美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H440

 目が覚めると、白かった空間がどこまでも黒い空間になってた。そしてアクトパラスとゼンマイが力を合わせて、何やらバチンバチンと渦を作ってた。

「何やってるの?」

 私はなんとはなしに、そんなことをきく。すると奴等はこういった。

「銀河を作ってる」

 ――とね。もう、意味が……というかスケールがでかいね。てか、銀河って案外ちっちゃいね。こうやって観るとただの埃のあつまり……それは流石に言い過ぎだが、光りの集まりじゃん。
 銀河って星の集合体でしょ? ならこの銀河に無数の星がある訳で……その中にはいくつもの命があったり……ううーん、想像できない。

「はやく貴様も来い」

 そう言われて私はアクトパラスのぬるっとしたタコの脚に絡め取られて、近くに持ってこられた。女の子のエスコートとしてはゼロ点だよこれ。とりあえずアクトパラスにはマイナス20点の採点をしておこう。

 私は近くにたった。まあ立ったというのもなんか変だというか? だってべつにここはもう私が産みだした宇宙で足下に床なんて無い。てか無だ。最初の宇宙ってこんななんだね。まさに無……そして闇である。光りはアクトパラスとゼンマイが生み出してる力の光りしかない。だからこれが最初の銀河ってことになりそう。

「私になりをしろって言うのよ?」

 てか私にやることある? もう一番の大仕事はやったじゃん。私がこの宇宙を産みだしたんだよ? 私のお腹から、ひねり出したのだ。私はこの宇宙の母。

(いや待てよ? 今こそ私が一番のこの宇宙一の美少女と言えるのでは?)

 間違いない。何せこの新たな宇宙には私たちしかいないはずだ。なら、間違いなく私が宇宙一の美少女だね。いや、今までだって私はあの宇宙で宇宙一だと思って疑ってなかったけどね。
 でもここでは確実に私が一番だ。でも比較対象が居ないのはまあ寂しいものがある。

「命を吹き込むがいい」

 アクトパラスが何か当たり前のことのようにそんなことをいってくる。お前は神か? いや神だった。そうだったこいつらはもう神のような存在だ。なにせ宇宙を作り出すほどのエネルギーを持ってるんだから。
 けどそんなこいつらと私を一緒にしないで欲しい。私はもう限りなくただの人だよ? ゼルの力も、前の世界の力もない。あるのはこいつらの力だけだ。無理矢理流し込まれた……ね。

「命の特性は沢山あった方が良いのだよ。その方が色々と反応が起る。私とアクトパラスも勿論命を宇宙に流すが、君にも出来るはずだ」

 ゼンマイが何かそんな説明をしてくれる。二人はその近くに違う色の光りを蛍のように光らせてる。どうやらあれが命の種らしい。そう言われても……ね。

「私に命なんて生み出せる訳ないじゃん」
「貴様の力を注げば良いだけだ」
「ああ、君の大本の力は私たちの力だが、まざって合わさって、そして君の影響で変わってる。変化は既に起きてるんだ。だから変数的に良いかなってね。力を流すくらい出来るだろう?」
「まあ……それなら」

 私は作られてる銀河に手を翳す。そして私も二人の圧倒的な力にほんの少しだけ私の力を混ぜた。そして最初の銀河に新たな命が生まれた。

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