美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H470

「やっぱり危機こそが人類を飛躍させるんだね」

 私はそんなことをうんうんとうなりながら言うよ。だって……ね。危機を与えたときの変化が顕著だったのだ。それまではゆったりとして世界を愛でるだけのアダムとイヴ達だった。やることもやらないで増えようとも早々しない。もっと性欲を強くしておくべきだったか……とか想った。
 このままだと可愛いと思って死に行くだけの人種になるところだった。でも危機を与えたことで命を感じたようだ。思い通りに、危機に瀕したときに魔法を大体の奴等が発動したし。それは火であったり風であったり雷であったりとさまざまではあった。
 魔法の原理も体系も何もないわけだから、きっとマナが心に反応してその人に会わせた力の一部が発現しただけなんだろう。でもきっかけさえあれば、自分には何かがある――と自覚する。それからはその魔法を発言させた一人が中心になって、魔法という力を広めていってくれた。

 そうなると滅ぶって事はほぼ心配しなくて良くなったね。なにせ魔法があるのだ。狩りの効率は飛躍的に上がったし、食事の質も焼くとか色々と発明しだして文明感がただよってきた。ちょっと待つと、洞窟みたいな所に住んでた人々は魔法を使って住処を作り始めた。それこそ最初は土を使った物だった。けどその内、木とか、岩とか、色々な物を使うようになっていった。
 でもどうやら早く魔法を与えすぎたのかな? 武器的な物は一向に発明されないね。食器とかなら家を作る魔法を応用して作ってるみたいだけど……大体狩りは魔法だね。それに畑とかも別に作らないね。動物が豊富すぎたか。てかあいつらなんでも食べてる。多分忌避感がないからだろう。

 そういえば人体に毒となるような物あるのかな? 普通に進化してたら人体に悪い物もあると思う。だって植物とかだって生き残るために必死なのだ。成長するまでは食べられないように毒とかを生成したりもする物もあったりするはず。けどこの星は私が都合の良い進化をさせた。それはつまりは人にとって都合が良い進化だった。だから基本、人にとってヤバい物は基本的に取り除いてしまった。

「それじゃあ、危機はあんまり生まれないか……」

 さっきので分かったが、危機は人を成長させる。なら魔物でも放つか? とか考える。一番手っ取り早い敵を作ることで、危機感を煽ることが出来るのは魔物だ。でもこれまで居なかった物がいきなり現れるってどうよ? まあ気にしなくても良いんだけど……そもそもアダムとイヴ達だってそうだしね。でも知的な彼らは色々と考えるとは思う。

「うん?」

 少しずつではあるけど、各地で散り散りに放ったアダムとイヴ達は増えていってる。そして人が増えると言うことは、いろんな考え方が出来る言うことだ。なんか仲が良くないような所も出てきてるね。別に飢饉とがおこって生きるのに必死になって……って訳でもないだろうに。
 寧ろ余裕があるから考え方の違いでぶつかるのだろうか? よく分からない。なんかそういうのは頻繁に起って更に人がいろんな場所に散っていく。まあ良いことだね。でもそうなるとどこかでぶつかったりして……それなりに近いところに放ったアダムとイヴ達の子孫とかが更に散って近くになってぶつかるって事が起きたら……

「やっぱり人の敵は人になる?」

 私が魔物を作る必要は無いかも知れない。

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