美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H594

彼らはヌーベを取り囲むような布陣を取った。上下左右を細かく囲んでる。そして何かをその機体から突出させると、それが点となってそれぞれの機体に繋がっていく。そして繋がった線同士の面に光の膜が展開された。どうやらヌーベを囲む枠を作ったらしい。

「なにする気?」

「焦る必要はない。観てればわかるだろう」

 ズラララバライトは落ち着きながらそう言うよ。私だって焦ってるわけじゃない。興味津々なだけです。てかあんな薄い膜みたいなので、でっかいヌーベを抑え込むことが出来るのか興味あっただけだし。

 じっさいヌーベはまだその体を飛ばし続けてる。けどそれらはその膜にへばりつくだけだ。突破はできないみたいだね。それなりの強度はあるんだろう。そう思ってると、ヌーベも閉じ込められてると理解したのか、飛ばした破片がうねうねうとうごめいて元の体の方へと戻っていく。そしてそこから更に変化が起こった。

 今まではただのブヨブヨとした物体だったヌーベだが、なんかドラゴンみたいな形になった。生みの親がドラゴンだったらしいし、それの影響かな? でもなんかドラゴンはドラゴンだけど、腐ってるドラゴンみたいで、その体はとても不安定に見える。なにせどろどろしてるのはかわりない。一応ドラゴンのように見えなくもないかなって感じで、首と体手足に翼ができてるのが確認できるからドラゴンだろうって感じ。

 そして体を飛ばすのをやめたヌーベはその巨体で突進しだす。けどやっぱり壁は破れない。すごいねあれ……あんな薄そうなのに、どうやって強度を確保してるんだろうか? きっと魔法的な技術も入ってるんだろう。

 でもあれだっていつまでも持ち続けるとは思えない。そう思ってると、なんかギュムッと囲んでる枠が小さくなった。それによって中のヌーベのやつがみっちりとなった。それが気に入らないのか、ヌーベは動く部分を使ってバシバシと攻撃してる。けど壊れる様子はないね。これはもう決まったのでは? 勝敗ね。まあ実際のところ、ヌーベに勝つ方法ってやつはないらしいけどね。局所的には勝てるけど、それは全体的な勝利ではない。

 事実、これまでの戦いでヌーベは大量の破片、体の一部をすでにこの宇宙に拡散させてるからね。まあでもそれが成長するにも時間はきっとかかるんだろう。だからこそ、彼らは目の前のこいつ……一番育ってる部分を倒すことでこの宇宙を守ろうとしてるわけで。

「きっとそのうち、私のところにもこのヌーベってやつが現れるんだよね。その時のためにもちゃんと勉強しておこうじゃない」

 きっと彼らの対処法は勉強になるだろう。なにせきっと普通ならこういうヌーベなる災害的な奴って神が人知れずに対処してる……的な感じじゃないかな? 神の戦いって実際参考にならないけど、こういう現地の人々の戦い方なら、私でも再現できるかもしれないじゃん。彼らだって神ほどに強いわけじゃない。

 それでも創意工夫でこうやって災害を撒き散らすような宇宙の糞と戦ってるんだからね。そっちのほうが全然参考になるはずだ。

 そう思ってると更に彼らが施した枠が小さくなった。それによって中のヌーベも更にぎっちぎちになる。そして更にもう一段階小さくなると、ヌーベはドラゴンの形を保てなくなったのか、ただの液状の糞になった。それでもうごめいてるのはわかるけど……あれから何が出来るのか……と思ってると、なんか糞が光りだす。内部から強烈な力を感じる。

「あいつ、爆発する気じゃない?」

「みたいだな」

 相変わらず冷静なズラララバライト。するとやっぱりだけど爆発してその衝撃てヌーベは枠から脱出した。そして彼らを明確な敵と認識したのか、再びドラゴンの形態になったヌーベはゲロみたいなブレスを吐き出した。それはヌーベから出たとは思えないほどにきれいに七色に光ってた。

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