美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H584

私達は更に三つの聖杯に近づいた。専用の通路があって裏の方からそこに入ることが出来た。どうやらさっきまでいた場所は社会科見学で通るルートでそこからはここまでこれないようになってた。まあ当たり前か。なにせこの建物の中で……いや、この宇宙で一番重要な物が有るんだから、もしも迷ってこられたりしても大変だ。

 迷ってきてしまった奴が悪いとか言えるのかもしれないが、そんな可能性さえも許されないほどの超重要な物がこの聖杯な訳だ。万が一なんてあってはならない。

(なのに私達には簡単にとおすんだね)

 不思議である。やっぱり神と古竜と言うことが大きいんだろうね。それだけで信頼されすぎなきもするが……私達は近くで聖杯を見る。ふむふむ……いやどの聖杯もエネルギーなみなみですが? さっきの説明を聞く限り、二つの聖杯には沢山のエネルギーがあって、一つには無い……と言うのが予想だった。けど目の前の状況は違う。

 三つの聖杯共に、なみなみとエネルギーが溢れてる。これって一体どう言うこと? 嘘ついてた? いや、あんな自信満々だったんだ……それで嘘って事はなさそう。そもそもが嘘だったとしたら、ここに連れてくるわけ無いだろう。だって嘘がばれるんだし。

「これってエネルギーが三つの聖杯にありますけど? さっきの説明通りなら、消失の聖杯にエネルギーが貯まってるのおかしくないですか?」

「三つの聖杯は連動してますから」

「はあ?」

 連動してたら、三つの聖杯でなみなみにエネルギーが溢れるんだ。そうなんだ。…………そうなの? 私はズラララバライトを観る。

「三つの聖杯が物理的に役割を分けてるわけじゃ無い。聖杯システムは、中身が繋がってるんだ」

「流石は古竜様。一瞬でそこまで見抜くとは」

「ふん、そいつと私を一緒にするな。私は賢いからな」

 何か私馬鹿にされてない? いや確かに私はそんなに頭良くないけど!! てかズラララバライトの頭の良さってアレでしょ? 沢山生きてるからでしょ? 経験が知識になってるだけでしょ? そんなの長く生きてれば蓄積されていくんだよ! と反論したい。ズラララバライト相手には出来ないが。

「ようはこの三つの聖杯は特に役割を分断されてるわけじゃ無いって事ですね。システム側で実は想像と増幅と消失が行われてる……と」

「そういう事です」

「じゃあ別にこれっていらなく無い?」

 私はとんでもないことを思いついてしまった。だって実際そうじゃん? どうやらこの三つの聖杯はわかりやすく説明するために物体としてあるみたいな? 社会科見学で子供達に実はこれはただの器で、核としての役割はシステムとして~っていってわかるだろうか? って事だろう。まあこの世界の子供達なら大変に優秀そうではある。

 でもあえてこれを残してるところを考えると……そういうわかりやすさを重視してるのかな? って思った。

「それでは難しいのです。ラーゼ様も魂と器の関係性はご存じでしょう?」

「え? …………まあ、もち!」

 私はグッとサムズアップして見せた。うんうん、適当に返事したわけじゃ無いよ。本当だよ!

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