美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H599

どうやら後続部隊は罠を貼ってるらしい。そしてそのポイントはきっと全機で共有してるんだろう。そうじゃないと説明できない部分がある。だって狙われてる一機は逃げながらも、後続部隊が貼った罠をうまく利用してる。

 罠はどうやら最初にやったヌーベを閉じ込めておく結界の縮小版みたいだ。全体を包み込む……って事はできない。けどヌーベの体を一部を包んで動きを一瞬止めてる。でもあれって謎だ。

「なんでヌーベはあの小さな結界に引っかかるわけ? だってヌーベって体を切り離せるんだから引っかかる要素ないよね?」

 実際ヌーベは罠である縮小版結界に引っかかってギリギリでその口が追いかけてる一機に届かない……ってことが起きてる。けどヌーベなら結界に囚われたとしても、勝手にその包まれた部分だけ切り離してなんの憂いもなく進めると思う。実際、前衛たちが攻撃を仕掛けてて、そのビームが当たってもヌーベは止まったりしてない。

 体が削られてもヌーベは我関せずだ。だからこそ、2機は犠牲になったわけじゃん。

「あの結界が特殊なんだろう。最初のやつよりもこの個体に合わせてきてる」

 なにやらズラララバライトの目の奥に魔法陣が見える。なんか何でもかんでも見抜くと思ってたら、チート使ってるなこいつ。

「ちょっと何それ。ずるい、私にも見せてよ」

 

 私がプクーと頬を膨らませて抗議すると案外あっさりとズラララバライトは「いいぞ」と言った。え? マジ? 今のはただ可愛い私が可愛いワガママを言いたかっただけなんだけど……まさかオーケーがもらえるとは思ってなかった。

 なにか大変な手順があるのかと思ったけど、そんなことは全然なくて、なんかズラララバライトがこっちをガン見してくる。

「ちょっちょっと……」

『目をそらすな、できないだろう」

 なんかイケボで変なこと言わないでよ。ちょっと恥ずかしくなる。そういえばそういうことをもう何年もしてない気がする。アクトパラスやゼンマイに巻き込まれて神に近しい存在になって、プライバシーがない。これは由々しき問題だね。

 そんな関係ないことを考えて思考そらしつつズラララバライトと目を合わせてると、なんか頭がすきずきしてきた。

「あっ、イタ!? 痛いよこれ!!」

「とりあえず目を閉じろ」

 私は言われたとおりに目を閉じる。

「あっ、なんか楽になった」

「そうだろうな。なにせこれは『龍眼』だ。我らはその本質を見抜く瞳を持っている」

「どんだけずるい存在のよあんたらって。それってドラゴンなら全員あるわけ?」

「龍眼だからな。全てのドラゴンは持ってる。まあこのレベルに達してるのは古龍くらいだろうがな」

 ズルすぎる。龍という存在がずるい!! 私はそう叫びたくなった。

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