美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H532

古竜ズラララバライトと意識を同調させます。それと共に、自分の中に乾き……が蝕んできたような気がする。その乾きが何かというと、「腹減った」……と言う乾きだ。「何言ってるんだ?」と馬鹿にすると思うけど、これはかなり深刻だよ。

 なにせ常に腹が減ってるのだ。苦しいよ。ちょっと飛んでるだけでお腹がめっちゃ空く。そうなると食べたくなる。イヤ違うね。常に食べたい。そしてどこか世界を破壊する。するとその破壊した物の生命エネルギーを古竜ズラララバライトは取込んでるらしい。それによって腹が満たされる。

 けどそれも少しの間だけだ。飛んでるとすぐにまたお腹が空く。その無限の繰り返し。既に頭がおかしくなりそうだよ。だって頭が常に「腹減った」でみたされるんだよ? 私としてはこれほど恐ろしいことは無い。

 こんな可愛い私が常に「お腹減った」とか思ってたらどうよ? 確かに最初は可愛い――と思われるかもしれないけど、それも行き過ぎたら「こいつヤバいんじゃね?」になるよ。そして実際ズラララバライトはヤバい。

 空腹が過ぎて、それしか考えてないもん。それでもどうやらズラララバライトは我慢してる方みたいだ。なにせこいつが本気でその腹を満たそうとすると、星の一つくらい食らい尽くすはずだ。でもそんなことはしてない。

 まあもしかしたら私は人間で、ズラララバライトはドラゴンという違いはあるのかもしれない。ようはドラゴンは乾きに耐性がある――とかさ。でっかいから空腹なんてのは実は当たり前でこれが標準でなれてるのかもしれない。

 私にとってはとても耐えがたいほどの空腹なんだけど、ズラララバライトにとってはこれは当たり前の状態で全然問題なんて無いのかも……

(でもこのままだと空腹でなにも考えられないよ。こいつがどうやって残す文明とそうじゃない文明を選別したりとか……腹減った)

 ヤバいヤバい……私という存在が空腹で覆われていくよ。このままだと本当に私はただ「腹減った」とだけ考える存在になり果てそうでもある。どこか滅ぼしてくれないかな? とか思ったとき、ズラララバライトの鼻を通じて何やら違う匂いが感じれた。そして同時にズラララバライトと思う。

『『傾いてる』』

 何故にそう思ったのかわかんない。けどズラララバライトはその方向に飛んでいく。そしてその先にあった星で繁栄してた文明を滅ぼした。それによって私の意識はなんとか「腹減った」に支配されることは無かった。

「あっぶな~、でも今のって……」

 何だったのだろうか? 傾いてる――と思ったけど何が? と言われると謎である。一体何を感じて傾いてると感じたのだろうか? それがズラララバライトが文明を滅ぼす理由なんだろう。

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