美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H511

「覚悟しろ」

 聖女ちゃんによってその存在が変質させられた聖騎士がそういう。けど、その声はきっと聞えては……とか思ったけど、ベルちゃんは何かを感じ取ったのか、それともちゃんと聞えてるのか、こう言った。

「哀れね。そんなになってまで、その女にいいように使われて。私の方が尽くしがいがあると思わない? まあ言っても無駄でしょうけど。なにせ、魂まで鎖で繋いだようなものだものね。あんた聖女の奴隷となったのよ」

「それがどうした? 私は今、とてもすがすがしい気持ちだ。宣言してやろう。今の私に、一切の公後悔などない!!」

 そう言って剣を向けると、なんとその聖騎士の背中から羽が生えた。真っ白な羽だ。頭の輪っかもそうだけど、なんか天使みたいだよね。ベルちゃんが無理矢理変質させた四人のイケメン達はなんとも悍ましい目玉の化け物になったと言うのに、聖女ちゃんがその力を注いだ聖騎士は、その姿をほぼ保ったまま、天使へと昇華された。この違いは一体何なんだろうね。

『神様アイ!!』

 私は再び神様アイを発動させた。いや、別に何も特別な事はしてないけど……なにが聖騎士とあの目玉の化け物が違うのか……それがちょっと興味あったのだ。もしかしたら心の綺麗さ? とか。んなバカな……とか想うかもしれないが、力はその人の本質でもある。聖女ちゃんはそれこそ本当に輝かんばかりの心をしてる。そしてそんな心をしてるからこそ、彼女の力は清浄に触れてると言っても良い。

 それにたいして、ベルちゃんの心はまあ……ほらね。そんなに綺麗とは言えない。けどそれは普通だ。人間なんだもん。まっさらに綺麗な方が異常だ。だからこそ、どっちかというとこの場合は聖女ちゃんの方が異常なんだよね。彼女は……彼女の心は綺麗すぎる。けど今はそんな事はどうでも良い。

 

「ゆくぞ! 聖女様の為に、その邪悪に落ちた心を私が打ち砕こう!!」

 天使となった騎士はその翼も使って一気に加速する。大きな羽が羽ばたくと、白い羽が周囲に散乱する。その光景は凄く綺麗だ。それに……その体からはキラキラとした粒子も出てて、観るものを引きつけるというのはこういうことだろう。一気にベルちゃんに迫る天使の聖騎士の前に、化け物と化した目玉達が立ち塞がって、その触手を伸ばす。

 そして更にその瞳からだらだらと涙というか……血を流すと、周囲に魔方陣が浮かんだ。その数は数えるのも億劫になるほどの数。その魔方陣から、黒いエネルギーをまとった弾が発射される。しかも一発じゃない。ずっとだよ。

 飽和攻撃。一気に戦場は視界が悪くなった。

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