美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H434

(約束はもういい。この宇宙では意味は無いからな)
(それってどういうことよ?)
(全ては遅すぎたと言うことだ)

 私が寝過ごしたせいって事? いや寝過ごしたわけじゃないけど……なんか気づいたら数千年経ってただけだし……私は悪くない。

(貴様との日々は楽しかったぞ)
(ちょっ……ゼル何言ってるのよ……)

 もう私たちの関係が終わりみたいな言い方止めてほしい。嘘だよね? 私の希望はゼルだけなんですけど……

『宇宙まで支配した貴様らだ、更に先に行くというのなら、我を食らっていくほうが合理的だぞ。貴様達はそういう力があるだろう?』
「確かにそれでもいい。だが、ドラゴンは使い道があるんだ。だから大人しくしたがってほしい」

 ゼンマイが落ち着いた声でそんな風に言う。うんうん、それが良いと思うよゼル。

「おいおい、こう言ってるんだ。食らいつくしても良いんじゃないか? どうせ俺たちの宇宙にドラゴンは誘い込むんだ。いくらでも補える」
「だからこそだ。だからこの従順なドラゴンは残しておきたい。それにドラゴンの最強クラスには我らだってまだ及びはしないぞ。功を焦っては……」
「ああ、わかってるさ。俺とお前、それで上手くやってきたんだ。従うさ」

 やっぱりこいつらかなり良い関係だね。こいつらの仲を引き裂くのは……かなり難しいか。でも……どんな歴史上に残る人物達も、女によって堕落して消えていったりしてるし、私が間に入ってこいつらをかき乱せば……ワンチャンあるんじゃないかな? まあ今はそんな気力もないし、生死がかかってるんだけどね。
 今は私の意思の介入は出来ない。どうなるか見守るしか……一応「記憶よ集まれー」と思ってる。まあ全然来ないけどね。

『我ははぐれでもドラゴンの端くれだ。負けても居ない相手にただ従うような存在ではないぞ!!』

 そう言ってゼルは羽を広げる。ガチガチに縛られてると思ったけど、どうやらいつでも抜け出せたらしい。ここでゼルがこいつらをぶっ倒してくれれば大逆転勝利だね。私何もしてないけど……大丈夫、そんなこと私気にしないし。最後に自分が勝者ならどんな過程をたどっても別に良い。でも――

(我の全てはラーゼ、貴様に託しておく。抗う気があるなら、使うが良い)

 ――そんな死亡フラグ全開の言葉が伝わってきた。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品