美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H673

「ねえ、ちょっと来なさい」

 私はこの場所でぺたんと座ってる自分を呼び出す。いや、自分というか、過去の私の体に入れた魂だね。実際寸分違わない自分自身を作っちゃったせいで不要になった体に入ってる魂だ。いや、ちょっと気になることがあるんだよね。体と魂、それらが合わさって私という存在は出来上がってるのではないか? ということだ。

 今、私は下半身から再生した体に入ってる。そして私は上半身から再生した体を支えてるわけだ。更にいうと、過去の私の再現した体があって、そっちには私が簡易的に持ってきた魂を入れてある。それが彼女だね。

 つまりこの場所には私という存在というか、私が三人いるのである。そしてこの新しく作った体では私はきちんと私であるお墨付きをズラララバライトからもらった。でもそれは私の体と、私の魂が揃ってるからなんじゃないか……とね。思ったわけだ。

 てかズラララバライトに魂を分けて入れろって言われたからね。それってつまりは私以外の魂では駄目ってことなんじゃないかと思った。だからこの子を使って検証だ。女の子ずわりしてた私が近づいてくる。私はその子の胸に腕を突っ込む。そして魂を取り出して、私が支えてるさっきまで私が入ってたホカホカの体にこの取り出した魂を入れる。

「う……ん」

 魂を入れて数秒後に、まぶたが開いて彼女……というか自分が自分を見つめてくる。うーん私ってめっちゃかわいいね。こうやって自分の体が動いてるのを客観的に見ると改めてそう思う。

「ドラクわかる?」

「はい、やはり何かが欠けてる様に感じます」

「やっぱりか……」

 

 どうやら私の体を完璧な状態で動かすには私の魂が必要なようだ。けど私は魂をいじったことなんてないよ? 

『ねえ、魂って切り貼りとかして大丈夫なの?』

『やり過ぎると魂自体が不安定になるな。だが、魂はある程度切ったとしても自然と戻る。だから自分の眷属を作るときとかに、神はよくやっているぞ。魂を分けるという事は、それだけ強いつながりを作るということだからな』

『なるほど……神は自分自身で軍団を作ったりするわけか……』

『自分自身を分けるやつもいれば、他の生命体に下ろすやつもいる。だがやりすぎて、自分自身がわからなくなるようなやつもいる』

『え? なにそれ?』

 怖いことを言わないで欲しい。他の神が気軽にやってるのなら、私にも出来るかな? っておもったのにさ……

『魂をいじったり、他の魂を組み込むことで自身を強化しようとするやつがいると言うことだ。だがそれは魂が混ざり合うということだ。やり過ぎると自分自身が希薄になっていく』

『最終的には、自分が自分じゃなくなるってことね』

『そういう事だ』

 私は力を求めてるわけじゃない。だからそんな闇雲に魂を取り込む……なんてする気はないから大丈夫かな? たぶんね。

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