美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

AA 19

コクアをつまらせられるとか……どれだけの大量に生み出せばそんなことになるのか。理論上、コクアは全てを飲み込むことが出来るんだけど……アクトパラスとゼンマイの力はコクアの内まで届いてるということだろうか?

 そんな分析をしてると、魔族達が近づいていく。そして化石化した触手からも反撃がくる。化石化した触手の周囲に無数の魔法陣が現れた。それこそ数えるのも億劫になるほどの数。それから黒い弾丸が発射される。

 人数を揃えてたこっちにしては、こういう攻撃はたしかに効果的だ。なにせたくさんいるから避けるとなってもね。向こうは適当に撃ちまくればどれかに当たるだろう精神でぶっ放せばいい。そして事実そうなるからね。

 たくさんの弾丸を撃ちまくってるから、その一つ一つは弱いのかと思うかもしれないが、そんな訳はない。かなり強力な力が込められてる。それに……厄介なのはそれだけじゃない。

(やっぱりだけど、奴らの攻撃には独特のマナが込められてるわね)

 そうなのだ。アクトパラスとゼンマイの攻撃には奴らが置き換えようとしてるマナが込められてる。これが厄介だ。そもそもが個人によってマナというのは微妙に変わる。それは当たり前だが、本質的には星のマナは一つだけ。大本は変わらない。だからこそ、色々とその魂の色に染まったマナを世界樹がまっさらにしたら、そのマナは同じ、純なマナへと戻る。

 でもこのマナは違う。この星のマナなのは変わらない。でも、このマナはたとえまっさらにしたとしても、この世界に満ちてるマナと同じにはならない。限りなく同じでも同じじゃないなにか……だ。

 それを受け入れること出来ないのが我ら魔族。そして魔族はこの世界のどんな生物よりもマナに敏感だ。つまりはアクトパラスとゼンマイの攻撃はその強弱に関わらずに、私達魔族には効果てきめんと言うことだ。

 なら私達がここに来るべきではなかった……と思うかもしれない。たしかにそんな意見はあった。私達がオウラムを担当して、人種の軍隊にこっちを任せる……という提案はあった。だが、それは魔族としてのプライドというか使命感が許さない。

 アクトパラスとゼンマイがやってる事は許されざる事。私達魔族は世界樹の守り手だから、私達が担当するべきで、そうでないとならないという思いがある。

「うおおおおおお!!」

「引くな!! 前に出ろおおおお!!」

 魔族たちはこの絨毯爆撃に怯むことはやめたようだ。その体を強化して、突っ込むことを選んだ。まあ魔族なら身体を吹き飛ばされようが、マナがあれば回復できる。それを阻害されるのが問題なんだが、それでも魔族たちは進むよ。なにせ自分が死んだとしても、そのマナは世界樹に戻るだけ。何も問題なんて無い。それが魔族の考え方だ。

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