H523

世界は平和になりました。めでたしめでたし……とはならないと思った？　いや、本当にそうなったのだ。世界はベルちゃんを中心にまとまって、その裏で、不幸になる人達を聖女ちゃんが救う……それでその時代は乗り越えられてしまったよ。まあ時代といっても、人の寿命なんて精々が百年……くらいだと思った？

　ぶっぶーだよ。あの二人は特殊だったからね。私が祝福を施した聖女ちゃんに、世界の怨念やら憎悪やらをため込んだ力を取込んだベルちゃん……二人の時代は千年続きました。後のあの星で千年王国と呼ばれる黄金時代だ。まあでも良いよ。なにせ色々なものが発展したからね。あとはそれらが古代王国……とか呼ばれるようにならない事を祈るばかりである。

　だってよくあるじゃん。実はずっと昔には今よりも進んだ文明があったのじゃ……的な奴。じゃあなんでそんな進んだ文明が滅んだんだよっ言うね。大体は気候変動や、隕石の衝突とか……まあ今この立場になると思うのは、それらは神の介入であったのでは？　と言う事だ。

　私が前にいたあの世界はそもそもが人が覇権ではなくて、星の頂点を決めるような戦いが強いられてた世界だったから、まあ内側の争いで古代文明……羽持ち達は滅んだんだなってのがわかったけどさ、普通に強者を作るのではなく、星の繁栄に重きを置いてるのなら、リセットする必要はないと思うし、わざわざ外部の力でそれをさまたげるかな？　っても思う。

　けど、まあ幸せな世界をみてて思うところはある。

「なんかつまんないな」

　とね。全くもって身勝手な感情だとは思うよ。その星で生きてる人達は幸せなこの時代がずっと続いてくれたらいい――と本当にそう思ってるだろう。私だってその星にいたら、そう思うと思う。でもやっぱり文明の急激な発展って最初の数百年位なんだよね。それからちょっと停滞しちゃう傾向があるね。

　まあ人々が爆発的に増えて、世界を覆いつくさんとしてるのはびっくりだけど。千年くらいで、なんか一気に世界の人口が億超えてますよ。ゴキブリ並みの繁殖力だ。なにせ敵がいなくなったのが大きい。

　もちろん平和になったからって理想の楽園のように皆が幸せを享受してるわけじゃない。身分の低い人とか、不幸に見舞われてる人達はいる。けどそれらの不幸ではモンスターが出来るほどではない。なにせ殆どの闇はベルちゃんが引き受けてしまった。そのベルちゃんが狂って戦争でもおこせばこの時代は終わりを迎える事になる……だろうけど……なんか千年経って、ベルちゃんも聖女ちゃんもいなくなった後は、いくつかの国に別れはしたけど、なんか平和協定みたいなものをつくったりして、とてもこの世界の人達の意識が高くなってる事を感じさせた。

　普通は千年も争いがなくなると、野心を持った奴が現れて滅茶苦茶にするっていうのが時代の流れというか？　世界の流れ的にあると思うんだけどね……なんかつまんないから新しい星を私は面倒みてたよ。

　そっちでは獣をベースにした様々な動物達が日夜争ってる。けどこっちの星は肉体ベースで戦うようにしたからね。最初に作った世界は魔法ベースで戦う世界だったけど、こっちは肉体で戦う様に誘導してみた。

　うん……やっぱり味変って大事だよね。