美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H551

『命を自然に発生させるか、不自然に発生させるかなんてのは神の都合でしかない。この世界に……いや宇宙には循環などない。ならば神の都合で発生させるしかないだろう』

 そう古竜ズラララバライトは言った。どうやら神という存在は別に相手がいなくても、そんな行為をしなくても、命を生み出すことが出来るらしい。まあできるよねって感じだけどね。なにせ神だもんね。出来ないわけない。

 そもそも私も最初の星で生命……というか人を作ったときは器を作ってから、それに魂を宿したもんね。一緒だった。私だってチョメチョメしなくても人間を生み出していたよ。

『貴様達の普通の宇宙とここでは事情が違うがな。貴様等の宇宙では魂など選び放題だろう。なんなら、選んで何てない』

「まあ確かに……わざわざ選別なんてのはしなかったね」

 最初の世代はいきなり人の体をあたえられて魂が戸惑ってた感はあった。時間が経つにつれて、魂と体は馴染んで言ったけど、最初の世代の人々はちょっとなんか人っぽく無かった感はあったね。徐々に世代を重ねる事に人としての違和感はなくなっていったと思う。

 多分だけど、魂にもその体、その生物を自覚する期間ってのがあるのかも? それこそ生まれる前、卵の状態とか、人間ならお母さんのお腹の中にいるとき……生まれてから「あれ? この子人間ぽくないな?」なんて思わないじゃん。普通は。

 けど私はいきなりもうある程度成熟した体に魂を宿したからね。そういう齟齬的な事が起ったんじゃないかな? 

『魂は輪廻へと戻り浄化されて次の転生を待つ。それは魂の正しい成長のために必要なプロセスだ。神が無理矢理その転生を早めようと、膨大な魂の中では何回もそういう事が続くことはないから、別に問題など無い。

 だが同じ魂が何回も何回も短い期間に転生を繰り返すと問題が起る』

「それって……どうなるの?」

 私のその言葉にズラララバライトはニヤッとしたような気がした。まるで「検討は付いてる……じゃ無いか?」という笑みだ。まあ大体付いてる。少なくとも、良い事がこの話の流れで起きるはずは無いよね。

『魂は摩耗していくな。そしてその魂は消滅する』

「わざわざ魂までも殺すために、この世界はあるの?」

 エネルギーをしぼるだけ絞り出して、そして最後にはその魂事消滅させる……いやいや、マジの地獄じゃん。墓場なんて生やさしい物じゃない、まさにこの世界、この宇宙は地獄だった。

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