美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H443

 アクトパラスとドラゴンが戦い始めてどのくらい経っただろうか? ここは時間の感覚がなくなるから困る。既に長く戦ってるような……そうでも無いような。なんか既に日常になってるというか。てか時々あいつら休憩して再開とかしてるからね。アクトパラスは大体戦いっぱなしだけど、ドラゴンは片手では足りないくらいの数が居るから、休んだりしてる。ズルい奴等である。でも……

「ははははははは! そんな物かドラゴンとやらは!!」

 うん、アクトパラスは楽しそうだ。そしてそれを時々観ながら「うるさいなー」と思いながら思った。てかここまで見続けてたら流石に分かるというか……戦闘に興味なくてもアクトパラスの行動の矛盾というかね、それが見えた。

「ねえ」
「なにだね?」

 私はずっと銀河を観てるゼンマイに声を掛ける。いや、実際はゼンマイもアクトパラスとドラゴンの方にも目を向けてるみたいな? ゼンマイは機械の体してるからね。どこからでも観れるのかもしれない。

「なんでアクトパラスは手加減してるの?」
「わかるのか?」
「まあ、そのくらいは」

 ちょっと意外そうなゼンマイ。でも教えてくれた。

「ドラゴンとは宇宙に必要な存在なんだ」
「でも最初にあのドラゴンはいらないっていってなかったっけ?」
「ああ、あのドラゴンはいらない」
「ならさっさと皆殺しにすれば良いじゃん?」

 わざわざ生かしてるのはそれがアクトパラスの優しさ……ではないだろう。そんな甘いやつではないと思ってるし。きっと何か狙いがある。まあ私に教えてくれるかはわかんないけど……

「ドラゴンはドラゴンを呼び込む。だからそろそろきっと……」

 そんなことをゼンマイが言ってると、今のドラゴンたちがあけた宇宙の穴? 的な所から別の緑色の口が入ってきた。いや正確には口が引っかかった。どうやら今の細いドラゴンとは違って今度のはとても大きいらしい。そしてそいつが頭を動かして更にその穴を大きくして入ってきた。のっそりとした動きで入ってきたのは全身緑色で棘が体中に生えてるずんぐりとしたドラゴンだった。

『ぐわっはっはっは! この宇宙、わしが管理してやろう!』

 いきなりそんなことを宣ってくる。まったくドラゴンって奴はどいつもこいつも厚かましい奴しか居ないのかな? ゼルはこいつらに比べるととても穏やかなドラゴンだったんだね。

『ここは我らが見つけた場所だ!』
『蝿が! なら追い出してみせるのだな!』

 ドラゴンVSドラゴンVSアクトパラスという構図になった。更に戦いは加速してく。

「ふふふ」

 なんかゼンマイはとても不気味に微笑んでる。どうやらドラゴン達が戦うことでその力がこの宇宙に拡散されるみたい。そしてそれが銀河に影響を与えてるみたいだ。ドラゴンは宇宙に必要……それってこういうことなのかもしれない。

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