H464

　困ったことが起きた。いや、ただまだまだ時間がかかる……と言うことなのかもしれないが……

「知的生命体が誕生しない」

　動物は誕生した。海が出来てプランクトンが徐々に進化して魚となり、陸が出来てそこに草木が出来ていつしか魚たちが陸に上がった。そして様々な環境に適応するように姿形を変えて進化は続いてる。けど……一向に知的生物にはならない。どういうこと？　そろそろ猿的な動物が居てもいいでしょ？

　いや、猿的な動物はいる。でもアホなのだ。人間になりそうにない。これは知的な生命体って実は自然には発生してないのでは？　と言う懸念が出てきた。そもそもが猿から人に進化したとかいうのも、実は確証はなかったみたいだし……私は星の営みを覗きつつ、ゼンマイに貰った知識を紐解いてた。そしてゼルの記憶もね。

「そっか、何か忘れてると思ってたけど、世界樹だ」

　世界樹、それは世界の力を巡回させる役割を持つ世界に一つある大樹である。どの世界にも一つ原則的にある。けどそれを作るのを忘れてた。でも……私の遙か遠くの記憶の世界にはそんなのなかったが……まあ魔法とか無かったし、それに依存しなかったらそのうち無くなっても大丈夫なのかも？　
　だから忘れてた。それに案外普通に回ってるんだよね。これって世界樹って必要？　っておもえる。てか普通の生物に世界樹なんて必要ないんじゃ？　でも、全ての命の循環を世界樹はやってたはずた。なら必要ないなんてことはないよね？　まてよ……でもそれなら今までこの星で生まれた命は死んだら何処に行ってたのだろうか？　それでふと気づいた。

「私へか？」

　その可能性があるような気がする。神の力とは魂の力とか？　私は額に手をおいてうんうんとうなる。きっと知識の中にあるはずた。世界樹を作るか作らないか……それによってどういう変化が起きるかどうか……私的には最初は勝手に世界樹って生えてくる物たと思ってた。だって世界に必要だと思ってたからだ。
　でも一応、生命は生まれて星は回ってる。そこに世界樹はなくても回ってる。ちゃんと次から次へと命は生まれてるし……星の力で命は生まれてるんだろうか？　じゃあ、やっぱり世界樹って何って事に……世界樹がなくても命が生まれるのなら、世界樹なんていらないじゃん。
　まあ世界の、星の調整がしやすいとか？　それも大事な世界樹の役割なのかも？　確かに世界を見ると、崩壊しつつある場所もある。けど、放っておけば勝手に新たな大地って生まれるしね。それを考えると世界樹がある意味ってもしかして……

「安定させるため？　いや、もしかして固定？」

　そんな気がしてきた。