美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H456

 このままなら私の星の種は太陽へと至る。そう思ってた。けど……なんかどんどんと大きくなってるが、それが止まることないんだよね。普通は太陽が出来て、その周りに恒星が回り出してなんとか系とか言われる物が出来るじゃん。

「まあまだ相応しい大きさの恒星がなんだよね?」

 とか言って私は自分を納得させてた。けど、私の星に継ぐ二番目に大きな星が普通にぶつかってきて、そして木っ端みじんになったところから「んん?」と思ってきた。だってそれだけの大きさの星だったら、私の銀河系の星の一つに連なってもおかしくない筈なのに、まっすぐに突っ込んできて粉々になったんだよ? これはおかしくない? 実際どのタイミングで星がその星の周りを回り出すとかよく知らないからね。
 もしかしたら今はまだそのタイミングじゃなかった……てことなのかもしれない。そうであって欲しいけど……見てるとこいつ……銀河の中心だと主張するように居座って全てを吸おうとしてるように見えるんだよね。どんどんと大きくなっていく私の星。既に私の力なんて全く受け付けない。

「よく見ると、なんか黒い力が周囲の星を掴んで引っ張ってきてるように見えるね」

 私はもしかして凶悪な何かを生み出してしまったのかもしれない。どんどんと大きくなる星は次第に赤みを帯びていく。

「おお、やっぱり太陽に?」

 とか思った。これで太陽になってくれたらある意味良いんだけど……でもどんどんと周囲を取込んでるこいつは、止まりそうにないが……大丈夫……だよね? いつかはこの私の星の膨張も止まるとは思う。けど……それが全てを……そうこの銀河を飲み込み尽くすまで……ではない事を祈ろう。いや実際、それを制御するのが私の役目なのかもしれないんだけど……

「うーん、ゼンマイの知識、ゼルの知識……それに何かあればいいけど……」

 私は頭の中を探る。宇宙の色々な知識があるからね。ドラゴンの破片や肉片……それらを使っての星の育成。ドラゴンのそれらの残骸的な物は確かに宇宙の栄養になるみたい。私のやり方は間違ってなかったと思う。なにせドラゴンの力を取込んだ星は強く成長するっていう知識があった。まあその後に、ドラコンの力を取込みすぎた星は星の役割を忘れる……とかなんとか書いてあったけど。

「星の役割ってやっぱり生命を育むって事だよね?」

 そうだとおもう。私の星……既にその役割忘れてるような気がする。でも……こいつ自身が育まなくても、太陽へと至れば、他の星を育むことが出来る筈だ。その可能性にかけてるから。なんかちょっと考えてる間に星がドクンドクンと脈打ってる気がする。
 真っ赤に染まり、圧倒的に大きくなって、いつしか自身で膨張してるような……

「もう十分だから……止まりなさい」

 私はそう伝える。けど……伝わってる感じはしない。親の言葉を聞かないとは……これが親の心子知らずとか言うやつか。違うと思うけどね。でもそれでも私は諦めないよ。なにせ、私はこの星の母だからだ! いい女は良い母になって私はそれを体現してあげるのだ。

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