美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H632

「ちょっ!? ちょっとどうにかしてこいつら……」

 なんか私の衣装を引っ張ってるんですけど? 脱がせようとしてない? 

「私に遠慮せずに攻撃していいよ~」

 そんな風に呑気に言うアーミュラの奴。それなら……と思って私は周囲に炎を出した。私は熱くなくて、けど周囲は轟々と燃え盛る炎だ。このくらいなら星も育てて恒久的にエネルギーが供給される神(みならい)程度なら朝飯前だ。これでコンガリと焼けてなさい。丁度魚と鳥だしいいでしょ。

「ってイタ!?」

 なんか炎効いてない。普通に炎の中でも攻撃してきやがる。ハッキリ言ってこの炎相当だよ? 地面くらい簡単にえぐれるし、岩だって秒で溶かすくらいの温度はある。なのに……

「そんなんじゃ駄目だよラーゼちゃん。私がラーゼちゃんよりも格上の神だって忘れてない? 私のほうがラーゼちゃんより強いんだよ?」

 絵になるような、風景の中アーミュラがなんか見せつけてくる。私だって絵になるのに……魚と鳥、そして炎に包まれてるせいで完全に取られてるよ。アーミュラはエメラルドグリーンの海を背景に白い砂浜、そして真っ青な空を背に水に濡れてるからね。

 絵に書いたような美少女とはこのことか……と私が思ってしまうほどに美少女してる。ムカムカする……いやまじで。それは私のポジションでしょうが。

「むむ……」

 私はとりあえず一回距離を取ることにした。空間を一瞬で移動するよ。なにせここは私のリゾート星である。私の息しかかかってない星だからやりたい放題できる。なので空間移動くらい朝飯前だ。

 なのに……

「いたたたたた!!」

 なんでついてこれるわけ? おかしいでしょ。

「ラーゼちゃんは空間移動を簡単に距離を取れるお手軽手段と思ってるようだけど、雑すぎるよ。力の流れを把握されちゃったら先回るなんて簡単なんだから」

 ケラケラと笑いながらそういうアーミュラ。それからも私は何度も何度もこの鳥と魚を撃退しようとしたり、逃れたりしようとしたけど……全然出来なかった。なんか夕暮れになってる。

「はぁはぁはぁ……」

「ううーん、ラーゼちゃんの点数は……0点! と言いたいけどマイナス100点です!!」

 なんかそんなことを言われてしまったよ。なんでこんなきれいな海岸で私は汗だくになってるのよ……

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