美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H503

「あははははははははは!!」

 ベルちゃんがそんな高笑いを響かせてる。きっと彼女は自分の力の強さ、強大さに歓喜してるんだろう。なにせ今までの彼女では考えられないような力だからね。前の彼女では聖女ちゃんはもちろん聖騎士達に太刀打ちなんか出来なかったはずだ。
 何せかわいさ、綺麗さだけで女王になってた子だ。男は能力が求められるけど、女はかわいささえあれば上り詰められる世界なんだよね。実際ベルちゃんは姿が変わったと言っても、別に醜くなったわけじゃない。
 色違いに変換しました――みたいな感じだ。ある意味イメチェンで通るかもしれない。

「あっ」

 そんなことを思ってたけど、なんか決定的に変わったものがベルちゃんから出てきた。それは目である。彼女の額から第三の目が開眼した。それも縦に出てきた。普通目って横長じゃん。それが90度向きを変えて縦になってるのだ。
 興奮しちゃったのかな? うんうん、興奮したら第三の目が開眼することだってあるよ――いやないよ! 流石にあれはちょっときも……いや――

「なんか宝石みたいに見えるかも?」

 普通第三の目ってキモいだけじゃん。けどなんかあの目はめっちゃきらびやかで宝石みたいだ。目が開いたデコの周囲に血管が浮き出てる……とか言うこともなくて、周囲も綺麗だし……そこまでキモくはない。
 まあけど、そう思ってるのは私だけみたいだ。

「正体を現したな!!」
「正体?」

 どうやらベルちゃんは自分の変化に気づいてないらしい。あの目は何を見てるの? 気になる。もしかしたら融合した黒い人の瞳なのかもしれない。けどあの黒い人には目なんてなかった思うけど。まあでもただの力の集合体だったと思えばどんな形にだってその姿を変えることくらいは出来そうだよね。でもあの沼の力自体が、負の感情を集めて出来たような力なのは間違いないのにあんなに綺麗なのはおかしいと思わなくもない。

「まあいいわ、あなたたちでは私に勝てないってわかったでしょう? 聖女様、あなたの騎士達が無様に落ちていくわよ!!」

 ベルちゃんが手をかざすと沼から大きな手がいくつも出てきた。ドロドロとした手が聖騎士達に襲いかかる。流石に最初のように飲み込まれる騎士達はいない。それだけ手が遅いからだ。でもベルちゃんにとってそれは本命ではない。避けたと思ったその手の中から、同じ姿をした聖騎士が出てきて、ペガサスにのってた聖騎士に一撃を浴びせたのだ。

「なに!?」

 そんな驚きの声が戦場に響くよ。そしてその反応にベルちゃんは満足そうに微笑んでる。

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