美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H430

 完全に世界樹の根に包まれてしまった私。それに体中に絡まったツタは私の力を吸っている。抵抗は出来ない。いや一応吸い返してやってるが……この宇宙さえも内包してる世界樹に対して、私という存在はとてもちっぽけなんだ。
 この世界樹なら私の力を吸ってもきっと影響なんてないんだろう。それだけの強大な世界樹だ。私だって自分の力が強大だと――そう思ってた。でもさ……こいつとはスケールが違う。
 この世界樹が私の力を取込んでも、全く別のマナでもきっと浄化できるんだろう。でも私がこの世界樹の力を取込んだら、とっても苦しい。だって全く違うマナは毒でしかないからね。

『そこまでして私たちの力を取込もうとするとは、それだけ私たちの物になる気が成ったということかな? まあもうどうしようもないからな』

 そんな声が聞こえてくる。閉じ込められてるからか、その声が反響して聞こえるよ。うざったい。実際別のマナを受け入れてるように見えるだろうから、ゼンマイの奴がそう思うのも仕方ないのかもしれないけど……でも私は別に諦めたわけじゃない。生きるためにこうやって取り入れてるんだよ。だってこのままじゃ干からびる。私は自身のカラッカラの肌なんて見たくない。
 私はいつだって美しくありたい。それは見た目だってそうだし、心だってそうだ。

「別に……私はあんた達に屈したわけじゃない。私は……宇宙一の美少女だからよ!!」
『なる……ん?』

 意味がわからない――そんな雰囲気がゼンマイから伝わってくる。全くこれだから乙女心がわからない奴は……どんな女性だって皆美を求めてる。それはどんなときだったそうなんだよ。
 そして私はそんな美の中に希望があるって思ってる。なにせ世界の絶対の理を私は知ってるからだ。

「可愛いは正義で……可愛いは希望で……そして可愛いは絶対なのよ」
「……お、おう?」

 まだわからないの? 私はそんなことをいいながらも手足の先からなんか肌が変色し始めてた。全く違うマナを大量に取込んでる影響か……私の真っ白な肌が緑色になってくのは気分が悪い。けど全身緑色になっても、もしかしたら私なら美少女かもしれないなっては思った。
 まあそんなこと思ってる場合じゃないんだけど……てかさっきからこいつのマナしか取込んでない気がする。タイムデスケーションから放たれてる記憶……それが必要なんだけど……

(てか出てるよね?)

 状況も何も見えなくなってるからね。不安に感じてきた。でもタイムデスケーションには外からの干渉は出来なかった筈だから今もきっと星の記憶を吐き出してるはずだ。
 それを私がつかめてないだけ……でもどうしたらいいのか……結局接触して取込むのが一番わかりやすいから世界樹のマナの方を沢山引っ張ってるんだよね。

(時間も空間も距離だって関係ないらしいけど……星の記憶を引っ張ってくる方法がわかんないよ)

 何か……何かないんだろうか? 私は必死に考えるよ。

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