美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H530

頭が割れるように痛い。きっとあの古竜が私の頭にその記憶とやらを見せようとしてなにか頭に直接力を無理矢理使ってるせいだと思う。

「ちょ!? もっと優しく……」

『小さいな……なんとも面倒な事だ』

 そんな風に古竜ズラララバライトはいった。結局なにも変わらない……とか思ってたけど、なんかちょっとはマシに成った気はする。そして目を開けると……なんか私は空を飛んでいた。何処までも続く空だ。真っ青で真っ白な雲が何処までも続いて、そしてずっと高くに太陽が見える。それに見えるだけじゃ無い。その感覚すらあるよ? いやはや、私は一瞬で頭の痛さなんて吹き飛んだ。

 バサバサと聞える。横を見ると、なんか羽が生えてた。そして私はこの大空を飛んでるのだと、理解した。目の前に何やらワイバーン的な鳥の集団が見えた。とりあえずギャアギャアと五月蠅いので、ブレス一発……奴等は灰となって散っていく。私最強……

(いやいや、これは古竜ズラララバライトの記憶なんだよね)

 だから私が最強な訳では無いが、感覚的にそのままだからね。

(ふむふむ、ブレス吐く時ってあんな感じなんだ)

 今私は初めてドラコンがブレスを吐くときの感覚を人として味わった存在だと思う。もしも竜人とかがいなかったら……だけどね。いや、この広い宇宙にはそういう存在いそうではあるけど、出会ったこと無いからノーカンだよね。

 一体ズラララバライトは何をしてるのか……普通に気持ちいいから飛んでいるんだろうか? そんなことを思ってると体が傾いた。そしてどんどんと地面が見えてくる。なかなかに綺麗な星のようだ。緑と水が一杯ある。理想的な生物の星だね。

 そして森の一角に、突然、銀色をした文明みたいなのが見えてくる。それに近づくにつれて、ズラララバライトは喉の奥をぐつぐつさせる。この感覚知ってるよ。これはブレスを撃つ気だ。それも狙いは完全にあの文明だろう。ええ? なんの脈絡も無いんですけど? とか思ってると、通り過ぎる間際にブレスを一発、それによって大地は揺れて空にキノコ雲が出来て、そしてさっきの文明は跡形も無く滅びましたとさ。

(いやいや、ただの凶悪なドラコンじゃん!!)

 今の何の意味があったの!? と私は思った。どうみてもただの気まぐれというか……なんか丁度目障りな物があるじゃん、消しとこう……的なノリだったよ。だって私は今はズラララバライトなんだ。こいつが何を思ってるのか、わかるようになってる。それによると……まさに今言ったとおりなんだよね。

 このドラゴン……めっちゃヤバい奴だな……これは絶対に悪い方向での伝説とか伝承になってるよ。

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