞ』

 そんな事をアクトパラスとゼンマイは言い出した。何を言ってるのか……はっきり言ってそんなのは鼻で笑っていいくらいの暴論である。私たちは世界樹を感覚で見分けることが出来る。それが魔族何だけど? その魔族に向かってあれは偽物? 

 片腹痛いとはこの事か?

「言いたいことはそれだけですか? ふふふ、あははははははははははははは」

 私は盛大に笑ってやった。そして私に釣られる様に魔族たちも笑い出す。アクトパラスとゼンマイは自分たちの世界樹こそが正当だとでも主張したいんだろう。でも、そんな主張の根拠はない。てか世界は既にラーゼの世界樹……クリスタルウッドによって回ってる。

 これをどう説明する気だろうか? あれが世界樹でなかったら何だというのか? そこらの木ですか? あれだけの大樹に成長する木が自然と生える訳ないでしょ。

『お前たちは……魔族は……何を持って世界樹としてる? 本当にあれが新の世界樹だとどうして判断する?』

「おかしなことを言いますね。既に世界のマナを浄化してるのはクリスタルウッドですよ。そしてその環は正常に回っています。それが世界の正しい姿なのですから、むしろ何をもって偽物と言うのか、聞いてみたいものです」

 マナを生み出し、世界を満たし、生物たちが死んだら、そのマナを回収して再びまっさらにして世界へと戻す。それを循環させていく器官が世界樹だ。そしてそれはクリスタルウッドがちゃんとやってる。

 それだけでクリスタルウッドはちゃんとした世界樹だ。そんなに偽物にしたいのなら、根拠を示してもらいたい。無理だろうけどね。だってクリスタルウッドは世界樹の役目を果たしてる。それは世界樹以外には絶対にできないことだ。

『だから嘆かわしいといっている。貴様ら魔族は世界樹の守り手を自称してるはずだ。そして魔王、貴様は世界をリセットする者だ。それが役目を果たせずにいるのだ。自分の中の違和感……それがないとは言わせないぞ』

 そう来たか……と思った。まあ確かに違和感がないわけじゃない。色々とクリスタルウッドがイレギュラーな成長を遂げたのはそのとおりではある。私たちは世界樹の守り手ではあるが、成長させる種は別にいた。でもそいつらの所でクリスタルウッドは育ったわけじゃない。いきなり成長して現れたのがクリスタルウッドだ。

 ようはアクトパラスとゼンマイは健全な成長をしてないクリスタルウッドは偽物のである――という主張で行くらしい。なるほどなるほど……けど私たちはもうそこらへんは納得してる。だからこの議論に意味なんてのはない。

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