美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H642

「うううーんやったぁーーー!!」

 私はついにやり遂げた。アーミュラに乗っ取られた星を自身の手へ取り戻したのだ。一体どれくらいかかったのか……実際よくわかってない。なにせ空を観ても空までも支配されてたからね。流石に宇宙が支配されるってことはないだろうから、自転や公転してたら星の位置は変わるだろうが……見えてる部分はアーミュラのやつ変えてるからね。つまりは昼も夜も、実際の所、日の出とか日の入りに左右されてなんかなかったのだ。

 なにせ空さえもアーミュラは作ってたからね。星だって夜に見えるソレはアーミュラが映してるものだった。

「おめでとうラーゼちゃん。ちょっとは神らしくなれてよかったね」

「アンタね……」

「うん? 感謝は?」

 むむむ……こいつに感謝の言葉なんて送りたくなんかないけど……でも実際の所こいつのお陰でわたしの神としての経験値はとても上がった。とてもとても世話になったと言っても過言ではない。悔しいけど……これからの星の作り方が根本的に変わるような……そんな感じだよ。アクトパラスとゼンマイの奴が中央を置き換えるとかいってて、そんなの私は興味なんてなかったが……アイツラぶっ倒して私が全宇宙の頂点に君臨するのもちょっといいかも? とか思えるくらいにはなかなか神度が上がってるよ。

 だから言いたくないけど……本当に言いたくないけど……

「あ……あ、ありがとう」

「うんうん、女の子はときに素直だとキュンキュンするよね」

 それはわかる。けどこいつとわかり味が増えるのはちょっと……かなり長い時間を一緒に過ごしたと思うけど、やっぱりずっとアーミュラが引っ張る感じになるから、苦手意識がね……なんかお姉ちゃんムーブかましてくるし。今だってヨシヨシしてくるからね。

最初の景色、青い空に白い砂浜。そしてエネラルドグリーンの海。そしてそんな海岸に鎮座するアクアマリンの城。え? そんなのなかった? せっかくだから自身の成長を確かめる為に作ってみた。まあけど外側だけをそれっぽくしてるだけなんだよね。

 内装とかは実際無い。だってよくわかんないし。まあけどこういう建物もぱっと作れるようになってしまった。これで私の空間が更に充実することだろう。

「宇宙の変化を今のラーゼちゃんならわかるはずだよ」

 そう言われて私は私が星に囚われてた間の齟齬を埋めるために宇宙にアクセスするよ。力を伸ばして、宇宙にある私の星々から更にその枝葉を伸ばす。

「それなりに宇宙が成長してるね。けどまだ聖杯は稼働してないみたい」

「ラーゼちゃんの力が今ならあの二人に追いついてるんじゃない?」

「確かに迫ってるね」

 これならやれるか? 今の私ならワンチャンあるかもしれない。検討する余地はある。

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