H674

「私が、ラーゼよ！」

「いやいや、違うから、私が本物のというかオリジナルラーゼだから！！」

　なんか自分の空間でわんやわんやとしてるけど、別に遊んでるわけじゃない。私は試しに自分の魂を一部切り分けてみたのだ。それを自分自身の体に入れてみた。さっきまで入れてた簡易的な魂は再び過去の私の力を基準とした奴に入れた。

　そして空いたオリジナル？　といって良いのかよくわかんないが、とりあえず私の魂を入れたらちゃんと私となるかって検証も必要じゃん。どの程度の魂で私と体が認識するのか……そのためにも私の魂の五分の一くらいを切り分けて入れてみた。

　まあそもそもが魂というのを全部正確に把握するってのはなかなかに難しい。なにせ魂は形定まってるものじゃないし……一応自分自身の力を内包してる何か的な感じで感じてはいるけどね。でも魂って力にコーティングされてるそのさらに奥のもっと根源的なものみたいだね。

　だから魂自体にはそもそもが神とそれ以外の生命体でもそう変わらないみたいな？　触ってみて気づくよね。まあ神の場合は、その魂にコーティングされてる力が普通の生命体よりも格段に多い。

　莫大といっていい。なにせ私が過去の私の体を模して作った体にいれた魂は適当に持ってきた魂なんだけど、その魂はほぼ力でコーティングなんてしてない。まあ輪廻に廻ってた魂を適当に持ってきたから、そういう諸々というか、シンプルになって回ってそして次の肉体へと移るのが輪廻だから、余計な物がくっついてたら駄目だからね。

　だからそれは仕方ないんだけど、私の魂とその魂の元の大きさ自体は多分変わらない。力が莫大なほどに私の魂には張り付いてるから、ぜんぜん違うように感じてしまうわけだけど、魂の大きさ自体には変わりなんてないんだね。

　つまりは全ての魂は神へと到れる可能性があるってことなのかもしれない。でもそれなら分割した魂ってどうなるんだろうね？　見てる限り、ゴッドアイで見てる限り、私の魂は回復してるが、切り離した方の魂は元のオリジナルの大きさに戻るって事はないみたいだ。

　でも……

「私は誰の指図もうけないわ。それが私の誇りだもの。私は気高いの」

「それはわかるけど、臨機応変に対応するのも私でしょ。そうやって生き残って来たわけだし。なんでそんなに頑固な訳？　私でしょうアンタだって」

　私は意地を張ってる私にそう言うよ。私にはたしかに誇りがある。でもそれは誰よりも可愛くて、美しいっていう一点だけだ。それが私のアイデンティティであって、行動理念とかは別に……なはずだけど……

「私は……私がもう一人居るって事がいやなの。そして私に命令されるのもいや」

「ああ……」

「勝負よ！　どっちが本物なのかはっきりさせましょう！」

　なんか私って面倒だなってこの時思ったよ。こういう女だったっけ？　なんか変に暴走してない？　まあ自分が1番と思ってる私が二人いるから、それが嫌なのはわかるけどね。