美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H534

古竜ズラララバライトの記憶から戻ってきた。いや、戻ってこれるのかな? とか思ってたけど、なんとか……ね。なんかついつい羽を感じて飛んでみたりしたくなるけど、私には翼はない。きっとドラゴンの体の感覚が残ってるんだね。記憶をのぞき見る弊害だ。

 あんまり他人の記憶にいると、その影響を強く受けるって言うね。

『とうだった? 我の武勇は』

「すごかったです! 迫力満点でした!!」

 とりあえず孫対応してくれてるから私は全力で賞賛することにした。このくそ古竜! 全然役に立ってないよ!! とか言いたいが、それをしたら殺されそうだからね。孫ムーブを決めて、なるべく上手くこの古竜を使い潰すのが良い選択だろう。なにせこいつはそんなに数がいない古竜なのだ。

 ドラゴンと言うのはこの宇宙にそれこそ数億……とかその単位でいるらしい。宇宙の人類みたいな物だね。まあドラゴンだから竜類なのかもしれない。そんなありふれたドラゴンとは古竜は違うのだ……という誇りみたいな物が古竜達にはあるみたい。

『所で貴様、我が怖くは無いのか? 普通の生命体なら、格の違いを魂で感じてしまうはずだが?』

「うーん、慣れてるから? 別にそんなのは無いですね。ああ、でも首が痛いから、もっと低姿勢になってください」

『貴様、凄いな』

 なんか感心された。全く普通に接してるだけで感心されるとは、今まで友達もいなかったんだね。古竜は皆寂しい奴等なのかもしれない。どうも仲間って感覚は無いみたいだし。あくまでもライバルなんだよね。宇宙の中心を一丸となって抑えてはいるが、それはしょうが無いからやってるだけみたいだからね。

 宇宙の中心が弾けたら、それで全宇宙が終わるから、そうなると自分達もヤバいからやってるだけなんだよね。

「凄いですか? 私はかわいいと言われた方が嬉しいですよ」

『そういう事を言う奴は他の種ではいないぞ。なかなかに図太いな』

「図太いも女の子には駄目ですよ。強かとかの言葉にしてください」

『…………』

 なんか古竜ズラララバライトが言葉を失ってる。あまりにもフレンドリーに接しすぎたか。一応立場的には上だからね。そこらへんはちゃんとしてた方が……

『がっはっはっは』

 宇宙が震えるような、そんな笑い声をだす古竜ズラララバライト。五月蠅い。その笑い声で脆弱な星なら崩壊しそうですよ。

『貴様は不思議だな。今までなら、食べてやろうかと思うところだが、不思議とその感情が湧いてこない。どこか、同じような匂いがするからか?』

「え? それはイヤだよ」

 なんか空気が凍った。しまった……思わず出た。もっとこいつを褒め称えて天狗にして都合良く操ろうとしてたのに……それにその目標的に今の印象は使える感じだったのに、今の発現は流石に印象が悪いかもしれない。

 だって本音だったからね。イヤだって、私美少女だよ? 美少女からドラゴンの匂いがしたらイヤでしょう? そんなの私はお断りします!! 美少女は良い匂いがしないといけないのだ。そしてそれは宇宙に刻まれた絶対的な法則なのだ。

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