美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H477

 モンスターは成長しないとか誰が言った!! いや誰も言ってないかも知れない。でもなんか勝手にそう思ってた。いや、実際奴等は変化は早々しない。不老で存在を消し去られるまでは不死である。だからその特性上、交わって子供を残すなんて事もない。

 でも生物……いやモンスターは食事もとらないし、睡眠だって入らない……それを生物と言って良いのか……まあきっと違うよね。確かにモンスターは人を襲うが、それは別に食べるために……生きるために襲ってるわけじゃない。何もしなくてもモンスターは生きてられるみたいだからね。そのエネルギーはどうしてるのか……まあなんか世界には人々が発する怨嗟があるからそれを糧にしてる見たいな? 実際のモンスターの食料はそれだと言える。別に人を食べる必要は無い。
 けど人を食べる時に出てくる絶望や悲しみ……そんなのはモンスターにとってはこの上ないごちそうみたい。でもそれだけであの体を維持できるって……この世界を管理してる私からしてもよくわかんない。実際の所、中身スカスカなんではなかろうか? 
 人とかさ……案外中身複雑なんだよね。なにせ生きさせないといけないからね。最初のアダムとイヴ達はそれこそ私が作り出せる最小構成の人間で、人間という形をした同一個体……だったと言ってもいい。一応髪とかちょっとは変えてたけどさ、中身はどれも一緒だった。それが環境によって代を重ねるごとにDNAに刻まれて変化をしていった。

 モンスターはそんな複雑な中身をしてるわけはない。なにせ神である……いや正確には神ではないが、ほぼ神の私が作った人間と同じだとは思えないからだ。だから成長しないのは必然ではある。必然ではあるが……どうやらモンスターの肝はその個体ではなく、あの沼なのかも知れない……と私は思った。

 なにせそうじゃないと今の現象が説明できない。モンスター自体には脳とかもなく、ただ人を襲って食う……という欲求しかない。そんな奴等が大陸間を効率よく渡る……何て思考にたどり着ける筈がない。でも……大陸間でモンスターと人が隔たれてから数百年……餌を求めて海を越え続けてその動きが変わってきてる。

 沼から移動用の超大型のモンスターが出現しだしたのだ。それはでっかいエイのようなモンスターだ。それは空を飛んでる。きっと魔法で飛んでるんだろうそれは、攻撃能力は突進くらいしか無い。けど、まさに輸送船のようだった。沼から出てきた段階ではその巨体を地面にビタンビタンとしてるんだけど、その間に沢山のモンスター共がその背へと乗り込む。そしてしばらくすると飛び上がって、人が居る大陸へと目指していくんだ。

 これはとても大きな変化だ。なにせ今までは個別に海を一生懸命渡ってた。それにはやっぱりスピードの違いとかたどり着く場所にだって違いはでる。一斉に海に飛び込んでも、一斉に人の大陸にたどり着けてるわけじゃない。だからある意味で人は対処が楽だっただろう。楽じゃないかも知れないが、決して対処できない程じゃなかった。けど……これは一気にモンスターを送り込める。しかも一度に空から数千体規模を……これは状況が一気に変わるだろう。

 さてさて、人々はこれをどう対処するのか楽しみだ。見せて見せて欲しい。人の強さ……そして命の輝きって奴をね。そしてそれらのエネルギーを私に頂戴。大好物だから。

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