美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H484

 聖女達は滅ぼされたある国のある都市を攻めてた。決まり切って真っ正面から……と言う戦いをしてるようにみせて、実はそれは本隊を隠すための陽動らしい。実際その堕とされた都市には数え切れないほどのモンスターがいた。その全部を相手にしてたら、四桁を超える数になってる聖女の集団も、壊滅は必至だ。と言うか、そもそもが四桁全員が戦えるわけはない。
 なにせ難民とか多いし。今は聖女様の為に! とかいって今はほぼ全員が戦ってるけどね。攻撃する力はなくても、この世界の生き物には全員魔力的な力はある。だから戦わなくてもそれを供給するタンク代わりにはなる。だからこそ戦えない者達はその役目を負ってる。まあけどそれもほぼ捨て身の行動だけどね。ここを絶対に堕とす……その覚悟でやってるから出来ることだ。
 なにせそのエネルギーは言うなれば生命力的な物だ。勿論使えば減る。一時的に減っても寝たり時間をおけば回復はするけど、短時間に急激に消耗し続けると魂が壊れる。そうなると死ぬ……それは避けられない。でもそれでも皆さんが戦ってるのだ。それだけ皆が希望を観たんだろう。聖女が魅せた希望。それのために皆が命をかけてる。
 そこに男女差はないようだ。うんうん、本当ならこういうのが理想だったんだよ。なんか普通の国では女尊男卑っぽくなってるけどね。
 追い込まれると人間男女なんて関係ないよね。勿論前にいって戦ってるのは男が多い。やっぱり相性なのか、攻撃魔法とかは男性の方が適性が高いんだよね。女性の方はもっと絡めてのような魔法が得意な傾向が強い。けどそれでも皆が全員で戦ってるのに変わりはない。

 そしてそんな正面切っての戦闘のさなか、聖女様と精鋭達は、回り込んで都市の中央部にある沼を目指してた。なんか城があった周囲が沼に沈んでるんだよね。城の先登が沼から出てる……みたいな感じになってる。元々城の周りには川なのか、堀なのか、そんなのがあったのか、そこで区切られてたから都市は普通に残ってるみたいだ。そしてそこに跋扈してたモンスター達は今や揺動してくれてる人達のおかげで、一カ所に集まってる。 
 だから聖女達はそれに反応してないはぐれのモンスター達を手早く倒しつつ、沼へと近づいて居た。順調……ではあった。沢山の犠牲が出てることに聖女ちゃんはとても心苦しそうだったけど、それでもおつきの騎士達が彼女を引っ張っていく。何せここで振り返って心配しても何の意味も無いからね。一人多く死ぬだけだ。なら一人でも多く残すために、彼らは聖女を引っ張っていく。たとえ彼女に嫌われたとしても……勿論聖女ちゃんはそんな彼らの気持ちを知ってるから、嫌いになるはずもないけどね。でもきっともっと自分に力があれば……とか想ってるだろう。近づかなくても沼を浄化できたら皆を犠牲にせずにすんだのに……とかね。

 確かにそれだけの力があれば誰も犠牲になることはなかったかも知れない。でも……そんな力は過ぎたるがごとし……だよ。人間には限界という物がある。いや、実際あるかは知らないけど……一朝一夕にたどり着けない領域なのは確かだよね。聖女ちゃんが望んでるそれはさ。
 そしてそこまで彼女は達してない。たっせれるかもわかんない。だから今は出来ることを精一杯皆で力を合わせてやるしかない。でもそれがいろんな思いを生んで楽しい……と思うのは私が神の視点で見てるからかな? いろんな所でいろんなドラマが生まれててとても楽しいよ。

 それに……今このとき、この場所がいちばん命が輝いてるのは確かだ。

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