美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H582

「でも、実際消失させる意味ってなんなんですか? そのまま増やしていけば上限には達しますよね?」

 この聖杯の核心的部分って奴は生み出して増やしていくところでは無く、消失部分だとさっきから彼は言ってる。実際、ズラララバライトならその理由がわかってそうではあるけど……なんか彼が言いたそうだからね。

 自分達の自慢の技術なんだろうし、そこを察して、ズラララバライトも言わないんだろうから、私がわくわくしつつ聞いてあげるのが大人の……いやお姉さんの対応って奴じゃ無いだろうか? 

「そこで重要になるのがさっき言った魂の上限です。世界のエネルギー飽和量と言っても良い。つまり上限で甘んじてたら、それ以降は無いわけではないですか。ここまでです――と線を引かれて、ラーゼ様は諦められますか?」

「物によるね」

 私はすぐにそういった。私ってそんなにこだわりとか無いからね。そういうしかない。私はどちからというと諦め良い方というか? そんな風に思ってるし――

「もしも、ラーゼ様よりも可愛いと言われる存在が居たとしたら……」

「引けるわけ無いよね!?」

 そんなやつがいたら叩き潰す! どんな手を使ってでもだ!! 私こそが全宇宙一かわいい――それだけは譲れないアイディンティなんだからね。

「ですが、ラーゼ様の可愛さの上限は既に頂点に達しています」

「そんな誰かが決めた頂点なんて知らないね。私の可愛さに上限なんてない!!」

 迷い無く私はそう言い切った。だってそんなの納得できないじゃん。私の可愛さにそもそもが上限なんてない。

「そこで一度全てを無くすのです」

「どう言うこと?」

 やっぱり良くわかんないですけど?

「つまりは可愛さの上限を極めた一ラーゼ様を貯めるのです」

「何処に?」

「それは研究中です」

「なるほど……」

「可愛さの限界だったラーゼ様をリセットすることで、その事実だけを宇宙に残し、ゼロに戻ることでその上限を突破することが出来るのです」

「つまり、この聖杯がしてるのもそういう事って訳?」

「はい」

 なるほど……私の馬鹿な頭でもなんとなくはわかったぞ。つまりは可愛いの限界を極めた私をストックしてリセットしてるから、私の可愛さは無限大――と言うことだろう。そしてそれをエネルギーという物で彼らはやってる。

 普通は上限以上を貯めることも、生み出すことも出来ない。けど、消失という現象を挟むことで、ストックを生み出しゼロに戻すことで限界以上を生み出すことが出来ると……でもその貯めてるエネルギーは何処に行ってるの? 良くわかんない。

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