美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H439

 まだママになる気は無い――けど私には拒否権ないからね。私の中でものすごく暴れ回ってるような力の波を感じる。それにそれは私のお腹の部分に集約していってるような?
 本当ならこんな馬鹿でかい力を内包できるわけない。流石に私のこの体が神の器だとしても流石にこの力の大きさは許容量を超えてると思う。
 それくらい滅茶苦茶な力だ。今も私が私で居られるの……それは……

「「さあ、生み出せ、我らが新宇宙を」」

 そんなアクトパラスとゼンマイのせいだ。死ぬこともどうやら私には許されてないらしい。いや、死ぬ気なんてこれっぽっちも無いが……でも……それでも自由がないってのは不便。
 私の体は間違いなく崩壊してる。でもそれをアクトパラスとゼンマイが支えてるんだとも思う。崩壊していく体を逐次再構成してる。

「はっはっうぐ……あっ……つう……」

 ヤバい……まじでひっひーふーとかやった方が良いかも。死なないだけで、死ぬほど苦しいからね。寧ろ死ぬほどの痛みがずっと続いてるような……地獄か!? 力はどんどんとお腹に貯まって更に濃度を濃くしてる。
 どうやら命を……そう世界という……宇宙という命を私のお腹で育んでるらしい。私の子宮は宇宙のためにあるんじゃない……そもそもが一人用なんだよっていいたい。宇宙って……一体どれだけの命の母になるのよ。
 いきなりひいひいひいひいひいひいひいひいおばあちゃんとかに成りたくない! でもこの苦しみも一刻も早く終わらせたいとは思ってる。だから生むよ……生んでやろうじゃない。でもただアクトパラスとゼンマイの宇宙を生むなんてしない。

(私の要素を少しでも入れてやる……私はただの道具じゃないんだから)

 そんな反骨心をむき出しにしてる。いやむき出しにしたらバレるか……なら強かに……そういい女は強かに生きるのだ! 絶対に上位の存在として奢ってるあんた達にそれこそ母の……いや女の強さを教えてやろう。
 あんた達が作り出すこの宇宙。私の腹に入れたのか運の尽きよ。これから生まれる宇宙には私の因子が入る。こいつらの作り出す宇宙に私のこの存在を割り込むのだ。出来る……そうできるはずだ。なにせ最後の工程としてこの私の体を使ってるんだから、今ならこいつらの宇中創造に介入できる唯一の瞬間だろう。
 どうするかなんてわかんない。けど……私の中に実際に宇宙はあるのだ。なら……こう伝えておいて投げよう。

(私がアンタのお母さんだからね!!)

 母親なんていやだけど、母は強しとも言うからね。それにお父さんはどう考えてもアクトパラスとゼンマイだし、ならもう母親ポジションしかない。でもそれなら立場的には対等じゃん。なら……ね。許せる。どういう影響があるか……それとも生まれる宇宙には結局何の影響もないかもしれない。けど……それでも私は言い聞かせてやった。そしてそんなことをやってると、私から宇宙が生まれて、同時に私はまた意識を失った。

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