美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H479

 エイが登場して人類にはとても苦しい戦い期間に入った。エイが登場して既に50年くらいは経ったかな? 上から見てると星の時間の感覚が分かりづらい。何せこっちは別に代わり映えしないからね。まあ周囲は代わり映えしないけど、色々と忙しくはある。
 クリスタウッドを失ってゼルまで失って力を失った私だけど、アクトパラスとゼンマイの力を受けて星の運営をして、そこそこの力を得られるようになってきた。まあそこそこと言っても命のエネルギーはなかなかに膨大で既に世界一つ分くらいのエネルギーは超えてる気がする。これが世界を運営する上での一部とかな訳だから、それはアクトパラスとゼンマイも同時に複数の星を生み出すよね。だって数撃てば当たるし……ある程度まで成長できれば後は放置で良いしね。基本世界樹がない世界は放置だし……けどそれでも神的立場のこっちには命があるだけでエネルギーは回ってくるのだ。
 だから最悪、知的生命体が居なくてもエネルギー自体は回収できる。でもその効率がね……やっぱり人間的な存在が居た方が星が活発になるんだよね。だってどのゼンマイの世界よりも私の星はエネルギー供給率が高い。これは私の統治者としての才能か? やはり可愛いは正義というのは宇宙でも通用する絶対正義だったようだ。
 まあ可愛い関係ないけど。

「けどこのままじゃ不味いね」
「くえ?」

 ドラクの奴が私の言葉に頭をかしげる。首なんて無いけどね。でもその伸びる触手はとても多くなってる。そろそろ側に置いとくのに危険を感じてきてるよ。なにせなんか私の体ベタベタと触ってる。

(ママ、気持ちいい)

 とか聞こえるし。それはね、私の体が気持ちいいのは間違いない。柔らかいし良い匂いしてるからね。何人の男が私の虜になったと思ってるの? でも……ね。だからこそ不安というか、このままだとドラクが私を食べちゃいそう。その前に外に出すか? 弱ってるドラゴンをそのまま取込むとかどうだろうか? それが出来ればとてもいいと思うんだ。そういう課題を与えておこう、そうしよう。

 ドラクの事はそれでいいとして、問題は私の星だ。なにせ50年で人類はとても追い詰められてた。その大陸にいくつもあった国は今や五つくらいしか無い。まとまらないとモンスターに対抗できないのだ。そしてその国も何処も風前の灯火というか……このままではマジでまずい。なにせ人間大陸にも沼が出来てる。モンスターが出現する沼だ。小さいのは元からあったが、ここ59年で沢山の悲劇が起きた。だからこそ、そこそこ大きい沼も出来てる。いくつもの国が滅びたんだ。そこには当然悲劇があった。
 そして悲劇は沼を作るのだ。無尽蔵に供給されるモンスターに人類は追い詰められてる。

「やっぱり沼を消す存在が必要だね」

 魔法でどうにか……とか想ってたけど、それは未だに実現してない。いつかは実現するかも知れないが、このままでは気づいたら人類が絶滅してそうだ。そうなるとせっかくここまで育てのに面白くない。自業自得な部分は確かにある――けど、居なくなられては私のエネルギー回収に支障があるからね。ここは私の……いや女神の存在を知らせる場面だね! めっちゃ派手に登場して、聖女を作ってあげましょう。

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