H654

「まあとりあえず頑張ってみればいいんじゃない？」

「ふざけなる！！」

　なんか怒鳴られた。ちょっと馬鹿にしてたのを見破られたか？　とか思ったんだけど、どうやらそうじゃないらしい。アクトパラスのやつは私に変な事を言ってくる。

「貴様がそんな事をいうな！　もっと他にいうことあるだろう？」

「なにそれ？」

　どういう要求よ。何を求めてるのか……なんかさっきからアクトパラスがおかしい。「さあさあ」とかうるさいし。これは何かを言わないと駄目みたいだ。私はゼンマイを見るよ。困った目でね。

「適当になにかいってやれ」

「ご苦労さま？」

「お前はそんなやつじゃないだろう！　もっと心のなかで思ってることだよ！！」

　面倒くさいやつである。なにそれ、言っていいの？　勿論本心は言わないが……とりあえず確認しておこう。

「怒らない？」

「怒らないさ。俺様を満足させたらな」

　むむむ……こいつを満足ってなによ。私は考える。こいつはさっき、なんかやばいのに目覚めてた。だからそっち系等というわけけだろう。今までなら私が偉そうにしてるのとか嫌そうだったのに……私と自分たちの序列？　にはそこそこ厳しかったからね。でもなんかさっきは興奮してた。つまりはそういう事か？

　私は一回下を向いて、髪の毛を掻き分けながら前を見据える。大きなお目々を細めて、なるべく鋭くしてアクトパラスを見つめる。そして言ってやった。

「ばっかみたい。負け犬。ざーこ」

「ぐはっ！？」

　なんか吐血して片膝をついたアクトパラス。今までの私の攻撃で1番通ってるんですけど……なんか複雑。どうみてもクリティカルヒットしてるじゃん。

「どうしたアクトパラス？」

「はは、効いたぜ」

「何がだ？　精神攻撃か？」

　そう言って私とアクトパラスを交互に見つめるゼンマイ。どうやらゼンマイにはアクトパラスのこの感性が全く理解できてないみたいだ。けどある意味で精神攻撃ではある。やっぱりだけど、私最強、可愛いは最強かもね。