美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H473

「天罰でも食らわそうか?」

 やっぱり人類を今時点で滅亡されては困る。だから雷でも落として灰にでもしようか……とか考える。そのくらいは簡単だ。何も私はこの世界の、いやこの星の神である。それに世界樹を作ったから力の通りもいい。天候なんて朝飯前。だけど……これはなかなかに大きな変化……になるかも知れない。なにせ……

「おおう、あのシスコン、動物を殺して自分の負の魔力を注ぎ込んでるぞ?」

 凄くグロいことをしてる。そしてそのグロいことをして自分の力の影響を受けた僕をシスコンは量産していく。どうやら相当の人間不信になってるようだね。人間なんて信用できない――なら信用できる配下を自ら作り出せば良いじゃないか――の精神だろう。でもそれであんなことが出来るとは……天才かな? それか怒りで常識なんて物を取っ払ったか。そもそもがまだまだ発生して数百年くらいだし、その常識も薄っぺらいものだからね。さっさと常識なんて概念にとらわれちゃったら劇的な発展なんて無い。
 それをあのシスコンは証明してるのかも知れない。世界には五つくらいの魔法の大系が出来てるようだけど、三つの集落が接してたあのシスコンの場所はその中の三つの魔術体系に触れてたのも大きいのかも知れない。

「さあ、我が僕達よお前達の好物は人間だ。人間の臓物とその絶望の味が大好物なのだ。美味しそうだろう? さあいけ」

 一番近くにあった集落を配下の動物たちと共に強襲するシスコン。それに抗う術もなく滅びた集落。それからは破竹の勢いでそこら中の集落を駆逐していく。少し離れてても、魔法という便利な力で交流があったところなんかはそろそろ事態を把握してきたような雰囲気がある。

 本当にこのままじゃこいつに人類滅亡させられるんじゃ? とか思ってて神罰も検討してたけど、まあ世界のことはそのなかで生きてる人達に任せるのが一番なのは確かだ。下手に神が介入ばかりすると、それに頼り切ってしまうって事が起こりえる。それはゼンマイから貰った知識の中の『簡単! 初心者の神にも出来る世界の運営術』にも書かれてた。うん、一体どんな奴がこれを書いたのか……てかそのまま知識を移してきただけだよね? ゼンマイがこれを編集したわけじゃないよね?
 私のためにこんなのを用意してくれてたのだとしたら、ちょっとだけゼンマイの奴にキュンってしちゃうよ? まあそんなわけないと思うから、誰かから貰った知識をそのまま私にくれたんだと思うけど。

 シスコンの悪逆非道は実際の所、それなりの被害で止まった。なにせ連携を取った集落の奴等にはめられたのだ。次にシスコンが狙った集落には罠があって、その場にとらわれてしまったのだ。そして連携を取った集落の人間達の合わさった魔法によって討伐された。
 どうやらここで魔法同士を複数人で組み合わせるととても強大な力になるじゃん――って事が判明したよう。でもシスコンの怨念的な奴はどうやら無くなってなかった。奴は呪いをまき散らした……というか、自身の体さえも魔法的な改造をしてた。それは奴が死んだ場所で発動してその場所は黒い沼となった。そこには息絶え絶えの動物とかが集まってくる用ななにかそういう誘因装置があって、そこに集まってきた動物とかを飲み込んで、以前のシスコンの配下を作り出して世界に放つ。

 消し飛ばそうとしたが、連携を取った集落の腕利き達でもそれを完全になくす事できなくて、そこから生まれ出てくる化け物を人々はモンスターと呼ぶようになったとさ。

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