美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H525

「うん?」

 なんか背筋がゾクッとするような感覚が走った。私がスイーツをどうやって美味しく魔法で再現するか……それに注力してると、この宇宙にとんでもないドラゴンが現れたらしい。なにやら、宇宙全体が影響を受けてるように、震えてる感じだ。

 なんか轟々と聞えるし……一体何が? とか思ってるとアクトパラスが上を見ながら「とんでもない奴がやってきたな」とか呟いた。あのアクトパラスがそんな事を言うとはよっぽどの事なのだろう。私も魔法を使いながら、上を観る。すると何やら宇宙がうん……本当に揺れてるみたいだった。

 波紋のような波が見える。外からまるでこの宇宙を叩いてる様な……そんな感じなのだろうか? でも今までのドラゴンはそんな事をしなくても、勝手に入ってきてたんじゃない? 勝手に空間を繋げてやってきてたよね? 今、普通にこの宇宙の外側を殴ってるのだとしたら、それもできない程度のドラゴンって事にならないだろうか? 物理的に入ってこようとしてるって……凄い原始的じゃん。まあけど、何やら目は離せなくなってる。

 揺れる宇宙が面白いからってのもある。宇宙はとても広いはずだ。いや、まだまだ新生したばかりのこの宇宙はそんなに広くないのかもしれないけど、それでも、宇宙規模だとは思う。そんな宇宙を揺らすなんて……凄い事だとは思う。一体どんなドラゴンがやってくるのか。そう思ってると、いきなりズガンと何かが現れた。それは鋭い三本の爪をしてる強大な足……腕? わかんないけど、そんなのがいきなり現れた。宇宙をあの爪で引き裂いたのだろうか? 私たちが今まだみてたドラゴンとはその大きさが全く違う。私たちなんて、このドラゴンからみたらアリンコだろう。それだけの大きさだよ。だって今見えてるその爪が生えてる腕だけで、山である。確かにこれでは空間を超えてくる……なんて事をしたらそれはそれで問題なのかもしれない。だってこんなのが超えてこれる空間の道なんてのを作ったら、逆にそこに吸い込まれそうじゃない? もしかして宇宙のブラックホールって……とか想ってたら、でっかい頭が突っ込まれてきた。なんか所々が透けてる様な……不思議な感じのドラゴンだ。顔はドラゴンの例に漏れず凶悪に見える。

 でもなんか神秘的なドラゴンではある。黒いドラゴンであるのは一般的だと思うけど、その体は透けたり実体化したりしてるように見える。不思議なドラゴンだ。

『狭いな。我が広げてやろう』

 そんな声が聞えたと思ったら、その口に光が集まり出す。なんか星がその中に吸い込まれていってるのでは? と思うような光景だ。これってあれを吐くんだよね? 私たち全員死んじゃわない? そんな事を思ってる間に、その超巨大なドラゴンがブレスを吐いた。その瞬間全てが見えなくなったよ。

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